魔王

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第百五十七話 次なる戦い

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「うおっ」

デイラさんと、イゴウさんが一声上げて固まった。
目を閉じて口をモグモグしている。

「かはーーーっ!!」

大きく息を吐きました。

「う、うまい!! 今まで食べた物の中で一番うまかったものが、なんだかわからなくなるほど、だんとつでうまい!!」

「くすくす、お替わりをご用意しますね」

自分の美味しいと思っている物を、最上級に褒められて、僕は嬉しくてたまらなくなった。思わず笑みがこぼれた。
僕は部屋を出て、外にいるメイドさんにお替わりを四つもらって、部屋に戻った。
一つは、デイラさん。もう一つは、イゴウさん。そして、この中で一番小さくなって食べているギールさん。最後の一つは僕の分です。

「よ、よろしいのですか」

ギールさんの目が輝いています。
僕はとびきりの笑顔になりうなずきます。

「なーーーーっ!!!」

何だか、部屋中から変な声が上がりました。

「この食べ物がかすむほど、アズサちゃんはかわいいなあー」

デイラさんが、僕の顔を見つめて言いました。
そう言われても、なんだかあんまり嬉しくありませんけどね。



食事が終ると流れで軍議を開く運びとなりました。

「まずはこれを見てくれ!!」

何故かファージさんがしきっています。
まあ、一番適任なのでべつにいいです。

机の上に、地図が開かれました。
デイラが下側、上にバルビロ領が書かれています。

「おい、イゴウ、魔王様抜きではじめて良いのか?」

「そうですなーー……」

イゴウさんがどう答えて良いものか悩んでいるようです。
ギールさんもイゴウさんを見つめています。
ここいらで、答えを言っておかないといけませんね。

「あの、魔王様ならずっといますよ」

「えっ!?」

三人が声を上げた。

「私が魔王ですよ」

「なーーーっ、魔王様が本当は、こんな可愛い女の子だったのかーー!!」

三人が大声を上げました。
うわーーっ、そっちへ間違えるのかーー!!

「ち、違います。男です!!」

「おい、魔王うるせーぞ!!」

うーーん、何故かファージさんに僕だけ怒られました。
僕がアズサの時、ファージさんは容赦がありません。
滅茶苦茶恐い顔なので、余計恐いですね。
でも、僕は知っている。

「ごめんなさーい」

そう言って、とびっきりの笑顔になる。

「ぶっふぉ!!」

いろんな所から、変な音が出た。
ファージさんも顔が赤くなっている。
ちょろい人達です。

「まあ、見てくれ!!」

ファージさんは、赤い顔のまま僕を無視して地図に指を置いた。
そこにはバルビロ領の中央を横断する幅の広い線が入っている。
広い線の向こう側に、領都の図が書かれている。

「これは?」

「これは、川だ!」

バルビロ領を攻める為には、水上戦を避けられない。

「次の戦いは水上戦になる。船の準備が必要だ!!」

ここから、軍議はデイラ領の周辺にへばりつく、小さな領を攻めて平定させる方法、人選が行われた。
その戦いの間に急ぎ船の建造をする事が決められた。

でも、僕の頭の中は、この地が稲作に適した地形で、どれだけ米が取れるのだろうかと考えていた。
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