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リューシャ編
23話
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「【アルブレスタ・ウィンディア】!」
リリエが四方八方に風を起こし、スカイに向かっていく剣や槍を吹き飛ばす。
「…っ!」
「【ランスムーン・グレイド】」
スカイが放つ氷をギリギリでかわしていくレステルトだが、その動きには明らかに疲れが出てきていた。
「…動きが遅くなってる気がするけど、まさか疲れてきたなんてことは無いよね?これだけで疲れるなんてそれでよく番人が務まるよ。」
「…くっ!」
″…魔力を最近使っていなかったせいか疲労が激しい…このままだと…″
「【エクレセンデッド・ストーム】!」
「っ!」
スカイとリリエの攻撃でレステルトは押されていた。
「っ…」
レステルトは左手を前に勢いよく出し、剣を召喚し、リリエとスカイの方へと放つ。
「【ルーニムクト・ブリーズ】!」
リリエは向かってくる剣を慣れたように風で払うと、先とは違って風は、威力を失うことなくレステルトへと向かっていった。
「?!っ【ワンス・スピアンス】!」
咄嗟にレステルトは巨大な槍を召喚し、風に向かって放った。風は槍とぶつかり合ったが、槍の大きさで集まった風を分散させてしまい、風がレステルトに当たることはなかった。
″…結局、私たちの考察した弱点、全部違ったじゃん!″
リリエは、そうスカイの方を見ながら心の中で言った。リリエと目が合ったスカイは、それが伝わったのか一瞬目線を斜め下に向けると、リリエの方をもう一度見て頷いた。
″…怪しかったから確定はさせないでおいたけど、両方とも違ったら違うで、対策の立てようが…こうなったら…″
「…1番強い攻撃をぶつけて、威力で押しきった方が早いかな?」
「?…なんだ…?」
「?…!」
スカイの方を見ながらスカイの言った言葉にはてなマークを浮かべるレステルトだが、リリエはなにかを察したかの様に突然スカイの後方へと下がった。
″なんだ…突然後ろに下がった……!ということはまさか…っ!″
リリエが後ろに下がったのに反応して、なにかを仕掛けてくると分かったレステルトはやらせるまいとスカイに召喚した剣を勢い良く放った。
「…っ……?!」
リリエは剣を払おうと魔法を放ちかけたが、前方にいるスカイになにかとても強いなにかを感じ、動きを止めた。
「…残念ながら、もう無駄だよ。…【アブソリュート・ゼロ】」
リリエが動きを止めたとほぼ同時にスカイはそう呟き、両手を横に広げながら詠唱を唱えた。スカイを中心として竜巻のような冷たい風が起こる。
「…っ!」
その風の強さと冷たさに1度目を閉じ、次に目を開けたときには、部屋全体がきれいな透明の氷に包まれていた。氷に包まれていたのは飛んできていた剣はもちろん、レステルトでさえも凍りついていた。それに対しリリエはどこも凍っておらず、強いて言えば足下までしか氷が迫っていなかった。
「…これ…」
「あれはあのまましばらく動けなくなるまで体力を削っていく。威力の割にコントロールはそこそこ効くけど、連発はもちろん出来ない。」
「すごい…本当にスカイって強いよね。羨ましいくらいに」
そのリリエの言葉にスカイは一瞬黙りこむと、ふと呟くように言った。
「…俺は…強くなんて無い…絶対に…あの時何も出来なかった俺が…強いわけ無い…」
「…あの時…?」
リリエの問いかけにスカイは少しハッとすると言った。
「いや、何でもない。昔のことを思い出しただけ」
スカイはそういうとレステルトの凍っている後ろにある扉を見た。
「…あの先に神の皇子と皇女がいる。強い上にここから先へ簡単に通すとは考えられない。…戦闘は確実だろうね」
「そっか…さっきは、スカイにほとんど任せちゃったから、次は私が頑張ろうかな?」
「いいけど、無理だけはしないでよ」
リリエはスカイの言葉に笑って頷くと、ふとなにかを思い出したようにスカイの方を向いて言った。
「ところで、魔力って何?」
「…?あ、リリエは知らないんだ。簡単に説明すると、魔力は魔法の威力を最大限引き出して使えるようになる力のこと。体力を使ってるとき使えなかった魔法が魔力を使えば簡単に使えるようになるんだ。」
「じゃあ、この部屋全体を凍らせたのは魔力を使ったからなんだ…ってことは今も魔力は発動してるの?」
リリエの問いにスカイは首を振って答えた。
「今はもう発動してない。俺もあんまりいうほど使いこなせてないから、ずっと発動してると疲れるんだ。」
「へぇ、そうなんだ」
「…さて、そろそろ皇の間に入ろう。」
スカイはそう言って皇の間への扉に手をかけ、前に押し出した。扉はゆっくりと開く。扉が完全に開いた先の皇の間の奥の椅子には神の皇子と皇女だと思われる者が威厳を放ちながら座っていた。
「…よくここまでこれたな。反逆者たちよ。私は神の皇子、レスデオ・ルディーラ。」
「私は神の皇女、シエルテ・ルディーラ。」
「…反逆者たちよ、まずお前たちがここまで来た理由を聞かせてもらおう。」
そう神の皇子レスデオは鋭い視線をスカイとリリエに向けた。
リリエが四方八方に風を起こし、スカイに向かっていく剣や槍を吹き飛ばす。
「…っ!」
「【ランスムーン・グレイド】」
スカイが放つ氷をギリギリでかわしていくレステルトだが、その動きには明らかに疲れが出てきていた。
「…動きが遅くなってる気がするけど、まさか疲れてきたなんてことは無いよね?これだけで疲れるなんてそれでよく番人が務まるよ。」
「…くっ!」
″…魔力を最近使っていなかったせいか疲労が激しい…このままだと…″
「【エクレセンデッド・ストーム】!」
「っ!」
スカイとリリエの攻撃でレステルトは押されていた。
「っ…」
レステルトは左手を前に勢いよく出し、剣を召喚し、リリエとスカイの方へと放つ。
「【ルーニムクト・ブリーズ】!」
リリエは向かってくる剣を慣れたように風で払うと、先とは違って風は、威力を失うことなくレステルトへと向かっていった。
「?!っ【ワンス・スピアンス】!」
咄嗟にレステルトは巨大な槍を召喚し、風に向かって放った。風は槍とぶつかり合ったが、槍の大きさで集まった風を分散させてしまい、風がレステルトに当たることはなかった。
″…結局、私たちの考察した弱点、全部違ったじゃん!″
リリエは、そうスカイの方を見ながら心の中で言った。リリエと目が合ったスカイは、それが伝わったのか一瞬目線を斜め下に向けると、リリエの方をもう一度見て頷いた。
″…怪しかったから確定はさせないでおいたけど、両方とも違ったら違うで、対策の立てようが…こうなったら…″
「…1番強い攻撃をぶつけて、威力で押しきった方が早いかな?」
「?…なんだ…?」
「?…!」
スカイの方を見ながらスカイの言った言葉にはてなマークを浮かべるレステルトだが、リリエはなにかを察したかの様に突然スカイの後方へと下がった。
″なんだ…突然後ろに下がった……!ということはまさか…っ!″
リリエが後ろに下がったのに反応して、なにかを仕掛けてくると分かったレステルトはやらせるまいとスカイに召喚した剣を勢い良く放った。
「…っ……?!」
リリエは剣を払おうと魔法を放ちかけたが、前方にいるスカイになにかとても強いなにかを感じ、動きを止めた。
「…残念ながら、もう無駄だよ。…【アブソリュート・ゼロ】」
リリエが動きを止めたとほぼ同時にスカイはそう呟き、両手を横に広げながら詠唱を唱えた。スカイを中心として竜巻のような冷たい風が起こる。
「…っ!」
その風の強さと冷たさに1度目を閉じ、次に目を開けたときには、部屋全体がきれいな透明の氷に包まれていた。氷に包まれていたのは飛んできていた剣はもちろん、レステルトでさえも凍りついていた。それに対しリリエはどこも凍っておらず、強いて言えば足下までしか氷が迫っていなかった。
「…これ…」
「あれはあのまましばらく動けなくなるまで体力を削っていく。威力の割にコントロールはそこそこ効くけど、連発はもちろん出来ない。」
「すごい…本当にスカイって強いよね。羨ましいくらいに」
そのリリエの言葉にスカイは一瞬黙りこむと、ふと呟くように言った。
「…俺は…強くなんて無い…絶対に…あの時何も出来なかった俺が…強いわけ無い…」
「…あの時…?」
リリエの問いかけにスカイは少しハッとすると言った。
「いや、何でもない。昔のことを思い出しただけ」
スカイはそういうとレステルトの凍っている後ろにある扉を見た。
「…あの先に神の皇子と皇女がいる。強い上にここから先へ簡単に通すとは考えられない。…戦闘は確実だろうね」
「そっか…さっきは、スカイにほとんど任せちゃったから、次は私が頑張ろうかな?」
「いいけど、無理だけはしないでよ」
リリエはスカイの言葉に笑って頷くと、ふとなにかを思い出したようにスカイの方を向いて言った。
「ところで、魔力って何?」
「…?あ、リリエは知らないんだ。簡単に説明すると、魔力は魔法の威力を最大限引き出して使えるようになる力のこと。体力を使ってるとき使えなかった魔法が魔力を使えば簡単に使えるようになるんだ。」
「じゃあ、この部屋全体を凍らせたのは魔力を使ったからなんだ…ってことは今も魔力は発動してるの?」
リリエの問いにスカイは首を振って答えた。
「今はもう発動してない。俺もあんまりいうほど使いこなせてないから、ずっと発動してると疲れるんだ。」
「へぇ、そうなんだ」
「…さて、そろそろ皇の間に入ろう。」
スカイはそう言って皇の間への扉に手をかけ、前に押し出した。扉はゆっくりと開く。扉が完全に開いた先の皇の間の奥の椅子には神の皇子と皇女だと思われる者が威厳を放ちながら座っていた。
「…よくここまでこれたな。反逆者たちよ。私は神の皇子、レスデオ・ルディーラ。」
「私は神の皇女、シエルテ・ルディーラ。」
「…反逆者たちよ、まずお前たちがここまで来た理由を聞かせてもらおう。」
そう神の皇子レスデオは鋭い視線をスカイとリリエに向けた。
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