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第二十六話 馬賊退治
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「アスラ様ーーー!!」
俺を呼ぶ声がする。
五つの荷馬車の商隊の主人のようだ。
「なぜ、俺の名を」
「ふふふ、私は港町ソロンの商人バンです。ソロンの町でアスラ様を知らない者はいませんよ」
「そうですか」
「この道を歩いているということは、アスラ様はこれから、魔人の国に行かれるのですか?」
「はい」
俺達はまだ魔人の国へは、行ったことが無かったので、最も近くまで魔法で移動して、あとはのんびり徒歩で国境を目指していた。
人間と魔人は敵対しているのだが、商人は国境で商品の売買をしているようだ。
「では、国境まで一緒に行けるのですね。これはありがたい。ところで、この世の物とは思えないほどの、絶世の美女はどうされたのですか」
このバンという商人は凄く良くわかっている。
気が合いそうだ。気にいった。
フォリスさんが赤くなってくねくねしている。
俺が目で12歳のフォリスさんを示した。
すると商人は、胸の前で手を使って山を作った。そしてその手のひらを地面に垂直方向に立てて、真っ直ぐ下に落とした。
俺は、凄い速さで首を縦に動かした。
フォリスさんの表情が見る見る鬼の形相に変わった。
「こ、このあたりは物騒なのですか」
俺は、恐ろしくなって話しを変えた。
「今は、国が乱れているので、山賊が頻繁に出ます。一応護衛を三十人雇っていますので、大丈夫だとは思いますがアスラ様がいてくだされば、千人力です」
「旦那様――、馬賊です」
道の左側の丘に馬賊の姿が見えた。
だが、馬賊は一瞬姿を見せてすぐに姿を消した。
「なぜ、襲ってこないのでしょう?」
すでに戦う気になっていたフォリスさんが残念そうに商人に質問した。
「斥候だったのか、護衛の数を見て引き上げたのかの、どちらかでしょう。私としては後者を望むのですが……」
まあ、これで再び襲ってくるなら、普通は皆殺しになるのだろう。
「バン様、危険です。引き返しましょう」
「おお、隊長、大丈夫だ。このまま進もう」
胸にBクラスの階級章がある。
どうやら、この冒険者が護衛の隊長のようだ。
「あれは、斥候です。恐らくこの先本隊が待ち構えています」
「大丈夫だ。この方がいれば万事問題はない」
「この方……」
冒険者の隊長はクザンを見ている。
筋骨隆々の目つきの鋭い大男はとても強そうに見える。
「どこを見ている、こちらがアスラ様だ。すみませんアスラ様、この冒険者は王都から派遣してもらった者なので、アスラ様の事をよく知らないのです」
「アスラ? 何か、聞いた事があるなー」
「ぎゃあーはっはっはー、なんだこいつ、レベル1じゃねえか」
また、Bクラスの階級章の頭がつるつるの人相の悪い冒険者が現れた。
鑑定魔法が使えるようだ。
俺はシェイドの魔法で、鑑定の防御をしているのだが、レベルだけは隠していない。
「やめないか、アスラ様に失礼だろう!」
バンさんがつるつるを制する。
「な、なんだ、こいつ、いや、この人はレベル99だ。なんでこんな子供がー!!」
フォリスさんの鑑定をしたようだ。
ふふふ、つるつるは鑑定のレベルが低いのか、二桁しか見ることが出来ないようだ。
「おめーの鑑定は相変わらず間違いだらけだな。こんな小娘がレベル99の訳があるか!!」
つるつるの鑑定はレベルが低い為精度が悪いらしい。
でも、今回はあっているよ。
しかし、この人達、王都の冒険者にしてはガラが悪すぎる。
「やかましいなー。この商隊は俺が護衛する。嫌ならお前達は、帰って良いぞ」
俺は、こいつらが冒険者に思えないので、少しあおってみた。
「ひゃあーはっはっは、てめーみてーなレベル1に何が出来るというんだー」
「いい加減にしないか、お前達は解雇する。どこへでも行くがいい」
バンさんがとうとう切れた。
「そうかよ。じゃあすきにさせてもらうぜ」
冒険者の隊長は、階級章を引きちぎると、手を挙げた。
冒険者の隊長は、すでに殺されているのだろう。
馬賊の頭目がなりすましていたのだ。
「すまんな、全員死んでもらう」
「お前達は、本当に何も知らないんだな、可哀想に……」
バンさんが馬賊を哀れんだ。
馬賊の頭目は、何のことかと、一瞬頭をかしげたが、大声を出した。
「野郎共、かかれーーー」
「ぎゃーーーーっ、ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃーー!!」
悲鳴があちこちからあがり、誰もかかってこなかった。
「でたーー、アスラバキだ」
バンさんが喜んでいる。
「なんですか、そのアスラバキって」
フォリスさんがバンさんに聞いている。
「ふふふ、アスラ様が足の骨をバキッ、バキッと、折る事ですよ」
「ぎゃーはっはっ」
フォリスさんとクザン、ランロンが大笑いしている。
俺を呼ぶ声がする。
五つの荷馬車の商隊の主人のようだ。
「なぜ、俺の名を」
「ふふふ、私は港町ソロンの商人バンです。ソロンの町でアスラ様を知らない者はいませんよ」
「そうですか」
「この道を歩いているということは、アスラ様はこれから、魔人の国に行かれるのですか?」
「はい」
俺達はまだ魔人の国へは、行ったことが無かったので、最も近くまで魔法で移動して、あとはのんびり徒歩で国境を目指していた。
人間と魔人は敵対しているのだが、商人は国境で商品の売買をしているようだ。
「では、国境まで一緒に行けるのですね。これはありがたい。ところで、この世の物とは思えないほどの、絶世の美女はどうされたのですか」
このバンという商人は凄く良くわかっている。
気が合いそうだ。気にいった。
フォリスさんが赤くなってくねくねしている。
俺が目で12歳のフォリスさんを示した。
すると商人は、胸の前で手を使って山を作った。そしてその手のひらを地面に垂直方向に立てて、真っ直ぐ下に落とした。
俺は、凄い速さで首を縦に動かした。
フォリスさんの表情が見る見る鬼の形相に変わった。
「こ、このあたりは物騒なのですか」
俺は、恐ろしくなって話しを変えた。
「今は、国が乱れているので、山賊が頻繁に出ます。一応護衛を三十人雇っていますので、大丈夫だとは思いますがアスラ様がいてくだされば、千人力です」
「旦那様――、馬賊です」
道の左側の丘に馬賊の姿が見えた。
だが、馬賊は一瞬姿を見せてすぐに姿を消した。
「なぜ、襲ってこないのでしょう?」
すでに戦う気になっていたフォリスさんが残念そうに商人に質問した。
「斥候だったのか、護衛の数を見て引き上げたのかの、どちらかでしょう。私としては後者を望むのですが……」
まあ、これで再び襲ってくるなら、普通は皆殺しになるのだろう。
「バン様、危険です。引き返しましょう」
「おお、隊長、大丈夫だ。このまま進もう」
胸にBクラスの階級章がある。
どうやら、この冒険者が護衛の隊長のようだ。
「あれは、斥候です。恐らくこの先本隊が待ち構えています」
「大丈夫だ。この方がいれば万事問題はない」
「この方……」
冒険者の隊長はクザンを見ている。
筋骨隆々の目つきの鋭い大男はとても強そうに見える。
「どこを見ている、こちらがアスラ様だ。すみませんアスラ様、この冒険者は王都から派遣してもらった者なので、アスラ様の事をよく知らないのです」
「アスラ? 何か、聞いた事があるなー」
「ぎゃあーはっはっはー、なんだこいつ、レベル1じゃねえか」
また、Bクラスの階級章の頭がつるつるの人相の悪い冒険者が現れた。
鑑定魔法が使えるようだ。
俺はシェイドの魔法で、鑑定の防御をしているのだが、レベルだけは隠していない。
「やめないか、アスラ様に失礼だろう!」
バンさんがつるつるを制する。
「な、なんだ、こいつ、いや、この人はレベル99だ。なんでこんな子供がー!!」
フォリスさんの鑑定をしたようだ。
ふふふ、つるつるは鑑定のレベルが低いのか、二桁しか見ることが出来ないようだ。
「おめーの鑑定は相変わらず間違いだらけだな。こんな小娘がレベル99の訳があるか!!」
つるつるの鑑定はレベルが低い為精度が悪いらしい。
でも、今回はあっているよ。
しかし、この人達、王都の冒険者にしてはガラが悪すぎる。
「やかましいなー。この商隊は俺が護衛する。嫌ならお前達は、帰って良いぞ」
俺は、こいつらが冒険者に思えないので、少しあおってみた。
「ひゃあーはっはっは、てめーみてーなレベル1に何が出来るというんだー」
「いい加減にしないか、お前達は解雇する。どこへでも行くがいい」
バンさんがとうとう切れた。
「そうかよ。じゃあすきにさせてもらうぜ」
冒険者の隊長は、階級章を引きちぎると、手を挙げた。
冒険者の隊長は、すでに殺されているのだろう。
馬賊の頭目がなりすましていたのだ。
「すまんな、全員死んでもらう」
「お前達は、本当に何も知らないんだな、可哀想に……」
バンさんが馬賊を哀れんだ。
馬賊の頭目は、何のことかと、一瞬頭をかしげたが、大声を出した。
「野郎共、かかれーーー」
「ぎゃーーーーっ、ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃーー!!」
悲鳴があちこちからあがり、誰もかかってこなかった。
「でたーー、アスラバキだ」
バンさんが喜んでいる。
「なんですか、そのアスラバキって」
フォリスさんがバンさんに聞いている。
「ふふふ、アスラ様が足の骨をバキッ、バキッと、折る事ですよ」
「ぎゃーはっはっ」
フォリスさんとクザン、ランロンが大笑いしている。
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