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第百六十八話 おもかげ
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通りにいる者達は、フォリスさんと二人で即座に行動不能にした。
通路に倒れた者達から、うなり声が漏れている。
「ここがバンさんの商会ですか。結構大きいですね」
「……」
僕の独り言にフォリスさんは何も答えてくれません。
その目はどこか遠くを見ているようです。
そういえば、この通りは幼いイルナと大人のフォリスさんと何度も行き来した思い出の場所です。
当時はバンさんとも知り合っていませんでした。
ボーッとみていると、笑顔で歩いているイルナの姿が見えてきました。
その横には、やさしくイルナの顔を見て笑っている大人のフォリスさんの姿まで見えてきました。
「やかましい!! なにを騒いでいる!」
体の大きな、全身毛むくじゃらの男がバン商会の中から現れました。
その男は、パンツ一丁で手に棍を持っています。
胸には信じられないほどの胸毛が生えています。
「隊長、このガキ達……」
痛む手足の苦痛に耐えながら、兵士が胸毛野郎に話しかけた。
胸毛男はその言葉を全て聞きもせず吐き捨てるように言う。
「て、てめえらは、こんなガキにやられたのか」
せっかく僕が、イルナの顔を思い出している、丁度いいところを邪魔しました。
僕はまた余計に不機嫌になりました。
「やかましいのは、てめえだ!!!」
あーーとうとうやってしまった。
ずっと、嫌われないように丁寧に話してきたのに、地が出てしまった。
「ガキが、偉そうに!! いいか俺様はなあ! ギルドじゃあA級冒険者だったんだ。だが実力はS級と言われていた。だがなあ、このとおり素行が悪くてクビになった男だ! ガキがかなう相手じゃねえんだ! わかったか!!!」
「素行が悪いのを自慢するんじゃねえ! よくも俺の大事なイルナの面影の残るこの街を、けがしてくれたなあ」
「ちっ、ガキが偉そうにほざきおるわ! この街は俺の自由にしていいと、天帝の勇者様から言われている。何をしようと誰にも文句は言わせねえ!! これは正当な力の行使なのさ!! があーーはっはっは!」
「馬鹿が!! 街をこんなにしやあがって。てめえらの使った弱者に対する力はなあ、それを暴力と言うんだ!! そしてこれから俺が使う弱者を守る力こそが、まおう……もとい、正義と言うんだ」
「ふはははは、ならばその正義の力を見せてみろ!!!」
胸毛野郎は棍を振りかぶり渾身の力で、俺の頭に振り下ろしてきた。
パン!!
俺はそれを、片手で受け止めると、そのまま棍を握り手前に引いた。
「うおっ!」
胸毛野郎はバランスを崩しよろけながら、俺の方に近づいてくる。
近づいた胸毛野郎の胸に手のひらを当て、動きを止めた。
そしてギュッと手を握り、胸毛をつかんで相手の体を固定した。
体を固定し間髪をいれず足を右から左へ払った。
胸毛野郎の体が回転し、地面に体が叩き付けられた。
「ぎゃあああああああーー!!」
悲鳴を上げている。
俺の手は、黒い毛むくじゃらのかたまりになっている。
どうやら大量の胸毛が抜けたようだ。
「どうだ、これが正義の力だ!!」
俺は倒れる胸毛野郎を見おろして、無表情で言った。
「か、かっこいい!!」
後ろで領主さんの声がした。
「フランシスさん、来ていたのですか」
「フ、フランとお呼び下さい」
フランさんの目がキラキラしている。
通路に倒れた者達から、うなり声が漏れている。
「ここがバンさんの商会ですか。結構大きいですね」
「……」
僕の独り言にフォリスさんは何も答えてくれません。
その目はどこか遠くを見ているようです。
そういえば、この通りは幼いイルナと大人のフォリスさんと何度も行き来した思い出の場所です。
当時はバンさんとも知り合っていませんでした。
ボーッとみていると、笑顔で歩いているイルナの姿が見えてきました。
その横には、やさしくイルナの顔を見て笑っている大人のフォリスさんの姿まで見えてきました。
「やかましい!! なにを騒いでいる!」
体の大きな、全身毛むくじゃらの男がバン商会の中から現れました。
その男は、パンツ一丁で手に棍を持っています。
胸には信じられないほどの胸毛が生えています。
「隊長、このガキ達……」
痛む手足の苦痛に耐えながら、兵士が胸毛野郎に話しかけた。
胸毛男はその言葉を全て聞きもせず吐き捨てるように言う。
「て、てめえらは、こんなガキにやられたのか」
せっかく僕が、イルナの顔を思い出している、丁度いいところを邪魔しました。
僕はまた余計に不機嫌になりました。
「やかましいのは、てめえだ!!!」
あーーとうとうやってしまった。
ずっと、嫌われないように丁寧に話してきたのに、地が出てしまった。
「ガキが、偉そうに!! いいか俺様はなあ! ギルドじゃあA級冒険者だったんだ。だが実力はS級と言われていた。だがなあ、このとおり素行が悪くてクビになった男だ! ガキがかなう相手じゃねえんだ! わかったか!!!」
「素行が悪いのを自慢するんじゃねえ! よくも俺の大事なイルナの面影の残るこの街を、けがしてくれたなあ」
「ちっ、ガキが偉そうにほざきおるわ! この街は俺の自由にしていいと、天帝の勇者様から言われている。何をしようと誰にも文句は言わせねえ!! これは正当な力の行使なのさ!! があーーはっはっは!」
「馬鹿が!! 街をこんなにしやあがって。てめえらの使った弱者に対する力はなあ、それを暴力と言うんだ!! そしてこれから俺が使う弱者を守る力こそが、まおう……もとい、正義と言うんだ」
「ふはははは、ならばその正義の力を見せてみろ!!!」
胸毛野郎は棍を振りかぶり渾身の力で、俺の頭に振り下ろしてきた。
パン!!
俺はそれを、片手で受け止めると、そのまま棍を握り手前に引いた。
「うおっ!」
胸毛野郎はバランスを崩しよろけながら、俺の方に近づいてくる。
近づいた胸毛野郎の胸に手のひらを当て、動きを止めた。
そしてギュッと手を握り、胸毛をつかんで相手の体を固定した。
体を固定し間髪をいれず足を右から左へ払った。
胸毛野郎の体が回転し、地面に体が叩き付けられた。
「ぎゃあああああああーー!!」
悲鳴を上げている。
俺の手は、黒い毛むくじゃらのかたまりになっている。
どうやら大量の胸毛が抜けたようだ。
「どうだ、これが正義の力だ!!」
俺は倒れる胸毛野郎を見おろして、無表情で言った。
「か、かっこいい!!」
後ろで領主さんの声がした。
「フランシスさん、来ていたのですか」
「フ、フランとお呼び下さい」
フランさんの目がキラキラしている。
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