魔王

覧都

文字の大きさ
104 / 208

第百四話 悪の教祖の最期

しおりを挟む
魔王の存在は、影響力が絶大で人間の世界に大きな動きを与えました。
私が人間としては最低だと思っている天帝の勇者の人気が、どんどん高まっています。
そのため、教祖とのパワーバランスが崩れ、国王がオニス王子に決まり、コモンドニス王朝十六代目の王となりました。

「大変です。国王と天帝の勇者が神殿に来ます!」

エマさんが私の所に息を切らせて、駆け込んできました。

「私の存在がばれる日が来てしまったのでしょうか」

「そうですね」

私は、はじめて聖女の正装をします。

「美し過ぎます」

エマさんとライファさん、アンちゃんの目がキラキラしています。
きっと、うちのメイドさんが全力で綺麗にしてくれたのでしょう。
お化粧を落とすのが恐いです。

三人に護衛してもらい神殿へ向いました。

「どういうことだ。これは?」

天帝の勇者が祭壇の前で教祖に詰め寄っています。

「何のことだ」

「とぼけるな。祭壇の玉が赤く光っているではないか。しかも、聖女の方も黄色く光っている」

「そうだ、勇者様はお前一人ではない。そして、大聖女様が存在している」

「隠していたなー!!!」

天帝の勇者の顔が、恐ろしい震えが来るような顔に変化した。

「な、何をする気だ!! ぐああああーーーーー!!!!」

天帝の勇者が、教祖の腹に剣を突き刺した。

「ハ、ハルラ、何をするのですか」

国王オニス様が天帝の勇者に質問した。

「ハルラだとーー!!」

「勇者ハルラ様」

天帝の勇者ハルラが国王オニス様を恐ろしい顔でにらみ付けます。
国王様は、勇者を恐れて様をつけて呼びなおしました。

「増長しすぎですね」

エマさんが私にだけ聞こえるように声をだしました。
私たちは、部屋の扉の外で、少し扉を開けて中の様子をのぞき見ています。

「ふん、国家反逆罪だ。文句はあるまい!!」

天帝の勇者は、駆け寄った聖騎士に向って一喝した。

「ふふふ、あーーはっはっはっーーーーー」

天帝の勇者は腹の底から笑い出した。
神殿中に響き渡るほどの大声で笑っています。
長年の天敵を殺すことが出来て心底嬉しそうです。

「今後は、この神殿の責任者は聖女に任せる。聖女を探し出せ」

勇者は、聖女なら自分の自由に出来るつもりなのでしょう。
教祖のあとがまに、聖女を指名しました。

「その必要はありません」

私は、扉を開けて中に入りました。

「何者だ!?」

勇者が私に質問します。
でも、私の姿を見て気持ちの悪い笑顔に変わりました。
もう私が誰かは、わかったようです。

「私は今、ここの責任者を任された、大聖女イルナです」

「おい、確認しろ!!」

勇者が、連れてきていた配下の兵士に指示をした。
指示された兵士が、祭壇の横に光輝く、聖女の玉の下にある石を取り出した。
その石を持って私に近づいてきた。
石は、強く明るく金色に光り出した。

「どうですか?」

「ふふふふ、確かにな!」

勇者が嬉しそうに笑っています。
私は十二歳の姿になってから、見た目は全く成長していない。
子供と思って、扱いやすそうに感じて、笑っているのでしょう。

「ふふふ、まだ餓鬼だがやってやれんこともないだろう。今から俺の寝室に来い!」

「ふ、ふざけるなーーー!!!」

あー、うちの猛獣二人が入ってきちゃいました。

「なんだてめーは」

「私は、聖騎士団四番隊隊長エマだ!!」
「同じく副隊長ライファだ!!」

「ふん、お荷物の女聖騎士か! おい、この馬鹿を痛めつけてやれ」

勇者は、取り巻きに声をかけた。

「ふふふ、俺は、天帝の戦士ロドンだ。この国じゃあ、最強の冒険者チームの者だ。生まれてきたことを後悔させてやるぜ」

「私も最強冒険者チームの一員、天帝の魔導師パリスだ。勇者様にたてつく奴は許さないよ」

子ネズミ二人が偉そうに能書きたれて、うちのライオンに歯をむき出しました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...