底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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九州激闘編

第三百五十四話 勝負の行方

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 全く無防備な島津軍本陣の中に、四人の刺客が良く切れそうな日本刀を持って飛び込みました。
 開いていた幔幕が、衝撃で閉じてしまい中がまるで見えません。
 本陣の中は、義弘様一人です。他は外に出て一騎打ちを見ていました。これすらも策略の内だったようです。

 戸次様は島津軍にバレないように、あらかじめ本陣予定地になりそうな場所に、刺客を伏せさせていたようです。
 それを、私達忍者にバレないように策略を巡らせていたようです。
 私に食事をさせている間に、実行したという事のようです。
 見られては、何にもなりませんからね。
 きたな……、いいえ、見事な作戦です。

「ぐわあぁーーーーーーっ!!!!」

 本陣の幔幕の中から断末魔の声が聞こえます。

「ひゃああーーーはっはっはっーーーーーー!!!! しねー義弘ーー!! その刺客は大友屈指の手練れだ! 四対一ではかてるはずがねえ!! ひゃあぁぁあーーーはっはっはっーーーーーー!!!!」」

 大友様が勝ち誇っています。

「くっ……!」

 私は、本陣に急ぎました。
 そして、本陣に飛び込みました。

「ふふっ」

 中で笑い声がしました。

「どうしました?」

 驚いている私に、余裕の表情の義弘様の姿がありました。
 私は、本陣の幔幕を吊っている紐を、風の忍術で切ります。
 バサリと音を立てて幔幕が下に落ちました。

「うおおおおおおおおおぉぉぉーーーーーーーー!!!!!」

 心配そうにしていた、島津軍から雄叫びがあがります。
 義弘様の手に失神した刺客が一人ずつ、本陣の床にも二人の刺客が倒れています。

「義弘様、お土産です」

 私は戸次様を本陣の床に置きました。

「!?」

 戸次様は驚いた表情を隠せませんでした。
 そして続けて言いました。

「こ、この男達は、四人なら俺でも手こずる程の男……」

「そうなのか!? まあ、大したこと無かったぞ。むしろ楽勝だったぞ。ひっひっ」

 義弘様はうれしそうに笑います。

「なっ……な、なにーーっ!! 嘘だ! 嘘だろう!!」

 余程自信があったのでしょう。
 大友様が頭を抱えて叫んでいます。

「聞けーーっ!! おおともーー!!!!」

 突然、義弘様は大声を出しました。

「!??」

 大友軍は全員、義弘様を見ました。

「俺達島津軍五百五十五人は、全員木田の大殿の装備を装着している。装着してねえのは、そこの相良と赤池だけだ。装備をつけているものは全員、戸次よりは強い!!」

「なっ……!!」

 大友軍が全員で驚いています。
 大友様は、目だけでは無く口まで開けて驚いています。
 もちろん戸次様まで、目を見開いています。

「五百五十五人、確か五百五十四人だったはず……?」

 私は、独り言が漏れてしまいました。

「はっはっはっ、桃井さんが入ればそうなるでしょう。自分を忘れてもらっては困る」

「ええっ!? よ、義弘様……」

 私は義弘様を見つめました。
 義弘様はうれしそうに、そして満足そうにうなずきます。

「嫌ですよー。島津軍なんかー。私は大殿付きのお庭番ですから。ここに居るのはたまたま、海外旅行に行きそびれたからですからね」

 私がそう言うと、ガクッと義弘様の体が沈みました。
 それを戸次様が見て、さらに驚いて目が倍ほど開いています。
 いけません、それ以上開くと落っこちてしまいます。
 私は、床に落ちると汚れてしまうので戸次様のあごの下に両手を開いて差し出しました。これで落っこちても大丈夫です。

「さすがは桃井さんだ。まったくぶれないなあ。大殿一筋だ」

「にゃにゃ、にゃにをいうのれすかーー!!」

 そう言ったら、戸次様がさらに目を見開いたので、目玉が落ちまし……。あっ、半分位飛び出したところで止まりました。

「そ、それは、誠なのか……?」

 大友様がやっと口を開きました。
 私が大殿一筋なところがですか?
 あー違いますね。戸次様と同じ位の力があると言うところですね。

「疑うのなら試せばいい。今からやるか? 常久がやりたくてウズウズしているぜ」

「わぁーはっはっーーーー!!!! 大友軍など安東軍四十二人で、皆殺しにしてみせるわ!! 義弘殿! 下知を下されー!!!!」

 猛将安東常久様が言いました。
 猛将の人はやたら声がでかいですね。

「だから、皆殺しはダメですからーー! 大殿に叱られますよ!!」

 つい、私が言ってしまいました。

「いやあ、桃井殿すまんすまん。相良の兵士を二百五十六人殺したばかりだった」

「すげーー、桃影殿にあの常久様が頭を下げている」

 戸次様がつぶやきます。

「なにっー!! 相良、本当なのか?」

 大友様は驚いた表情を変える間もなく相良様を見ました。

「ああ、やられた、やられた。それどころか、三千の兵士が半分やられるのに一分かからなんだわ!!」

 それは、大げさですが、効き目十分のようです。

「ぐぬぬぬぅぅぅ…………」

 大友様は長くうなっています。

「大友、俺達の力はわかったはずだ。その上で話がしてえ、重臣を連れてこっちへ来い。俺達は汚え手は使わねえ。まあ、信じる信じねえは、おめえさんの勝手だがな」

「ふん、聞いてやる!! 一萬田、臼杵、同行せよ」

 今度の判断は速かったです。
 さすがは大友様ですね。

「はっ!!」

 千人の隊を率いていた、体の大きい将が二名同行するようです。
 二人とも恐ろしい顔をしています。きっと猛将なのでしょうね。
 三人が、戦場を縦断して島津本陣に近づきます。
 島津軍は、道を開けて三人を通します。

 本陣の机を囲んで、上座に義弘様、真田様、常久様の順に座ります。
 義弘様の後ろに私が立たされました。
 嫌だって首を振っているのに、強引に相楽様と赤池様が押してきました。
 対する大友家からは、大友義鑑様、一萬田様、臼杵様の順に座りました。後ろに拘束された戸次様も座らされました。

「戦場だ、大した物は出せないが、まずは水でも飲んでくれ」

 全員に、水が出されました。
 すぐさま、義弘様が口をつけ、真田様も常久様も飲み干しました。
 毒味ですね。そして、大友の三人が恐る恐る口を付けます。

「なっ、なんだこれは!?」
「かーーっ!! うまい!!」

 大友様が驚いていると、御供の二人は一気に飲み干しました。

「お替わりもあるぞ」

 そう言うと、義弘様は青い水筒から、三人の空のコップに水を注ぎました。

「まいるぜ、冷えた水が戦場にあるのか」

 これだけで、大友様はいろいろ察したようです。
 さすがですね。

「では、桃井さん。説明を頼む」

「はーーっ!! また私ですかーー!??」

 義弘様はまた私に丸投げしてきました。
 まあ、しかたが無いですね。
 木田家の事は、この中で私が一番知っていますから……。
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