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第二十三話 アーサーの苦悩
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「はあーーっ……アーサー様……う、うつくしいーーっ……うつくしすぎるー! 手足がすらっと長くて、スタイルが完璧です。顔が一見すると女性にも見えてしまうほど中性的でうつくしい。庭園の花と相乗効果でキラキラ眩しいほど輝いています。ねえ! ラーケン! 貴方もそう思うでしょ!」
「はあ、そうですなあ、アーサー様の美しさはまるで宝石の様だ。庭園の花はその宝石をただ引き立てるだけの飾りにしか見えませんなあ」
王都の王宮に呼び出しを受けた俺は、王女様の庭園で美しく咲く花に誘われて花の観賞をしていると、後ろでイオ様とラーケン殿の話し声が聞こえてきた。
イオ様は、今現在は王女様としてこの宮殿に移り住んでいる。
イオ様がいるということは、当然侍女の三人もいる。
侍女の三人もコソコソ隠れて、こちらも何かを言っている。
「まったく、イオ様! 何か用ですか?」
「は、はい、あ、あのー……、ラ、ラーケン、貴方から言うことがあるのでしょ! 早く言いなさい!」
イオ様がいつもにも増して様子がおかしい。
顔を赤くして、モジモジしています。
「ええっ!! 私が言うのですか。こう言うことは本人が言うべきでは……」
「……!!」
イオ様は眉をつり上げて、ラーケン殿の足を思い切り踏んだ。
「いだだだーーっ! わ、わかりましたから、足を踏むのはやめて下さい! 実はアーサー様」
「はい?」
「アーサー様に新設する騎士団の、団長に就任してもらうことが決定されました」
「ええっ!! 私は副団長のままでいいのですが」
俺は、これまでの戦いでラーケン殿と出世をして、今は周辺国の討伐軍としてラーケン殿の騎士団の副団長をしている。
多くの国との戦いを制したので、サイシュトアリ国は国土を過去最大の広さにまで成長させていた。
「ふふふ……」
ラーケン殿は顔を伏せると笑いながら首を大きく振った。
「フト国ですか?」
「そうです。フト国軍四神将に対抗出来るのは、国内にはもはやアーサー様ただ一人です。現在サイシュトアリ国攻略担当、フト国四神将青龍ドウカンは第一王子の率いる騎士団を破り、第二王子の率いる騎士団も倒しました。同時に騎士団長も殺され、このままではフト国にわが国は蹂躙されます」
現在、巨大化している国はサイシュトアリ国以外にもある。
フト国だ。いや、むしろフト国の方が成長は速い。
その成長著しいフト国とサイシュトアリ国の国境が接してしまったのだ。
フト国の成長は、四神将と呼ばれる強い四人の将軍に支えられている。
その内の一人で、フト国王フトゲンシンより青龍の名をもらった東方制圧軍の総大将ドウカンという将軍が、このサイシュトアリ国に攻め込んで来ているのだ。
サイシュトアリ国は青龍ドウカンに攻められ連戦連敗、第一王子と第二王子、そして王国最強の騎士団長を失った。
そのため、王位継承権第四位だったイオ王女は、王位継承権第二位となり、ルードホルト公爵家に養女に出されていたのだが、王宮に呼び戻され再び王女となっている。
「俺に、青龍ドウカンを倒せというわけか」
「そうです。アーサー騎士団の誕生が決定されました」
「俺に出来るのだろうか?」
「ふふふ、アーサー様に出来なければ、もはやこの国は滅ぶのみです」
「なるほど……」
「そ、それにあたり、こ、国王、陛下より……ひっ、一つ……条件が……」
ラーケン殿の歯切れが急に悪くなった。
「こらーー!! ラーケンはやく言いなさい!!」
イオ様がじれったそうに言った。
「ふうーっ……」
ラーケン殿は大きくため息をつくと、意を決したように口を開いた。
「陛下は『イオをめとり妻とせよ!』とのお言葉です」
「きゃーーーーーっ!!!!!!!!!」
イオ様が真っ赤になり、大声を出すとその場に座り込みました。
――なっ、なにーーーーーっ!!!!
いや、いや、無理無理、無理無理ムリムリ!!!!
だって、俺はまだ、十一歳の子供だし、それよりも、なによりも女の子だしーーーー!!!!
「あ、あの、陛下のお言葉は続きがありまして『イオが気に入らなければ侍女三人の中から選んでも良い。この三人は由緒正しい大貴族の娘だ』と言われました」
「きゃああああーーーーーー!!!!!!」
三人の侍女さんが、真っ赤になってクネクネしています。
だ、だから、無理ですってーーーーー!!!!
「陛下のお言葉はまだ続きがあります。『なんなら、四人を全員まとめてめとっても良い』そして『はやく子をもうけよ』と言われました」
「きゃああああーーーーーー!!!!!!」
四人が駆け寄って手を取り合い、赤い顔をして潤んだ瞳で俺を見つめてきます。
これは、逃げられない奴か。
とは言え、結婚なんかしたら女だとばれてしまう。
どうすればいいのだろうか。
なんとか、切り抜ける方法を考えなくてはならない。
「陛下は俺が裏切らないかを心配をしているようですね」
「そ、そうではないと思いますが……」
ラーケン殿は言いましたがこれも歯切れが悪い。
どうやら、フト国との前線に向うにあたり、人質を取ろうと言うことなのだろう。
当然だ、俺は言わば流れ者だ、ピンチになったら逃げるかもしれない。
何よりもフト国に寝返らない保証が無い。
さて、どうしたものか…………
「はあ、そうですなあ、アーサー様の美しさはまるで宝石の様だ。庭園の花はその宝石をただ引き立てるだけの飾りにしか見えませんなあ」
王都の王宮に呼び出しを受けた俺は、王女様の庭園で美しく咲く花に誘われて花の観賞をしていると、後ろでイオ様とラーケン殿の話し声が聞こえてきた。
イオ様は、今現在は王女様としてこの宮殿に移り住んでいる。
イオ様がいるということは、当然侍女の三人もいる。
侍女の三人もコソコソ隠れて、こちらも何かを言っている。
「まったく、イオ様! 何か用ですか?」
「は、はい、あ、あのー……、ラ、ラーケン、貴方から言うことがあるのでしょ! 早く言いなさい!」
イオ様がいつもにも増して様子がおかしい。
顔を赤くして、モジモジしています。
「ええっ!! 私が言うのですか。こう言うことは本人が言うべきでは……」
「……!!」
イオ様は眉をつり上げて、ラーケン殿の足を思い切り踏んだ。
「いだだだーーっ! わ、わかりましたから、足を踏むのはやめて下さい! 実はアーサー様」
「はい?」
「アーサー様に新設する騎士団の、団長に就任してもらうことが決定されました」
「ええっ!! 私は副団長のままでいいのですが」
俺は、これまでの戦いでラーケン殿と出世をして、今は周辺国の討伐軍としてラーケン殿の騎士団の副団長をしている。
多くの国との戦いを制したので、サイシュトアリ国は国土を過去最大の広さにまで成長させていた。
「ふふふ……」
ラーケン殿は顔を伏せると笑いながら首を大きく振った。
「フト国ですか?」
「そうです。フト国軍四神将に対抗出来るのは、国内にはもはやアーサー様ただ一人です。現在サイシュトアリ国攻略担当、フト国四神将青龍ドウカンは第一王子の率いる騎士団を破り、第二王子の率いる騎士団も倒しました。同時に騎士団長も殺され、このままではフト国にわが国は蹂躙されます」
現在、巨大化している国はサイシュトアリ国以外にもある。
フト国だ。いや、むしろフト国の方が成長は速い。
その成長著しいフト国とサイシュトアリ国の国境が接してしまったのだ。
フト国の成長は、四神将と呼ばれる強い四人の将軍に支えられている。
その内の一人で、フト国王フトゲンシンより青龍の名をもらった東方制圧軍の総大将ドウカンという将軍が、このサイシュトアリ国に攻め込んで来ているのだ。
サイシュトアリ国は青龍ドウカンに攻められ連戦連敗、第一王子と第二王子、そして王国最強の騎士団長を失った。
そのため、王位継承権第四位だったイオ王女は、王位継承権第二位となり、ルードホルト公爵家に養女に出されていたのだが、王宮に呼び戻され再び王女となっている。
「俺に、青龍ドウカンを倒せというわけか」
「そうです。アーサー騎士団の誕生が決定されました」
「俺に出来るのだろうか?」
「ふふふ、アーサー様に出来なければ、もはやこの国は滅ぶのみです」
「なるほど……」
「そ、それにあたり、こ、国王、陛下より……ひっ、一つ……条件が……」
ラーケン殿の歯切れが急に悪くなった。
「こらーー!! ラーケンはやく言いなさい!!」
イオ様がじれったそうに言った。
「ふうーっ……」
ラーケン殿は大きくため息をつくと、意を決したように口を開いた。
「陛下は『イオをめとり妻とせよ!』とのお言葉です」
「きゃーーーーーっ!!!!!!!!!」
イオ様が真っ赤になり、大声を出すとその場に座り込みました。
――なっ、なにーーーーーっ!!!!
いや、いや、無理無理、無理無理ムリムリ!!!!
だって、俺はまだ、十一歳の子供だし、それよりも、なによりも女の子だしーーーー!!!!
「あ、あの、陛下のお言葉は続きがありまして『イオが気に入らなければ侍女三人の中から選んでも良い。この三人は由緒正しい大貴族の娘だ』と言われました」
「きゃああああーーーーーー!!!!!!」
三人の侍女さんが、真っ赤になってクネクネしています。
だ、だから、無理ですってーーーーー!!!!
「陛下のお言葉はまだ続きがあります。『なんなら、四人を全員まとめてめとっても良い』そして『はやく子をもうけよ』と言われました」
「きゃああああーーーーーー!!!!!!」
四人が駆け寄って手を取り合い、赤い顔をして潤んだ瞳で俺を見つめてきます。
これは、逃げられない奴か。
とは言え、結婚なんかしたら女だとばれてしまう。
どうすればいいのだろうか。
なんとか、切り抜ける方法を考えなくてはならない。
「陛下は俺が裏切らないかを心配をしているようですね」
「そ、そうではないと思いますが……」
ラーケン殿は言いましたがこれも歯切れが悪い。
どうやら、フト国との前線に向うにあたり、人質を取ろうと言うことなのだろう。
当然だ、俺は言わば流れ者だ、ピンチになったら逃げるかもしれない。
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