魔王

覧都

文字の大きさ
160 / 208

第百六十話 護衛任務

しおりを挟む
隊列は少しずつ人数が増えて、十万人を超えていると思います。
デイラ領は荒れた荒野が続いていますが、バルビロ領は大地が肥沃な為か、草が少しずつ増えて緑一色になりました。
所々に森や林が見えてきます。

そういった身を隠すことが出来る場所には、何かが潜んで居る気配がします。
ですが、この隊列には二万人以上の王国騎士団が含まれています。
襲ってくる気配は無いようです。

「ライファ様、やっとドルゲンの街が見えてきました」

バルビロ領、西の城塞都市ドルゲン。
私の護衛の役目もやっと終りそうです。
普通なら国境から二日で終る行程ですが、女性や子供が含まれている為、倍の四日もかかりました。

「魔王国で食べさせてもらった料理、美味しかったですね」

部下が目を細めて言います。
魔王様は魔王国内にいる間、オウブさんの護衛だけでなく、食事まで支給して下さいました。
見たことの無い料理は、とても美味しかった。
国境を越えてから食べる、四日分の携帯食と飲み水もいただきました。
それだけで、ドルゲンに着くことが出来てとても助かりました。

「とまれーーー!!!」

街の外に領兵が、出ています。
先頭の男はかなり身分が高いようです。
金ぴかな鎧を着けています。
先頭を進む私を静止して、下品な目つきで私の体を上から下まで、なめ回すように見てきます。

私は、ここでいつもの癖が出てしまいました。
太った嫌らしい顔付きの、男の顔を見てしまいました。
私のこの行動は、普通の人にはにらみ付けたように感じるようです。
笑顔を忘れてしまいました。

「きさまー、わしは領主バルビロの弟バルゼオ様だぞ!! 女聖騎士ごときが、にらみ付けおってーーー!!!」

バキッ!!

激高して、思い切り顔を殴ってきました。
私は、避けると話しがややこしくなると思い、素直に殴られました。
全然痛くはありませんが、痛そうに演技して地面に倒れました。
倒れた私に、追い打ちで何度も殴る蹴るを続けます。
普通の隊員なら、大けがをする事でしょう。
私で良かった。

「き、きさまあああーーーー!!」

隊員が数人切れました。

「やめなさい!!」

すかさず私は、隊員を止めました。
隊員を止めた私の素早さを見て、ダメージがまるで無いことがばれてしまいました。
バルゼオが驚いています。

「あーーっはっはっは、まあバルゼオ様その位で許してやってはどうですか」

腹を抱えて笑いながら、メガネをかけた美形の線の細い男が近寄ってきます。

「ふん、リョウキか!! 後は任せる。だが、その女は気に行った。手は出すなよ」

バルゼオは、もう一度私をいやらしい目つきで見つめると歩いて行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...