底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
286 / 428
激闘編

第二百八十六話 激しい憎悪

しおりを挟む
「これが良い知らせなのか。ロボのメイドがあってもなあ」

「そうですなあ」

 どうやら、二人の期待外れだったようです。
 テンションが低くなりました。
 それはもう、ガッカリだよって全身からあふれ出しています。

「では、あの、オイサスト! シュヴァイン! と言って頂けませんか」

「ふむ。いいけどな」

 柴田様が前田様を見ます。

「オ、オイ、オイサスト! シュシュ、シュヴァイン!!」

 柴田様に合わせて前田様も言いました。
 二人のメイドの体から黒い糸が二人の大男にむかって出ていきます。
 柴田様と前田様の着ている物が収納され、黒い糸の間から一瞬パンツ一丁の姿が見えました。
 黒い糸の繭玉が消えると甲冑姿になっています。

「おおっ……」

 やっぱりあまり驚きませんね。
 二人にとっては期待外れと言うことでしょうか。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!! なんなんだこれわーーーーーー!!!」

 二人が大声で驚きました。
 今度は驚きすぎですね。耳が痛いです。

「お似合いですよ」

 シャドウちゃんが、気を利かせて顔の所だけ透明にしています。
 二人の大きな体が漆黒の甲冑に包まれると美しさと雄々しさを感じます。お世辞では無く本当に似合っています。

「柴田様は、あのいにしえの将軍呂布奉先殿のようですなあ」

「そ、そうか!?」

 柴田様はそう言われると、とてもうれしそうです。
 ニヤニヤが気持ち悪いです。

「となると俺は、呂布殿につかえた陳宮殿というところでしょうか」

「ば、馬鹿を言うな! わしが呂布ならお前は張遼文遠であろう!」

「なんと恐れ多い、あの泣く子も黙る張遼文遠とまで……」

 あらあら、前田様が涙ぐんでいます。
 私にはピンと来ませんが、わかる人にはわかるのでしょうか。

「ヨシ! 決めた。俺は今から呂を名乗る。そして本名の一字を加え呂瞬と名乗ることにする」

「おお!! では俺は張を名乗り、本名から高を加え張高と名乗りましょう」

「廣瀬殿!! ありがとう。ありがとう」

 柴田様が私の手を取り感謝をしてくれています。
 まあ、わかっていると思いますが、大殿がくれた物ですよ。
 私は運んだだけです。
 柴田様は大殿に感謝を言いたくないみたいで、その感謝を全部私に注ぎ込んでいるみたいです。

「あなたーー!! 何をこんな所で浮気ですかーー!!!! 男って奴は目を離すとすぐこれだからーー!!」

「うわあぁー! 悪い方の知らせ来たーー!」

 えーーっ!! 悪い方の知らせじゃ無くていい方ですよ。
 私の手を握って喜んでいるタイミングで、ギャングウェイを歩いて来た柴田様の奥方様に見られてしまいました。

「し、柴田様。い、いい方。いい方です」

「なっ、そ、そうか。うん、そうだ。そうせんといかんな」

 そうせんといかんなとは、どういうこと?

「はーーっ、何をごちゃごちゃ言っているのですか! いい加減手を離しなさい!!」

 柴田様が驚き過ぎて手を握ったまま離すのを忘れています。

「いや、違うぞこれは違う。廣瀬殿は想いを寄せるお方がいるのだ。だから、だんじて違う」

 ぎゃーー! この赤鬼は何を言い出すのでしょうかー!!

「はー!! そんなことは知っています。古賀忍軍の各隊長は全員木田の大殿にメロメロと聞いています。古賀忍軍では誰でも知っている有名な話です。船で教えてもらいました」

 えーーっ! 驚きです。隠していたのですがーー。って他の隊長も……。
 私は、振り返り船にいる部下を見ました。滅茶苦茶いい笑顔で手を振っています。
 まいりました。

「そ、そうなのか?」

 それで、なんで、柴田様は「バレているようだぞ」みたいな顔で私を見るのですかーー!!

「だからって、あなたが浮気しない理由にはならないでしょう!!」

 うわあ!! 奥方様が私の胸に言いました。
 胸は返事しませんよー。
 私の胸は、さっき振り返ったときの動きでゆれています。まあ、無駄に大きいですから……。

「なっ!!」

 それで、なんで柴田様まで視線を胸に移動させるのですか。
 それはセクハラです!!

「まあまあ、奥方様その位で、話は後でゆっくりと」

 話しが進まないので前田様が仲裁に入ってくれました。
 前田様の横には美しい奥方様が寄り添っています。
 無事を確認出来てうれしそうです。

「では、奥方様は結界の中に入って下さい」

 私のコスチュームは新型になりました。追加で結界を発生できるようになっています。
 何でも美術館で気が付いたと言って、息を切らせて大殿が私達の所へ来てくれました。
 息を切らせた大殿もやっぱりかっこよかったです。
 このため、ろ組のコスチュームは全部結界が作れる仕様になりました。

「悪い方のお知らせを御披露いたします」

 私は奥方様が結界に入るのを確認すると、船の部下に手を上げて合図を送りました。
 黒い檻が……

 ――うわっ!!!

 船の上から放り投げられました。
 コンクリートで固められた地面にぶつかり猛烈な音が出ます。

「バッ、バカヤローー!!!! な、何てことをしやあがる!!」

 檻の中から声がしました。本当にそうです。何てことをするのでしょう驚きました。
 見上げると船の上で、部下達が良い笑顔で手を振っています。まったくー!
 檻の中で拘束された一益は超能力が使えないようです。体をあちこちにぶつけました。
 でも、無事なようです。さすがに丈夫ですね。

「うおっ! か、一益! 慶次郎! 本当に悪い知らせだ。最悪かも」

 柴田様と前田様が驚いています。

「なるほど!! そういうことか! アンナメーダーマンめ!」

「ですな!!」

 柴田様と前田様がなにやら納得しています。

「一益、お前もアンナメーダーマンにやられたのか?」

「ちっ、うるせーんだよ」

「檻から出してやってくれ、その拘束も取ってやってくれ」

 柴田様が言いました。

「てめー、これがどういうことかわかっているのか」

 一益の体のまわりに黒いもやの様な物が見えます。
 目の錯覚かもしれませんが、不気味です。
 ゆらりゆらりと歩き、柴田様の前に少し間隔を開けて立ち止まりました。
 後ろに弟の慶次郎が立ちます。

 ――大きい!!

 柴田様より一回り大きくて不気味です。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! か、体がうごかねえ!!!!」

 柴田様が叫びました。
 一益が何かをやったのでしょうか?

「てめーふざけるなー! なめているのかー! まだ何にもやってねーだろうがよう」

「ひひひ、見えねえからよう。わからなかった。ふひひひ」

 柴田様が不気味に笑います。どうやら、一益を挑発していますね。
 なんだか悪党同士の戦いを見ているみたいで、気持ち悪くて恐いです。

「ぐぬぬぬ、慶次郎! お前の力をこの馬鹿に見せつけてやれ!」

「ひゃあーはっはっはっ、慌てるな。おめーの相手はそこの張高がする」

「張高?」

「ふふふ、俺ですよ。俺は張高と名前を変えました」

 前田様が、三間槍を右手と左手に一本ずつ持って前に進み出ました。

「なめるなーっ!! 前田ごときが慶次郎に勝てると思っているのかーー!!!! どいつもこいつもなめやがってーー!!!! 慶次郎かまわねえ、ぶっころせーー!!」

「ほらよ!」

 張高様が片方の槍を慶次郎に投げました。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」

 慶次郎が槍を受け取ると雄叫びを上げます。
 島中がビリビリ震えるような大声です。
 海の表面までがザワザワしています。
 島にいた鳥が、驚いてバサバサ飛び立ちました。

 恐ろしいほどのはげしい怒りですね。いえ憎悪でしょうか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...