341 / 428
九州漫遊編
第三百四十一話 一騎打ち 前半
しおりを挟む
戦いは、こうちゃく状態に入った。
最初、積極的に攻撃していた伊藤隊と島津隊だったが、どの攻撃も通じないとわかると、攻撃がやみ取り囲んでのにらみ合いに入った。
スケさん、カクさん、ケンさん、そして久美子さんのまわりに相撲の土俵のような円形の隙間が出来て、四人の動きに合せて、その隙間が前後左右に動いた。
四人は、自らを囲んでいる兵士の中には入らず、攻撃を待つような姿勢をあえて取っていた。
「うぎゃああーーー!!!!」
「きゃははははーーー!!!!」
だが、ユウ様とサッチンだけは違った。
伊藤家に深い恨みがあるのか、兵士の中に突っ込んでは、逃げ惑う敵兵を次々薙ぎ倒した。
「アド、あの二人が倒した者の中に、瀕死の者がいる、助けてやってくれ」
「ニャッ!」
二人は、ハイになっているのか、けたたましい笑い声を上げながら次々伊藤隊の兵士を倒している。
手加減が緩んでしまっている。このままでは死人が出そうだ。
すでに、スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さんの四人が倒した数より多く倒しているのではないか。
笑いながら敵を倒す二人の顔を想像すると寒気がした。
二人の前の敵兵の顔色が青くなり、唇が小刻みに震えている。
「ふむ、伊藤も島津もこのままでは、全滅を待つばかりだが、何か次の手はあるのだろうか?」
俺は、必要も無いのに伊藤軍と島津軍の心配をしていた。
その時だった。
「うごくなーーー!!!!」
声がすると、伊藤義祐殿が高笑いをする。
「ひゃあーーーはっはっはっーーーー!!!!!!」
「!?」
スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さん、ユウ様とサッチンが何事かと、動きを止めて伊藤義祐殿の顔を見た。
「六人の青き将よ! 後ろを見ろ!!!」
「うおっ!! な、何と言う事を……」
ケンさんがつぶやいた。
「ひゃああーーーはっはっは……これでお前達は動けまい。降参せよ!! 今なら、許してやらん事も無い。ふふふ、まさか奥の手まで使わせられるとは思わなかったが奴らは手練れだ、しかも銃を持たせた。動けば命は奪わせてもらうぞ」
「馬鹿な……」
スケさんがつぶやく。
「どうだ、降参する気になったか。ブタや女、子供ではどうする事も出来ないぞ!!」
「何てことをするんだ……」
カクさんが言う。
「うわあああーーーーー!!!! あに……伊藤義祐様は酷すぎる。あんなか弱いブタと、美女達と美少女を伊藤家の手練れで人質に取るとは!! 卑怯すぎる!!」
ユウ様が絶叫した。
「ふはははは、よもや卑怯と言われるとはなあ。戦争に卑怯も汚えもねえんだよ。やっちゃあいけねえのは、民間人に手を出す事だけだ。戦場にいる兵士は降伏しない限り、殺されても文句は言えねえのさ。わかったら、さっさと降伏しろ!!」
どうやら昨日かそれとも、もっと前だろうか、こんなこともあろうかと手練れを十人程楼閣の影に潜ませていたようだ。
やるなあ伊藤義祐殿は!!
「ふふふっ、全く言うとおりだ。伊藤義祐殿はいい事を言う。ほれちまいそうだぜ!!」
「ふっふっ!! ふざけるなーーーっ!!!!」
「!?」
あれ? せっかく褒めたのに激高してらっしゃるぞ。
なんでだ?
「ブターーー!!!! ブタのくせに偉そうに何を言いやがる。てめーが人質なんだよ。ブタは大人しく屠殺場で小便をちびって、ブヒブヒ悲鳴を上げていればいいんだよーー!!!!!!」
酷い言われかたー。泣けるぜ!
俺の横の手練れの兵士が、銃をあごに当ててグリグリしてくる。
横を見ると、ミサには四人の手練れが銃を突きつけている。
四人とも赤い顔をしている。そして、二人は銃口を柔らかい胸に、二人は左右のお尻に突きつけて、グリグリしている。
久遠さんと響子さんとカノンちゃんにはそれぞれ二人ずつが銃口をつきつけている。だが、グリグリはしていない。
さらに数人の兵士が、2メートル程間隔をあけて、俺達に向って銃を構えて取り囲んでいる。
うわあー、ミサの顔が怒りに満ちあふれている。
こえーー!!
「さあ、どうするんだ!! さっさと降伏しねえか!!!! まじでぶっ殺すぞ!!」
伊藤義祐殿の目が狂気をまとった。
「くっくっくっ……」
スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さんが肩をふるわせ、しゃがみ込んだ。
「いまさら、泣いて許してもらうつもりか。そんな泣き脅しが通用すると思うのか! さっさと降伏の意を示せーー!!」
「うぎゃあああーーーーーー!!!!!!」
「ぎゃあはっはっはっはーーーーーーーー!!!!」
悲鳴が上がると、とうとう、こらえきれず四人が笑い出した。
ユウ様とサッチンはなにがなんだかわからず棒立ちになっている。
「なななななな、なっ!!」
伊藤義祐殿はあごが外れたような顔をしている。
「あの楼閣には、俺達よりはるかに強いお方がいる。お前達程度では人質に出来ないぞ。はははは」
スケさんが笑っている。
楼閣の上では、すでに手練れ達が倒れ失神している。
「な、な、なななななな、なんだとー! お、おおおお、お前達より強い者だと!? まさか、あのデカパイが……」
やめてーー!! それ以上言うとミサが切れますからーー!!
「ふんっ!! 茶番は終わりだ! 殿、今度は俺が行く!!」
伊藤義祐殿の隣の猛将が声を上げた。
「おお、宗幸!! やってくれるか?」
「お任せください! わが名は荒武宗幸ーー!! 日向伊藤家最強の矛だーー!! いざ尋常に勝負せよ!! 者ども道を開けよーーーー!!!!」
宗幸殿が大音声で叫ぶと、兵士の海原が左右に分れ一本の道が出来た。
宗幸殿は、どこかの倉に眠っていたのだろう、立派な甲冑を身にまとい、手には日本刀を持って花道をゆっくり進んだ。
「八兵衛さん、ここは俺にお任せください」
スケさんが声を上げた。
「よもやスケさんが遅れを取るとは思えませんが、十分に気をつけてください。相手は真剣を持っています」
「わかりました。アプザーゲ!」
えぇっ!?
スケさーーん、わかっていないよね。
なんで変身解除しちゃったの。
まさか生身で戦う気?
あかーーん。
敵の幹部が出て来て、変身状態からそれを解除して戦うなんてヒーローものでは見た事がありませんよ。
八手サ○郎もビックリですよ。考えられません。
後半へ続く。
最初、積極的に攻撃していた伊藤隊と島津隊だったが、どの攻撃も通じないとわかると、攻撃がやみ取り囲んでのにらみ合いに入った。
スケさん、カクさん、ケンさん、そして久美子さんのまわりに相撲の土俵のような円形の隙間が出来て、四人の動きに合せて、その隙間が前後左右に動いた。
四人は、自らを囲んでいる兵士の中には入らず、攻撃を待つような姿勢をあえて取っていた。
「うぎゃああーーー!!!!」
「きゃははははーーー!!!!」
だが、ユウ様とサッチンだけは違った。
伊藤家に深い恨みがあるのか、兵士の中に突っ込んでは、逃げ惑う敵兵を次々薙ぎ倒した。
「アド、あの二人が倒した者の中に、瀕死の者がいる、助けてやってくれ」
「ニャッ!」
二人は、ハイになっているのか、けたたましい笑い声を上げながら次々伊藤隊の兵士を倒している。
手加減が緩んでしまっている。このままでは死人が出そうだ。
すでに、スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さんの四人が倒した数より多く倒しているのではないか。
笑いながら敵を倒す二人の顔を想像すると寒気がした。
二人の前の敵兵の顔色が青くなり、唇が小刻みに震えている。
「ふむ、伊藤も島津もこのままでは、全滅を待つばかりだが、何か次の手はあるのだろうか?」
俺は、必要も無いのに伊藤軍と島津軍の心配をしていた。
その時だった。
「うごくなーーー!!!!」
声がすると、伊藤義祐殿が高笑いをする。
「ひゃあーーーはっはっはっーーーー!!!!!!」
「!?」
スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さん、ユウ様とサッチンが何事かと、動きを止めて伊藤義祐殿の顔を見た。
「六人の青き将よ! 後ろを見ろ!!!」
「うおっ!! な、何と言う事を……」
ケンさんがつぶやいた。
「ひゃああーーーはっはっは……これでお前達は動けまい。降参せよ!! 今なら、許してやらん事も無い。ふふふ、まさか奥の手まで使わせられるとは思わなかったが奴らは手練れだ、しかも銃を持たせた。動けば命は奪わせてもらうぞ」
「馬鹿な……」
スケさんがつぶやく。
「どうだ、降参する気になったか。ブタや女、子供ではどうする事も出来ないぞ!!」
「何てことをするんだ……」
カクさんが言う。
「うわあああーーーーー!!!! あに……伊藤義祐様は酷すぎる。あんなか弱いブタと、美女達と美少女を伊藤家の手練れで人質に取るとは!! 卑怯すぎる!!」
ユウ様が絶叫した。
「ふはははは、よもや卑怯と言われるとはなあ。戦争に卑怯も汚えもねえんだよ。やっちゃあいけねえのは、民間人に手を出す事だけだ。戦場にいる兵士は降伏しない限り、殺されても文句は言えねえのさ。わかったら、さっさと降伏しろ!!」
どうやら昨日かそれとも、もっと前だろうか、こんなこともあろうかと手練れを十人程楼閣の影に潜ませていたようだ。
やるなあ伊藤義祐殿は!!
「ふふふっ、全く言うとおりだ。伊藤義祐殿はいい事を言う。ほれちまいそうだぜ!!」
「ふっふっ!! ふざけるなーーーっ!!!!」
「!?」
あれ? せっかく褒めたのに激高してらっしゃるぞ。
なんでだ?
「ブターーー!!!! ブタのくせに偉そうに何を言いやがる。てめーが人質なんだよ。ブタは大人しく屠殺場で小便をちびって、ブヒブヒ悲鳴を上げていればいいんだよーー!!!!!!」
酷い言われかたー。泣けるぜ!
俺の横の手練れの兵士が、銃をあごに当ててグリグリしてくる。
横を見ると、ミサには四人の手練れが銃を突きつけている。
四人とも赤い顔をしている。そして、二人は銃口を柔らかい胸に、二人は左右のお尻に突きつけて、グリグリしている。
久遠さんと響子さんとカノンちゃんにはそれぞれ二人ずつが銃口をつきつけている。だが、グリグリはしていない。
さらに数人の兵士が、2メートル程間隔をあけて、俺達に向って銃を構えて取り囲んでいる。
うわあー、ミサの顔が怒りに満ちあふれている。
こえーー!!
「さあ、どうするんだ!! さっさと降伏しねえか!!!! まじでぶっ殺すぞ!!」
伊藤義祐殿の目が狂気をまとった。
「くっくっくっ……」
スケさんとカクさん、ケンさんと久美子さんが肩をふるわせ、しゃがみ込んだ。
「いまさら、泣いて許してもらうつもりか。そんな泣き脅しが通用すると思うのか! さっさと降伏の意を示せーー!!」
「うぎゃあああーーーーーー!!!!!!」
「ぎゃあはっはっはっはーーーーーーーー!!!!」
悲鳴が上がると、とうとう、こらえきれず四人が笑い出した。
ユウ様とサッチンはなにがなんだかわからず棒立ちになっている。
「なななななな、なっ!!」
伊藤義祐殿はあごが外れたような顔をしている。
「あの楼閣には、俺達よりはるかに強いお方がいる。お前達程度では人質に出来ないぞ。はははは」
スケさんが笑っている。
楼閣の上では、すでに手練れ達が倒れ失神している。
「な、な、なななななな、なんだとー! お、おおおお、お前達より強い者だと!? まさか、あのデカパイが……」
やめてーー!! それ以上言うとミサが切れますからーー!!
「ふんっ!! 茶番は終わりだ! 殿、今度は俺が行く!!」
伊藤義祐殿の隣の猛将が声を上げた。
「おお、宗幸!! やってくれるか?」
「お任せください! わが名は荒武宗幸ーー!! 日向伊藤家最強の矛だーー!! いざ尋常に勝負せよ!! 者ども道を開けよーーーー!!!!」
宗幸殿が大音声で叫ぶと、兵士の海原が左右に分れ一本の道が出来た。
宗幸殿は、どこかの倉に眠っていたのだろう、立派な甲冑を身にまとい、手には日本刀を持って花道をゆっくり進んだ。
「八兵衛さん、ここは俺にお任せください」
スケさんが声を上げた。
「よもやスケさんが遅れを取るとは思えませんが、十分に気をつけてください。相手は真剣を持っています」
「わかりました。アプザーゲ!」
えぇっ!?
スケさーーん、わかっていないよね。
なんで変身解除しちゃったの。
まさか生身で戦う気?
あかーーん。
敵の幹部が出て来て、変身状態からそれを解除して戦うなんてヒーローものでは見た事がありませんよ。
八手サ○郎もビックリですよ。考えられません。
後半へ続く。
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる