北の魔女

覧都

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第六話 グエン商会

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「なんだ、アド様に言われて、来てみればお前たちか」

まな達の前に現れたのは黒髪、釣り目の美人系の女性だった。

「誰?」

まなは誰だか分らなかったが、黒髪女は、あいも、まなも、知っているようだった。

「あっ、シャム様」

あいは言う。それを聞くとまなの口からつい、でてしまった。

「えーえ、でっかくなっちゃった」

「やかましいわ」

「人間は見た目で舐めて来ますから、人前ではこの姿にしています」

シャムちゃん猫耳もないし、話し方もニャーが付いていない。
やればできるんだ。
まなは、妙な所で納得している。

「あい様、この学校は卒業して貰います」
「約束通り今から一緒に来て貰います」
「いいですか?」

「はい」

「ちょっと待って、せっかく出来た友達をなんで、連れて行くのよ」
「説明して」

まなが詰め寄る。
しょうがないなーと、いう表情でシャムが答える。

「わたしは、猫なので魔力に関する能力を感じる事が出来ます」
「あい様は魔法使用の能力が凄く高いのですが、魔力が少ない、というより、ほぼゼロです」
「この学校で魔力を増やす勉強をしてもらっていました」
「今回の件で魔力が増大しました、だから卒業です」

シャムはあいの顔とまなの顔を順に見て続ける。

「あい様には学費を出す代わりに卒業後私の所で働いて貰う約束をしています。」

「服は! 服ぐらい用意してあげればいいでしょ」

まなが叫ぶと、シャムは困った顔をして左右に首を振る。

「まな様は、ご存じないかもしれませんが、あい様は、私から何かを無償で渡すことを、借りは増やしたくないと断ります、そこだけはとても頑固です」

あー、わたしは、たぶんそれ世界一良くご存じです。

「せっかく友達になったのに…」
「あいちゃん、また苦労するんだね」

「うん、でも今までの苦労は悲しくて泣いちゃう苦労だったけど」
「これからは笑顔で乗り越えられそう」
「全部、まなちゃんのおかげ」
「またすぐに遊びにきます」

あいは満面に笑みを浮かべ、まなとキキを見る。

「人肉のあいー」

「あいちゃん」

まなとキキは少し涙目であいを見つめる。

「そうだ、シャムちゃん、猫耳とニャーって、無しにも出来るんだね」

「猫耳と、ニャーは猫の誇り、本当はいつでもつけていたいニャー」

さっきまでのお別れのいい雰囲気が台無しである。


この世界には、北の魔女の三大眷属がいる。
一人は猫のアドで、一人は熊のグエン、もう一人がカラスのガド。
アドとグエンはそれぞれ、商会を経営し、アド商会は魔法を客に売り、グエン商会は魔法を集めアド商会に売っている。
シャムはアドの筆頭眷属で、イナ国のアド商会のトップ。
イネス支店の支店長でもある。

そのアド商会イネス支店の裏側に、あいと、シャムの姿があった。

「シャム様、グエン商会へ行くため、綺麗な水で服と、体を洗って来ました」

「あい様、いまはあい様の方が偉いニャ、様はつけないでほしいニャ」

「それをいうなら、わたしも様はつけてほしくないわ」
「お互いちゃん付けでいきましょう」

「あい様、あいちゃんがそういうニャら」

あいは、ちっちゃいシャムに対して聞きにくそうに、質問する。

「シャムちゃん今の姿がシャムちゃんの本当の姿なの」

「そうニャ、今まではあいちゃんが人間だったから、こっちの姿は見せていなっかったニャ」

答えると、シャムはお金の入った袋をさしだした。

「はい、お金をここに入れておいたニャ、このお金はあいちゃんの借金ニャ、いずれ返して貰うから、余ったお金は自由に使っていいニャ」

「はい、いってきます」

お金の入った袋を受け取り、あいはアド商会を出て行った。


イネス市街

イネスはイナ国一番の都会である。
その町中を貧民が歩いていると浮きまくっている。通行禁止ではないが、通常貧民はこんな所を出歩かない。

「あった、グエン商会だ」

扉を開けると正面に受付があった。
受付には綺麗な、髪の長い女性がいる。
巨大な胸をカウンターにのせ、眉をしかめている。
その上口をクチャクチャ言わせて何かをかんでいる。

「あー貧民のガキが何の用だ」

この受付の人態度悪すぎ、うわ、手に干し肉持っている。なんか恐いなー。こっちを睨んでいるし、何か言わなきゃ。

「あのー、わたし臭くないですか」

はー、あいに生臭い息を吐き掛ける。

「なんで、あたしが貧民のガキの臭い体臭を嗅がなきゃいけないんだい」

あいの頭をつかみユサユサゆすっている。
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