底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
53 / 428

第五十三話 月に照らされ、美しく光る大阪城

しおりを挟む
ハルラ達の姿は夜の大阪城公園にあった。
満月は照明のように大阪城天守閣を照らしている。

「おー、俺の家が見えてきた」

ハルラが天守閣を見てニヤニヤ笑っている。
桜木達は、ハルラがここを自宅にするつもりだとすぐに理解した。
まさか、江戸城を襲ったのは、あそこを自宅にするつもりだったのかと気が付き、今更ながら恐怖を感じていた。

「わーーーっ!! わーーーーっ!!!」

大勢の人の喚声が聞こえる。
声の方に向うと、数千の人間が広場に集まっていた。
広場には舞台が置かれ舞台の中央に椅子があり、頭がつるつるの、体のでかい男がふんぞり返っていた。こいつが、ボスなのだろうとすぐにわかる。

「あのハゲはバカなのでしょうか。あんなところでふんぞり返っていれば、殺してくれと言っている様なものです。さて、どれにしようかな。きひひっ」

桜木は舞台を見た。
舞台の上やまわりには、銃を持った男達がいて、守備をしている。
中には機関銃を持っている者までいる。
だが、ハルラ様にとっては、あんな守備は無いに等しいのだろうなと、思っていた。

――それにしても、ハルラ様はやけに上機嫌だな。

桜木はハルラの上機嫌に気が付いていた。
それもそのはず、住みかと、女が手に入り上機嫌になっているのだ。

広場では、ガラの悪い連中が丸く輪を作り、その中央でひどいリンチが行われている。

「ぐわっはっはっはー、見せしめだー! もっと痛めつけろーー!!」

特等席で、ボスが笑っている。

「ぎゃーーーー!!!」

人垣の輪の中央で数十人の者達が痛めつけられている。
すでに血だらけだ。

「まあ、あいつがこの中で、一番だな」

ハルラは、輪の中の痛めつけられている人間に、トコトコ近づいていく。

「ハ、ハルラ様!!」

桜木はハルラを追おうとした。

「桜木ーー!! 足手まといだ! お前達は命令するまで動くなー!! すぐに出番は作ってやる」

「はっ!!」

桜木は、返事をすると、ハルラが何をするのか見学する事にした。

「どれどれ」

ハルラが、リンチの輪の中に進むと、驚きで他の人間の動きが止まった。
そして、リンチを受けている中の一人に近づいた。
ハルラは、その人に近づくと胸をもみ、スカートをまくって中を見た。
全体が静まり帰った。
あまりにも自然体で、そうするのが当たり前に見えて、まわりが反応を忘れてしまったのだ。

「きっ、貴様ー! な、何をしている」

やっと、リンチをしている一人が声を上げた。

「あー、この女、俺がもらうわ」

そう言うと、女の髪をわしづかみにすると、ズルズル引きずって歩き出した。

「何をボーーッとしている。ぶち殺せーーーー!!!!」

ボスが大声を出した。
その瞬間ハルラの目が、あやしく光った。
ハルラは、舞台に向ってあいている手の平を向けた。
舞台の上の男達の体に赤い線が入った。
ボスは、首に赤い線が出来ている。
ボスの首の線の高さにあわせて、まわりの男達にも線が入っているようだ。

最初に、ボスの首がボトリと落ちた。
首から、水鉄砲のように、チューッと二本血が噴き出す。頸動脈からの血であろうか。
遅れて、ボスのまわりの男達の体が切れて、ドサドサ地べたに落ちた。
上半身と下半身が真っ二つだ。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

広場に恐怖の声が上がった。

「ふふふっ、無詠唱で出せるのですが、皆さんにはこう言った方が理解しやすいですか。エアーカッター!!!!」

「逃げろーー!! ばけもんだー!!! ひいいいいいーーーー!!」

広場から悲鳴が上がり、逃げだそうと動き出した。

「うごくなーーーー!!! 声を出すなー!!!! 命令を聞かない奴はころーーすーー!!! 桜木ー、命令を聞かないものはころせーー!!!」

ハルラは、大声を出した。
その大声は、大勢の人の悲鳴をかき消し、広場中に響いた。
そして、ハルラはどこからか大きな鉄剣を出し、桜木と部下の足下に投げた。

ハルラの大声で、静まり返った群衆だったがふたたび、動き出そうとした。

「ぎゃあああああーーーー!!!!」

動いたものは、桜木達が容赦無く切り殺した。
桜木の持っている剣は二メートルほどの長さがある。
動いた者と、その回りの者を巻き込んで、直径四メートル程の人達を真っ二つにした。

「うごくなーーー!!!」

「騒ぐなーーーーーー!!!!」

桜木と部下が声を張り上げ剣を振り回す。

「ぎゃああああーーーー」

しばらく悲鳴が上がり続けた。
ハルラは女を引きずりながらゆっくり舞台に上がる。
女はあまりの光景に、手で口を押さえながらぼろぼろ涙を流し、何も抵抗できないでいる。
舞台に上がると、血でベトベトになった椅子に、胴体だけで座る死体を蹴り落とした。

「おーい、鈴木先生!!」

舞台の上から子供の様な笑顔で、鈴木を手招きした。
鈴木は呼ばれるまま舞台に上がった。
舞台に上がった鈴木を満足そうに見ると、椅子を指さした。
鈴木はこの血でビチョビチョになった椅子に座るのかと、ちゅうちょしたが視線をハルラに移すと、口は笑っているが目が笑っていない。

――くそっ、ハルラめ、俺をためしていやあがる。

鈴木は素早く椅子に座り、足を組みえらそうにふんぞり返った。
高いオーダーメイドのスーツが、どこの誰ともわからない男の血で汚れてしまって、泣きたい気持ちになっている。

「このやろーーー!!!」

舞台の脇の、ハゲの配下が我にかえり銃を発砲した。

パパパパパパ
パーーン、パーーン

「馬鹿め、鎧を着込んでいない時は、当然結界を張ってある。そんな物が効くかよ!!」

弾丸は結界に捕まったのか、宙に浮いて止まっている。

「くそーーっ」

それでも、ハゲの部下は弾丸がつきるまで撃ち続けた。

「先生、どうしますかー」

ハルラは、鈴木に無駄に整った美形の顔を近づけ、ニヤニヤ笑って声をかけた。
また、鈴木を試すようだ。

――ふふふ、俺に言わせようと言うのか。

「ちっ、殺せーーーー!!!」

鈴木は、やけくそで大声を出した。
最早、後戻りできないことを自覚した。

「はっ、鈴木先生! 仰せのままに」

ハルラは、ハゲの部下をニヤニヤ気持ちの悪い笑顔で見回した。
だが、目だけは鋭く吊り上がり、月を反射して青くあやしく光っている。

「に、逃げろー!!」

ハゲの部下がハルラに無防備に背をむけた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...