128 / 208
第百二十八話 王都到着
しおりを挟む
「うふふ」
「アズサ様、何が可笑しいのですか?」
「ああ、ごめんなさい。うまく隠していると思って楽しくなりました」
「やはりわかりますか。さすがは、アズサ様です」
「途中にあった山小屋も、全部パン食でしたね」
「はい、他国ではパンが主食ですから、そのためですが、アズサ様の考えておられる通り、米を隠す為でもあります」
チガーさんはいつも僕の横にいて、会話に付き合ってくれる。
フォリスさんの横にはレオナさんが片時も離れない。
僕たちはここ三日程、山道を歩かされている。
ドワーフの国と獣人の国の国境となっている山道、おかげで獣人の国の様子が見えない。
外人には国を見せないぞ、という強い意志を感じる。
「あっ」
山道の終わりが来た。
目の前に平野が広がる。
視界をさえぎっていた山が終わり、遠くまで見渡すことが出来る。
「ふふふふ、すごい麦畑です」
やはり、他国の人間にはイネを見せないつもりです。
でもさすがです。
綺麗に絨毯のように一面に麦畑が広がっています。
魔人の国の麦畑とは違います。
「はい、王都まではこの麦畑を抜けて、一本道です」
いくつかの村、大きな街を一つ通り、二日後に王都に着きました。
途中の村でも、街でも、そして王都を守る衛兵も、チガーさんとレオナさんの顔を知らない人がいなかったので、とてもスムーズに通行できました。
出会う人が皆、おびえていたのが少し気になりましたが……。
王城の門の前には、大勢の兵士が整列して僕たちに礼をして、迎えてくれました。
「いつも、こんな感じですか?」
「いいえ、アズサ様とフォルス様だからこそです」
「こちらです」
チガーさんに案内されると、数人のメイドさんがいる。
「俺とレオナは着替えてきます。ここから先はこの者達が案内します」
メイドさんが深々とお辞儀をしてくれました。
その後、お風呂に入り、僕のメイドさんに持たされたドレスを出すと、丁寧に着付けてくれました。
そして、化粧を念入りにされて、大きなテーブルのある部屋に案内された。
「うおおおー、うつくしい」
チガーさんが雄叫びを上げました。
その声が虎っぽいなーと感じました。
「か、かっこいいです……」
小声でもじもじしながら、フォリスさんに声をかけるレオナさんは、超可愛い子猫のように感じました。
「ふふっ、あなたも美しいですよ!」
そう言うと赤いドレスを着た、レオナさんに近づき顔を上げて、フォリスさんはレオナさんのうるんだ目をじっと見つめた。
レオナさんの顔がみるみる真っ赤になった。
こらこら、あんた達は女どうしだからね。
すすめられた席に座ると、遅れて体の大きな貫禄のある白髪の人が入ってきた。
贅沢な服を着ているその人は、一目で王様とわかりました。
僕が席を立とうとすると、手をひらひらさせ、そのまま、そのままと制した。
「余がバウルス、クーダじゃ」
「使者のフォルスです」
フォルスさんがきりっとあいさつをした。
「そして、あなたがアズサちゃんか。本当にかわいいのー」
僕の方を見て、とろけそうにニコニコしている。
そして、ショートさんに少しだけ視線を移し、うなずいた。
「そ、そんな……」
僕が、恥じらうように頬を赤らめ乙女を演じてみた。
「ぶっふぉ」
チガーさんの口から空気が漏れた。よくみたら王様も、メイドさんも吹き出している。
その後、フォリスさんがお決まりの口上を述べおわると、待ちかねたように王様が口をひらいた。
「さて、堅苦しいあいさつはお終いじゃ。まずはわが国の料理を堪能してもらおう」
その言葉を聞くとメイドさんが、慌ただしく動き出した。
「アズサ様、何が可笑しいのですか?」
「ああ、ごめんなさい。うまく隠していると思って楽しくなりました」
「やはりわかりますか。さすがは、アズサ様です」
「途中にあった山小屋も、全部パン食でしたね」
「はい、他国ではパンが主食ですから、そのためですが、アズサ様の考えておられる通り、米を隠す為でもあります」
チガーさんはいつも僕の横にいて、会話に付き合ってくれる。
フォリスさんの横にはレオナさんが片時も離れない。
僕たちはここ三日程、山道を歩かされている。
ドワーフの国と獣人の国の国境となっている山道、おかげで獣人の国の様子が見えない。
外人には国を見せないぞ、という強い意志を感じる。
「あっ」
山道の終わりが来た。
目の前に平野が広がる。
視界をさえぎっていた山が終わり、遠くまで見渡すことが出来る。
「ふふふふ、すごい麦畑です」
やはり、他国の人間にはイネを見せないつもりです。
でもさすがです。
綺麗に絨毯のように一面に麦畑が広がっています。
魔人の国の麦畑とは違います。
「はい、王都まではこの麦畑を抜けて、一本道です」
いくつかの村、大きな街を一つ通り、二日後に王都に着きました。
途中の村でも、街でも、そして王都を守る衛兵も、チガーさんとレオナさんの顔を知らない人がいなかったので、とてもスムーズに通行できました。
出会う人が皆、おびえていたのが少し気になりましたが……。
王城の門の前には、大勢の兵士が整列して僕たちに礼をして、迎えてくれました。
「いつも、こんな感じですか?」
「いいえ、アズサ様とフォルス様だからこそです」
「こちらです」
チガーさんに案内されると、数人のメイドさんがいる。
「俺とレオナは着替えてきます。ここから先はこの者達が案内します」
メイドさんが深々とお辞儀をしてくれました。
その後、お風呂に入り、僕のメイドさんに持たされたドレスを出すと、丁寧に着付けてくれました。
そして、化粧を念入りにされて、大きなテーブルのある部屋に案内された。
「うおおおー、うつくしい」
チガーさんが雄叫びを上げました。
その声が虎っぽいなーと感じました。
「か、かっこいいです……」
小声でもじもじしながら、フォリスさんに声をかけるレオナさんは、超可愛い子猫のように感じました。
「ふふっ、あなたも美しいですよ!」
そう言うと赤いドレスを着た、レオナさんに近づき顔を上げて、フォリスさんはレオナさんのうるんだ目をじっと見つめた。
レオナさんの顔がみるみる真っ赤になった。
こらこら、あんた達は女どうしだからね。
すすめられた席に座ると、遅れて体の大きな貫禄のある白髪の人が入ってきた。
贅沢な服を着ているその人は、一目で王様とわかりました。
僕が席を立とうとすると、手をひらひらさせ、そのまま、そのままと制した。
「余がバウルス、クーダじゃ」
「使者のフォルスです」
フォルスさんがきりっとあいさつをした。
「そして、あなたがアズサちゃんか。本当にかわいいのー」
僕の方を見て、とろけそうにニコニコしている。
そして、ショートさんに少しだけ視線を移し、うなずいた。
「そ、そんな……」
僕が、恥じらうように頬を赤らめ乙女を演じてみた。
「ぶっふぉ」
チガーさんの口から空気が漏れた。よくみたら王様も、メイドさんも吹き出している。
その後、フォリスさんがお決まりの口上を述べおわると、待ちかねたように王様が口をひらいた。
「さて、堅苦しいあいさつはお終いじゃ。まずはわが国の料理を堪能してもらおう」
その言葉を聞くとメイドさんが、慌ただしく動き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる