208 / 428
第二百八話 アメリカ行き決定
しおりを挟む
「折角、盛り上がっているところ申し訳ねえが、反対の者はいねえか。いたら留守番を変わってやる。……ちっ」
反対の方はいないようです。
ゲン様はそれでも、あきらめが付かないのか、全体をキョロキョロ見渡しています。
「では、俺が想定する敵の布陣と、こっちの布陣を説明する」
シュウ様は凸型の黒い模型を出しました。
それを、京都の場所に三つ置きました。
そして、銀色の模型を、大阪城のまわりに五個置きました。
その内四つを、京都方面へ向けて移動しました。
「黒い模型は羽柴軍、前田隊と柴田隊、そして浅野隊だ。銀色の模型は新政府軍、二番隊、九番隊、十一番隊、十二番隊だ。このうち十一番隊と十二番隊は装備が悪く、兵士の士気も低い。恐らくこの状態でほぼ互角……いや、これで新政府軍の方の分が悪いと思う」
「なるほど」
柳川様が言いました。
「今回の木田軍の目標は、ハルラとの対決及び、遊郭から女性の救出だ。よって、まず京都で戦う羽柴軍と新政府軍の後ろを取り、大阪城に移動出来ないようにしたい。この場所へは、伊達、上杉連合軍に行ってもらいたい。最悪、羽柴軍と新政府軍の両方と戦わないといけない。激戦が予想される」
シュウ様は黒と銀、合計七つの模型の後ろに、青い模型を二つ置きました。その後ろには大阪城と、遊郭があります。
青い模型が伊達軍と上杉軍ですね。
「残りは、全軍大阪城に当たる。敵は十番隊だが、人数も強さも他とは桁違いだろう。全軍が戦っているうちに、十田家の四人と俺で大阪城に潜入する。そしてハルラを倒す」
「お、おおおおーーー!!!!」
「まあ、当日は色々、想定外の事が起きるだろうが、おのおの方の的確な判断を期待する。なお、総攻撃までは、新政府軍にも羽柴軍にもなるべく気付かれたくない。細心の注意を払って隠密行動で頼む」
「大殿、決戦の時間はどの位と考えていますか」
美しい顔をした方が質問しました。
まるで男装の麗人です。
「もちろん、短時間だ。関ヶ原の戦いぐらいだな」
「すると六時間位と言う事ですか」
「うむ、その間を耐えてくれ。羽柴軍とは美濃斎藤家の間で停戦協定中だ、うまくすれば羽柴軍が攻めてこないかもしれない」
「その時は、羽柴軍とは戦わない方が良いのでしょうか」
今度は、眼帯をした立派な体格の方が質問しました。
「大阪城方面に進まなければ放置でいいだろう」
「わかりました」
「ああ一つ言い忘れた。木田家は……」
「不殺をもって最上とする!!!!」
シュウ様が言うのをさえぎって、全員が言いました。
ふ、不殺ですか。戦争で不殺。そんなことが出来るのでしょうか。
「ふふふ、この不殺は、敵を殺さず、味方は敵に殺されずと言う意味だ。全員死ぬ事は許さん! いいな」
「……」
全員、暗い表情で返事をしませんでした。
そうですよね。そう言っている本人が死ぬつもりなのですから。
皆さんの気持ちは、シュウ様に伝わっているのでしょうか。
「うおっ!!」
シュウ様が驚いてのけぞりました。
両目が少し飛び出しています。
何がシュウ様をそんなに驚かせたのでしょうか。
シュウ様の視線の先を見ると、ゲン様のヒザの上の美少女あずさちゃんでした。
特に驚くことは何も無いと思いますが何に驚いたのでしょう。
美少女はとても美しいいい笑顔です。幸せそうな笑顔です。
御光さえ見えます。この笑顔に驚いたのでしょうか?
「あ、あずさ。子供は参加させない。家で勉強だ」
「はああーーーーーーーーーっ!!!!!」
う、うわあっ、凄く恐い顔になりました。
「しょ、しょ、しょうが無いだろう。戦争だ。子供の見るもんじゃ無い」
シュウ様が焦っています。恐怖している様にも見えます。
「……」
今度は無言で下を向きました。
顔に影が落ち、表情は見えません、でもポトリポトリと畳の上に水滴が落ちて、黒く跡になりました。
「だ、伊達、そう言えば米沢牛って、どうなった?」
シュウ様は焦りながら伊達様に質問しました。
眼帯をした男性は、伊達様だったようです。
「よ、米沢牛ですか。それは、食いました」
その伊達様が答えました。
「全部食ったのか?」
「はっ、それはもう一匹残らず食いました」
「ふむ、そうか。藤堂! 松阪牛はどうなった?」
「はっ、松阪牛も食いました。それはもう一匹残らず食いました」
藤堂様まで伊達様の真似をして答えました。
仕方が無いですよね。
食べ物がないのですから、食べられる物は全部食べないといけませんからね。
「うむ、ならば牧場は空いているな」
「はっ、はあ?」
伊達様も藤堂様も質問の真意がわからず、しまらない返事を返しました。
「よし、アメリカのフォード教授のところへ、牛をもらいにいこう。帰りはハワイに行こうかな」
「とうさーーーん!!!」
シュウ様が言い終わると、あずさ様がゲン様のヒザから、すごい勢いでシュウ様に飛びつきました。
「一緒に来てくれるかな」
「行きまーーす」
い、いいともじゃないのね。
「行きまーす!!!!!」
うわあ、舞台の上の美女軍団まで答えています。
「行きます。行きます!!」
ヒマリと、カノンまで答えています。
「わ、私も行きます!」
なんだかよくわかりませんが、遅れを取るわけにはまいりません。
「やれやれだぜ、遊びに行くんじゃねえんだけどなー」
シュウ様は、少し困り顔になりました。
反対の方はいないようです。
ゲン様はそれでも、あきらめが付かないのか、全体をキョロキョロ見渡しています。
「では、俺が想定する敵の布陣と、こっちの布陣を説明する」
シュウ様は凸型の黒い模型を出しました。
それを、京都の場所に三つ置きました。
そして、銀色の模型を、大阪城のまわりに五個置きました。
その内四つを、京都方面へ向けて移動しました。
「黒い模型は羽柴軍、前田隊と柴田隊、そして浅野隊だ。銀色の模型は新政府軍、二番隊、九番隊、十一番隊、十二番隊だ。このうち十一番隊と十二番隊は装備が悪く、兵士の士気も低い。恐らくこの状態でほぼ互角……いや、これで新政府軍の方の分が悪いと思う」
「なるほど」
柳川様が言いました。
「今回の木田軍の目標は、ハルラとの対決及び、遊郭から女性の救出だ。よって、まず京都で戦う羽柴軍と新政府軍の後ろを取り、大阪城に移動出来ないようにしたい。この場所へは、伊達、上杉連合軍に行ってもらいたい。最悪、羽柴軍と新政府軍の両方と戦わないといけない。激戦が予想される」
シュウ様は黒と銀、合計七つの模型の後ろに、青い模型を二つ置きました。その後ろには大阪城と、遊郭があります。
青い模型が伊達軍と上杉軍ですね。
「残りは、全軍大阪城に当たる。敵は十番隊だが、人数も強さも他とは桁違いだろう。全軍が戦っているうちに、十田家の四人と俺で大阪城に潜入する。そしてハルラを倒す」
「お、おおおおーーー!!!!」
「まあ、当日は色々、想定外の事が起きるだろうが、おのおの方の的確な判断を期待する。なお、総攻撃までは、新政府軍にも羽柴軍にもなるべく気付かれたくない。細心の注意を払って隠密行動で頼む」
「大殿、決戦の時間はどの位と考えていますか」
美しい顔をした方が質問しました。
まるで男装の麗人です。
「もちろん、短時間だ。関ヶ原の戦いぐらいだな」
「すると六時間位と言う事ですか」
「うむ、その間を耐えてくれ。羽柴軍とは美濃斎藤家の間で停戦協定中だ、うまくすれば羽柴軍が攻めてこないかもしれない」
「その時は、羽柴軍とは戦わない方が良いのでしょうか」
今度は、眼帯をした立派な体格の方が質問しました。
「大阪城方面に進まなければ放置でいいだろう」
「わかりました」
「ああ一つ言い忘れた。木田家は……」
「不殺をもって最上とする!!!!」
シュウ様が言うのをさえぎって、全員が言いました。
ふ、不殺ですか。戦争で不殺。そんなことが出来るのでしょうか。
「ふふふ、この不殺は、敵を殺さず、味方は敵に殺されずと言う意味だ。全員死ぬ事は許さん! いいな」
「……」
全員、暗い表情で返事をしませんでした。
そうですよね。そう言っている本人が死ぬつもりなのですから。
皆さんの気持ちは、シュウ様に伝わっているのでしょうか。
「うおっ!!」
シュウ様が驚いてのけぞりました。
両目が少し飛び出しています。
何がシュウ様をそんなに驚かせたのでしょうか。
シュウ様の視線の先を見ると、ゲン様のヒザの上の美少女あずさちゃんでした。
特に驚くことは何も無いと思いますが何に驚いたのでしょう。
美少女はとても美しいいい笑顔です。幸せそうな笑顔です。
御光さえ見えます。この笑顔に驚いたのでしょうか?
「あ、あずさ。子供は参加させない。家で勉強だ」
「はああーーーーーーーーーっ!!!!!」
う、うわあっ、凄く恐い顔になりました。
「しょ、しょ、しょうが無いだろう。戦争だ。子供の見るもんじゃ無い」
シュウ様が焦っています。恐怖している様にも見えます。
「……」
今度は無言で下を向きました。
顔に影が落ち、表情は見えません、でもポトリポトリと畳の上に水滴が落ちて、黒く跡になりました。
「だ、伊達、そう言えば米沢牛って、どうなった?」
シュウ様は焦りながら伊達様に質問しました。
眼帯をした男性は、伊達様だったようです。
「よ、米沢牛ですか。それは、食いました」
その伊達様が答えました。
「全部食ったのか?」
「はっ、それはもう一匹残らず食いました」
「ふむ、そうか。藤堂! 松阪牛はどうなった?」
「はっ、松阪牛も食いました。それはもう一匹残らず食いました」
藤堂様まで伊達様の真似をして答えました。
仕方が無いですよね。
食べ物がないのですから、食べられる物は全部食べないといけませんからね。
「うむ、ならば牧場は空いているな」
「はっ、はあ?」
伊達様も藤堂様も質問の真意がわからず、しまらない返事を返しました。
「よし、アメリカのフォード教授のところへ、牛をもらいにいこう。帰りはハワイに行こうかな」
「とうさーーーん!!!」
シュウ様が言い終わると、あずさ様がゲン様のヒザから、すごい勢いでシュウ様に飛びつきました。
「一緒に来てくれるかな」
「行きまーーす」
い、いいともじゃないのね。
「行きまーす!!!!!」
うわあ、舞台の上の美女軍団まで答えています。
「行きます。行きます!!」
ヒマリと、カノンまで答えています。
「わ、私も行きます!」
なんだかよくわかりませんが、遅れを取るわけにはまいりません。
「やれやれだぜ、遊びに行くんじゃねえんだけどなー」
シュウ様は、少し困り顔になりました。
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる