274 / 428
激闘編
第二百七十四話 日本へ
しおりを挟む
「し、柴田様!! あれを見てください!」
「おお、すさまじいなあ! 廣瀬殿は実力を隠しておったようだのう」
「皆、ストップ!!」
もう少し眠っていてほしかったのですが、柴田様と前田様が目を覚ましたようです。
「申し訳ありません。起こしてしまいましたか?」
「いや、いや。すっかり甘えて休ませてもらった。もう大丈夫だ」
「そうですか。それはよかったです」
私は部下に、ゼスチャーで姿を消して船に戻るように指示しました。
「ところで廣瀬殿、あんたがほしくなったのだが」
「えーーーっ!!!」
こ、こんな所で愛の告白ですかー。
私が真っ赤になってもじもじしていると。
「違う、違う。そういう意味ではありません。俺も柴田様も妻子がいる。柴田家に仕官しないかという意味です」
はっ!! しまった。
そうですよね。柴田様や前田様が、私のような女を口説くなんてことはあリえませんよね。
やらかしました。どうやってごまかしましょう。
「ふふふ、さすがは廣瀬殿だ! やさしいのう」
「えっ?」
「そうだろう。もしわしが、廣瀬殿と同じ立場で同じ事を聞かれたならば即断る。それはもうスッパリとな。こんな落ち目な柴田軍など、見捨てて当たり前だ。それを真剣に考えてくれた。それだけでも廣瀬殿の人柄がわかるというものだ」
「あの、お二人だから本心を言います。私は柴田軍が落ち目などと微塵も思っていません。むしろ、きっと多くの人を救う救世主になると信じています。ですが私には、日本にお慕いする方がいます。心から尊敬できる慈悲深く優しいお方」
「それは、アンナメーダーマンのことか?」
「へっ!? な、ななな、なんでわかるのですか?」
「ふふ、そうか。廣瀬殿ほどの女性が……アンナメーダーマンのことをなあ。よし! わしと前田が全面的に応援しよう。なにもできんがな。がはははは」
柴田様は大きな声で笑うと少し寂しい表情をしました。
「ま、まさか!? 廣瀬様が大殿を好きだなんて!!」
「えーーーっ!! な、ななな、なんであなた達がいるの?」
「だってさっき、姿を消してこっちへついて来なさいとゼスチャーで合図をされたではありませんか」
「違います。船にもどって待機と言ったのです」
どうやら部下には私のゼスチャーが通じていなかったようです。
おかげで、私のお慕いする方がバレてしまったようです。
はぁーーっ、やれやれです。
「すまぬ。廣瀬殿、話の途中だが聞かせてほしい」
「はい、前田様。なんでしょうか?」
「うむ、そ、その妻子のことなのだが」
さっき、妻子という言葉が出たので、思い出してしまったようです。
心配でしょうね。
「そうですね。その事も大殿から言われていました。柴田様及び、その家中の方の家族には危害を加えない事を約束する。安心してくれと言っておられました。また拠点が出来て、生活出来るようになれば、連絡をくれれば希望者には移住を許可すると言われました」
うふふ、大殿は、ちゃんと心配の無いようにしてくれていますよ。お優しいのです。
「連絡と言われても」
「ああ、その事でしたら炊飯器のお米や、魔法瓶の玉子とふりかけは使えば減って、仕舞いには無くなります。補充のために月に一度、定期的に来ますので連絡はその時に取ることが出来ます」
「そ、そうか」
「ただ、移住は本人の意志を尊重する。行きたい者は行かせるが、行きたくない者まで行かせることはない。そう言われました」
「ふふふ、アンナメーダーマンらしいのう。だが、それで良い。こんなゾンビだらけの所には、来たい者だけが来ればよい。わかった」
「それでは、私は日本に帰ります」
「なに、もう帰るのか!? ならば仕方が無い、達者でな」
「柴田様こそ、お元気で」
私達は、後を柴田様にお任せして日本へむかいました。
船を海王丸の対岸に停泊させると、近くの上杉家の警備兵に大殿の居場所を聞きました。
大殿は高岡市の城跡にいるとのことでした。
「止まれーー!!」
高岡の城跡には警備の上杉家の兵士が大勢います。
姿を消して、直接入っても良かったのですが、城跡のどこに居るのかもわからないので、警備の兵士に聞くことにしました。
「私達は古賀忍軍ろ組の廣瀬です。大殿に報告したいことがあります。お取り次ぎを」
「なに、おーーい。誰か、古賀忍軍の廣瀬の顔を知っている者はいないかーー!」
「廣瀬さん、どうぞ。案内します」
「桃井様、ありがとうございます」
警備の中には、古賀忍軍い組がいたようです。
い組の組頭で副首領でもある桃井様が私達を通してくれました。
そして、案内までかって出てくれました。
「大殿は体育館にいます。こちらです」
広い体育館の中央に大殿がいました。
大殿のすぐ後ろにはミサ様、その横に上杉謙信様が控え、十田助三郎様、十田格之進様、十田響子様、十田楓音様が控えています。
大殿の横にはフォリスという赤い体のアンドロイドのようなメイドが立っています。
フォリスさんの反対の横には柳川様がいます。
きっと、アドちゃんとカンリ一族の誰かが姿を消して近くにいるはずです。
体育館の壁際には、大勢の上杉家の兵士が誇らしげに立っています。
きっと、大殿の近くで警備が出来て名誉な気持ちなのでしょう。わかります。
そして、大殿の前には、多くの知らない顔の人が控えています。
お客様でしょうね。
「おお、廣瀬さん、桃井さん」
大殿が、私を見つけて名前で呼んで下さいました。
えっ!?
名前を呼ばれただけなのに桃井様の顔が赤くなっています。
――嘘でしょー!!
やれやれです。
「おお、すさまじいなあ! 廣瀬殿は実力を隠しておったようだのう」
「皆、ストップ!!」
もう少し眠っていてほしかったのですが、柴田様と前田様が目を覚ましたようです。
「申し訳ありません。起こしてしまいましたか?」
「いや、いや。すっかり甘えて休ませてもらった。もう大丈夫だ」
「そうですか。それはよかったです」
私は部下に、ゼスチャーで姿を消して船に戻るように指示しました。
「ところで廣瀬殿、あんたがほしくなったのだが」
「えーーーっ!!!」
こ、こんな所で愛の告白ですかー。
私が真っ赤になってもじもじしていると。
「違う、違う。そういう意味ではありません。俺も柴田様も妻子がいる。柴田家に仕官しないかという意味です」
はっ!! しまった。
そうですよね。柴田様や前田様が、私のような女を口説くなんてことはあリえませんよね。
やらかしました。どうやってごまかしましょう。
「ふふふ、さすがは廣瀬殿だ! やさしいのう」
「えっ?」
「そうだろう。もしわしが、廣瀬殿と同じ立場で同じ事を聞かれたならば即断る。それはもうスッパリとな。こんな落ち目な柴田軍など、見捨てて当たり前だ。それを真剣に考えてくれた。それだけでも廣瀬殿の人柄がわかるというものだ」
「あの、お二人だから本心を言います。私は柴田軍が落ち目などと微塵も思っていません。むしろ、きっと多くの人を救う救世主になると信じています。ですが私には、日本にお慕いする方がいます。心から尊敬できる慈悲深く優しいお方」
「それは、アンナメーダーマンのことか?」
「へっ!? な、ななな、なんでわかるのですか?」
「ふふ、そうか。廣瀬殿ほどの女性が……アンナメーダーマンのことをなあ。よし! わしと前田が全面的に応援しよう。なにもできんがな。がはははは」
柴田様は大きな声で笑うと少し寂しい表情をしました。
「ま、まさか!? 廣瀬様が大殿を好きだなんて!!」
「えーーーっ!! な、ななな、なんであなた達がいるの?」
「だってさっき、姿を消してこっちへついて来なさいとゼスチャーで合図をされたではありませんか」
「違います。船にもどって待機と言ったのです」
どうやら部下には私のゼスチャーが通じていなかったようです。
おかげで、私のお慕いする方がバレてしまったようです。
はぁーーっ、やれやれです。
「すまぬ。廣瀬殿、話の途中だが聞かせてほしい」
「はい、前田様。なんでしょうか?」
「うむ、そ、その妻子のことなのだが」
さっき、妻子という言葉が出たので、思い出してしまったようです。
心配でしょうね。
「そうですね。その事も大殿から言われていました。柴田様及び、その家中の方の家族には危害を加えない事を約束する。安心してくれと言っておられました。また拠点が出来て、生活出来るようになれば、連絡をくれれば希望者には移住を許可すると言われました」
うふふ、大殿は、ちゃんと心配の無いようにしてくれていますよ。お優しいのです。
「連絡と言われても」
「ああ、その事でしたら炊飯器のお米や、魔法瓶の玉子とふりかけは使えば減って、仕舞いには無くなります。補充のために月に一度、定期的に来ますので連絡はその時に取ることが出来ます」
「そ、そうか」
「ただ、移住は本人の意志を尊重する。行きたい者は行かせるが、行きたくない者まで行かせることはない。そう言われました」
「ふふふ、アンナメーダーマンらしいのう。だが、それで良い。こんなゾンビだらけの所には、来たい者だけが来ればよい。わかった」
「それでは、私は日本に帰ります」
「なに、もう帰るのか!? ならば仕方が無い、達者でな」
「柴田様こそ、お元気で」
私達は、後を柴田様にお任せして日本へむかいました。
船を海王丸の対岸に停泊させると、近くの上杉家の警備兵に大殿の居場所を聞きました。
大殿は高岡市の城跡にいるとのことでした。
「止まれーー!!」
高岡の城跡には警備の上杉家の兵士が大勢います。
姿を消して、直接入っても良かったのですが、城跡のどこに居るのかもわからないので、警備の兵士に聞くことにしました。
「私達は古賀忍軍ろ組の廣瀬です。大殿に報告したいことがあります。お取り次ぎを」
「なに、おーーい。誰か、古賀忍軍の廣瀬の顔を知っている者はいないかーー!」
「廣瀬さん、どうぞ。案内します」
「桃井様、ありがとうございます」
警備の中には、古賀忍軍い組がいたようです。
い組の組頭で副首領でもある桃井様が私達を通してくれました。
そして、案内までかって出てくれました。
「大殿は体育館にいます。こちらです」
広い体育館の中央に大殿がいました。
大殿のすぐ後ろにはミサ様、その横に上杉謙信様が控え、十田助三郎様、十田格之進様、十田響子様、十田楓音様が控えています。
大殿の横にはフォリスという赤い体のアンドロイドのようなメイドが立っています。
フォリスさんの反対の横には柳川様がいます。
きっと、アドちゃんとカンリ一族の誰かが姿を消して近くにいるはずです。
体育館の壁際には、大勢の上杉家の兵士が誇らしげに立っています。
きっと、大殿の近くで警備が出来て名誉な気持ちなのでしょう。わかります。
そして、大殿の前には、多くの知らない顔の人が控えています。
お客様でしょうね。
「おお、廣瀬さん、桃井さん」
大殿が、私を見つけて名前で呼んで下さいました。
えっ!?
名前を呼ばれただけなのに桃井様の顔が赤くなっています。
――嘘でしょー!!
やれやれです。
1
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる