魔王

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第百五十六話 新しい仲間

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「どうやら全員そろったようです」

フォリスさんが黒い服を着て僕の所へ来ました。
僕は、メイドさんに囲まれて、魔王の服を着付けてもらっています。

「終りました」

魔王の正装になりました。
全身真っ黒です。
今日は、魔王城に重臣に集まってもらい、新たに加わった仲間の紹介を予定しています。

魔王城は、無駄に広くて大きい。
そして、何故か薄暗い。
小さい方の玉座の間の前に着くと、扉の前で少し待ちます。

ギイイイイイイーー

扉が開き、中を見ると全員が平伏しています。
あんまり急いで椅子に座ると、フォリスさんに怒られるので、ゆっくり歩きます。
こんな堅苦しくしなくてもと思うのですが、「いけません」とフォリスさんに言われるのでゆっくりです。

「おもてを上げよ!!」

僕が椅子に座り少し手の平を上げると、クザンがタイミング良く声をかけてくれました。
僕の前にいる、重臣の顔が緊張にこわばっています。

僕の後ろにはクザンが控え、その左にジュウドウ、右側にシュラさんがいます。
そして椅子の左にフォリスさん、右側にジュウベイさんが立っています。
ジュウベイさんには僕のたっての希望で、この位置にしてもらいました。
緊張の為、すごく震えています。
ちょっと気の毒なことをしたのでしょうか。

「皆さん、来客はいません。全員身内です。楽にして下さい」

僕は笑顔になりました。
それでも、皆さんの緊張が解けないようです。
僕ってそんなに恐いのでしょうか。

「デイラさん、イゴウさん、前に来て下さい」

デイラの領主さんと、その将軍イゴウさんに前に出てもらいました。
デイラさんは、緊張の為か、顔がすごく恐いです。
二人は僕の前に来ると、臣下の礼をとってくれました。

「ご、御尊顔を拝し、恐悦至極に存じ奉ります」

「ふふ、デイラさん、イゴウさん、後ろを見て下さい。これが魔王国の最高幹部です。そして僕が魔王です」

デイラさんと、イゴウさんが。ジュウベイさんのように震えています。
しょうが無いですね、所々恐ろしい顔の人がいますからね。

「簡単に紹介しますね。向って左側に国内の仕事の担当、右側が七大将軍とその配下、軍事担当です」

「おいおい、大魔王、簡単すぎるだろー」

ファージさんが笑いながら声を上げました。
ファージさんだけは、いつも通りです。
この後、一人一人あいさつを始めました。一度に言われても憶えきれないと思いますよ。

「あーーっ、では途中ですが、お腹が空いたので食事にしましょう」

僕は、めんどーくさくなったので、途中で切り上げることにしました。

「えーーっ!! まだ半分も終っていませんよ」

フォリスさんが驚いています。

「食事の間にうな重を用意しました。続きはそちらでして下さい」

「うおおおおおーーーーー!!」

歓声が上がりました。やっと緊張が解けたみたいです。
オウブさんの声が大きいですね。
お米が貴重なので、魔王といえども勝手に食べてはいません。
久々なので僕も楽しみです。
デイラさんと、イゴウさんは、何の事かわからずにキョトンとしています。



僕は、玉座の間を出ると、おめしかえのようです。
メイドさんのなすがままになっていると、ドレス姿にされました。

「行きましょう」

フォルス姿のフォリスさんが来ました。
心なしか、少し嬉しそうに見えます。
食事の間の前で僕は、うな重を一つもらいデイラさんと、イゴウさんの横に座った。
フォリスさんは、僕の横に座った。

「では、全員そろいましたので、召し上がって下さい」

魔王の席は空席ですが、僕がデイラさんの横の椅子に座ったのを見て、シュラさんが冷めないうちに食べるように進めてくれた。
大人のときのフォリスさんの姿をしているシュラさんは、女神のように美しい。

「おかわりニャーー!!」

は、速い、僕がシュラさんに見とれていると、アドがもう食べ終ってお替わりをしている。

「なあ、イゴウもう食べても良いのか。魔王様の姿が無いようだが」

デイラさんが、勝手がわからなくて、イゴウさんとこそこそ話している。

「大丈夫ですよ。お気になさらずに召し上がって下さい」

「あー、ありがとう。ところであなたは?」

「私はアズサです」

僕がそう言うと、回りから失笑がおこった。
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