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第百四話 真田の重装歩兵隊の実力
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真田隊は、全員しゃがみ込んだ。
面積を小さくする為とも言えなくは無いが、ただ単に腰が抜けたようにも見える。
コンコンカンココンカン
銃弾が、鎧にあたり金属音を上げる。
あのゲーム、ゼビ○スの金属板に弾が当たった時のような音がした。
「全軍ひるむな、銃弾は効かないぞ!! まずは伏兵を討ち取れーー!!」
真田の声が響いた。
「おおーーっ!」
短く真田の重装歩兵隊が返事をして、伏兵に突撃をする。
カンカン
銃弾は命中しているが、真田隊には全く効果が無かった。
真田の部隊が伏兵の中に入った瞬間、静かになった。
「な、なんなんだあれは!!」
その光景を見ているもの全員から声が漏れた。
伏兵は悲鳴を上げる事も出来ず殲滅されたのだ。
真田の重装歩兵のアダマンタイト製のブレードは、一振りで五人以上を輪切りにした。
三百人の重装歩兵隊が、一人一振りしただけで、三百人の伏兵の体がバラバラの細切れになっていた。
「す、すごい。何てものを大殿は真田隊に与えたのだ。あんな恐ろしいものを、作ってはいけなかったのでは無いか? それにしても、絶対真田隊とは戦わないでおこう」
北条は、寒気がするのか、気温三十度を超えているのに両手を体にまいて、寒そうにしている。
「これは、なんと言う事だ。このままでは真田の重装歩兵隊は殺戮マシーンになってしまう。以後は強敵以外にブレードを使うのを禁止しなくてはならないな」
真田が目の前の悲惨な光景を見てつぶやいた。
「北条殿、次は俺の番だ。橋の向こうの奴らと戦ってくる」
伊藤は、北条にそう言うと、ゆっくり手下と共に宙に浮いた。
「伊藤殿、あんた空を飛ぶのか。もう何でもありだなー」
北条は、伊藤を止める事をしなかった。
大殿に千人力とも言わせる男の実力に関心を持っていたのだ。
「なんなんだあいつらは。ロボの次は空飛ぶ人間かよー。全員構えろーー」
敵兵は、ハの字になり橋の向こう側で銃を構えた。
サイコ伊藤が橋の中程まで近づくと。
「撃てーー!!」
パパパパパパ
号令と共にサイコ伊藤に銃弾が飛んでくる。
伊藤は、まるでお祈りをするように目を閉じ、手を合掌して、ゆっくりと橋の中央を進んで行く。
弾丸は、伊藤の前で全て止まっている。
敵の攻撃は長くは続かなかった。
もともと、伏兵に主力の武器を持たせていたので、こっちはたいした物量が用意されていなかったのだ。
とはいえ、サイコ伊藤のまわりは姿がよく見えなくなるほどの銃弾が止まっている。
伊藤は右手を、ゆっくり前に出しながら拳を固めた。
そして、手が真っ直ぐ伸びきると、ゆっくり目を開き、同時に拳を開いた。
「うぎゃあああーーーーー」
今度は、大きな悲鳴があたりに響き渡った。
サイコ伊藤が、宙に浮く弾丸を、橋の向こうに並んでいる敵兵に飛ばしたのだ。
七百人の敵兵の半数が倒れ、残っている者達も大なり小なりけがを負っていた。
「ひけーーっ、ひけーーっ!!」
敵兵は最早たたかう事をあきらめ、一目散に逃げて行った。
「な、何てことだ。真田が敵を三百人倒してすごいと思ったが、伊藤は一人で三百五十人を倒してしまった」
「総大将、追い打ちはかけなくていいのか」
伊藤が振り返り、北条に問いかけた。
「いや、もう良いだろう。それより、死んだ者を埋めてやろう」
伏兵は、もともと塹壕を掘っていたのでそのまま土をかけるだけだ。
橋の向こうの兵を塹壕まで運び埋める作業を全軍で始めた。
「真田殿、さすがにあれはやり過ぎであろう」
伊藤が半笑いで、真田に話しかけた。
「いやいや、あれは鎧がいけないのです。こんな凄いものとは思いもしませんでした」
「伊藤殿こそ、あれはやり過ぎなのでは?」
「あれでも手加減はした。敵が弱すぎたのだ。ちゃんと手加減したのだ……」
あっ、あれで手加減したのかよーー。伊藤とも絶対戦わんぞー。
北条は心に誓った。
「伊藤殿、あんたと、大殿はいったいどういう関係なのだ」
「俺と、大殿の関係か……」
伊藤は、宙を見つめて笑い出した。
「ふふふ、俺は、アンナメーダーマンを殺す為の刺客だった」
「なっ、刺客だって!?」
真田と北条が驚いて、伊藤の顔を見つめた。
「そうだ、楽勝で、簡単な仕事だと思っていたが、圧倒的な強さでねじ伏せられたよ」
「さ、さすが、大殿だ」
「俺は、大阪の邪神ハルラの魔法で、心を壊され強い力を得た。今は大殿に心の支配を受け、力を与えられている。今回は大勢死なしてしまって、ずいぶん心が痛んでいる」
「そ、そうは見えないが。まあいい、それよりハルラというのは何者なのだ」
「ああ、ハルラか。日本人、いや世界の人間を殺し尽くそうと考えている、自称邪神、俺から見れば神を名乗る悪魔だ」
「大殿とは真逆の考え方だな」
「そういう事だ。だからこそアンナメーダーマンを目の敵にしている。恐らく俺より強い刺客が次々送られてくるだろう」
「そうか。それでわかったぞ。何故あんな恐ろしい重装歩兵を作ったのか。すべてハルラの脅威から、人類を守る為と言う事なのだろう」
伊藤、真田、北条の連合軍は、敵兵を丁重に埋葬した。
そして、翌日の朝を待って、信濃松本勢の本拠地松本城を目指し進軍を開始した。
面積を小さくする為とも言えなくは無いが、ただ単に腰が抜けたようにも見える。
コンコンカンココンカン
銃弾が、鎧にあたり金属音を上げる。
あのゲーム、ゼビ○スの金属板に弾が当たった時のような音がした。
「全軍ひるむな、銃弾は効かないぞ!! まずは伏兵を討ち取れーー!!」
真田の声が響いた。
「おおーーっ!」
短く真田の重装歩兵隊が返事をして、伏兵に突撃をする。
カンカン
銃弾は命中しているが、真田隊には全く効果が無かった。
真田の部隊が伏兵の中に入った瞬間、静かになった。
「な、なんなんだあれは!!」
その光景を見ているもの全員から声が漏れた。
伏兵は悲鳴を上げる事も出来ず殲滅されたのだ。
真田の重装歩兵のアダマンタイト製のブレードは、一振りで五人以上を輪切りにした。
三百人の重装歩兵隊が、一人一振りしただけで、三百人の伏兵の体がバラバラの細切れになっていた。
「す、すごい。何てものを大殿は真田隊に与えたのだ。あんな恐ろしいものを、作ってはいけなかったのでは無いか? それにしても、絶対真田隊とは戦わないでおこう」
北条は、寒気がするのか、気温三十度を超えているのに両手を体にまいて、寒そうにしている。
「これは、なんと言う事だ。このままでは真田の重装歩兵隊は殺戮マシーンになってしまう。以後は強敵以外にブレードを使うのを禁止しなくてはならないな」
真田が目の前の悲惨な光景を見てつぶやいた。
「北条殿、次は俺の番だ。橋の向こうの奴らと戦ってくる」
伊藤は、北条にそう言うと、ゆっくり手下と共に宙に浮いた。
「伊藤殿、あんた空を飛ぶのか。もう何でもありだなー」
北条は、伊藤を止める事をしなかった。
大殿に千人力とも言わせる男の実力に関心を持っていたのだ。
「なんなんだあいつらは。ロボの次は空飛ぶ人間かよー。全員構えろーー」
敵兵は、ハの字になり橋の向こう側で銃を構えた。
サイコ伊藤が橋の中程まで近づくと。
「撃てーー!!」
パパパパパパ
号令と共にサイコ伊藤に銃弾が飛んでくる。
伊藤は、まるでお祈りをするように目を閉じ、手を合掌して、ゆっくりと橋の中央を進んで行く。
弾丸は、伊藤の前で全て止まっている。
敵の攻撃は長くは続かなかった。
もともと、伏兵に主力の武器を持たせていたので、こっちはたいした物量が用意されていなかったのだ。
とはいえ、サイコ伊藤のまわりは姿がよく見えなくなるほどの銃弾が止まっている。
伊藤は右手を、ゆっくり前に出しながら拳を固めた。
そして、手が真っ直ぐ伸びきると、ゆっくり目を開き、同時に拳を開いた。
「うぎゃあああーーーーー」
今度は、大きな悲鳴があたりに響き渡った。
サイコ伊藤が、宙に浮く弾丸を、橋の向こうに並んでいる敵兵に飛ばしたのだ。
七百人の敵兵の半数が倒れ、残っている者達も大なり小なりけがを負っていた。
「ひけーーっ、ひけーーっ!!」
敵兵は最早たたかう事をあきらめ、一目散に逃げて行った。
「な、何てことだ。真田が敵を三百人倒してすごいと思ったが、伊藤は一人で三百五十人を倒してしまった」
「総大将、追い打ちはかけなくていいのか」
伊藤が振り返り、北条に問いかけた。
「いや、もう良いだろう。それより、死んだ者を埋めてやろう」
伏兵は、もともと塹壕を掘っていたのでそのまま土をかけるだけだ。
橋の向こうの兵を塹壕まで運び埋める作業を全軍で始めた。
「真田殿、さすがにあれはやり過ぎであろう」
伊藤が半笑いで、真田に話しかけた。
「いやいや、あれは鎧がいけないのです。こんな凄いものとは思いもしませんでした」
「伊藤殿こそ、あれはやり過ぎなのでは?」
「あれでも手加減はした。敵が弱すぎたのだ。ちゃんと手加減したのだ……」
あっ、あれで手加減したのかよーー。伊藤とも絶対戦わんぞー。
北条は心に誓った。
「伊藤殿、あんたと、大殿はいったいどういう関係なのだ」
「俺と、大殿の関係か……」
伊藤は、宙を見つめて笑い出した。
「ふふふ、俺は、アンナメーダーマンを殺す為の刺客だった」
「なっ、刺客だって!?」
真田と北条が驚いて、伊藤の顔を見つめた。
「そうだ、楽勝で、簡単な仕事だと思っていたが、圧倒的な強さでねじ伏せられたよ」
「さ、さすが、大殿だ」
「俺は、大阪の邪神ハルラの魔法で、心を壊され強い力を得た。今は大殿に心の支配を受け、力を与えられている。今回は大勢死なしてしまって、ずいぶん心が痛んでいる」
「そ、そうは見えないが。まあいい、それよりハルラというのは何者なのだ」
「ああ、ハルラか。日本人、いや世界の人間を殺し尽くそうと考えている、自称邪神、俺から見れば神を名乗る悪魔だ」
「大殿とは真逆の考え方だな」
「そういう事だ。だからこそアンナメーダーマンを目の敵にしている。恐らく俺より強い刺客が次々送られてくるだろう」
「そうか。それでわかったぞ。何故あんな恐ろしい重装歩兵を作ったのか。すべてハルラの脅威から、人類を守る為と言う事なのだろう」
伊藤、真田、北条の連合軍は、敵兵を丁重に埋葬した。
そして、翌日の朝を待って、信濃松本勢の本拠地松本城を目指し進軍を開始した。
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