117 / 208
第百十七話 護衛
しおりを挟む
「じゃあね。ライファさん皆をよろしくね」
ロウロ様が、さみしそうな表情で私を見送って下さいます。
私は、隣のデイラ領へ行く大勢の人達の護衛を引き受けました。
魔王様は、ロウロ領を出たい者は自由に出ることを許してくださいました。
王都に家族がいる方などが、ロウロ領を後にします。
「ふふふ、ライファ殿。俺も国境までだが、お供するように言われた。しばらくご一緒しましょう」
「オウブ様、ありがとうございます」
「あ、あのー。イ、イルナ様は元気でしょうか?」
恥ずかしそうに、大きな体のオウブさんが聞いて来ます。
「うふふ。はい、少し前までお忍びでここにいたのですよ」
魔人の人達は、人間よりよほど温かく感じます。
私はこれから王都に帰りますが、王都では天帝の勇者が、最早手が付けられなくなっています。
人々の希望は大聖女イルナ様だけになっています。
まだ、小さなイルナ様に、重荷を背負わせています。
「そうですかーー」
オウブさんはそう言うと、嬉しそうな顔をして空を見上げます。
国境に着くと、オウブさんは私を見つめて口を開きました。
「では、俺はここまでです。あとはお願いします」
「はい」
「あの、」
まだ何か言いたそうに、もじもじしています。
「なんですか」
「イ、 イルナ様をよろしくお願いします」
「わかりました。私にお任せ下さい。ちゃんとお守りします」
私は大げさに胸をたたきました。
オウブさんと、配下の方は私達が見えなくなるまでずっと見送ってくれました。
私達はそのまま街道を進み、デイラ領の街に着きました。
私の役目もここまでです。
「チッ、難民かよ!!」
街に領兵が詰めているようです。
街の領兵は皆どことなくガラが悪いです。
その領兵の中でも一番がらの悪そうな男が、吐き捨てるように言いました。
「私は、聖騎士団、第四番隊副隊長のライファです」
「ふん、お荷物の女騎士団かよ」
「……」
つい私の悪い癖が出てしまいました。
こっちが名乗っているのにこの返事は無い。
頭に血が上ってにらみ付けてしまった。
「ぐへへへー、女騎士ごときが、俺たちに喧嘩を売ろうって言うのか」
「皆は下がって、手出し無用です!!」
私は、部下に手を出さないように指示をした。
「へへへへ、俺が勝ったら今晩の相手をしてもらうぞ」
「一人で良いのか、私は強いぞ!!」
「ぎゃあああはっはっはっーーー!! 女聖騎士なんぞに誰が負けるかー」
そう言うと領兵は、大きな拳で殴りかかってきた。
回りの領兵は、止めるでも無く、気持ちの悪い顔をしてニヤニヤしている。
領兵の動きは今の私には、止って見える。
右足に体重を乗せ、右手だけで殴ろうとしている。
私は、右手の袖をギュッとつかみ、全体重を乗せている右足を蹴り上げた。
綺麗に体が回転して、地面に落ちた。
「ガフッ」
口からつばきを飛ばして失神したようだ。
「てめーーーっ」
回りで笑っていた男達が、全員襲いかかって来た。
どいつもこいつも、素人の動きだ。
ただでさえ遅いのに、動きが大きい。
次々、投げ飛ばすことが出来る。
「まてまてーーっ!!」
人相の悪い極悪人のような男が出て来た。
「……」
私は無言でにらみ付けた。
「ひっひっひっ、いやー強いねーー」
「なんだお前は?」
「ふふふ、俺はデイラ三世だ!! ここの御領主様と言うわけだ」
「……!?」
し、しまった。
領主様かー。「なんだお前は?」なんて言ってしまった。
調子に乗りすぎました。
「まあ、そんなに恐い顔で、にらみなさんな! 少し話しがしたいだけだ」
「何でしょうか?」
「おい、お前ら席を作れ!!」
領主様が一声かけると手際よく、テーブルと椅子が用意された。
ロウロ様が、さみしそうな表情で私を見送って下さいます。
私は、隣のデイラ領へ行く大勢の人達の護衛を引き受けました。
魔王様は、ロウロ領を出たい者は自由に出ることを許してくださいました。
王都に家族がいる方などが、ロウロ領を後にします。
「ふふふ、ライファ殿。俺も国境までだが、お供するように言われた。しばらくご一緒しましょう」
「オウブ様、ありがとうございます」
「あ、あのー。イ、イルナ様は元気でしょうか?」
恥ずかしそうに、大きな体のオウブさんが聞いて来ます。
「うふふ。はい、少し前までお忍びでここにいたのですよ」
魔人の人達は、人間よりよほど温かく感じます。
私はこれから王都に帰りますが、王都では天帝の勇者が、最早手が付けられなくなっています。
人々の希望は大聖女イルナ様だけになっています。
まだ、小さなイルナ様に、重荷を背負わせています。
「そうですかーー」
オウブさんはそう言うと、嬉しそうな顔をして空を見上げます。
国境に着くと、オウブさんは私を見つめて口を開きました。
「では、俺はここまでです。あとはお願いします」
「はい」
「あの、」
まだ何か言いたそうに、もじもじしています。
「なんですか」
「イ、 イルナ様をよろしくお願いします」
「わかりました。私にお任せ下さい。ちゃんとお守りします」
私は大げさに胸をたたきました。
オウブさんと、配下の方は私達が見えなくなるまでずっと見送ってくれました。
私達はそのまま街道を進み、デイラ領の街に着きました。
私の役目もここまでです。
「チッ、難民かよ!!」
街に領兵が詰めているようです。
街の領兵は皆どことなくガラが悪いです。
その領兵の中でも一番がらの悪そうな男が、吐き捨てるように言いました。
「私は、聖騎士団、第四番隊副隊長のライファです」
「ふん、お荷物の女騎士団かよ」
「……」
つい私の悪い癖が出てしまいました。
こっちが名乗っているのにこの返事は無い。
頭に血が上ってにらみ付けてしまった。
「ぐへへへー、女騎士ごときが、俺たちに喧嘩を売ろうって言うのか」
「皆は下がって、手出し無用です!!」
私は、部下に手を出さないように指示をした。
「へへへへ、俺が勝ったら今晩の相手をしてもらうぞ」
「一人で良いのか、私は強いぞ!!」
「ぎゃあああはっはっはっーーー!! 女聖騎士なんぞに誰が負けるかー」
そう言うと領兵は、大きな拳で殴りかかってきた。
回りの領兵は、止めるでも無く、気持ちの悪い顔をしてニヤニヤしている。
領兵の動きは今の私には、止って見える。
右足に体重を乗せ、右手だけで殴ろうとしている。
私は、右手の袖をギュッとつかみ、全体重を乗せている右足を蹴り上げた。
綺麗に体が回転して、地面に落ちた。
「ガフッ」
口からつばきを飛ばして失神したようだ。
「てめーーーっ」
回りで笑っていた男達が、全員襲いかかって来た。
どいつもこいつも、素人の動きだ。
ただでさえ遅いのに、動きが大きい。
次々、投げ飛ばすことが出来る。
「まてまてーーっ!!」
人相の悪い極悪人のような男が出て来た。
「……」
私は無言でにらみ付けた。
「ひっひっひっ、いやー強いねーー」
「なんだお前は?」
「ふふふ、俺はデイラ三世だ!! ここの御領主様と言うわけだ」
「……!?」
し、しまった。
領主様かー。「なんだお前は?」なんて言ってしまった。
調子に乗りすぎました。
「まあ、そんなに恐い顔で、にらみなさんな! 少し話しがしたいだけだ」
「何でしょうか?」
「おい、お前ら席を作れ!!」
領主様が一声かけると手際よく、テーブルと椅子が用意された。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる