58 / 208
第五十八話 重苦しい街
しおりを挟む
「中へどうぞ」
もう一人の美少女が商館内へ案内してくれた。
こんな所を組織の人間に見つかったら……。
殺されるって思ったが、見つからなくても、殺されるのは同じか。そう思った。
商館内には所狭しと、武器と防具、魔法薬が置いてある。
商談用なのか、テーブルが二つだけ置いてあり、その一つに案内された。
「単刀直入に言うニャ」
「……」
俺は、返事も出来ずにツバを飲み込んだ。
もう猫耳少女というのは気にならなくなっていた。
「支部の場所を教えるニャ」
「なっ」
「対価として、お前の身柄は支部が無くなるまで保護するニャ」
「しばらく考えさせてくれ」
「いいニャ。気が変わったらいつでも来るといいニャ」
俺は、よろよろ商会を出た。
商会を出た瞬間、組織の人間の姿を見つけることが出来た。
下手くそな監視だ。
それに比べエドバン商会の尾行はどうだ、この俺でも見破ることが出来ない。
――格が違う
俺はホテルの部屋に戻ると、ベッドに寝ころび天井を見つめた。
エドバン商会をただの商会と思っていた。
ふふふ、笑える、敵が多い商会だが、それを解決する実力も、組織の支部ぐらい、簡単につぶす事が出来るほどの実力もある。いや、それ以上の実力があると判断出来る。
だが、組織の支部を売る事を出来ないでいた。
三日が過ぎた夜、来客があった。
ドッカーーン
俺の部屋の扉が破壊された。
「よう、バルカス」
「なんだ、おまえら、忙しいんじゃねえのかよ」
俺の部屋に来た来客は、組織の最高幹部の四人だった。
「ははは、組織の裏切り者を殺すのが一番重要な任務だ。最優先して来てやったぜ」
「まあ、俺はまだ裏切っていねーがな」
「嘘を付け、裏切っていねーなら、なぜ失敗の報告をしねーんだ」
「それかー。それなら、俺がつけられていたからだ。そのまま報告に戻れば、支部の場所がバレてしまうからな」
「嘘を付け、お前に尾行なんぞ付いていなかったぞ」
「いつまで、しゃべっているつもりだー、いくぞー」
最高幹部が四人で一度に襲いかかってきた。
この四人相手では勝てるはずも無い、俺は情けないことに目を閉じてしまった。
「うぎゃあーー」
「ぐああーー」
「きゃあああ」
「ぐはあっ」
四人が吹き飛ばされた。
俺には何が起きたかわからなかった。
「シャドウ、よくやったニャ」
「猫耳少女!!」
窓から猫耳少女が入ってきた。
「アドは、アドにゃ!!」
な、なんだよ、それ!
自己紹介のつもりか?
「アドさん、いったい、何が……」
「お前には、アドが見えない護衛、シュドウとシャドウをつけておいたニャ」
俺は、組織の支部の場所を話し、保護を受ける決意をした。
この後、組織の場所を教えたら、半日で支部長コルトの事をつかんでいた。
アドさんがすごいのか、エドバン商会がすごいのか、いずれにしても逆らわないようにしよう。
俺がホテル暮らしをしていると、街は暗く重苦しい雰囲気に包まれてきた。
魔王を名乗る反乱軍が、何万もの兵士で攻めてきていると噂が広がってきたのだ。
もう一人の美少女が商館内へ案内してくれた。
こんな所を組織の人間に見つかったら……。
殺されるって思ったが、見つからなくても、殺されるのは同じか。そう思った。
商館内には所狭しと、武器と防具、魔法薬が置いてある。
商談用なのか、テーブルが二つだけ置いてあり、その一つに案内された。
「単刀直入に言うニャ」
「……」
俺は、返事も出来ずにツバを飲み込んだ。
もう猫耳少女というのは気にならなくなっていた。
「支部の場所を教えるニャ」
「なっ」
「対価として、お前の身柄は支部が無くなるまで保護するニャ」
「しばらく考えさせてくれ」
「いいニャ。気が変わったらいつでも来るといいニャ」
俺は、よろよろ商会を出た。
商会を出た瞬間、組織の人間の姿を見つけることが出来た。
下手くそな監視だ。
それに比べエドバン商会の尾行はどうだ、この俺でも見破ることが出来ない。
――格が違う
俺はホテルの部屋に戻ると、ベッドに寝ころび天井を見つめた。
エドバン商会をただの商会と思っていた。
ふふふ、笑える、敵が多い商会だが、それを解決する実力も、組織の支部ぐらい、簡単につぶす事が出来るほどの実力もある。いや、それ以上の実力があると判断出来る。
だが、組織の支部を売る事を出来ないでいた。
三日が過ぎた夜、来客があった。
ドッカーーン
俺の部屋の扉が破壊された。
「よう、バルカス」
「なんだ、おまえら、忙しいんじゃねえのかよ」
俺の部屋に来た来客は、組織の最高幹部の四人だった。
「ははは、組織の裏切り者を殺すのが一番重要な任務だ。最優先して来てやったぜ」
「まあ、俺はまだ裏切っていねーがな」
「嘘を付け、裏切っていねーなら、なぜ失敗の報告をしねーんだ」
「それかー。それなら、俺がつけられていたからだ。そのまま報告に戻れば、支部の場所がバレてしまうからな」
「嘘を付け、お前に尾行なんぞ付いていなかったぞ」
「いつまで、しゃべっているつもりだー、いくぞー」
最高幹部が四人で一度に襲いかかってきた。
この四人相手では勝てるはずも無い、俺は情けないことに目を閉じてしまった。
「うぎゃあーー」
「ぐああーー」
「きゃあああ」
「ぐはあっ」
四人が吹き飛ばされた。
俺には何が起きたかわからなかった。
「シャドウ、よくやったニャ」
「猫耳少女!!」
窓から猫耳少女が入ってきた。
「アドは、アドにゃ!!」
な、なんだよ、それ!
自己紹介のつもりか?
「アドさん、いったい、何が……」
「お前には、アドが見えない護衛、シュドウとシャドウをつけておいたニャ」
俺は、組織の支部の場所を話し、保護を受ける決意をした。
この後、組織の場所を教えたら、半日で支部長コルトの事をつかんでいた。
アドさんがすごいのか、エドバン商会がすごいのか、いずれにしても逆らわないようにしよう。
俺がホテル暮らしをしていると、街は暗く重苦しい雰囲気に包まれてきた。
魔王を名乗る反乱軍が、何万もの兵士で攻めてきていると噂が広がってきたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる