底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第四十一話 新たな力

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「まずは、重さだ。旧型は材料節約の為、プラモと同じで中空だった。新型は全部金属製で重い。人間ごときに投げられるような事はもう無いはずだ。そして材質が違う。この鎧はオリハルコン85パーセント、アダマンタイト10パーセント、炭素5パーセントの、オリハルコンアダマンタイト合金炭素鋼だ。オリハルコン炭素鋼より、はるかに固い。当然ブレードも、合金化してある。そして鎧の中にブレードが二本配置してある。もちろん白兵戦の為でもあるが、空調の為でもある」

「ブレードが空調?」

「そう、赤いブレードは、火属性。つまり寒いところでは、暖房になる。そして青いブレードには氷結魔法と、空気魔法を付与してもらう。つまり冷房と、酸素ボンベだ。これで水の中も行動可能になっている」

「すげーーーっ」

 聞いている人から歓声が上がった。
 実際、よくポンポンこんなことを考え付くものだと感心した。

「あずさ、鉱石を次々出してくれ」

「はい」

 あの人は、あずさちゃんが次々出す鉱石を、次々吸収して、新型機を次々出していく。

「あら、汎用型が一台多いわよ」

 新型汎用型は、旧型とまるで違った。
 旧型は、オリハルコンとミスリルの部分が独立していて、ツートンカラーだったのに、新型は全体が紫色になっている。
 そうか、地金が合金になっているということですね。
 その汎用型が、二台だったはずなのに三台ある。

「ああ、一台は、ミサの専用機だ」

 うわーーーっ!! さらっといいやがりました。
 ほれてしまうだろーー!! まあタイプじゃ無いからほれませんけど。
 でも、不意なことで感動して、うれしくて涙ぐんでしまいました。

「名前はどうするの?」

「新型の名前は最後に改をつけようと思う」

「待って欲しい、アンナメーダーマン!」

「なんですか、寺倉さん」

「是非陸の一文字も入れて欲しい」

「そうですか。じゃあ、赤いのは機動戦闘陸鎧天夕改、青いのは機動防衛陸鎧天海か……語呂が悪い蒼天にしよう。そして機動汎用陸鎧天紫改だな」

「おおおーっ」

 どよめきと拍手がおきた。
 あずさちゃんの魔法付与が終ると、早速私は、新型鎧天紫改に乗り込み、三河へ、天夕改と蒼天を持ってテレポートした。
 教団幹部に引き渡すと説明もそこそこに、天紫改に乗ってとんぼ返りした。
 戻った私の目の前に、八体の鎧が整列している。
 キラキラ輝く異世界の金属製の鎧が威風堂々と整列する姿は美しく、そしてかっこよかった。
 ちゃっかり私もその中に並び、九体の鎧が勢揃いした。

 スマホであずさちゃんが写真を撮っている。
 電波が無いので通信は出来ないけど、写真は撮れるのでそのまま使っている。
 後でプリントした物を、もらっておきましょう。

「おいおい、俺の激豚メイル改も入れてくれなくちゃあな」

 真っ黒な、鎧が一体歩いて来た。

「この機体は、アダマンタイトにオリハルコンが10パーセントまぜてあるアダマンタイトオリハルコン合金炭素鋼で……」

 あの人はその後も説明していましたが、もう誰も聞いていませんでした。
 正直どうでもいいですよね。

「皆さん炊き出しが終りましたーーー!!」

 ずっと良い匂いがしていましたが、親子丼を作っていたようです。
 寺倉さん自慢の野外炊具一号で作ったようです。
 避難民全員に親子丼が振る舞われ、美味しそうに全員で食べています。
 知らない間に愛美さんも来ていて、あずさちゃんと坂本さんと一緒に美味しそうに食べています。

「寺倉さん、俺の方からは強要はしたくない、でも心の中では避難民は全員、木田市で受け入れたいと思っている」

「わかりました。明日の朝にでも一人一人の意志を確認して見ましょう」

「お願いします」

 あの人は、こんな時まで避難民の事ばかり考えているようです。

「あずさ、横いいか」

「はい」

 そう言うと、あの人はあずさちゃんの横に座りました。
 いつもと少し雰囲気が違います。

「少し話してもいいかな」

「はい」

「ゾンビを吸収して、少しおかしいーんだ」

「えっ」

「ゾンビになにかしら変な力があって、それまで吸収してしまったようだ」

 あずさちゃんが、いつになく怖い表情になった。

「ちょっと来て下さい」

 あずさちゃんが人気の無いところへあの人を連れて行きます。
 もちろん私もついていきます。
 そこで、あずさちゃんはミスリル鋼の大きな固まりを出すとそれに手を当てます。
 ミスリル鋼が、光り出しました。
 まるでサファイアのような輝きからどんどん光が増して、白に近い光に変わります。

「これが、限界のようですね。とうさんこれを吸収して下さい」

「わかった」

 そう言うと、あの人はあずさちゃんのように白く輝くミスリル鋼に手を当てます。
 次の瞬間、ミスリル鋼がパッと消えます。

「うわあ!! な、なんだこれは」

「とうさん、どうですか」

「うむ、同じだ、だがミスリル鋼の力の方が100倍は強いぞ、すごい力だ」

「うふふ、魔力ですね。しかも私と同じ種類の……」

「ということは、あのハルラは、やはり、あずさと同じ世界の転生者ということなのか」

「はい」

「そうか……」

 二人は暗い表情になりました。
 あずさちゃんを前世で殺した勇者ハルラ。
 そして、この世界でも敵になってしまった。
 暗い気持ちにもなるはずです。
 私はじっと、見つめることしか出来ませんでした。

「でもな、おかげでとうさんは、こんなことが出来る様になった」

 そう言うと、あの人は、オリハルコンアダマンタイト合金炭素鋼製の、人型のアンドロイドのような物を造り出しました。

「とうさんは、どうしてそんな……」

 そう言うと、あずさちゃんが泣き崩れました。
 いったいどうしたのでしょうか。
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