41 / 428
第四十一話 新たな力
しおりを挟む
「まずは、重さだ。旧型は材料節約の為、プラモと同じで中空だった。新型は全部金属製で重い。人間ごときに投げられるような事はもう無いはずだ。そして材質が違う。この鎧はオリハルコン85パーセント、アダマンタイト10パーセント、炭素5パーセントの、オリハルコンアダマンタイト合金炭素鋼だ。オリハルコン炭素鋼より、はるかに固い。当然ブレードも、合金化してある。そして鎧の中にブレードが二本配置してある。もちろん白兵戦の為でもあるが、空調の為でもある」
「ブレードが空調?」
「そう、赤いブレードは、火属性。つまり寒いところでは、暖房になる。そして青いブレードには氷結魔法と、空気魔法を付与してもらう。つまり冷房と、酸素ボンベだ。これで水の中も行動可能になっている」
「すげーーーっ」
聞いている人から歓声が上がった。
実際、よくポンポンこんなことを考え付くものだと感心した。
「あずさ、鉱石を次々出してくれ」
「はい」
あの人は、あずさちゃんが次々出す鉱石を、次々吸収して、新型機を次々出していく。
「あら、汎用型が一台多いわよ」
新型汎用型は、旧型とまるで違った。
旧型は、オリハルコンとミスリルの部分が独立していて、ツートンカラーだったのに、新型は全体が紫色になっている。
そうか、地金が合金になっているということですね。
その汎用型が、二台だったはずなのに三台ある。
「ああ、一台は、ミサの専用機だ」
うわーーーっ!! さらっといいやがりました。
ほれてしまうだろーー!! まあタイプじゃ無いからほれませんけど。
でも、不意なことで感動して、うれしくて涙ぐんでしまいました。
「名前はどうするの?」
「新型の名前は最後に改をつけようと思う」
「待って欲しい、アンナメーダーマン!」
「なんですか、寺倉さん」
「是非陸の一文字も入れて欲しい」
「そうですか。じゃあ、赤いのは機動戦闘陸鎧天夕改、青いのは機動防衛陸鎧天海か……語呂が悪い蒼天にしよう。そして機動汎用陸鎧天紫改だな」
「おおおーっ」
どよめきと拍手がおきた。
あずさちゃんの魔法付与が終ると、早速私は、新型鎧天紫改に乗り込み、三河へ、天夕改と蒼天を持ってテレポートした。
教団幹部に引き渡すと説明もそこそこに、天紫改に乗ってとんぼ返りした。
戻った私の目の前に、八体の鎧が整列している。
キラキラ輝く異世界の金属製の鎧が威風堂々と整列する姿は美しく、そしてかっこよかった。
ちゃっかり私もその中に並び、九体の鎧が勢揃いした。
スマホであずさちゃんが写真を撮っている。
電波が無いので通信は出来ないけど、写真は撮れるのでそのまま使っている。
後でプリントした物を、もらっておきましょう。
「おいおい、俺の激豚メイル改も入れてくれなくちゃあな」
真っ黒な、鎧が一体歩いて来た。
「この機体は、アダマンタイトにオリハルコンが10パーセントまぜてあるアダマンタイトオリハルコン合金炭素鋼で……」
あの人はその後も説明していましたが、もう誰も聞いていませんでした。
正直どうでもいいですよね。
「皆さん炊き出しが終りましたーーー!!」
ずっと良い匂いがしていましたが、親子丼を作っていたようです。
寺倉さん自慢の野外炊具一号で作ったようです。
避難民全員に親子丼が振る舞われ、美味しそうに全員で食べています。
知らない間に愛美さんも来ていて、あずさちゃんと坂本さんと一緒に美味しそうに食べています。
「寺倉さん、俺の方からは強要はしたくない、でも心の中では避難民は全員、木田市で受け入れたいと思っている」
「わかりました。明日の朝にでも一人一人の意志を確認して見ましょう」
「お願いします」
あの人は、こんな時まで避難民の事ばかり考えているようです。
「あずさ、横いいか」
「はい」
そう言うと、あの人はあずさちゃんの横に座りました。
いつもと少し雰囲気が違います。
「少し話してもいいかな」
「はい」
「ゾンビを吸収して、少しおかしいーんだ」
「えっ」
「ゾンビになにかしら変な力があって、それまで吸収してしまったようだ」
あずさちゃんが、いつになく怖い表情になった。
「ちょっと来て下さい」
あずさちゃんが人気の無いところへあの人を連れて行きます。
もちろん私もついていきます。
そこで、あずさちゃんはミスリル鋼の大きな固まりを出すとそれに手を当てます。
ミスリル鋼が、光り出しました。
まるでサファイアのような輝きからどんどん光が増して、白に近い光に変わります。
「これが、限界のようですね。とうさんこれを吸収して下さい」
「わかった」
そう言うと、あの人はあずさちゃんのように白く輝くミスリル鋼に手を当てます。
次の瞬間、ミスリル鋼がパッと消えます。
「うわあ!! な、なんだこれは」
「とうさん、どうですか」
「うむ、同じだ、だがミスリル鋼の力の方が100倍は強いぞ、すごい力だ」
「うふふ、魔力ですね。しかも私と同じ種類の……」
「ということは、あのハルラは、やはり、あずさと同じ世界の転生者ということなのか」
「はい」
「そうか……」
二人は暗い表情になりました。
あずさちゃんを前世で殺した勇者ハルラ。
そして、この世界でも敵になってしまった。
暗い気持ちにもなるはずです。
私はじっと、見つめることしか出来ませんでした。
「でもな、おかげでとうさんは、こんなことが出来る様になった」
そう言うと、あの人は、オリハルコンアダマンタイト合金炭素鋼製の、人型のアンドロイドのような物を造り出しました。
「とうさんは、どうしてそんな……」
そう言うと、あずさちゃんが泣き崩れました。
いったいどうしたのでしょうか。
「ブレードが空調?」
「そう、赤いブレードは、火属性。つまり寒いところでは、暖房になる。そして青いブレードには氷結魔法と、空気魔法を付与してもらう。つまり冷房と、酸素ボンベだ。これで水の中も行動可能になっている」
「すげーーーっ」
聞いている人から歓声が上がった。
実際、よくポンポンこんなことを考え付くものだと感心した。
「あずさ、鉱石を次々出してくれ」
「はい」
あの人は、あずさちゃんが次々出す鉱石を、次々吸収して、新型機を次々出していく。
「あら、汎用型が一台多いわよ」
新型汎用型は、旧型とまるで違った。
旧型は、オリハルコンとミスリルの部分が独立していて、ツートンカラーだったのに、新型は全体が紫色になっている。
そうか、地金が合金になっているということですね。
その汎用型が、二台だったはずなのに三台ある。
「ああ、一台は、ミサの専用機だ」
うわーーーっ!! さらっといいやがりました。
ほれてしまうだろーー!! まあタイプじゃ無いからほれませんけど。
でも、不意なことで感動して、うれしくて涙ぐんでしまいました。
「名前はどうするの?」
「新型の名前は最後に改をつけようと思う」
「待って欲しい、アンナメーダーマン!」
「なんですか、寺倉さん」
「是非陸の一文字も入れて欲しい」
「そうですか。じゃあ、赤いのは機動戦闘陸鎧天夕改、青いのは機動防衛陸鎧天海か……語呂が悪い蒼天にしよう。そして機動汎用陸鎧天紫改だな」
「おおおーっ」
どよめきと拍手がおきた。
あずさちゃんの魔法付与が終ると、早速私は、新型鎧天紫改に乗り込み、三河へ、天夕改と蒼天を持ってテレポートした。
教団幹部に引き渡すと説明もそこそこに、天紫改に乗ってとんぼ返りした。
戻った私の目の前に、八体の鎧が整列している。
キラキラ輝く異世界の金属製の鎧が威風堂々と整列する姿は美しく、そしてかっこよかった。
ちゃっかり私もその中に並び、九体の鎧が勢揃いした。
スマホであずさちゃんが写真を撮っている。
電波が無いので通信は出来ないけど、写真は撮れるのでそのまま使っている。
後でプリントした物を、もらっておきましょう。
「おいおい、俺の激豚メイル改も入れてくれなくちゃあな」
真っ黒な、鎧が一体歩いて来た。
「この機体は、アダマンタイトにオリハルコンが10パーセントまぜてあるアダマンタイトオリハルコン合金炭素鋼で……」
あの人はその後も説明していましたが、もう誰も聞いていませんでした。
正直どうでもいいですよね。
「皆さん炊き出しが終りましたーーー!!」
ずっと良い匂いがしていましたが、親子丼を作っていたようです。
寺倉さん自慢の野外炊具一号で作ったようです。
避難民全員に親子丼が振る舞われ、美味しそうに全員で食べています。
知らない間に愛美さんも来ていて、あずさちゃんと坂本さんと一緒に美味しそうに食べています。
「寺倉さん、俺の方からは強要はしたくない、でも心の中では避難民は全員、木田市で受け入れたいと思っている」
「わかりました。明日の朝にでも一人一人の意志を確認して見ましょう」
「お願いします」
あの人は、こんな時まで避難民の事ばかり考えているようです。
「あずさ、横いいか」
「はい」
そう言うと、あの人はあずさちゃんの横に座りました。
いつもと少し雰囲気が違います。
「少し話してもいいかな」
「はい」
「ゾンビを吸収して、少しおかしいーんだ」
「えっ」
「ゾンビになにかしら変な力があって、それまで吸収してしまったようだ」
あずさちゃんが、いつになく怖い表情になった。
「ちょっと来て下さい」
あずさちゃんが人気の無いところへあの人を連れて行きます。
もちろん私もついていきます。
そこで、あずさちゃんはミスリル鋼の大きな固まりを出すとそれに手を当てます。
ミスリル鋼が、光り出しました。
まるでサファイアのような輝きからどんどん光が増して、白に近い光に変わります。
「これが、限界のようですね。とうさんこれを吸収して下さい」
「わかった」
そう言うと、あの人はあずさちゃんのように白く輝くミスリル鋼に手を当てます。
次の瞬間、ミスリル鋼がパッと消えます。
「うわあ!! な、なんだこれは」
「とうさん、どうですか」
「うむ、同じだ、だがミスリル鋼の力の方が100倍は強いぞ、すごい力だ」
「うふふ、魔力ですね。しかも私と同じ種類の……」
「ということは、あのハルラは、やはり、あずさと同じ世界の転生者ということなのか」
「はい」
「そうか……」
二人は暗い表情になりました。
あずさちゃんを前世で殺した勇者ハルラ。
そして、この世界でも敵になってしまった。
暗い気持ちにもなるはずです。
私はじっと、見つめることしか出来ませんでした。
「でもな、おかげでとうさんは、こんなことが出来る様になった」
そう言うと、あの人は、オリハルコンアダマンタイト合金炭素鋼製の、人型のアンドロイドのような物を造り出しました。
「とうさんは、どうしてそんな……」
そう言うと、あずさちゃんが泣き崩れました。
いったいどうしたのでしょうか。
10
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる