モンスターのいない世界で私の作るゴーレムだけがモンスター扱いでした。仲間だけレベルアップさせ巣立たせたら仲間達が世界の頂点に立っちゃいました

覧都

文字の大きさ
9 / 50

第九話 その日のために

しおりを挟む
「レイカ姉ー!! カツを捕まえてきたぞーー!!」

 一番体の大きいイクサちゃんと二番目に体の大きいライちゃんが、ぶたを捕まえて帰って来ました。
 棒に足をくくりつけて前後で支えて持って来ました。

「イクサちゃん! ライちゃん! それはカツじゃなくて、ぶた……じゃなくて、いのししですからねー!」

 二人は、200キロを超えようかという、大きないのししを山で捕まえて帰って来ました。
 既にここに来てから、一年が経ちました。
 二人はとてもたくましくなっています。
 私達のヤマト村でもたくましさでは群を抜いています。
 私は皆で住むこの地を、ヤマト村と名付けました。
 全員が素敵な名前と褒めてくれました。私も気に入っています。

「レイカ姉ー!! オラ達はカラアゲだーー!!」

 トウカちゃんが言いました。
 トウカちゃんやイクサちゃん、ライちゃん、アサコちゃんは、自分の事をオラやオレと男言葉で話します。可愛いのだから女の子のようにちゃんと話せばいいのに、とは思いますが無理強いはしません。なにか、考えがあるのかもしれませんからね。

「トウカちゃん、アサコちゃん。それは、カラアゲではありません。鳥です!」

 二人が捕まえた鳥は、トサカがあってまるでニワトリみたいです。
 羽がカラフルで、空を飛ぶので原種かなと思っています。

「どうせ、今日カツとカラアゲになるのだから一緒です」

 四人が笑って言います。

「まあ、そうですけどね。これで二ヶ月分のお肉が手に入りました。ありがとう」

「うふふふふ」

 四人が自慢そうに、それでいてとてもうれしそうに笑います。
 とても美しくて、かわいい子達です。

「カラアゲとカツーー!!」

 川から残りの子供達が帰って来ました。
 川で魚取りをしている時に、大きな砂金が見つかったので、最近は休みの日に小さい子達は鉄人ゴーレム同伴で砂金取りがブームになっています。
 鉄人ゴーレムは、水難救助には向いています。
 水中から空までフルに活動できますからね。子守りに最適です。

「沢山取れましたか?」

「ううん、少しだけ。でもね変なのが取れたの」

 一番年下のチマちゃんとヒジリちゃんが見せてくれました。
 手には赤い金属と青い金属が乗っています。

「綺麗ね」

「レイカ姉、持ってみて」

「えっ? なにこれ!?」

 小さな欠片なのにとても重い。
 なんの金属か分りませんが、高価な物かもしれません。

「みんな、金色と赤と青は集めて下さい」

「はーーい」

 五人が良い返事をしてくれました。

 ヤマト村では少し問題が起きています。
 最初は、小バエでも少しはレベルが上がっていたのですが、最近は木人を何体倒してもレベルが上がらなくなりました。
 恐らく、日本でやったRPGのように弱い敵では、レベル上げがしにくくなっているようです。
 木人より一段強いゴーレムは、ここでは鉄人しかいませんが、鉄人はここの子達では倒す事が出来ません。
 鉄製の武器ではダメージを与えられないのです。
 鉄小バエなら鉄の棍棒でつぶせますが、おそろしい数を倒したところで、何ヶ月かかっても成長がありません。
 鉄小バエより。木人の方が、効率が良さそうなので、今では毎日木人を飽きずに倒しています。

 だから、ヤマト村では、週休二日制にしました。
 毎日、毎日、代わり映えのしない木人倒しはつらいので、気分転換に週に二日お休みを取るようにしたのです。
 休みの日は自由と言ったら、大きい子は狩猟へ、小さい子は川へ砂金取りに行くようになりました。
 まるで昔話のようですね。

 子供達は、それぞれわかりやすい特徴が出て来ました。
 魔法が全く使えない子供達。この子達は全員からだが大きくて筋肉が発達しています。
 まだ九歳なのに、身長は百五十センチを越えています。具体的にはアサコちゃん、イクサちゃん、トウカちゃん、ライちゃんです。

 そして、体は、魔法を使えない子達に比べれば劣る物の、体も大きくて、魔法も使える子達。具体的にはイサミちゃん、シノブちゃん、チマちゃんです。

 さいごに、魔法の力が強くて、体が余り大きくならない子達。具体的には、ヒジリちゃんとマイちゃんです。体が大きくならないと言っても、他の子達に比べればと言う事です。私よりも、はるかに大きくなりました。

 日本のあった地球では、魔法は誰も使えませんでした。この世界でも、魔法を使える人を魔女と言って駆逐すれば、すぐに魔法を使える人のいない世界になりそうです。
 案外、地球もそうやって、魔法を使える人を絶滅させてしまったのでは無いでしょうか。
 この世界にいると、そんな感じがします。

 晩ご飯のメニューは皆が期待している、とんかつと唐揚げにしました。
 ほかほかご飯と、お味噌汁で食べれば最高です。
 自宅の大テーブルで、全員で一緒に食べます。

「レイカ姉のご飯はおいしいー!!」

「うふふ、お替わりもありますからね」

「おかわりーー!!!!」

 全員がお茶碗を出しました。か、かわいーーい!! 全員可愛すぎます。

 夜は個室があるのに、全員で私の部屋で体を寄せ合って眠ります。
 木の床の上で、毛布も無しで直接眠ります。そう、あの時の船の中のように……。
 私達は、今もどこかで運ばれている奴隷達の事を絶対忘れません。いつか力をつけて、泣いている奴隷達を助ける。その日のために……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...