モンスターのいない世界で私の作るゴーレムだけがモンスター扱いでした。仲間だけレベルアップさせ巣立たせたら仲間達が世界の頂点に立っちゃいました

覧都

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第十五話 旅の目的

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「お怪我は、ありませんか?」

 私は震える四人に近寄って聞きました。

「だ、だだだ、大丈夫です。……う、うつくしい……」

 四人の声がそろいます。
 美しいって、私の事でしょうか?
 美しいのはあなた方、四人の方だと思いますけど。

「あ、あのー、アーサー様の歳はいくつなのでしょうか?」

 お嬢様が聞いてきました。

「じゅううぅ……」

 やばい、十歳と言いそうになりました。
 少し歳を多く言わないといけません。

「なな、十七歳……です」

 ちょっと、多く言い過ぎたでしょうか。

「本当ですか? 私達と同じです!!」

「えーーっ!!」

 ま、まさか、この人達が十七歳だなんてー! 二十歳は、はるかに超えていると思いました。
 でもまあ、疑われてはいないみたいですね。良かったです。

「では、俺は先を急ぎますので」

 私は洞窟を出ようとしました。

「お、お待ち下さい。そ、その、助けていただいた御礼をしないといけません」

「いいえ、大したことはしていません。気になさらずに、では……」

 私の手を四人がつかんで離してくれません。

「あ、あの、刀を取り上げて下さいませんか?」

 お嬢様がレンカの宝刀を指さしました。

「そうですね。また、悪事に使われてはたまりません。刀も可哀想だ」

 私は、おかしらから刀と鞘を取り上げました。

「えっ!?」

 取り上げた刀を、お嬢様の前に差し出したら驚いています。

「あー……俺には大和魂があります。いらないのでお渡しいたします」

「もっ、もらってよろしいのですか。国宝級の刀ですよ」

 ――そ、そんなに価値があるのーー!?

 じゃあ、私の大和魂は、どれだけの価値になるのーー!?
 レイカ姉は、やっぱりすごいです。

「どうぞ」

 私は、笑顔でうなずきました。
 お嬢様が飛び上がって喜んでいます。
 あんまりはしゃぎ過ぎて、お尻が出てしまっていますよ。気をつけて下さい。
 まあ、それほどの刀と言う事なのですね。
 恐るべき刀です。

「う、ううっ……」

 ギャングが意識を取り戻しかけているようです。
 後ろで声がしました。

「皆さん、ここは危険です。まずは外に出て下さい」

「は、はい」

 全員を外に出しました。
 岩山の洞窟には当然扉はありません。
 あたりを見回すと、横に丁度良い岩があります。

「な、何をなさるのですか? うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

 私は岩を持ち上げようとしましたが、さすがに大きすぎて持ち上がりませんでした。
 押してみたら動いたので、そのまま押して洞窟の入り口をふさぎました。

「そ、そんなに、驚くようなことですか?」

「……!!!!」

 四人が、高速でうなずきます。

「この位、俺の兄弟なら全員出来ますよ。大したことじゃありません」

 洞窟に入る前に置いておいた、樽に手を伸ばして背負いました。

「あのう、もう、行かれるのですか?」

「ええ。俺には一つ目的がありますので」

「あ、あの、よろしければ、その目的を教えていただけませんか?」

「はあ、かまいませんよ。俺の目的はこの世界の全奴隷の解放です」

「ほ、本当ですか。それなら、一緒に来て下さい。その方が目的を達成しやすいと思います」

「えっ?」

「うふふ、今既に奴隷を解放している国が世界に二つだけ有ります。フト国とこのサイシュトアリ国です。この国が世界を征服すれば、それで奴隷の解放は終わりますよ。簡単です」

「ほ、本当ですか。そんなに簡単な事なのですか」

「ええ、アーサー様が一緒に来て下されば簡単です」

「わ、分かりました。一緒に行きます」

 レイカ姉、奴隷の解放は大変だと思っていましたが、意外と簡単にできそうです。
 私がさっさと終わらせて、他の兄弟より先にヤマト村に凱旋いたします。うふふ。

「くそーー!! なんだこれはーー!! びくともしねえ!!」

 どうやら、ギャング達が目を覚ましたようです。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! お、俺の刀がねえーーーー!! くそーー!! ドロボーー!! かえせーー!! かえしゃあがれーー!!!!」

 ドンドンと入り口をふさいでいる岩を叩く音がします。

「じゃあ、アーサー様行きましょうか。私はイオと申します」

 美形のお嬢様が言いました。
 お嬢様は、ギャング達を無視するつもりのようです。

「私はアメリーです」

 勝ち気な美人の侍女さんが言いました。
 アメリーという名前なのですね。

「私はソフィーです」

 こ、この人は、胸が大きいです。とても大きいです。
 服がやぶれて、こぼれそうになっています。
 顔はとても頭が良さそうな感じの美人です。

「私はマリーです」

 おっとりとした、優しい感じの美女です。

 私が刀で森を切り開きながら進むと、時間はかかりましたが明るい内に道に出ました。
 馬車からは、ずいぶん離れているみたいです。

「お嬢様ーー!!!!」

 どうやら捜索隊が出ていたようです。
 大勢います。

「き、貴様が、お嬢様を連れ去ったのか?」

 まあそうなるでしょうね。
 ギャングと余り変わらない服装ですものね。

「ちっ、違う!!」

 まあ、聞いてもらえないでしょうけどね。

「全員!! 取り囲めーー!!」

 やっぱり。

「待ちなさい!!」

 お嬢様が叫びます。

「お嬢様、危険です。誰かお嬢様を連れて行けー!!!!」

「はっ!!」

「待ちなさーい!! 待ちなさいというのにぃぃぃぃぃーー!!!!」

 お嬢様だけじゃ無く、侍女さんまで連れ去られました。

「こいつは、手練れだ!! 全員油断をするな!!」

 どうやら、護衛の騎士六人を殺したのが私だと思われているようです。
 全身に鎧を着けた騎士達に囲まれてしまいました。総勢三十人はいそうですね。
 騎士達は、私の動きを見ながら油断なく武器を構えました。
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