45 / 100
第345章『予感』
しおりを挟む
第345章『予感』
「――では、報告を始めてくれ」
「了解しました。お手元の報告書に沿って説明をさせて頂きます。先ず、一枚目の――」
復帰後一発目の教導隊演習、今回はタカコ達ワシントン勢、そして敦賀を含む極一部の大和勢が非正規兵として参加し、残りがそれを制圧するという筋書きだった。また全滅の憂き目を見るかも知れないと高根と共に心配したが、それはどうやら杞憂だった様だ、と、非正規兵側の指揮官役として立てられた島津と共に、博多駐屯地の会議室で結果報告書の内容を説明するタカコの顔を見て、黒川は小さく笑う。
今回タカコが中心になって仕掛けた罠は大小全て合わせて五百、内、作動したものが四百二十三、その中で正規兵側に何等かの損害判定を与えたものが三百九十二、作動はしたものの回避されたものが三十一、作動前に発見され無効化されたものが二十五、発見されずに終わり作動もせず無効化もされなかったものが五十二。
損害判定を与えた数だけを見れば相変わらずの一方的な展開ではあるものの、内容を見れば随分と色合いが変わって来る。先ず、一つの仕掛け当たりの損害率は以前よりも格段に改善しており、一発で全滅判定を受けたものは今回は一つも無い。そして、最大の変化は初めて数字として出た無効化率。前回迄はそれに対処出来る技能を持った兵員は未だ育っておらず、ワシントン勢が無効化したものは全て算入はせずに切り捨てて来た。それが今回は海兵隊曹長の藤田を始めとした特殊技能兵の活躍により、多くの罠を事前に察知し無効化する事に成功し、教えられての事とは言えど、漸く自前の戦力で多少なりとも対応する事が出来る様になった事に、黒川だけでなく高根も、そして真の事情を知らない御偉方達も機嫌の良さを隠さない。
未だにワシントン勢に追いついたとはとても思えないが、それでも、細く弱く頼り無かった爪と牙が多少は育ったか、それが黒川も高根も大和軍人として何よりも嬉しく、そして心強く思えた。
しかし、と、そこで黒川は報告書から顔を上げて説明を続けるタカコを見る。負けん気の強いタカコ、その彼女の事だから手ずから仕掛けた罠を格下の相手に無効化されたとあっては自尊心を傷つけられて多少なりとも不機嫌なのではと思っていたのに、今目の前にいる彼女からはまるでそんな気配は感じられない。それはこうして会議に入る前に敦賀や他の教導隊の面々と話している時も同じで、それどころか何処か嬉しそうな、安堵した様な、そんな気配を身に纏っていた。
本来ならばそれは黒川にとっても安心すべき事である筈、しかし、今はあの柔らかで穏やかな空気と笑顔が、何とも言えず嫌な気持ちにさせる。
それは、あの空気と笑顔から、
『安心してこの国を離れられる』
と、そう思っている事が伝わって来るから。別離の時を迎えそれを選択しワシントン軍へと戻れば、もう彼女達は自分達大和に手を貸す事は出来ない、それが分かっていたからこそ様々な無茶な要求にも応え全力を傾けてあらゆる事を叩き込んでくれたのだ。そして、自分達大和人が僅かでも自分達だけの力で立ち動く事が出来た今、間に合った、と、心底安堵しているのが手に取る様に分かってしまう、それが黒川にとっては嫌で堪らなかった。
そしてもう一つ――、出来れば気付きたくはなかったが最近になって薄々感じ始めていた事、黒川の心に暗い影を落とし小さなささくれをあちこちに作っている事が有る。目端の利く性分だった自分を恨めしくも思いたくなるが、生来の性分も気付いてしまった事も無かった事に出来る筈も無く、いつ『その時』が彼女によって齎されるのか、タカコの顔を見る度にそんな想いが頭を支配し、それが退院してからこちら、積極的に彼女へと近寄らない様に自らの身体と心に制動を掛けていた。
生真面目で筋を通したがる性分のタカコ、その彼女の事だ、先ずは自分へと話を持って来て、お互いの間の事に決着をつけ無い限りは、『あちら』に話をする事も無いだろう。だとすれば、自分が話し合いの席につかない限りは『その時』もその後も無い、何とも卑怯で女々しい事ではあるが、今は未だ、それを受け入れる心の整理はついてはいなかった。
しかし、そうやって自分が逃げ回っている内にタカコの言っていた『千日目』がやって来れば、彼女が帰国を選択してしまったら、あの二人はお互いの気持ちも関係も中途半端なままに離れざるを得なくなる。それが分かっているのに逃げ続けるのか、愛している女の幸せを考えてやれないのか、そう責める声もまた、黒川自身の正直な気持ちでもあった。
そろそろ答えを出し立場をはっきりさせ、そして、彼女が出したのであろう答えを受け止める時なのかも知れない。無論、彼女が自分自身の気持ちを自覚し動き出せばの話だが、と、続く報告を聞きながらそんな事をつらつらと考え二時間程を過ごし、やがて報告会議は終了の時間を迎えた。
「――分かった、それでは、今回も御苦労だった、情報の精査と反映はまだまだ続くと思うが、今日位は各員ゆっくり休み、明日以降に備えてくれ、解散」
報告を全て聞き終えた黒川のその締めの言葉により会議室内の人間は動き出し、夫々が自分の持ち場へと戻り始める。黒川自身は明日も博多で動く為に今夜は博多駐屯地に泊まる事になっており、お偉方と話した後は高根と横山と小此木と煙草でも吸って愚痴を零し合い、その後は早々に休んでしまおう、そんな事を考えながら脇に置いた杖を持ち、ゆっくりと立ち上がった。
「総監、大丈夫ですか?」
立ち上がった拍子に姿勢を崩してしまい、大きく上半身を傾ければ、腕と胴に両手を遣って支えたのはタカコ、その彼女に
「ああ、済まんな、有り難う、清水曹長」
と、にこりと笑い掛ければ、掌にそっと紙を差し込まれたのに気が付いた。
「大怪我をなさったんですから、あまり御無理はなさらないで下さいね、失礼します」
笑顔でそう言ってぺこりと頭を下げて書類の束を抱えて会議室を出て行くタカコ、その姿が見えなくなってから掌の中の折り畳まれた紙片を広げてみれば、そこには、
『タツさんへ。
話が有ります。
いつもの飲み屋の奥座敷で待ってます。
タカコ』
と、それだけが書かれていた。
どうやら、思っていたよりも早く『その時』がやって来てしまった様だ。さて、覚悟を決めるか、黒川は大きく息を吐きながらそんな事を考え、くしゃり、と、紙片を握り潰しポケットに突っ込むと、杖を突きながらゆっくりと歩き出し会議室を出た。
「――では、報告を始めてくれ」
「了解しました。お手元の報告書に沿って説明をさせて頂きます。先ず、一枚目の――」
復帰後一発目の教導隊演習、今回はタカコ達ワシントン勢、そして敦賀を含む極一部の大和勢が非正規兵として参加し、残りがそれを制圧するという筋書きだった。また全滅の憂き目を見るかも知れないと高根と共に心配したが、それはどうやら杞憂だった様だ、と、非正規兵側の指揮官役として立てられた島津と共に、博多駐屯地の会議室で結果報告書の内容を説明するタカコの顔を見て、黒川は小さく笑う。
今回タカコが中心になって仕掛けた罠は大小全て合わせて五百、内、作動したものが四百二十三、その中で正規兵側に何等かの損害判定を与えたものが三百九十二、作動はしたものの回避されたものが三十一、作動前に発見され無効化されたものが二十五、発見されずに終わり作動もせず無効化もされなかったものが五十二。
損害判定を与えた数だけを見れば相変わらずの一方的な展開ではあるものの、内容を見れば随分と色合いが変わって来る。先ず、一つの仕掛け当たりの損害率は以前よりも格段に改善しており、一発で全滅判定を受けたものは今回は一つも無い。そして、最大の変化は初めて数字として出た無効化率。前回迄はそれに対処出来る技能を持った兵員は未だ育っておらず、ワシントン勢が無効化したものは全て算入はせずに切り捨てて来た。それが今回は海兵隊曹長の藤田を始めとした特殊技能兵の活躍により、多くの罠を事前に察知し無効化する事に成功し、教えられての事とは言えど、漸く自前の戦力で多少なりとも対応する事が出来る様になった事に、黒川だけでなく高根も、そして真の事情を知らない御偉方達も機嫌の良さを隠さない。
未だにワシントン勢に追いついたとはとても思えないが、それでも、細く弱く頼り無かった爪と牙が多少は育ったか、それが黒川も高根も大和軍人として何よりも嬉しく、そして心強く思えた。
しかし、と、そこで黒川は報告書から顔を上げて説明を続けるタカコを見る。負けん気の強いタカコ、その彼女の事だから手ずから仕掛けた罠を格下の相手に無効化されたとあっては自尊心を傷つけられて多少なりとも不機嫌なのではと思っていたのに、今目の前にいる彼女からはまるでそんな気配は感じられない。それはこうして会議に入る前に敦賀や他の教導隊の面々と話している時も同じで、それどころか何処か嬉しそうな、安堵した様な、そんな気配を身に纏っていた。
本来ならばそれは黒川にとっても安心すべき事である筈、しかし、今はあの柔らかで穏やかな空気と笑顔が、何とも言えず嫌な気持ちにさせる。
それは、あの空気と笑顔から、
『安心してこの国を離れられる』
と、そう思っている事が伝わって来るから。別離の時を迎えそれを選択しワシントン軍へと戻れば、もう彼女達は自分達大和に手を貸す事は出来ない、それが分かっていたからこそ様々な無茶な要求にも応え全力を傾けてあらゆる事を叩き込んでくれたのだ。そして、自分達大和人が僅かでも自分達だけの力で立ち動く事が出来た今、間に合った、と、心底安堵しているのが手に取る様に分かってしまう、それが黒川にとっては嫌で堪らなかった。
そしてもう一つ――、出来れば気付きたくはなかったが最近になって薄々感じ始めていた事、黒川の心に暗い影を落とし小さなささくれをあちこちに作っている事が有る。目端の利く性分だった自分を恨めしくも思いたくなるが、生来の性分も気付いてしまった事も無かった事に出来る筈も無く、いつ『その時』が彼女によって齎されるのか、タカコの顔を見る度にそんな想いが頭を支配し、それが退院してからこちら、積極的に彼女へと近寄らない様に自らの身体と心に制動を掛けていた。
生真面目で筋を通したがる性分のタカコ、その彼女の事だ、先ずは自分へと話を持って来て、お互いの間の事に決着をつけ無い限りは、『あちら』に話をする事も無いだろう。だとすれば、自分が話し合いの席につかない限りは『その時』もその後も無い、何とも卑怯で女々しい事ではあるが、今は未だ、それを受け入れる心の整理はついてはいなかった。
しかし、そうやって自分が逃げ回っている内にタカコの言っていた『千日目』がやって来れば、彼女が帰国を選択してしまったら、あの二人はお互いの気持ちも関係も中途半端なままに離れざるを得なくなる。それが分かっているのに逃げ続けるのか、愛している女の幸せを考えてやれないのか、そう責める声もまた、黒川自身の正直な気持ちでもあった。
そろそろ答えを出し立場をはっきりさせ、そして、彼女が出したのであろう答えを受け止める時なのかも知れない。無論、彼女が自分自身の気持ちを自覚し動き出せばの話だが、と、続く報告を聞きながらそんな事をつらつらと考え二時間程を過ごし、やがて報告会議は終了の時間を迎えた。
「――分かった、それでは、今回も御苦労だった、情報の精査と反映はまだまだ続くと思うが、今日位は各員ゆっくり休み、明日以降に備えてくれ、解散」
報告を全て聞き終えた黒川のその締めの言葉により会議室内の人間は動き出し、夫々が自分の持ち場へと戻り始める。黒川自身は明日も博多で動く為に今夜は博多駐屯地に泊まる事になっており、お偉方と話した後は高根と横山と小此木と煙草でも吸って愚痴を零し合い、その後は早々に休んでしまおう、そんな事を考えながら脇に置いた杖を持ち、ゆっくりと立ち上がった。
「総監、大丈夫ですか?」
立ち上がった拍子に姿勢を崩してしまい、大きく上半身を傾ければ、腕と胴に両手を遣って支えたのはタカコ、その彼女に
「ああ、済まんな、有り難う、清水曹長」
と、にこりと笑い掛ければ、掌にそっと紙を差し込まれたのに気が付いた。
「大怪我をなさったんですから、あまり御無理はなさらないで下さいね、失礼します」
笑顔でそう言ってぺこりと頭を下げて書類の束を抱えて会議室を出て行くタカコ、その姿が見えなくなってから掌の中の折り畳まれた紙片を広げてみれば、そこには、
『タツさんへ。
話が有ります。
いつもの飲み屋の奥座敷で待ってます。
タカコ』
と、それだけが書かれていた。
どうやら、思っていたよりも早く『その時』がやって来てしまった様だ。さて、覚悟を決めるか、黒川は大きく息を吐きながらそんな事を考え、くしゃり、と、紙片を握り潰しポケットに突っ込むと、杖を突きながらゆっくりと歩き出し会議室を出た。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる