魔王

覧都

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第六十九話 魔王の秘密

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「ニャーー」

僕は魔王城内の小さめの部屋で、お茶を飲んでいる。
部屋は豪華な装飾があり、机も椅子もこった装飾がされていて、格式の高い部屋だとわかる。
その贅沢な椅子に座っている、僕の膝にアドが甘えてくる。
上目遣いで見てくるアドはひじょうに可愛い。

「あーーん」

アドがあまりにも可愛いので、頭を撫でながら、口を開けるようにアーーンと言ってみた。

「アーーン」

アドは素直に大きな口を空いた。
顔中が口というくらいの笑顔で、大きな口をあいた。
僕は、その口目がけてご褒美を出した。

「ぎゃああああぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっあああああ!!!」

聞いたことも無いような悲鳴をあげてアドが逃げ出した。

「……?!」

僕は何が何だかわからず驚いている。

「バ、ばかニャのか、アスラ様わーーーー!! ハアハアハア……」

僕は、何のことかわからない。
猫の好物のネズミをアドの口の中に入れようとしただけなのに。

「あっ、逃げた……」

ネズミが暴れて僕の手から逃げ出した。
しっぽを怪我させないように、必要以上に柔らかく持っていたから、逃げ出してしまったのだ。

「うわああああああぁぁぁぁぁああっっっ!!!」

フォリスさんが、聞いたことも無いような大きな声で、悲鳴を上げています。

「ぎゃああああぁぁあぁああっっっっっっっ!!」

ネズミがメイドさん達の足下を歩いたら。また悲鳴が上がった。
大勢のメイドさんがバタバタ暴れている。
猫型獣人のアドも、無敵のフォリスさんもネズミには弱いようだ。
アドは猫型のくせにネズミが恐いとはがっかりです。

「ア……ス……ラ……さまーあーーーぁぁぁぁ」

えらい勢いでみんなから怒鳴られた。

「こちらに来て下さい。お着替えをします」

目がおこっているメイドさんに、別室に連れて行かれた。
ネズミは面白そうなのでもう一度収納しておいた。
僕は、全身真っ黒な服を着せられて、美しいドレスを着たフォリスさんの横に案内された。
僕たちの目の前には大きな扉がある。扉の向こうからは物音がしていない。

その扉が開かれると、平伏している大勢の人の姿があった。
五千人はいるように見える。
僕は、部屋の上座にある豪華な椅子に向ってさっさと歩いた。
その椅子、玉座の後ろにはクザンとシュラさんが立っている。

僕の横にはフォリスさんが付き添ってくれている。
椅子に座るのだけは、感慨深くてゆっくりになった。

――ふふふふ、やっと正々堂々座ることが出来ます。

椅子に座ると

「おもてをあげよ」

クザンが低くそれでいて、壁までビーーンと震動するような声を出しました。
平伏している人達が顔を上げただけですが、部屋全体にザッという音が響きます。
さほど期間はあいていませんが、ロアドさんやエドさん、バンさんの顔があり、とても懐かしく感じます。

「皆さん楽にして下さい。最初に魔王の秘密を話したいと思います」

僕はここにいる、重臣達に秘密を話す事を、最初から決めていた。
重臣達は今から何が話されるのかと、ツバを飲み込んだようだ。
ゴクリと大きな音が部屋中に響いた。
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