171 / 208
第百七十一話 謎の男
しおりを挟む
「ライファ副隊長、街が見えてきました」
緑の中に、黄色い高い壁に守られたバルビロ領の領都が見えてきました。
バルビロ領の領都は王都からは歩兵の行軍でも二週間ほどで到着します。
逆に言えば、ここが落ちれば王都が魔王軍の射程範囲に入ってしまう。
何としても守らねばならない。
魔王軍は、律儀に降伏勧告をし、攻める日まで指定してきました。いつも通りです。
そして言葉通り侵攻して来るでしょう。
私は領主バルビロ様からの援軍要請を受け、手勢五百人を連れて応援に来ました。
「ぎゃーーはっはっー!! 女聖騎士様のご到着だーー!!」
領都の防壁のまわりには、先に援軍に来ている天帝の騎士団が野営している。
王国騎士団が、玉砕したため新たに編成された騎士団は、天帝の騎士団と命名された。
すでに王国は天帝の勇者が実権を握り、国王の姿を見ることも出来なくなった。
すでに命を落としているのでは無いかと、ささやく者さえいる。
私は、天帝の勇者ならやりかねないと思っている。
――天帝の勇者は王になるつもりなのでは無いか?
と、さえ疑っている。
それをしないのは、大聖女イルナ様の存在があるからでしょうか。
イルナ様の庇護下にはモドス王子がおられます。
これが天帝の勇者の抑止力になっているのでしょう。
おかげでイルナ様は、いつも天帝の勇者に命を狙われる、危うい立場になっているのです。
だから援軍にいる時も、私は心配で心が落ちつきません。
「ひひひー」
「ぐえーへへへへー」
天帝の騎士団から、下品でいやらしい笑い声が聞こえて来ます。
「止まれーー!!」
「何でしょうか?」
「ふんっ、お前がその隊の責任者か?」
天帝の騎士団の隊長が私の行く手をさえぎってきました。
「はい、聖騎士団第四隊副隊長のライファと申します。何のご用でしょうか?」
「ちっ、何のご用でしょうかと来たもんだ。いけ好かねえ女だぜ!」
私達女聖騎士は、騎士団の中で最弱です。
そのため、騎士団の中で馬鹿にされ続けています。
こんな扱いには慣れています。
「も、申し訳ありません」
「反省しているのか?」
「はい」
「ふん、いいだろう。裸おどりで許してやる」
「ぎゃあーはっはっはー」
部下の兵士達が馬鹿笑いをはじめました。
くっ、なんで男達はこうなんでしょうか。
好きでもない女の裸なんか見て楽しいのでしょうか?
「お、お許しください。私達は聖騎士です。純血を守らねばなりません」
「大丈夫だ。さわらねえ。見るだけだ」
「ぎゃあーははははははーーー」
兵士達が大声で笑い出した。
こいつらは、だめだ。
天帝の勇者のように腐っている。
王国騎士団も酷かったけど、ここまでじゃなかった。
天帝の騎士団は、賊と何も変わらない。
もはや天帝の賊と言っていい。
「ふふふ、断る!!」
「な、何だとー!! 女騎士ごときがーー!! 断った事を後悔させてやるー!!」
隊長とまわりの兵士達が襲いかかろうとします。
でも私の部下は怯んでいません。
きっと、エマ姉にダンジョンで鍛えられたのでしょう、強くなっている様に感じます。
今回の五百人はデイラ領に来ていなかった部下達です。
ひょっとすると、聖騎士四番隊は知らないうちに最強になっているのかもしれません。
「まて、まて、まてーーっ!!!」
街の門が開き、領兵の一団が出て来ました。
そして、一人の精悍な顔つきの男が飛び出してきました。
男らしい良い顔付きです。もてるのじゃ無いでしょうか?
しかも、筋肉隆々でとても強そうです。
その男が、手に太い棍を持ち私に向ってきます。
――えっ、私に!!
「うおおおおおおーーーー」
男は、棍を振りかぶると渾身の力で私の頭に振り下ろします。
見たことも無い男です。
いったい何なんでしょうか?
緑の中に、黄色い高い壁に守られたバルビロ領の領都が見えてきました。
バルビロ領の領都は王都からは歩兵の行軍でも二週間ほどで到着します。
逆に言えば、ここが落ちれば王都が魔王軍の射程範囲に入ってしまう。
何としても守らねばならない。
魔王軍は、律儀に降伏勧告をし、攻める日まで指定してきました。いつも通りです。
そして言葉通り侵攻して来るでしょう。
私は領主バルビロ様からの援軍要請を受け、手勢五百人を連れて応援に来ました。
「ぎゃーーはっはっー!! 女聖騎士様のご到着だーー!!」
領都の防壁のまわりには、先に援軍に来ている天帝の騎士団が野営している。
王国騎士団が、玉砕したため新たに編成された騎士団は、天帝の騎士団と命名された。
すでに王国は天帝の勇者が実権を握り、国王の姿を見ることも出来なくなった。
すでに命を落としているのでは無いかと、ささやく者さえいる。
私は、天帝の勇者ならやりかねないと思っている。
――天帝の勇者は王になるつもりなのでは無いか?
と、さえ疑っている。
それをしないのは、大聖女イルナ様の存在があるからでしょうか。
イルナ様の庇護下にはモドス王子がおられます。
これが天帝の勇者の抑止力になっているのでしょう。
おかげでイルナ様は、いつも天帝の勇者に命を狙われる、危うい立場になっているのです。
だから援軍にいる時も、私は心配で心が落ちつきません。
「ひひひー」
「ぐえーへへへへー」
天帝の騎士団から、下品でいやらしい笑い声が聞こえて来ます。
「止まれーー!!」
「何でしょうか?」
「ふんっ、お前がその隊の責任者か?」
天帝の騎士団の隊長が私の行く手をさえぎってきました。
「はい、聖騎士団第四隊副隊長のライファと申します。何のご用でしょうか?」
「ちっ、何のご用でしょうかと来たもんだ。いけ好かねえ女だぜ!」
私達女聖騎士は、騎士団の中で最弱です。
そのため、騎士団の中で馬鹿にされ続けています。
こんな扱いには慣れています。
「も、申し訳ありません」
「反省しているのか?」
「はい」
「ふん、いいだろう。裸おどりで許してやる」
「ぎゃあーはっはっはー」
部下の兵士達が馬鹿笑いをはじめました。
くっ、なんで男達はこうなんでしょうか。
好きでもない女の裸なんか見て楽しいのでしょうか?
「お、お許しください。私達は聖騎士です。純血を守らねばなりません」
「大丈夫だ。さわらねえ。見るだけだ」
「ぎゃあーははははははーーー」
兵士達が大声で笑い出した。
こいつらは、だめだ。
天帝の勇者のように腐っている。
王国騎士団も酷かったけど、ここまでじゃなかった。
天帝の騎士団は、賊と何も変わらない。
もはや天帝の賊と言っていい。
「ふふふ、断る!!」
「な、何だとー!! 女騎士ごときがーー!! 断った事を後悔させてやるー!!」
隊長とまわりの兵士達が襲いかかろうとします。
でも私の部下は怯んでいません。
きっと、エマ姉にダンジョンで鍛えられたのでしょう、強くなっている様に感じます。
今回の五百人はデイラ領に来ていなかった部下達です。
ひょっとすると、聖騎士四番隊は知らないうちに最強になっているのかもしれません。
「まて、まて、まてーーっ!!!」
街の門が開き、領兵の一団が出て来ました。
そして、一人の精悍な顔つきの男が飛び出してきました。
男らしい良い顔付きです。もてるのじゃ無いでしょうか?
しかも、筋肉隆々でとても強そうです。
その男が、手に太い棍を持ち私に向ってきます。
――えっ、私に!!
「うおおおおおおーーーー」
男は、棍を振りかぶると渾身の力で私の頭に振り下ろします。
見たことも無い男です。
いったい何なんでしょうか?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる