北の魔女

覧都

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第百六十四話 実力差

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「ちっ、私がヨミの一族と言った途端にこれですか、怖じ気づくなら来てほしくありませんでしたねえ」

ここのボスらしき男は急に不機嫌になり、椅子に深く腰掛けたまま淡々と言うのだった。

「チッ、チッカ」

アオはチッカを見た。
チッカはまだ放心状態で、アオの声が届かないようだった。

「くそーー、わからーーん。クロー、クロはいないのかー」

アオは、姿を消して近くにいるはずのクロを呼んだ。
クロはズタズタに切り裂かれた四人の所にいた。
幼女姿の本体で姿を現した。
ここまでズタズタの人間を治すのは大量の魔力が要る為、本体で一生懸命治癒をかけているのだ。

「何ですか、アオ様。私は見ての通り忙しいのですよ」

この時には、四人の首はつながり、意識も取り戻していた。

「あいつは、敵なのか」

「あのー、アオ様、本気でわからないのですか、敵に決まってます」

「わからないだろう。じゃあクロは、メダカの群れを見てどのメダカが誰かとか見分けが付くのか?」

この言葉を、倒れている四人が聞いていた。
そして、少し正気を取り戻していたチッカも聞こえていた。
ヨミの男も聞いていた。

「うーーん、メダカと人間は違いますよ。でも私も最初は皆一緒に見えました」

「だろー。わからないんだ。見分けが付かない」

「そんなことでよくまな様に、自分が行くなんて言いましたね。この四人が可哀想です。アオ様の失態はまな様に報告させて貰います」

「ぎゃーー、待て待て待ってくれー、あの方には内緒にしてくれーー」

「じゃあ、しっかりやって下さい」

「くそーー、お前のせいだ」

アオはなおも椅子に余裕で座っている男に怒りの視線を向ける。

「この私をメダカ呼ばわりですか、面白いですね」

男はゆらりと立ち上がり、顔には気持ちの悪い笑いを浮かべていた。

「アオさん、そいつは強い、気を付けて、うぐっ」

レッガが痛む体で、アオを気遣って声をあげた。
ヨミの男はその言葉を聞くと、矛先をレッガに向けた。
素早く移動すると剣を抜きレッガの頭に打ち下ろした。

パッシ、その剣の腹をクロが拳で打ち払った。

「な、なにーーっ」

ヨミの男は、思わず驚きの声をあげた。

「間違えないで下さい。あなたの相手はあの赤い服のアオ様ですよ」

白い美少女クロが落ち着いた口調で何も無かったように言う。

「貴様はなんなんだー!」

ヨミの男はクロに視線を向け叫んだ。
まさか自分の斬撃がこんな少女に、こともなげに払われるとは思ってもみなかったのだ。
そして治癒を受けている四人も、チッカも驚いていた。

「はいはい、そんなことよりほら」

クロが視線を動かした。
全員その方向を向くとそこにゆっくり歩いてくるアオの姿があった。
ヨミの男は、振り向きざま不意打ちを狙い剣でアオを薙ぎ払った。

シャッ

アオの体は後ろへ余裕でかわしたが、服は慣性の法則にのっとりその場に残り、大きく切り裂かれた。
そしてアオの美しい太ももと、白いかわいらしいパンツが顔を出した。
アオは落ち着いてそれを隠した。

「いやーーん、見ないでーー」

ケガをして倒れている四人とチッカは、合っていますと心で思っていた。

「貴様――!! なめているのかーー」

ヨミの男は烈火のごとく怒っている。
レッガはその気持ちが痛いほど良くわかった。
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