北の魔女

覧都

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第四十一話 ハイの実力

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「気を付けろー」

前で騒ぎが起きていた。

すでにオリ国に深く入り込んでいるため森があり、でかい魔獣が出て来たのだ、草原の民である南トラン軍は魔獣と戦った経験が少ない。
虎のような縞模様のある魔獣である。

すでに数百人のけが人が出ている。
その魔獣が馬車に近づいてきた。

回りに人がいるため、範囲攻撃の魔法は使えない。

「あい様、行きます」

ハイがあいの顔を見る。
あいが頷く。

ハイが馬車から降りると素早く走り、魔獣の前に出る。
魔獣の頭をポカリと叩いた。
魔獣の頭は、半分ほどへこんでパタリと倒れた。
レイがこっそり治癒魔法をかけた。

ハイは何事もなかったように馬車にもどると、あいの前で頭を下げた。
あいは、ハイを抱きしめ、あたまをなでた。
ハイがとてつもなく嬉しそうで、めちゃくちゃかわいかった。

だが回りの魔法使いや魔道士達は、今の光景を見たあとなのでその光景が、なにか恐ろしいものに感じ体が震えた。
こいつらとはお友達になりたくないとおもっていた。
このあと太った魔道士も、大人しくなった。

その後数時間の行軍のあと、オリ軍と南トラン軍は開けた草原で対峙した。
お互いが牽制しあい陣を築いていく。
決戦は明日の朝となるであろう。



翌朝

日の出と共に陣を展開したが、中央を大きくあけていた。
オリ国のシュウ将軍が、イホウギの一騎打ちを受けたのである。

「イホウギである」

「オリコーク、シュウともうすー」

騎馬の武者が二騎中央に駆ける。

ガキーーン
矛と棍が激突する。

すでに実力差は明らかであった。
世界の人口の半分、その頂点と田舎将軍の実力差、明白であろう。
たたき殺してやる。シュウはそう思っていた。
そう思っていた、シュウの矛が三十メートルは弾き飛ばされている。



「凍結」
「消去」

オリ国、南トラン両軍のすべてが消えた。

残ったのは後イ団と、シュウ将軍、イホウギ将軍の九人だけである。

「夢でもみているのか」

「現実ですよ、シュウ将軍」
「わしの、弟子の魔法です」

イホウギは誇らしげだ。

「師匠ー」

「あい殿」



あいはシュウ将軍の前で跪き頭を下げる。

「な、何をなされる、敗軍の将ですぞ」

「お願いがあります、オリ国の王に会わせてください」

「私にオリ国を裏切れと」

「違います、王を助けたいのです」
「殺す気はありません」

「その言葉をすべて信じることは出来ませんが」
「私に断る選択肢もなさそうですね」
「わかりました」

シュウと後イ団はシュウの移動符で王城前の広場へ移動した。
イホウギはあいが凍結し消去魔法で一度消えてもらった。



オリ国王城
夜を待ち、シュウの手引きで、王の住居近くまで来ていた。

「あの窓の光が王の部屋です」

シュウが指さす。



「おやおや、シュウ将軍あなたは戦場にいるはずでは?」

そこには、見るからに怪しい人影が三つあった。

「あい様ここはお任せ下さい」

ハイがあいに先を急がせた。

「すぐにもどります、気を付けてください」

「あんな小娘一人行かせてどうする」
「上にはゲダ様がいるのに」

「なにー」

メイが反応した。

「メイさん行ってください」

レイがガイを見る、頷いている。
メイがあいの後を追った。メイの後をガイがついて行く。


「お前達は行かなくて良いのか」

「だまれ、おれが相手をする」

シュウが矛を構えた、魔人は余裕で笑っている。
一番小さい魔人がシュウの前に出た。

「人間ごときがなめるなよ」

「せああーー」

シュウが矛を前に出す。
魔人はわらいながらかわし、前にでる。

シュウが矛を引き戻そうと腕に力を込める。その時には魔人の体が矛を持つシュウの手元まで来ていた。

「グアアア-」

シュウが跪く。
シュウの手首が無くなっていた。

魔人はシュウの手首を手にもってニヤニヤしている。

「遅いねー」

ピシッ、手首を地面に叩き付けた。

ハイが怒りの表情で一歩前にでる。

「いいねー、美人をいたぶるのはゾクゾクしちゃうねー」

すでに魔人は舐めきって余裕である。

「残念だが、お前の相手は、おっさんだ」

棍を構えイホウギがハイの前に出て振り返りハイの顔を優しく見つめる。

「よそ見をするとは舐めているのか」

魔人が高速で近づこうと動いた瞬間、魔人の体は、イホウギの棍に薙ぎ払われた。

「くそう」

立ち上がろうとする魔人の前にイホウギは詰めていた。棍を振りかぶり、振り下ろす。
グシッ

二人の魔人は全く動こうともせず立っていた。
だが、顔からはニヤニヤ笑いは消えていた。

「やれやれ、あんた、人間の動きじゃねえぜそれ」
「一つ頼みがあるのだが、その綺麗なねーちゃんと戦いてーんだが」
「聞いちゃくれねえかなー」

「だれがそんなことを聞くとでも」

イホウギが答えるとハイが、

「イホウギ様、心配ありがとうございます」
「ですが、相手の希望です、負けた時はお願いします」

美しい笑顔でイホウギに答えた。
イホウギは心配だったが任せることにした。

「では、お相手お願いします」

「素手で良いのかい」

「はい」

魔人はハイに向かって突っ込んだ。
だが、そこにハイの姿はなかった。

パアアーン
ハイが全力で魔人の腹を叩いていた。

「ぐあああ」

魔人は跪いていた。その頭をハイは容赦なく蹴り飛ばした。

「普通はそうよね、はらわたが飛び出すなんて、そんな攻撃聞いたことがないわ」

ハイは、言い終わると、もう一人の魔人に襲いかかった。

魔人は避ける隙もなくハイのパンチの餌食となった。

パアアーン

「がはっ」

「やっぱり出来ない」

跪く魔人を見下ろし、頭を蹴った。

「は、ハイ殿」

イホウギは目をまんまるにしている。

「あっ、すみません勝手に二人やってしまいました」

「う、うむ」

そういうことではないのだがと思ったが、言うのを止めた。

レイは、シュウの治癒を終わらせていた。

「クロ」

「はい」

白い妖精が現れた。魔人クロの分体である。

「この魔人三人を見張っていてくれ、私たちはあい様のところへ向かう」

「皆さん、あい様を追いかけます」

ハイが、あいの所へ急いだ。

ロイは一部始終を見ていたが、震えていた。
おれも随分天狗になっていたもんだ、イホウギ将軍の強さ、ハイさんの強さ、まるで目で追えなかった。
ハイさんは、町で会っても絶対負けるとは思わないぜ。
あの見た目じゃあよ。
戦ったら一撃で積む。
はー自分の弱さを恨むぜほんと。
ハイさんには今後どう接したらいいんだ、あの人ほんと腰が低いからよー。あんな、つえーとは思わなかったよ。
まあ、今日はすげー勉強になったよ。

ロイは、一言もしゃべらずそんなことを考えていた。
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