192 / 208
第百九十二話 いったい何者
しおりを挟む
翌朝、私はリョウキ様に呼び出され物見台に上った。
物見台からは、帆をたたんだ魔王軍の艦隊が見える。
バルビロ領兵の、各部隊の旗が微かに西風に揺れている。
「おはようございます。まだ、西風が吹いていますね。魔王軍は何故攻めてこないのでしょうか?」
私はリョウキ様にたずねました。
その質問を聞くと、リョウキ様とバルゼオ様が笑い出した。
「ふふふふふ、聞いてくださいライファ様。プッ」
何だか笑いがこらえきれない様子。
いったい何がそんなに面白いのでしょうか。
「があーっはっはっはっ、それが、それが……ぶはっ」
バルゼオ様が笑っています。
だから、なにがそんなに可笑しいのかそれが知りたいのです。
私は、少しイライラしています。
「す、済みません。笑いが収まらなくて。い、今説明します」
「はい、お願いします」
「じつは、魔王軍が……ぶはっ」
「もーー、いったい何があったのですかーー!!」
とうとう、私は、はやく聞きたくて声が大きくなりました。
「兵士が船酔いで、出航出来ないということです」
「えっ」
「ふふふ、早朝、魔王軍の状況が分かりました。魔王軍の兵士は激しい船酔いで行動不能と言うことです。そのため一週間かけて、兵士を船になれさせると言うことです。その間、船を桟橋に固定して揺れを少なくし、兵士を寝泊まりさせると報告がありました。船同士も固定すれば揺れが少なくなり、船になれやすいと密偵が提案したということです」
リョウキ様は、魔王軍に密偵を潜入させているということですが、かなり立場が上の人が密偵のようです。
「そ、それは……」
「さすがですね。ライファさんはもう気が付きましたか。ここから先は極秘です。誰が聞いているか分かりませんので、作戦室へ移動しましょう」
作戦室に移動すると、リョウキ様とバルゼオ様は、さっきまで笑っていた人とは思えない重苦しい雰囲気になり、私を見つめます。
「四日後、魔王軍の兵士が船になれた頃を見計らって、ヌルの差し入れをしようと考えています。そして、どんなに犠牲を払っても、五日後の深夜に火計を仕掛けます」
「それは、強く西風が吹いていてもと、いうことですか?」
「そうですね。天がもたらしてくれた好機です。見逃すことは出来ません。うまくすれば魔王軍を全滅させられます」
「出来れば気まぐれな東風が吹いてくれたら、ありがたいのだがな」
バルゼオ様がそう言うと、私を見つめます。
リョウキ様まで見つめます。
「どうか戦女神様、五日後の深夜東風をお願いします!」
「はーーーっ!!! や、やめてください!! なにをしているのですかーーー!!!」
嫌がる私を無視して、リョウキ様とバルゼオ様、二人だけで無く、この部屋にいる重臣の方々全員が私に手を合わせました。
こうして、バルビロ領兵は作戦開始までの間、交代で休暇を取ることになりました。
私は作戦室をあとにすると、自室に戻った。
私もこの休暇でゆっくり休みたいと思います。
「ライファ様」
ノックと共に私を呼ぶ声がします。
「はい」
「今日から護衛が入れ替わりますので、あいさつに来ました」
「あ、あなたは!」
「今日から、ライファ様の護衛を務めます、隊長のレノですよろしくお願いします」
先日、ヌルを持ってきてくれた女性兵士です。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「あ、あのー、ライファ様。少しお時間大丈夫でしょうか」
「は、はい。大丈夫ですが、何でしょうか」
「はい、私と是非手合わせをお願いします」
そういうと、レノさんは嫌な笑みを浮かべた。
これは私達聖騎士団四番隊を、いつも弱いと馬鹿にしてくる、王国騎士団の男達の笑いと同じ物だ。
久々に嫌な気持ちになった。
「分かりました。お手柔らかにお願いします」
私は、嫌な気持ちを隠し、笑顔で答え外に歩き出しました。
レノさんとは、いったい何者なのでしょう。
そして、どの位の実力なのでしょうか?
物見台からは、帆をたたんだ魔王軍の艦隊が見える。
バルビロ領兵の、各部隊の旗が微かに西風に揺れている。
「おはようございます。まだ、西風が吹いていますね。魔王軍は何故攻めてこないのでしょうか?」
私はリョウキ様にたずねました。
その質問を聞くと、リョウキ様とバルゼオ様が笑い出した。
「ふふふふふ、聞いてくださいライファ様。プッ」
何だか笑いがこらえきれない様子。
いったい何がそんなに面白いのでしょうか。
「があーっはっはっはっ、それが、それが……ぶはっ」
バルゼオ様が笑っています。
だから、なにがそんなに可笑しいのかそれが知りたいのです。
私は、少しイライラしています。
「す、済みません。笑いが収まらなくて。い、今説明します」
「はい、お願いします」
「じつは、魔王軍が……ぶはっ」
「もーー、いったい何があったのですかーー!!」
とうとう、私は、はやく聞きたくて声が大きくなりました。
「兵士が船酔いで、出航出来ないということです」
「えっ」
「ふふふ、早朝、魔王軍の状況が分かりました。魔王軍の兵士は激しい船酔いで行動不能と言うことです。そのため一週間かけて、兵士を船になれさせると言うことです。その間、船を桟橋に固定して揺れを少なくし、兵士を寝泊まりさせると報告がありました。船同士も固定すれば揺れが少なくなり、船になれやすいと密偵が提案したということです」
リョウキ様は、魔王軍に密偵を潜入させているということですが、かなり立場が上の人が密偵のようです。
「そ、それは……」
「さすがですね。ライファさんはもう気が付きましたか。ここから先は極秘です。誰が聞いているか分かりませんので、作戦室へ移動しましょう」
作戦室に移動すると、リョウキ様とバルゼオ様は、さっきまで笑っていた人とは思えない重苦しい雰囲気になり、私を見つめます。
「四日後、魔王軍の兵士が船になれた頃を見計らって、ヌルの差し入れをしようと考えています。そして、どんなに犠牲を払っても、五日後の深夜に火計を仕掛けます」
「それは、強く西風が吹いていてもと、いうことですか?」
「そうですね。天がもたらしてくれた好機です。見逃すことは出来ません。うまくすれば魔王軍を全滅させられます」
「出来れば気まぐれな東風が吹いてくれたら、ありがたいのだがな」
バルゼオ様がそう言うと、私を見つめます。
リョウキ様まで見つめます。
「どうか戦女神様、五日後の深夜東風をお願いします!」
「はーーーっ!!! や、やめてください!! なにをしているのですかーーー!!!」
嫌がる私を無視して、リョウキ様とバルゼオ様、二人だけで無く、この部屋にいる重臣の方々全員が私に手を合わせました。
こうして、バルビロ領兵は作戦開始までの間、交代で休暇を取ることになりました。
私は作戦室をあとにすると、自室に戻った。
私もこの休暇でゆっくり休みたいと思います。
「ライファ様」
ノックと共に私を呼ぶ声がします。
「はい」
「今日から護衛が入れ替わりますので、あいさつに来ました」
「あ、あなたは!」
「今日から、ライファ様の護衛を務めます、隊長のレノですよろしくお願いします」
先日、ヌルを持ってきてくれた女性兵士です。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「あ、あのー、ライファ様。少しお時間大丈夫でしょうか」
「は、はい。大丈夫ですが、何でしょうか」
「はい、私と是非手合わせをお願いします」
そういうと、レノさんは嫌な笑みを浮かべた。
これは私達聖騎士団四番隊を、いつも弱いと馬鹿にしてくる、王国騎士団の男達の笑いと同じ物だ。
久々に嫌な気持ちになった。
「分かりました。お手柔らかにお願いします」
私は、嫌な気持ちを隠し、笑顔で答え外に歩き出しました。
レノさんとは、いったい何者なのでしょう。
そして、どの位の実力なのでしょうか?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる