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第七十九話 城塞都市
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森に入り、小走りで突き進む勇者一行。
汗だくになりながら突き進む。
それに対し、まなとキキは汗一つ掻かない。
一つ気に入らないと、どんどん気に入らないようで、勇者ペグ様は汗を掻かないことに腹を立てていた。
「なんなんだあいつら、汗一つ掻かねえとはよ」
近くの魔法使いに話しかける。
「うわあ」
「また木が倒れている」
わたしは木を登るのが絶望的に遅い。
倒木が進路を塞いでいると、勇者一行はポンポンと飛び越える。
わたしは、出来ない。避ける事が出来れば良いけど、森の木はとにかく規模が大きい。
数本並んで倒れていると、登らないと時間のロスが大きい。
登るのに手間を掛けていると、勇者ペグ様がわざわざ、戻って来て尻を蹴り上げる。
「いだーーあ」
「さっさと登れ、愚図が!」
うう、くそー。
蹴られたら余計遅くなるだろうがー。
休憩無しで長い時間走りたおした。
「ふー、ふー」
「よし、ここで昼飯だ」
勇者ペグがやっと休憩を宣言する。
勇者様とわたし達は、少し離れたところで休憩を取っている。
わたし、お休み今日までだけど、ちゃんと今日中に帰れるのかな。
勇者様に聞こうものなら殴られるわね。
まあいいか、友達もいないし、別に行きたいわけでもないし。
「魔獣がくる」
キキちゃんが何かを感じ取ったみたいだ。
「クーちゃん」
「はい」
「大丈夫でしょうか」
「はい、問題ありません」
「あの程度の魔獣なら」
「私でも、まな様をお守りできます」
「うわあーー魔獣だー」
魔獣に勇者ペグ様が気付くまで、十分以上かかりました。
ぐおおーお
動物園で見たカバに大きさも見た目もよく似ています。
「大きいわね」
わたしが驚く。
「まな様、あれは小さい方ですよ」
「ええーっ」
「勇者様がどうするか静観しましょう」
クーちゃんは、助ける気ゼロです。
「魔法使い共、魔獣の動きを止めろ」
「はい」
があーーあ
魔獣が動きを遅くされ、声をあげる
それを見て勇者ペグが首に剣を突き刺す。
「すごい、一撃で倒しちゃった」
「偉そうにするだけの事はあるわね」
「……そうですね」
クーちゃんはなにか言いたそうですが同意してくれました。
「よし、行くぞ」
「ぐずぐずするな、ばかやろー」
まいるなー、急に行くぞって言われてもなー。
乙女の準備は時間がかかるんだー。
横暴が酷すぎる。
結局、日が暮れるまで走らされました。
勇者様一行は食事の準備を始めました。
わたしとキキちゃんは少し離れたところでお食事をします。
「クーちゃん、人肉パンをキキちゃんに、一杯あげて下さい」
わたしは、錬金魔法で人肉パンを作れません。
食べることが出来ないので味が分かりません。
こういう場合、魔法で作り出すことが出来ないのです。
なので、お食事会の日、あいちゃんに作って貰って、クーちゃんに消去してもらいました。
勇者様一行も食事を始めたようです。
わたしは、魔法で照り焼きバーガーを出し、食べました。
魔女なので食べなくてもなんともないのですが、ストレスが酷いので食べることにしました。
勇者様一行も食事が終わったようです。
キキちゃんが動きを止めます。
わたしと、姿を消しているクーちゃんは鼻をつまみます。
ぐええーえーー、ごえええーえ
うん、今日もキキちゃんはいっぱい食べたのでゲップも盛大です。
バシャーー
何やら、勇者様一行の方で噴水の音が聞こえます。
「貴重な食料を戻してしまったー」
「なんなんだこの臭いわーー」
「どこから来たのだーくそーー」
なにやら勇者ペグさんが叫んでいますね。
夜も深まり、勇者ペグさんのいびきが盛大に聞こえます。
女性魔法使いさんが交代で見張り番をしています。
「酷い男ですね」
クーちゃんが話しかけてきました。
「そうね」
「でも、こういう場面で、女性を襲わないのは、見直しました」
「そうですか」
「そう、そう、普通なら」
「よ、よいではないか」
「よいではないか、ってなるものです」
「なんか、わたし、そんな人知っている気がします」
「……」
「あー、それ、わたしだ」
「ぐはっー、クーちゃんごめんなさい」
「くすくす、もう怒っていませんよ」
「キキちゃんはまな様の膝枕で」
「気持ちよさそうに眠っていますね」
「本当はあいちゃんの方が良いのでしょうけどね」
「そんなことはないと思いますよ」
「私もまな様が、大好きですから」
「ほんとー」
「だからって、そのいやらしい手はやめて下さい」
くすくす、わたしとクーちゃんはしばらく笑いあった。
翌日の昼少し前、ようやく城塞都市の壊れた外壁が見えてきた。
「あれだー」
勇者ペグが叫ぶ。
「まずいですね」
「あそこ、魔人がいます」
「すでに、こちらに気が付いていますよ」
「どうしますか、まな様」
わたしには分かりませんでしたが、クーちゃんには魔人の存在が分かった様です。
「まずは、静観ですね」
勇者ペグ様は、魔人に気が付かず、ずんずん壁に近づいていきます。
やれやれ、です。
「ペグ様、壁の上を見て下さい」
魔法使いの一人が城壁の上の魔人を見つけ、勇者ペグ様に指をさし教えている。
「人間が、こんな所まで来たのか」
魔人は、余裕で笑いながら勇者一行を見下ろす。
赤黒い肌をした、細身の男の姿をしている。
「楽には殺さん、楽しませてもらうぞ」
「お前達、俺の後ろに隠れろ!」
勇者ペグ様が前に出て、魔法使いの女性の盾になる。
「おお、かっこいい」
「魔法使いのおねーさんが惚れてしまいますよ」
わたしが言うと、魔法使いのおねーさんが全員ぶんぶん必死に首を振っている。
おいおいあんた達、守ってもらってそれでいいのか。
わたしは、このときまで、勇者ペグ様が余裕で勝つものだと信じて疑わなかった。
汗だくになりながら突き進む。
それに対し、まなとキキは汗一つ掻かない。
一つ気に入らないと、どんどん気に入らないようで、勇者ペグ様は汗を掻かないことに腹を立てていた。
「なんなんだあいつら、汗一つ掻かねえとはよ」
近くの魔法使いに話しかける。
「うわあ」
「また木が倒れている」
わたしは木を登るのが絶望的に遅い。
倒木が進路を塞いでいると、勇者一行はポンポンと飛び越える。
わたしは、出来ない。避ける事が出来れば良いけど、森の木はとにかく規模が大きい。
数本並んで倒れていると、登らないと時間のロスが大きい。
登るのに手間を掛けていると、勇者ペグ様がわざわざ、戻って来て尻を蹴り上げる。
「いだーーあ」
「さっさと登れ、愚図が!」
うう、くそー。
蹴られたら余計遅くなるだろうがー。
休憩無しで長い時間走りたおした。
「ふー、ふー」
「よし、ここで昼飯だ」
勇者ペグがやっと休憩を宣言する。
勇者様とわたし達は、少し離れたところで休憩を取っている。
わたし、お休み今日までだけど、ちゃんと今日中に帰れるのかな。
勇者様に聞こうものなら殴られるわね。
まあいいか、友達もいないし、別に行きたいわけでもないし。
「魔獣がくる」
キキちゃんが何かを感じ取ったみたいだ。
「クーちゃん」
「はい」
「大丈夫でしょうか」
「はい、問題ありません」
「あの程度の魔獣なら」
「私でも、まな様をお守りできます」
「うわあーー魔獣だー」
魔獣に勇者ペグ様が気付くまで、十分以上かかりました。
ぐおおーお
動物園で見たカバに大きさも見た目もよく似ています。
「大きいわね」
わたしが驚く。
「まな様、あれは小さい方ですよ」
「ええーっ」
「勇者様がどうするか静観しましょう」
クーちゃんは、助ける気ゼロです。
「魔法使い共、魔獣の動きを止めろ」
「はい」
があーーあ
魔獣が動きを遅くされ、声をあげる
それを見て勇者ペグが首に剣を突き刺す。
「すごい、一撃で倒しちゃった」
「偉そうにするだけの事はあるわね」
「……そうですね」
クーちゃんはなにか言いたそうですが同意してくれました。
「よし、行くぞ」
「ぐずぐずするな、ばかやろー」
まいるなー、急に行くぞって言われてもなー。
乙女の準備は時間がかかるんだー。
横暴が酷すぎる。
結局、日が暮れるまで走らされました。
勇者様一行は食事の準備を始めました。
わたしとキキちゃんは少し離れたところでお食事をします。
「クーちゃん、人肉パンをキキちゃんに、一杯あげて下さい」
わたしは、錬金魔法で人肉パンを作れません。
食べることが出来ないので味が分かりません。
こういう場合、魔法で作り出すことが出来ないのです。
なので、お食事会の日、あいちゃんに作って貰って、クーちゃんに消去してもらいました。
勇者様一行も食事を始めたようです。
わたしは、魔法で照り焼きバーガーを出し、食べました。
魔女なので食べなくてもなんともないのですが、ストレスが酷いので食べることにしました。
勇者様一行も食事が終わったようです。
キキちゃんが動きを止めます。
わたしと、姿を消しているクーちゃんは鼻をつまみます。
ぐええーえーー、ごえええーえ
うん、今日もキキちゃんはいっぱい食べたのでゲップも盛大です。
バシャーー
何やら、勇者様一行の方で噴水の音が聞こえます。
「貴重な食料を戻してしまったー」
「なんなんだこの臭いわーー」
「どこから来たのだーくそーー」
なにやら勇者ペグさんが叫んでいますね。
夜も深まり、勇者ペグさんのいびきが盛大に聞こえます。
女性魔法使いさんが交代で見張り番をしています。
「酷い男ですね」
クーちゃんが話しかけてきました。
「そうね」
「でも、こういう場面で、女性を襲わないのは、見直しました」
「そうですか」
「そう、そう、普通なら」
「よ、よいではないか」
「よいではないか、ってなるものです」
「なんか、わたし、そんな人知っている気がします」
「……」
「あー、それ、わたしだ」
「ぐはっー、クーちゃんごめんなさい」
「くすくす、もう怒っていませんよ」
「キキちゃんはまな様の膝枕で」
「気持ちよさそうに眠っていますね」
「本当はあいちゃんの方が良いのでしょうけどね」
「そんなことはないと思いますよ」
「私もまな様が、大好きですから」
「ほんとー」
「だからって、そのいやらしい手はやめて下さい」
くすくす、わたしとクーちゃんはしばらく笑いあった。
翌日の昼少し前、ようやく城塞都市の壊れた外壁が見えてきた。
「あれだー」
勇者ペグが叫ぶ。
「まずいですね」
「あそこ、魔人がいます」
「すでに、こちらに気が付いていますよ」
「どうしますか、まな様」
わたしには分かりませんでしたが、クーちゃんには魔人の存在が分かった様です。
「まずは、静観ですね」
勇者ペグ様は、魔人に気が付かず、ずんずん壁に近づいていきます。
やれやれ、です。
「ペグ様、壁の上を見て下さい」
魔法使いの一人が城壁の上の魔人を見つけ、勇者ペグ様に指をさし教えている。
「人間が、こんな所まで来たのか」
魔人は、余裕で笑いながら勇者一行を見下ろす。
赤黒い肌をした、細身の男の姿をしている。
「楽には殺さん、楽しませてもらうぞ」
「お前達、俺の後ろに隠れろ!」
勇者ペグ様が前に出て、魔法使いの女性の盾になる。
「おお、かっこいい」
「魔法使いのおねーさんが惚れてしまいますよ」
わたしが言うと、魔法使いのおねーさんが全員ぶんぶん必死に首を振っている。
おいおいあんた達、守ってもらってそれでいいのか。
わたしは、このときまで、勇者ペグ様が余裕で勝つものだと信じて疑わなかった。
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