魔王

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第百六十一話 乙女の危機

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「すみませんねえ、バルビロ様はもう少し、ましですのでご安心下さい」

この口ぶりでは、バルビロも酷い領主のような気がします。

「た、助かりました」

私は、にっこりと作り笑いをした。

「うっ……」

リョウキさんの顔が青くなり口が引きつっている。
その顔のまま隊員達の方を見ると、隊員達の顔までリョウキさんと同じ表情になった。

――い、いったい私はどんな顔をしているのでしょうか?

私は作り笑顔をやめました。

「どうですか、お詫びの印に私の家に来ませんか? 歓迎しますよ」

「お言葉は嬉しいのですが、大勢の避難民が野宿をするのですから、私達もここで眠りたいと思います」

「ふふふ、ライファ様ならそう言うと思いました」

「えっ!? 私をご存じなのですか?」

「これでも、この領内の軍の総指揮をする身です。情報は集めていますよ。あなたの事も魔王軍の事もそれ以外も……」

この手の頭の良さそうな人はどうにも、どこか暗い恐ろしい気配をただよわせる。
リョウキさんは顔に暗い影を落とすと、メガネを真っ白に光らせた。
この人もデイラ様同様、何か秘策を持っているようです。

「あ、あの……」

私は秘策が何か関心があったのですが、聞いてはいけないと思いなおし、途中でやめました。

「デイラ様は、王国騎士団に邪魔をされ、秘策は失敗しました。成功していたら魔王軍はどうなっていたのでしょうか? ですが、王国騎士団は私の策の邪魔は出来ないでしょう」

リョウキ様は私の顔をのぞき込み、微笑みます。
それは、深掘りしてこいと言わんばかりです。

「あ、あの、それはどんな策なのでしょうか」

「ふふふ、部外者には話せませんねえ。ひひひ」

あーー、聞くんじゃ無かったー!!
でもこの人もやはり、魔王軍を倒す為の秘策を持っているようです。
私はあの、やさしい魔王の七大将軍が心配になりました。



「女聖騎士はどこにいるー」

夜が更け、よい子が眠ってしまった頃、大きな声がしました。

「やかましい!! 夜中だぞ静かにしろ!!」

私は少し声を荒げて言った。
声のする方を見て愕然とした。
あいつが、気持ちの悪い下品な顔でニタリと笑いました。

「ふふふ、今夜は、楽しめそうだ」

「何をする気だ、わ、私は聖騎士だ。男の相手などは出来ないぞ!!」

「ひひひひ、そうか見て見ろ」

バルゼオは手下の領兵を引き連れていた。
どの領兵も一癖も二癖も有りそうな顔をしている。
その領兵が事もあろうに、弱者である集められた避難民の女性に武器を突きつけている。

やられました。こうなっては、私は手出しが出来ません。

「よお、目つきの悪い、貧乳の姉ちゃんどうするね」

「くっ」

相手は領主の弟、殺すことも出来ない。
ましてや、逃げ出せば避難民が無事では済まないでしょう。
私は、私は、こんな奴に初めてを捧げなくてはならないのでしょうか。
不覚にも涙が目に浮かびました。

「わしは、貧乳が好きでなあ。おっと抵抗するなよ」

私は今まで眠っていました。
服はさほど着ていません。
その服に手が伸び、一枚また一枚と引き剥がされます。
私はなすがまま、抵抗ができません。

「くっ」

「ひひひ、震えているじゃねえか。そんな吊り目でおびえているのか? たまらんのう」

私の下着を大勢の人の目の前で、取ろうとします。

ゴクリ

回りで大勢の男達がツバを飲みました。
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