底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
93 / 428

第九十三話 再就職

しおりを挟む
 あずさの瞳がキラリと輝き隠しきれないうれしさに、顔がほころんでいる。
 はぁーっ、やれやれだぜ。
 ここは、あずさのやりたいように任せますか。

「ある時は、駿河の商人大田大。またある時は、公開処刑の見物人。まーたある時は、正義のヒーローアンナメーダーマン。しかしてその実体は、木田家当主、木田とうその人です」

「なーーっ! ボケねえのかよーー!!」

「ふっふっふっ、私はいつも真面目です。ぼけた事などありません」

 あずさの奴、本気なのか。
 いつもボケまくっている気がするのだが、まあいいか。

「き、木田の当主……」

 重臣達の頭がまだ追いついていないようだ。

「きっ、木田の大殿様。はっははーーっ」

 重臣達が平伏した。
 木田の殿様は、有名なようだ。

「この事は、ここだけの秘密にしてくれ。あずさ! ここに今川を連れてきてくれ」

「はい」

 あずさは姿を消すとすぐに、今川と別に二人の男を連れてきた。

「あの、大田さん、ここは?」

 今川が、キョロキョロあたりを見回している。

「あー、ここは、浜松の天地海山教の教祖様の私邸だ。この人達は遠江、松平家の重臣の方々だ。俺の事は全て話してある」

「そうですか。で、大殿、私を呼んだ理由を教えて下さい」

 松平の重臣がザワザワしている。
 今川を見るのが初めてのようだ。

「今より、三河と遠江も面倒を見て欲しい」

「はああーーっ、面倒を見て欲しいって、まだこっちは焼津の調査も終っていませんよ」

「うむ、たまたまそういう流れとなった。よろしく頼む。新貨幣の流通と農業を中心に進めて欲しい」

「たまたまって大殿には、かないませんなー。全力で努めさせていただきます」

「うむ、頼む」

「はっ」

「で、そちらの方は」

 俺は、今川と一緒に来た、招かざる男二人に視線を移した。

「お久しぶりです。寺倉です。そしてこちらが侍従職の方です」

 そうか、それで、坂本さんの様子が変なのか。
 寺倉さんとは、現在江戸城を守る自衛隊のトップの人だ。

「で、何の用でしょうか」

「はい。坂本さんが警察をクビになったという事で、探していたところ大田商店であずさちゃんに会い、こちらにいると聞きまして、無理を言って同行させてもらいました」

「なるほど」

「坂本さん、是非、自衛隊に就職してもらえませんか」

「いえ、侍従職についてもらいたい」

 どうやら、坂本さんの争奪戦のようだ。
 俺と違って優秀な人は、仕事の方からやってくるようだ。
 うらやましいー!

「ありがとうございます。ですが、私はすでに、大田大さんの嫁になりました。他所へ行く気はありません」

 はーーっ、また、この人はややこしくなる言い方をする。
 坂本さんはよほど、大田大の嫁が気にいっているようだ。

「聞けば、相当理不尽ないわれ方をされたと聞きます。怒る気持ちは理解出来ますが、あなた無しでは、皇居が成り立ちません。どうか、お戻り頂けませんか。なんなら、警察を全員クビにして、坂本さんだけ警察官として戻って頂いても構いません。当然、大田大さんの嫁のままでも構いません」

「なっ……」

 坂本さんは驚いた顔をして目を見開き、その目にみるみる涙がたまった。

「坂本さん、どうやら坂本さんを理解してくれている人が、一杯いるみたいですね」

「は、はい。う、うううう。木田さん、私、私」

 とうとう、泣きだした。
 どうやら、坂本さんは江戸城へ戻ってくれるようだ。
 やれやれだぜ。

「どうぞ、あとの事は心配せずにもどってあげて下さい」

「は、はい」

 やれやれ、二度と嫁の代行など頼まないようにしよう。

「よかった。ですね」

 あずさが背中をさすりながら言った。
 はー、よかった。よかった。俺も胸をなで下ろした。

「ありがとうございます。では、大田大さんの嫁のまま、皇居へ戻ります」

「えっ」

 俺と、あずさとミサが驚いた。
 どうやら、坂本さんは大田大の嫁の座を降りる気は無いようだ。

「そういう手がありますのね」

 ミサが言うと、あずさがうなずいている。
 な、何だよそういう手ってのはよーー。

「ところで伊藤、あんたはここでやり過ぎている。国外追放だ。国外に出たら信濃を平定する部隊がある。そこに合流してもらいたい」

 俺は、伊藤に視線を移し話しかけた。

「はっ」

 伊藤は神妙な顔をして返事をした。
 伊藤の忠誠心は本物と思うのだが、少し気になる事がある。

「なあ、伊藤。大丈夫だとは思うがその後女性に対しては、どう思うのか教えてくれ無いか」

「はっ。実のところ、おかしな事に三次元の女性には興味が持てなくなりました。それどころか、何故か臭い、汚いなどという思いがあります」

「なんですってーーーー!!!」

 坂本さんとあずさとミサが恐ろしい表情で、俺の顔をにらみ付けて来る。
 いやいや、言ったのは俺じゃ無いですよ。
 そこにいる、伊藤ですからー。

「まあ、これなら大丈夫だろう。あずさ、今度は伊藤を柳川の所へ移動させてくれないか」

「はい、わかりました」

 あずさとサイコ伊藤とその部下の姿が消えた。

「ところで、大殿はこの後どうなさるおつもりですか」

「俺か? 俺は浜松を堪能したら、名古屋を目指そうと思う」

「そうですか」

 俺はあずさとクザンの三人で名古屋を目指す事にした。
 今回は、嫁役は無しだ。
 あずさが戻るのを待ち、俺達は名古屋を目指した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...