北の魔女

覧都

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第二十三話 決戦前の休日

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本日は休み
明日戦地へ赴くということで、領主の計らいである。
伍イ団は別々で休むより、一緒がいいということで今、ササ領主邸の前の広場でのんびりしている。

ササ領の兵士もかなり残って剣を振ったり、槍を突いたり練習している。

その兵士達がちらちら見ている所がある。あいのふりふり踊りである。
今日のあいは、少し長い服を着ているので白いものはちらちらしていない。

ビョヒュッ

「あいちゃんの剣、随分様になってきたわね」

あいの服に満足しながらレイがロイに話しかける。

「随分じゃない普通に振れている」
「兵士達が驚いて見ている、普通は貧民なんて無視するのにね」
「既に新人君ぐらいは出来るようになっているよ」
「ずっと寝ないで振ってたんじゃないかな」
「俺の剣は我流だから、俺のまねをして変な癖がついちまってる」
「やはりあいちゃんには良い師匠が必要だな」

メイは、数人の兵士達と模擬戦をしている。
今日のメイは、いつもの長めの黒のローブを着ていない。
新調した白い半袖短裾に黄色と青の糸で飾り刺繍の入った服、銀色に金の縁取りの防具を着けている。美しい顔立ちに、その服がよく似合っている。似合いすぎて美少女に磨きがかかっている。
その少女は兵士に囲まれないよう、蝶のようにひらひら動き回る。
その動きにつられて、兵士が集まってしまう。

「風」

メイが風を起こすと、兵士達が皆尻餅をついた。

「これであなたたちは、戦場なら全滅ね」

視線を服に目を移し

「この服も防具もいいわね、動きやすいし軽い」

兵士の訓練をしているのかと思ったら、服の具合を確認していただけだった。

「メイ師匠」
「私たちに戦場での戦い方を教えてください」

兵士達が必死でメイに頼みこんでいる。

「明日から戦場ですよ、今から教えて何とかなるようなものはないわ」

冷たく突き放すとレイ達のところへやってきた。

「ササ兵は、やばいわね」

「どういうことですか」

「あの子達、志願兵なんだけど、初陣よ」
「経験豊富な兵士は魔獣に食べられて、今は寄せ集めの兵士だけ、訓練もまともに受けていないみたい」
「今回の仕事は大変な仕事かもね」

そういうと後ろを振り返り、不安そうな兵士のところへ戻っていった。

広場に伍イ団の姿を見つけたササは昼食の用意を命じ、昼になると広場に食事を運び、皆に食事を勧めた。
立食形式になったが、外で食べる食事は楽しい。
食事を一緒にすると連帯感が生まれる。
メイは先程の兵士達と楽しそうに食べながら笑っている。
レイとガイは女性兵士と楽しそうだ。

ロイとあいは、兵士達から離れて食事をしている。

「あいちゃん本気なんだね」

あいは最初なんのことか分らず、ぽかんとしたが

「武術の事ですか」

「そう、そう」

「頑張っています」
「攻撃魔法は、自分で使わないと決めましたから」
「本当は剣も使わず、素手で戦いたいと思っているんですよ」

「素手―」

驚いたが、あいが巨大な魔獣ダビに素手で立ち向かい、殴りつけ、ダビの体がはじけ飛ぶ姿が想像出来てしまった。

「あいちゃんなら出来るよきっと」

「本当ですかー、でもあんまりうれしくありません」

すこし頬を膨らます。

「あれー、いい男とかわいい女の子が、良い雰囲気じゃない」

レイが茶化す。

「そんなんじゃないぞ」
「おれは心に決めたひとがいるから」
「わたしもいます」

「ええーえ」

いつのまにか三人集まっていて驚いている。

「詳しく聞きたい所だが、皆が君たちと話したがっている」

メイが言いながら兵士の方を見る。

「皆、君たちに非礼を詫びたいのだそうだ」

皆、頭を下げている。

「わたしなにもされていませんよ」

「おれもだ」

「全員、君たちが貧民ということで、失礼な態度をとっていたと反省している」
「皆とも、少し話をしてやってくれないか」

既にあいは、泣きそうになっている。

他の四人は、ほんとこの子はこれに弱いなー。

「がうぃぎるひふー」

もうあいは泣いてしまってなにを言っているのかわからない。

その後、少し話をし、

午後は、ロイとガイを敵将と見立て、集団戦の練習をした。

「ちょっとあんた達、少しは手加減しなさい!」

メイがきれた、ロイとガイが強すぎて練習にならなかったからだ。

「いやいや、これでも手加減してますって」

「おばかー、そんなことばらすやつがあるかー」

皆、玉のような汗をかいて、笑っていた。

日が沈みかかると、みなヘトヘトで立てないものまでいた。

「前日にこんなに練習する人がありますか」

あきれてメイがいう。

「あいちゃん、この子達に治癒と回復をかけてあげて、元気になる方の奴」

随分年の行っている兵もいたが、メイから見たらこの子達である。
メイはこの兵士達が気に入ったようである。

「皆さん、今日はお疲れ様、気が付いている人は気が付いていると思いますが、どんな訓練より効果のあるおまじないをかけました。明日から決して死なないように頑張りましょう」

メイが皆に声をかけた。

ガイやロイのように、なんのことかわからず、ぽかんとするものや、すげーと驚いている者もいた。
魔法適性は皆低いようで、魔道士はいなかった。

いよいよ決戦である。
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