42 / 100
第142章『交わり』
しおりを挟む
第142章『交わり』
腕の中で喘ぎ、求め、果て、そして今寝息を立てる小さな身体、敦賀はそれを抱き締めながら、かれこれ一時間程考え込んでいた。
目の当たりにしたタカコの残忍さ、そしてその向こうに在る怒りと悲しみ、それが一体何に起因する事なのか、答えは出ないと分かっていても考えずにはいられず、こうして彼女の寝顔を見ながら一人徒に思案を続けている。
自らの命を危険に晒してでも筋を通したタカコ、その彼女が自分の憎しみ、殺意を優先させ北見を焼き殺した程の事とは一体何なのか、過去に何が有ったのか。話して欲しい、そう思うが彼女が話してくれるかは分からない、寧ろ話さない可能性の方が高いだろう。どんな事を打ち明けられても受け止め、そして受け入れるだけの覚悟は出来ているが、それと彼女が話してくれるかどうかは全く別の話だ。
少しずつでも近づいているようでいて遠い距離、こうして腕の中に収め何度抱いても心の距離だけは縮まらない、それが何とももどかしい。
タカコが自分達にしていた最大の隠し事は明らかにされた筈なのに、胸の内には変わらずに何かを抱えたまま。それを話せと無理強いする気は無いが、それでももう少しだけでも打ち解けてはくれないものか、そう思ってしまう。
恐らく任務に関わる事ではない、個人的な事だろう、誰とどんな因縁を抱えているのか、自分も一緒に向き合ってやから早く話せ、そう思いながら抱き締める腕に力を込めれば、その感触で目を覚ましたのかタカコの双眸が薄らと開かれ、焦点の定まらない視線が敦賀へと向けられる。
「……敦賀」
「意識飛ばしてたぞ……少しは落ち着いたか」
「……うん、ごめん」
「謝るな……お前が悪いわけじゃねぇ」
額へと口付ければ身体を摺り寄せられ、その熱と柔らかさを感じながら覆い被さり、顎を掬い上げて今度は唇へと口付けを落とす。躊躇いがちに、それでも素直に応える舌、背中へと回される腕、少しずつ熱と硬さの蘇り始めた自らの雄を彼女の身体へと擦りつければ、その感触に腕の中の身体はふるりと震え、喉の奥で小さく啼いた。
身体中に口付けを落とし喘ぎを引き出し、再度貫いた後は直ぐに抽挿には移らず、打ち込まれた熱の感覚に小さく震え喘ぎを漏らすタカコの顔を覗き込む。
「……なぁ、俺が前に言った事、覚えてるか?」
「……え?な、に」
「背負ってるもん抱えてるもんが重いのなら俺に渡せ、一緒に持ってやる……そう言ったろ?」
潤んだ眼差しが揺れる、敦賀はそれを見て僅かに目を細め頬へと口付け、そっと額を突き合わせて言葉を続けた。
「お前が何を抱えてるんでも良い、それがどんな重い事でも汚い事でも構わねぇ、そんな稼業でその歳迄生きてりゃ色々有るだろうよ、それで今更どう思ったりもしねぇよ。それでも、お前が一人でしんどそうなツラしてるのは気に入らねぇ。良い子ぶるんじゃねぇ、俺に当たり散らせ、それがどれだけ激しくても続いても、最後迄付き合ってやるから……だから、俺を頼れ、俺を見ろ、俺を……必要としろ」
タカコの身体が強張るのが分かる、腰を進めてその感触に気を取られた隙に深く抱き締め、首筋を緩く吸い上げた。
「身体だけの付き合いでも何でも……それでも俺はお前がしんどそうなツラしてるのは見たくねぇんだよ、俺がそれを見てるだけで何もしてやれねぇのも。お前がどう思ってるのかなんざ関係無ぇ、俺が嫌なんだよ、だからもっと近くに来い。俺がいつでもお前に手を貸してやれる様に、離れようとするんじゃねぇよ、この馬鹿女」
耳朶に唇を寄せてそう言ってから顔を覗き込めば、潤んでいた双眸からは涙が溢れ出て眦を伝いこめかみを濡らしていて、敦賀はタカコのその泣き顔に胸が痛むのを感じながら、濡れた眦へと口付け涙を吸い上げる。
「……泣くな、俺は小器用じゃねぇから、こういう時どうしたら良いかなんて分かんねぇんだよ、だから、泣くな」
いつもいつも強気なタカコ、その彼女の涙を見るとどうしたら良いのか本当に分からなくなる、それでも何とかしようと再度眦へと口付ければ、背中に回されたタカコの腕に力が込められ、彼女の両足が腰へと絡められ密着度が増す。そして、
「……だったら、抱いて、何も考えずに済む位……今は、それだけで良いから」
その言葉に続けて口付けられ、歯列を割って入って来る舌の感触に背筋を何かが走り抜ける。舌に緩く歯を立ててきつく抱き締め、再度腰を進めれば、絡みつく足にも更に力が込められた。
そして始まった激しい抽挿、タカコの身体がそれに突き上げられ、眦に浮かんだ涙が勢いに負けて時折弾ける。間断無く彼女の口から溢れる喘ぎに、ああ、これは泣き声なのだと敦賀は理解した。
結局何も言わないまま、それでもタカコの方から自分を求めて来た、縋ってくれた、今はそれで一旦は引いておこう。問い詰めればきっと逃げてしまうだろうから、それだけは絶対に避けたいから。
「……っ!」
急激に大きくなる腰周りのざわつき、それに眉根を寄せて動きを早めれば、やがて訪れた吐精と腰から背中へと駆け抜ける快感、低く呻きながら奥へ奥へと更に腰を進め、中へと全てを吐き出した。
荒い息、浮いた汗、そのままどさりとタカコへと覆い被さればまた彼女の方から口付けられ、お互いの荒い息すらも飲み込む様に深く貪り合う。そしてそれが離れた時、タカコの唇がまた言葉を紡ぎ、敦賀はそれに小さく歯を軋らせた。
「……もっと……頂戴?」
腕の中で喘ぎ、求め、果て、そして今寝息を立てる小さな身体、敦賀はそれを抱き締めながら、かれこれ一時間程考え込んでいた。
目の当たりにしたタカコの残忍さ、そしてその向こうに在る怒りと悲しみ、それが一体何に起因する事なのか、答えは出ないと分かっていても考えずにはいられず、こうして彼女の寝顔を見ながら一人徒に思案を続けている。
自らの命を危険に晒してでも筋を通したタカコ、その彼女が自分の憎しみ、殺意を優先させ北見を焼き殺した程の事とは一体何なのか、過去に何が有ったのか。話して欲しい、そう思うが彼女が話してくれるかは分からない、寧ろ話さない可能性の方が高いだろう。どんな事を打ち明けられても受け止め、そして受け入れるだけの覚悟は出来ているが、それと彼女が話してくれるかどうかは全く別の話だ。
少しずつでも近づいているようでいて遠い距離、こうして腕の中に収め何度抱いても心の距離だけは縮まらない、それが何とももどかしい。
タカコが自分達にしていた最大の隠し事は明らかにされた筈なのに、胸の内には変わらずに何かを抱えたまま。それを話せと無理強いする気は無いが、それでももう少しだけでも打ち解けてはくれないものか、そう思ってしまう。
恐らく任務に関わる事ではない、個人的な事だろう、誰とどんな因縁を抱えているのか、自分も一緒に向き合ってやから早く話せ、そう思いながら抱き締める腕に力を込めれば、その感触で目を覚ましたのかタカコの双眸が薄らと開かれ、焦点の定まらない視線が敦賀へと向けられる。
「……敦賀」
「意識飛ばしてたぞ……少しは落ち着いたか」
「……うん、ごめん」
「謝るな……お前が悪いわけじゃねぇ」
額へと口付ければ身体を摺り寄せられ、その熱と柔らかさを感じながら覆い被さり、顎を掬い上げて今度は唇へと口付けを落とす。躊躇いがちに、それでも素直に応える舌、背中へと回される腕、少しずつ熱と硬さの蘇り始めた自らの雄を彼女の身体へと擦りつければ、その感触に腕の中の身体はふるりと震え、喉の奥で小さく啼いた。
身体中に口付けを落とし喘ぎを引き出し、再度貫いた後は直ぐに抽挿には移らず、打ち込まれた熱の感覚に小さく震え喘ぎを漏らすタカコの顔を覗き込む。
「……なぁ、俺が前に言った事、覚えてるか?」
「……え?な、に」
「背負ってるもん抱えてるもんが重いのなら俺に渡せ、一緒に持ってやる……そう言ったろ?」
潤んだ眼差しが揺れる、敦賀はそれを見て僅かに目を細め頬へと口付け、そっと額を突き合わせて言葉を続けた。
「お前が何を抱えてるんでも良い、それがどんな重い事でも汚い事でも構わねぇ、そんな稼業でその歳迄生きてりゃ色々有るだろうよ、それで今更どう思ったりもしねぇよ。それでも、お前が一人でしんどそうなツラしてるのは気に入らねぇ。良い子ぶるんじゃねぇ、俺に当たり散らせ、それがどれだけ激しくても続いても、最後迄付き合ってやるから……だから、俺を頼れ、俺を見ろ、俺を……必要としろ」
タカコの身体が強張るのが分かる、腰を進めてその感触に気を取られた隙に深く抱き締め、首筋を緩く吸い上げた。
「身体だけの付き合いでも何でも……それでも俺はお前がしんどそうなツラしてるのは見たくねぇんだよ、俺がそれを見てるだけで何もしてやれねぇのも。お前がどう思ってるのかなんざ関係無ぇ、俺が嫌なんだよ、だからもっと近くに来い。俺がいつでもお前に手を貸してやれる様に、離れようとするんじゃねぇよ、この馬鹿女」
耳朶に唇を寄せてそう言ってから顔を覗き込めば、潤んでいた双眸からは涙が溢れ出て眦を伝いこめかみを濡らしていて、敦賀はタカコのその泣き顔に胸が痛むのを感じながら、濡れた眦へと口付け涙を吸い上げる。
「……泣くな、俺は小器用じゃねぇから、こういう時どうしたら良いかなんて分かんねぇんだよ、だから、泣くな」
いつもいつも強気なタカコ、その彼女の涙を見るとどうしたら良いのか本当に分からなくなる、それでも何とかしようと再度眦へと口付ければ、背中に回されたタカコの腕に力が込められ、彼女の両足が腰へと絡められ密着度が増す。そして、
「……だったら、抱いて、何も考えずに済む位……今は、それだけで良いから」
その言葉に続けて口付けられ、歯列を割って入って来る舌の感触に背筋を何かが走り抜ける。舌に緩く歯を立ててきつく抱き締め、再度腰を進めれば、絡みつく足にも更に力が込められた。
そして始まった激しい抽挿、タカコの身体がそれに突き上げられ、眦に浮かんだ涙が勢いに負けて時折弾ける。間断無く彼女の口から溢れる喘ぎに、ああ、これは泣き声なのだと敦賀は理解した。
結局何も言わないまま、それでもタカコの方から自分を求めて来た、縋ってくれた、今はそれで一旦は引いておこう。問い詰めればきっと逃げてしまうだろうから、それだけは絶対に避けたいから。
「……っ!」
急激に大きくなる腰周りのざわつき、それに眉根を寄せて動きを早めれば、やがて訪れた吐精と腰から背中へと駆け抜ける快感、低く呻きながら奥へ奥へと更に腰を進め、中へと全てを吐き出した。
荒い息、浮いた汗、そのままどさりとタカコへと覆い被さればまた彼女の方から口付けられ、お互いの荒い息すらも飲み込む様に深く貪り合う。そしてそれが離れた時、タカコの唇がまた言葉を紡ぎ、敦賀はそれに小さく歯を軋らせた。
「……もっと……頂戴?」
0
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【短編】記憶を失っていても
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。
そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。
これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。
※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
霊力ゼロの陰陽師見習い
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる