底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第二百二十九話 目玉焼きは何派

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「うおおおおー、おりゃああああーー、くおおおおおーーーー!!!」

 俺は、観客のあずさを驚かせようと、無駄に大声を出した。

「……」

 あずさは、何をやっているのかと、冷ややかな目で俺の顔を見ている。
 俺がやろうとしているのは、しん大阪城を造り出そうとしているのだ。アダマンタイト、サスリル合金の巨城を魔法のように一瞬で造り出そうというのだ。
 大阪城は、あまり良く見ていないうちに壊れてしまったので、名古屋城がベースだが、名古屋城よりも大きくしようとしている。
 天守閣の横に本丸御殿として、木田産業本社を併設するような城をイメージしている。

「うわあああああーーーーー!!!!」
「うニャーーー!!!!」

 あずさとアドの歓声があがった。
 あがったって……、アドお前いたのかよーー。

「凄い魔王城が出て来ました」

「違うよ。しん大阪城だ」

「恐ろしい、暗黒の魔王城ニャ」

「違うよ、しん大阪城だからね」

「すごーーい」「すごいニャー」

 あずさとアドの目が子供の様にキラキラしている。
 まるで、新しいおもちゃを手に入れたときのようだ。

「とうさん、はやく、入りたい」「入りたいニャー」
「暗黒の魔王城へ!!」

 確かに全体が真っ黒の城なので、暗黒なのだが和風の城だ。
 暗黒の魔王城とは違うのだけれどなあ。まあいいか。
 俺達が入り口に近づくと自動的に扉が開く。
 ゴーレム化した城なので城自体に生命が宿っている。
 いつも最適を選択して、快適に過ごせるように考えて行動してくれる。
 巨大な扉は、重そうだが音は全くしない。
 ここは、ギギィィィーー、くらいの音は欲しいなー。

「すごーい。エレベーター」

 扉を入ると正面にエレベーターを付けた。
 俺達はエレベーターで天守閣の一番上の階まで上った。

「うえーー! こえーー!!」

 最上階から見た景色は、相変わらず恐かった。
 人の暮らしている温かな光が一つも無い。
 車の騒音も無い。静かに暗闇が拡がっていた。

「とうさん……」「ニャー……」

 あずさとアドが俺にしがみついてきた。
 二人も俺と同じ恐さを感じているようだ。



「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」

 翌朝、大歓声の中で朝を迎えた。

「な、な、何ですか。あれは」

 俺達が、美術館に着くと、皆が驚いている。

「あー、しんおおさ……」
「魔王城です。暗黒の魔王城です」

 俺が、しん大阪城と言おうとしたのに、あずさがかぶせてきた。

「ふふふ、じゃあ、シュウ様は大魔王と言う事ですね」

「……じゃあ、皆、案内したいので付いてきてくれ」

 俺は響子さんの、ジョークには答えないで言った。
 俺みてーな、何も出来ない底辺おじさんが、魔王なんておこがましい話しだからだ。
 幹部全員を、城内に案内して、魔王城で朝食を始めた。

 この城には、温度調節と、光魔法を付与した。
 必要な場所で光が点灯し、城内はいつも快適な温度になっている。
 朝食は、天守閣の最上階にテーブルを出し、メニューはコーヒーとパン、目玉焼きだ。
 目玉焼きには、木田産の玉子とキャベツを使った。

「しかし、大殿はさすがですな。新政府軍十番隊に死者が一人もいませんでした」

 真田が言った。
 コーヒーを片手に持った真田は、美しい顔をしているので絵になる。

「まさしく。有言実行でございましたなあ」

 伊達が言う。
 伊達は、目玉焼きをケチャップで食っている。
 ワイルドな奴は、目玉焼きがケチャップなのか。
 俺はそれを聞いて、明智の命を落とした兵士のことを思い出した。

 俺は、上杉に視線を移した。
 上杉も、真田、今川に並ぶ超美形だ。こうしてみると、男装の麗人といえるような中性的な美形だ。
 上杉は、目玉焼きに砂糖をかけている。
 ま、まじか。初めて見る。ちなみに俺は塩だ。一番安いからね。

「上杉、明智の兵の埋葬は終ったのか」

「はっ! 機動陸鎧のおかげで、はやく済ますことが出来ました」

「身元の確認は出来たのか?」

「はい、全員識別用の名札が付いていましたので」

「では、遺髪と名札を持って、明智の所に謝罪に行きたいな」

「えっ!?」

「これから、行こうか」

「えっ!!」

「皆は、この城でしばらく、くつろいでくれ。俺と上杉は明智家へ謝罪に行く」

「お、お待ち下さい。敵軍に自ら行くなどありえません」

 上杉が慌てている。

「そうです。殺されます」

 真田が言った。

「心配には及ばん。俺は身分を隠して、上杉の護衛としていく。上杉自ら行かねば誠意が伝わらないだろう」

「しかし……」

 伊達が険しい顔をしている。

「誠意をもって、謝罪に来た者を問答無用で殺す者など、日本人にはいないだろう」

 俺は伊達の顔を見て。

「それとも伊達! お前なら、謝罪に来た者を殺すというのか」

 一段声を大きくして言った。

「……俺なら……。戦によって死んだ配下の遺髪を持って来てくれた、敵軍の将なら、殺せませんな」

「だろー。日にちが空けば行きにくくなる。思い立ったが吉日、直ちに行くぞ!!」

「はっ!!」

 上杉がすぐに返事をして、席をたった。
 だが、折角まんべんなく砂糖をまぶした目玉焼きが一口も食べられていない。
 その目玉焼きが珍しいのか、あずさとヒマリ、アドが大きな目で、まばたきを忘れてのぞき込んでいる。

「あー、上杉、もったいないから食事が済んでからでいいよ」

「はっ!!」

 上杉は、砂糖の目玉焼きをパンに乗せて食べ出した。
 うむ、あれは、あれでうまそうだな。
 俺も今度やってみよう。
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