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最終章 明と暗
第四百二十八話 最終話
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俺の焼きそば屋台の前は相変わらず、でかいおっさんのたまり場になっている。
おかげで、一般の人が寄りつかない。
太陽が傾き、薄暗くなると美少女三人が屋台にやって来た。
コンサートを終えたあずさとヒマリとお手伝いのイルナだ。
「とうさん、なぜスケさんのステーキ屋さんまでこんなに距離が開いているの?」
「ああ、それはこの焼きそばが、美味しすぎるために順番待ちが出来ると想定していたのさ。だから、二号店から五号店まで欲張って、並べられるように空けておいたんだ。見事に目論見は外れたがな」
質問したヒマリの目がキラリと輝いた。
「じゃあ、すぐに二号店を出してください」
「えっ!?」
「うふふっ、ピーツインの焼きそば屋台を開店させます」
「なるほど」
俺はすぐに二号店を用意した。
「焼き方を教えて下さい」
俺は丁寧にあずさとヒマリに焼き方を説明した。
だが、黄金焼きそばは、そう簡単にはできない。
当たり前だ、出来てたまるかー!!!!
これは、プロの俺にしか出来ないのだ。
「あらら、玉子がそぼろのようになって、綺麗にコーティングできません」
「まあ、いいじゃん、そのままソースをかけよう」
ヒマリが残念そうに言うと、そこにあずさがソースをかけた。
「はい! とうさん」
ヒマリが、出来た焼きそばを四等分して、その一つを俺に手渡してくれた。
「こんな、玉子が綺麗にからんでいねえ、ぐっちゃぐっちゃの焼きそばはうまくねえわなー……」
俺は言いながら口に入れた。
「ぎゃーーーっ!!!!」
あずさが悲鳴を上げた。
「うまーーーい!!!!」
ヒマリとイルナが続いた。
「くそーーっ、うめーじゃねえか」
そうだった。このソースは、焼きそばの焼き上がり具合など、どうでもいいぐらい、かければ美味しくしてしまう。
「これなら、大丈夫よね」
「まあ、だいじょうぶだな」
だが、俺の心は複雑だよ。
「みんなーー!!!! ピーツインの焼きそばだよーー!!!! おいしぃーーよー!!!!」
「えっ!!!!」
前を通る大人も子供もその声を聞くと足を止めた。
「本当だーー!!」
「お母さーん!! ピーツインだーー!!」
「かわいいーー!!!!」
「ピーツインの焼きそば食べたーい」
あずさは、可愛いフリフリの青色のエプロン。ヒマリも可愛いフリフリの黄色いエプロンで焼きそばを焼き始めた。
ピンクのエプロンのイルナは、二人の手伝いをしている。
ピーツインの焼きそば屋台は、家路に向う親子連れの注目の的になった。
「すげーー!!」
いっぺんに人だかりが出来た。
これがキャラクター商品の強さなのか……くそっ。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! おいしーーーー!!!!」
「本当ねー!! 屋台の焼きそばだから、まずいのかと思ったら、すごく美味しい。さすがはピーツインね」
いやいや、俺の焼きそばですよ。
「三号店、四号店、五号店も出して下さい」
ミサと坂本さんと古賀さんが俺の横に立っている。
いわれるまま、屋台を出した。
「この焼きそばは、作り方が難しいんだ」
「はいはい、適当に焼いてソースをかければいいのでしょ」
「くそう。見ていたのか」
「うふふ」
くそぅっ!! どうやら、ピーツインとのやりとりを見ていたようだ。
「えーーーっ!!!!」
「うふふ、ちゃんと付けていますよ」
ミサの奴、胸が半分以上出ている肩ひものない水着の上にエプロンをつけている。
まるで、何も付けていない裸エプロンのように見えて不覚にも驚いてしまった。
その格好のまま焼きそばを焼くと、なんだか揺れまくって大変な事になっている。
三人の美女の屋台の前にも大勢の男の人が列を作った。
結局俺は、お客様の誰も来ない一号店を閉店して、ピーツインの店で焼きそばを焼くはめになった。
二人はお客さんに手渡すだけの役だ。
それでもお客さんは大満足のようだ。
やっぱり、俺が焼いた黄金焼きそばの方が少しうまい。
「おいしーーーい!!!! こんなに美味しい焼きそばは、はじめてーー!!」
お客さんは満足してくれたようだ。
翌日も、早朝から女性陣はいそいそとイベント会場へ出かけた。
あずさもヒマリもイルナも元気一杯で楽しそうに出かけた。
俺は、焼きそば屋台一号店の前に立ち、イベント会場の方を見つめている。
風が少し冷たくて、冬を感じる。空は雲一つない快晴だ。
そして、アドとオオエの気配を集中して探したが二人はここにいないようだ。
恐らく古賀忍軍の見張りは何人か残っているだろう。
俺は、クザンと二人だけで食材の倉庫に入った。
「クザン、悪いなあ。お前だけは道連れだ。最後の変身をしよう……」
クザンは、ゆっくりうなずくと俺の方を見た。
ふふふ、ごめんなあずさ、ずっと決めていたんだ。
新潟秋祭りの二日目の朝に行こうと……。
「オイサスト! シュヴァイン!!」
俺は、アンナメーダーマンに変身した。
そして、透明化で姿を消した。
「わるいなあ、みんな。俺はこの日まで誰にも言わず内緒にしていた事がある。実はテレポートの魔法が使えるようになっているんだ。そして、広島駅は昔、仕事の出張で行ったことがあるんだぜ」
つい口に出して言っていた。
そして、俺は広島駅へテレポートの魔法を使った。
おかげで、一般の人が寄りつかない。
太陽が傾き、薄暗くなると美少女三人が屋台にやって来た。
コンサートを終えたあずさとヒマリとお手伝いのイルナだ。
「とうさん、なぜスケさんのステーキ屋さんまでこんなに距離が開いているの?」
「ああ、それはこの焼きそばが、美味しすぎるために順番待ちが出来ると想定していたのさ。だから、二号店から五号店まで欲張って、並べられるように空けておいたんだ。見事に目論見は外れたがな」
質問したヒマリの目がキラリと輝いた。
「じゃあ、すぐに二号店を出してください」
「えっ!?」
「うふふっ、ピーツインの焼きそば屋台を開店させます」
「なるほど」
俺はすぐに二号店を用意した。
「焼き方を教えて下さい」
俺は丁寧にあずさとヒマリに焼き方を説明した。
だが、黄金焼きそばは、そう簡単にはできない。
当たり前だ、出来てたまるかー!!!!
これは、プロの俺にしか出来ないのだ。
「あらら、玉子がそぼろのようになって、綺麗にコーティングできません」
「まあ、いいじゃん、そのままソースをかけよう」
ヒマリが残念そうに言うと、そこにあずさがソースをかけた。
「はい! とうさん」
ヒマリが、出来た焼きそばを四等分して、その一つを俺に手渡してくれた。
「こんな、玉子が綺麗にからんでいねえ、ぐっちゃぐっちゃの焼きそばはうまくねえわなー……」
俺は言いながら口に入れた。
「ぎゃーーーっ!!!!」
あずさが悲鳴を上げた。
「うまーーーい!!!!」
ヒマリとイルナが続いた。
「くそーーっ、うめーじゃねえか」
そうだった。このソースは、焼きそばの焼き上がり具合など、どうでもいいぐらい、かければ美味しくしてしまう。
「これなら、大丈夫よね」
「まあ、だいじょうぶだな」
だが、俺の心は複雑だよ。
「みんなーー!!!! ピーツインの焼きそばだよーー!!!! おいしぃーーよー!!!!」
「えっ!!!!」
前を通る大人も子供もその声を聞くと足を止めた。
「本当だーー!!」
「お母さーん!! ピーツインだーー!!」
「かわいいーー!!!!」
「ピーツインの焼きそば食べたーい」
あずさは、可愛いフリフリの青色のエプロン。ヒマリも可愛いフリフリの黄色いエプロンで焼きそばを焼き始めた。
ピンクのエプロンのイルナは、二人の手伝いをしている。
ピーツインの焼きそば屋台は、家路に向う親子連れの注目の的になった。
「すげーー!!」
いっぺんに人だかりが出来た。
これがキャラクター商品の強さなのか……くそっ。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! おいしーーーー!!!!」
「本当ねー!! 屋台の焼きそばだから、まずいのかと思ったら、すごく美味しい。さすがはピーツインね」
いやいや、俺の焼きそばですよ。
「三号店、四号店、五号店も出して下さい」
ミサと坂本さんと古賀さんが俺の横に立っている。
いわれるまま、屋台を出した。
「この焼きそばは、作り方が難しいんだ」
「はいはい、適当に焼いてソースをかければいいのでしょ」
「くそう。見ていたのか」
「うふふ」
くそぅっ!! どうやら、ピーツインとのやりとりを見ていたようだ。
「えーーーっ!!!!」
「うふふ、ちゃんと付けていますよ」
ミサの奴、胸が半分以上出ている肩ひものない水着の上にエプロンをつけている。
まるで、何も付けていない裸エプロンのように見えて不覚にも驚いてしまった。
その格好のまま焼きそばを焼くと、なんだか揺れまくって大変な事になっている。
三人の美女の屋台の前にも大勢の男の人が列を作った。
結局俺は、お客様の誰も来ない一号店を閉店して、ピーツインの店で焼きそばを焼くはめになった。
二人はお客さんに手渡すだけの役だ。
それでもお客さんは大満足のようだ。
やっぱり、俺が焼いた黄金焼きそばの方が少しうまい。
「おいしーーーい!!!! こんなに美味しい焼きそばは、はじめてーー!!」
お客さんは満足してくれたようだ。
翌日も、早朝から女性陣はいそいそとイベント会場へ出かけた。
あずさもヒマリもイルナも元気一杯で楽しそうに出かけた。
俺は、焼きそば屋台一号店の前に立ち、イベント会場の方を見つめている。
風が少し冷たくて、冬を感じる。空は雲一つない快晴だ。
そして、アドとオオエの気配を集中して探したが二人はここにいないようだ。
恐らく古賀忍軍の見張りは何人か残っているだろう。
俺は、クザンと二人だけで食材の倉庫に入った。
「クザン、悪いなあ。お前だけは道連れだ。最後の変身をしよう……」
クザンは、ゆっくりうなずくと俺の方を見た。
ふふふ、ごめんなあずさ、ずっと決めていたんだ。
新潟秋祭りの二日目の朝に行こうと……。
「オイサスト! シュヴァイン!!」
俺は、アンナメーダーマンに変身した。
そして、透明化で姿を消した。
「わるいなあ、みんな。俺はこの日まで誰にも言わず内緒にしていた事がある。実はテレポートの魔法が使えるようになっているんだ。そして、広島駅は昔、仕事の出張で行ったことがあるんだぜ」
つい口に出して言っていた。
そして、俺は広島駅へテレポートの魔法を使った。
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