底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第二百四十五話 最低の一言

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「私の娘は、隕石騒ぎの暴動に巻き込まれたのか、現在行方不明です」

「な、なんだって!? 大変じゃねえか」

「生きているのか、死んでいるのか。それすら、わかりません」

「ふむ、特徴を教えてくれ」

「えっ!?」

 驚いてこっちを見たオオエの顔は、とても嬉しそうだった。
 ちっ、そんな顔をされたら全力で探さないといけないじゃないか。

「特徴は、私に似てかわいいと言う事くらいしか」

「オオエに似ているのか」

 俺はオオエの顔に近づいて、まじまじと顔を見つめた。
 鼻が少し触った。

「ふぇっ!?」

 オオエの顔が真っ赤になっている。
 うーーん、この顔どこかで見た事がある。
 気のせいかもしれないが、そんな気がする。

「どっちの娘がオオエに似ているんだ?」

「あら、言っていませんでしたか。娘は一卵性双生児なので、同じ顔をしています。ただ性格は正反対です。姉はサエコ、妹はサヨコといいます。字はこうです」

 サエコは床に指で書いてくれた。
 床は、ほこりが積もっているので、指で書くだけで何が書いてあるのかわかった。
 織田紗遠子。おださえこ、と読むらしい。こっちが姉か。
 織田紗世子。おださよこ、と読むらしい。こっちが妹。

「サエコとサヨコね。わかった」

「サエコは、活発で、いつもパンツが丸出しになるようなミニスカートをはいている子でした」

「なるほど、活発そうだ」

「サヨコは、引っ込み思案で大人しい子でした。同じ顔なのに、サヨコの方が里の皆に人気がありました」

 うんうん、わかる気がする。
 だが、きっと、里の男達は丸出しのパンツは見ていたと思う。
 目に浮かぶようだ。

「カンリの里でも暴動があったのか?」

「いいえ。カンリの里は山の中なので、質素な生活をしています。ですから、暴動とは無関係でした」

「じゃあ、どこで暴動に巻き込まれたんだ」

「はい、姉のサエコは大阪の遊園地で、ユニバーチンパンジーでしたか、なんだかそんなところへ遊びに行っているときに帰れなくなりました」

 うん、チンパンジーじゃなくて、たぶんサルだね。そこ、サルだよ。

「じゃあ、大阪にいる可能性が高いということか。サエコには、どんな能力があるんだ」

「はい。サエコは、秘めた超能力を開花させて、その力を引き出す力があります。左近もサエコの力によって超能力を開花させています。あと、守護霊が見えるなどという、嘘っぽい能力があると言っていました。時々その力を使って街で占い師をやって、お小遣いを稼いでいたようです」

「なるほどー。すげー能力者だなあ。で、妹の方は?」

「はい。越前で暴動に巻き込まれたと思います。越前は我が一族の名付け親、織田広遠様の父親、織田郷広様の終焉の地であり、織田神社がある場所でもあります。サヨコは織田神社に参拝に行っていました」

「なるほど、越前でねえ。今度、明智に聞いて見るか。で、能力は?」

「はい。能力は、体力の解放です。超能力を解放するサエコとちがって、サヨコは身体能力を解放できます。そして、記憶能力が人より優れています」

「なるほど、すごい」

「はい。二人は、歴代でも屈指の能力者です。今のカンリの里では、当然、最強の能力者です。二人はカンリの巫女と呼ばれていました」

「ふふふ、最強かー。最強なら、きっと生きているさ」

「そ、そうでしょうか」

「うむ、俺も探すから、元気を出して下さい」

 さすがにこれだけでは、探し出すのには情報が少なすぎる。
 とはいえ、聞いたかぎりでも最強だ。
 そう簡単には死なないだろう。殺しても死なないって奴だ。
 しぶとく生きているのは間違いない。
 いつか、探し出せるはずだ。

「は、はい」

 母親というのは、心配性なのだろう、暗くしずんだ表情をしている。

「ところで、その熊野のパワースポットに行ってみたいのだが案内をしてくれないか?」

「……」

 オオエの顔がけわしくなった。

「駄目なのか?」

「はい、禁足地です。一族の者以外入ることは出来ません」

「なるほどなあ、富士の霊場とか、九州の犬鳴村の霊場とか、侵入したら帰れなくなる、禁足地か」

「ひひひひひ、ひゅとちゅ、方法があります」

 ひ、多いなあ。しかも、その後かんどるし。

「一体何なんだ。嫌な予感しかしないが、一応聞かせてくれ」

「ひゃ、ひゃい。お、恐れ、恐れ多い事にございますが、私とけ、結婚すれば家族です。一族です」

「えーーーーーっ!!!!」

 響子さん達から大声がした。
 おかげで俺の驚きが引っ込んでしまった。

「しかし、オオエには旦那さんがいるだろう」

「いいえ、私の旦那は、三十歳年上でしたので、もう老衰でこの世におりません。ですので、問題はありません」

「うーーん、でもなあ。オオエ、ばあさんだしなあ」

 俺のこの一言で、オオエの表情が変わった。
 白目に、ジュワッと血管が浮き上がり、目玉が心なしか飛び出している。
 激怒の表情だ。

 ――しまったー!!!

 俺がそれを言うか!
 人の心を傷つける、最低な一言だ。
 いつも言われて、心に傷を負いまくった俺が。

「すまない。オオエ許してくれ。最低な一言を言ってしまった。あまりにも嬉しい一言だったから、照れ隠しで出てしまった言葉だ。恥ずかしかったんだ」

 俺は心から反省して、オオエの耳元に近づいて言った。
 つい、勝手に体が動いて、オオエの体を軽くハグしてしまった。
 拒絶されるかと思ったが、オオエの体に拒絶の反応は無かった。

「では……」

 オオエは潤んだ目で見つめてくる。

「聞いてくれ、オオエ。俺のおやじは、俺とほとんど同じ顔だ。そのおやじも、似た顔だ。連合艦隊で、ロシアのバルチック艦隊と戦った、そのおやじさんも、眉毛がつながっているだけで同じ顔をしていた」

「それが、どうしました」

「うん。俺の子も、きっと同じ顔になるだろう。俺はこの顔のせいで良いことがまるで無かった。だから、このキモい顔を俺の代で終わりにしたい。せっかく、ここまで耐えてきたんだ。このまま、結婚しないで人生を終りたいんだ」

「そ、そんな」

「そうだ。名案が浮かんだ。カンリ一族、全員俺の養子になれ。そうすれば、全員家族だ。今日から、オオエは木田オオエだ」

「うふふふ、広遠様と同じです。織田広遠様も、同じ事を言って、我が一族はその時より織田姓を名乗っています。木田とう、木田遠様。我ら一同喜んで、養子となりましょう」

 ふふふ、俺のトウという名は遠とは関係ないが、まあいいか。

「そうなると、後ろにいる者は、おじさんとおばさんになる。全員俺の兄弟だからな」

「叔父上、叔母上。で、ございますか」

「うむ、今日より血族だ。カンリ一族の里に案内してくれ」

「わかりました」

 翌朝。日の出を待って、上杉達と熊野のパワースポットにむかった。
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