魔王

覧都

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第五十七話 潜伏

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――なんなんだ、なんなんだよー!
子供三人で、アジトを全滅させやーがった。
信じられねー。
いくら強い奴でも、ここまでつえー奴は考えられねえ。
いったい何もんなんだ。

「……? !!」

まて!!
なんであんな強ー奴らから、俺は逃げられているんだ。

俺はあたりを見渡した。
慎重にバレねーように、あたりを後ろまで見渡した。
誰もいねーー。本当に誰もつけてきていねーのか。
馬鹿な、あれほどの奴らなら、俺を行動不能にするくれーの事は、朝飯前だろう。

だとすれば、俺は逃がされたんだ。
後をつける為に……。絶対つけられている。
俺は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
あれほどの奴らだ、後をつけても俺が気付けないんだ。

俺は足を止めた。
深夜の街は、人の姿が無かった。
俺を追うものがいるのなら、いくら何でも気付けるはずだ。
それでも気付けねえんだから、完璧な追跡だ。

「やられたぜ」

俺は、支部に向うのを諦めた。
支部に行けば、奴らに支部の場所を教えることになる。
だが、報告に行かなければ、今度は裏切り者だ。

「……八方塞がりか!」

これで、俺は、奴らからは行動を監視され、組織からは裏切り者として命を狙われる。

「参ったぜ」

しかし、奴らって、何なんだ?

「……」

俺は天を仰いだ。星が綺麗だぜ。
考えられるのは、エドバン商会か。
タイミング的にそれしかねえ。
とりあえず、尾行は付いていると考えて、エドバン商会を監視してみるか。

俺は、エドバン商会の前まで移動した。
丁度目の前に、安ホテルがある。窓際の部屋をとり、エドバン商会を監視しながら潜伏する事に決めた。



「なーーっ」

――なんなんだ、なんなんだよー!

昨夜の子供、あいつらじゃねえのか。
猫耳の幼児が一人。
すっげーー美少女が二人。
あの、美少女のどっちかがアスラバキってことか。
隠す気ねーのか。俺は心底驚いていた。

「おい、お前ら!!」

し、しまった思わず飛び出してしまった。

「やあ、昨日のおじさん」

こ、この声はこいつがアスラバキだ。
長い髪でメイド服を着ている。
あの強さで、この店のメイドなのか。

「お前が昨夜のアスラバキなのか?」

「お、おじさん、アスラバキなんて変な名前の人は、いませんよ」

後ろで、もう一人の女の子と、猫耳の女の子と、店の中の女が全員大笑いしている。

「お前は、以外と使える奴ニャ。ヌーナなんかやめた方がいいニャ」

「お、おちびちゃん、あんた、なんで組織の名前を」

俺の組織の名前は極秘中の極秘だ。
なんで、こんな子供が知っているんだ。

いったいエドバン商会って、どんな組織なんだよー。
俺は、とんでも無い組織に目を付けられたのではないだろうか。
恐怖しかない。
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