底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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九州漫遊編

第三百二十六話 肝属家三人衆

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「兼続様ー! 不意打ちは卑怯でしたね。遊びはここまでです。パンツがどうとか、おっぱいがどうとか言われるのは不本意です。次は男だけで攻めさせてもらいます。お互いに手加減無しで戦いましょう」

「な、なにーーっ!! 遊びだとー!!」

 兼続は倒れている配下を見回すと、真剣な目になり俺を見つめてきた。
 さっきまでのなめた態度を、後悔しているようだ。
 さすがに、状況判断は出来る様だ。

「ふふふ、兼続様。これでお終いでは、お互い中途半端ではありませんか。全兵力で油断なく準備をして下さい。俺達は、ゆっくり食事をして兼続様のお屋敷に訪問します」

「ふふふ、本気で言っているのか。肝属軍にはまだ千五百人以上はいるぞ」

 兼続は笑いを見られないようにするためうつむいた。
 戦いは守って戦う方が、条件的に有利になる。
 すでに勝ちを確信したのだろう。
 うつむいた為、顔に影が落ちニヤニヤ笑う兼続の顔は不気味に歪んだ。

「実はこの三人はアンナメーダーマンスリーと言って、一騎当千の、もののふです。ちとこっちが有利です。ハンデとして素手で戦いましょう。但し、そちらが卑怯な手を使ったら、こちらも自由に戦わせてもらいます」

 そう言えば昔は三人のヒーロー物が結構あったなー。
 サンバルカン、トリプルファイター、新しい物ではアキバレンジャー。
 なつかしいなー。
 サンナメーダーマンにすればよかったかなー?

「い、一騎当千……」

 兼続はゴクリと唾を飲んだ。

「と、殿……」

 重臣の薬丸が、心配そうに兼続の顔をのぞき込んだ。

「薬丸ー心配するな! 我が家臣団も猛者ばかりだ、やったろうじゃねえか! 全員ひきあげだーー!!!! 準備をして待っている。死んで後悔するなよーー!!」

 そう言うと、肝属家の一団は帰って行った。

「久美子様。申し訳ありません。私ごときが出過ぎた真似を」

「いいえ。こうなってしまえば、肝属家と十田家の戦いです。八兵衛さんに全てをお任せします。私は、のんびり見学させてもらいます」

「ありがとうございます。兼続は準備に時間がかかるでしょう。こちらはゆっくり食事でも楽しみましょうか。久遠さん何か食べたい物がありますか?」

「えっ!?」

「ああ、といっても、用意出来る物は限られますけどね」

「あの、唐揚げ! おいしい唐揚げが食べたいです!!」

「おおー、何と言う事だーー!!」

 俺は大げさに残念そうな顔をした。

「あ、ああ、あの、無理なら良いです」

 久遠さんが申し訳なさそうに少しあせって言った。

「冗談です。材料が最も多いのが鶏肉です。腹がはち切れるほど食べて下さい」

「もーーー!!」

 久遠さんが俺の腕をペチペチ叩いてくる。
 膨らましたほっぺが可愛い。

 俺は、大鍋を出して油を温めて、ここで揚げて出来たてを食べてもらう事にした。
 ついでに揚げ物も作って振る舞った。
 ただ、とんかつだけは作れなかった。豚がいないからだ。
 北海道にはまだ豚がいたという事だが、しばらくは全国に供給は出来ないらしい。もうしばらくの辛抱だ。



「さて、もう良いでしょう。ぼちぼち行きましょうか」

 食事が終わって、充分休んだので出発する事にした。
 久遠さんはいつもの様に俺の背中に、おんぶしようとしたが少しちゅうちょした。だが、強引におぶった。
 肝属兼続は、街の東の山の上を本拠地にしている。
 ここから真東に街の中央を縦断すれば到着する。

 ほっとするような町並みに、有名な店が続く。
 木田の街にどことなく似ている。

「見てーー牛丼屋さん! それにコンビニ!!」

 カノンちゃんがはしゃいでいる。
 店の外観はそのままだが、人の気配が無い。
 まだ朽ちていない街は人がいないと、とてもさみしく感じる。
 ここに、かつては何万もの人が住んでいたと思うと、命のはかなさを感じる。

 あたりが薄暗くなると、オレンジの光がはっきり見えてきた。

 ――ここにおいで、おいで

 そういうように、かがり火が焚かれている。
 道は、建物が無くなり両側が木々に覆われてくる。
 いよいよ敵の本拠地だ。
 道の横に駐車スペースだろうか、開けた場所がある。
 木の柵が設けられたその中に、大勢の兵士が控えている。

「謙之信、スケさん、カクさん。お出ましです。用意はいいですか?」

「はっ!!!」

 悪の組織のアジトに向う気分だ。
 緊張してきた。
 さしずめ敵は、小手調べの戦闘員というところだろうか。

「みなのものーー!! 敵はアンナメーダーマンスリーだ。あの先頭の三人だけだ。他の者には手を出すな。おっぱいとかパンツとかややこしくなる。あの三人をまずは血祭りに上げよーーーー!!」

 薬丸のおっさんだ。
 賢明な判断だ。

「おおおおーーーーっっ!!!!」

 兼続軍が大声を上げた。きっとこの声は山頂まで届いているはずだ。
 総勢は五百名というところだろうか。
 俺なら、一カ所に兵はまとめて戦うが、兼続は三人の強さをまだこの程度と考えているのだろうか?
 それとも、なにか秘策でも考えているのか。

 アンナメーダーマンスリーはゆっくり柵に近づく。
 柵から長い棒がニューッと出て来て、三人の体を突いたり叩いたりする。
 だが、その棒は織田家のような鋼の棒では無く木の棒だ。
 中にはモップまである。
 それは、もはや武器では無く掃除道具だ。

 それでも、アンナメーダーマンスリーで無ければ、それなりの効果があるだろう。

「はーーっ!!」

 アンナメーダーマンスリーは、攻撃を無視して高く飛び上がった。
 かがり火のオレンジの光を反射して、シルエットが美しい。
 飛び上がった頂点で、くるりと回転すると柵を跳び越え、敵兵の中に飛び込んだ。

「うぎゃあああーーーーーー!!!!」

 密集している敵兵は、悲鳴と共に次々倒されて行く。
 一騎当千の敵三人を密集して囲んで戦うのは意外と難しそうだ。
 身動きが取れなくて面白いように倒されて行く。

「引けーー、次の陣まで引けーー!!!!」

 薬丸の声で、敵兵は一目散に道をかけ上っていく。
 半数以上の兵が失神して取り残されている。

「すごい!! すごーーい!!」

 久遠さんが俺の背中で歓声を上げている。

「さあ、慌てる必要はありません。ゆっくり進みましょう」

 俺達は、背中を見せて走る敵兵を追いかける事も無く、山道を上へ進んだ。
 しばらく進むと道をふさぐように柵が有り、柵の前に不敵な面構えの男が三人立っている。
 手にしている武器は、立派な日本刀だ。
 どこかの家宝じゃ無いだろうか。

「ふふふ、やるなあ!! お前達、相手に取って不足無しだ。俺達は肝属家三人衆! いざ尋常に勝負!!」

 そう言うと、謙之信、スケさん、カクさんにむかって、それぞれ走り出した。
 抜き身の日本刀が、キラリと光った。
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