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ふたり
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すました顔が新鮮だった。ギラギラとした目がひしめく中、どこか世の中を軽蔑しているような目をしていた。僕はいつの間にか妖艶な音楽や周りの歓声と罵声、鞭の風を切る音さえ、ロマンチックに聞こえる程彼女の醸し出す雰囲気に引き込まれている。俗に言う「一目惚れ」というやつだった。美しいという言葉がぴったりだった。しかし顔というより雰囲気自体が美人であって、最も近寄りがたい種類の女であることも事実であったが、自然と足が彼女の方へ向かっていた。そのことに気付いても僕は意図して自分を止めなかった。
「隣、いいですか?」
頭の中で何度も反芻する。反芻する度に言葉の意味が薄れていく気がして心の荷が少しずつ軽くなっていった。いつしか反芻することが目的になっていた。あと十歩、九歩、八歩...彼女に近づくにつれ、また心の荷が重くなっていく。どこか初恋の甘酸っぱい思い出に近かった。彼女は冷ややかな目でショーを見ている。そのことがまた僕を興奮させた。彼女を知りたい、その思いが沸々と沸き立ち、かつ着実に僕の心を占領していった。気付けば僕は彼女の隣に立っていた。
「隣、いいですか?」
やっとの思いで発した言葉は少し上ずっていた。僕の言葉に反応した彼女はさっきまであのショーに向けていた冷ややかな目を僕に向けた。周りは音楽、歓声、鞭打の音などカオスであふれていたが僕達の間には「沈黙」という一種の音楽だけが流れていた。やがて彼女は少し乾いた唇を開く。僕が声をかけてからこの瞬間までほんの一瞬であっただろうが僕にとってこの瞬間まではとてつもなく長く感じられた。
「ええ」
その単調かつ冷ややかなメッセージは僕の心へ突き刺さった。決して歓迎されている雰囲気でないのにもかかわらず、僕に喜びを隠すことはできないようだった。
「隣、いいですか?」
頭の中で何度も反芻する。反芻する度に言葉の意味が薄れていく気がして心の荷が少しずつ軽くなっていった。いつしか反芻することが目的になっていた。あと十歩、九歩、八歩...彼女に近づくにつれ、また心の荷が重くなっていく。どこか初恋の甘酸っぱい思い出に近かった。彼女は冷ややかな目でショーを見ている。そのことがまた僕を興奮させた。彼女を知りたい、その思いが沸々と沸き立ち、かつ着実に僕の心を占領していった。気付けば僕は彼女の隣に立っていた。
「隣、いいですか?」
やっとの思いで発した言葉は少し上ずっていた。僕の言葉に反応した彼女はさっきまであのショーに向けていた冷ややかな目を僕に向けた。周りは音楽、歓声、鞭打の音などカオスであふれていたが僕達の間には「沈黙」という一種の音楽だけが流れていた。やがて彼女は少し乾いた唇を開く。僕が声をかけてからこの瞬間までほんの一瞬であっただろうが僕にとってこの瞬間まではとてつもなく長く感じられた。
「ええ」
その単調かつ冷ややかなメッセージは僕の心へ突き刺さった。決して歓迎されている雰囲気でないのにもかかわらず、僕に喜びを隠すことはできないようだった。
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