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リューシャ編
24話
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「…っ!」
今まで感じたこともない威圧を受け、リリエは言葉が出なくなってしまう。そんなリリエとは違い、スカイは淡々といつも通りレスデオに言った。
「俺たちはこの先にある白亜の塔にいると思われる友達を連れ戻しに来た。あんたたちがかかってくるならそれでも良い。俺たちは必ずこの先に行く。」
その言葉にレスデオはニヤリと笑う。
「…ほう、この先に進むというんだな?それも私たちが戦うと言ったとしても。」
「当たり前でしょ。ここまで来て、皇女と皇子が強そうだったから逃げ帰りましたなんて、バカらしいにもほどがあるよ。」
そう言うスカイに、レスデオに続きシエルテが言った。
「しかし、この先には私たちより強い者などあまるほどいます。先に進めば進むほど相手は強くなり、反逆の刑は重くなる。これは忠告。あなたたちはこの忠告を聞いてでも先に進むと言いますか」
シエルテの言葉にスカイは目つきを鋭くさせる。
「当たり前。忠告なんてされても聞く気はない。」
シエルテはその言葉を聞き、険しそうな顔をする。
「なぜそこまでして先に進もうとしますか。この先に危険なリスクを背負ってまで進む価値のある物がこの先にはあるのですか。」
その言葉にスカイは言い返そうとしたが、それより先に1人の少女が先ほどからかかる威圧をはねのけるように言った。
「…価値なんて、関係ありますか?そんなことよりも聞くことがあるはずです。…その者が追うものがどれだけ大切なものか、それはこの先に進むことで増えていく罪への重みに耐えられるのか。…でも、聞くほどのことでもないと思います。だって、その気持ちの強さはこんなところまで来たことでしっかり証明されているから。それほど強い意思でここまで来ているのなら、今更忠告をしても聞く耳すら持たないのは分かっているはずです。」
「…そうですね。ここまで来たものは全員忠告を聞かず、先へと進もうとしていました。」
「…なら…」
リリエの言葉に被せるように話し出すレスデオ。
「だが、進んでいったものは全員捕まった。この先に待ち構える者たちに勝てずに。」
「だから、ここで忠告をしてまだ軽い刑で済ませてやろうって?」
レスデオはスカイの言葉に首を横に振った。
「いや、ここで退けば神の皇子と皇女の名義で見逃してやる。刑も受けずに済む上、ここまで来たことは絶対の秘密としてバレることはない。最高の条件だとは思うが…ここに来た者全員がこの条件を無視し、先へと進んでいったのだ。」
「そう。じゃあ、俺たちも先に進むことを選ばせてもらう。あんたたちがするのが忠告だけなら、この先に行かせてもらうよ」
スカイの堂々とした発言に試すように笑うレスデオ。
「今までこの先へ行った者たちは、みな白亜の城に入ることすら叶わなかった。その中に人は誰1人としていなかった。さあ、お前たちはどこまで行ける?」
「…私たちは、王妃様のところまで行ってみせますよ。必ず。絶対に負けるわけにはいかないですから。」
リリエは再び威圧に耐えながら力強く言った。
「そうか。…ところで、お前。」
レスデオはスカイを見る。スカイはお前とレスデオが呼んだのを聞いて無愛想に言った。
「俺に名前が無いみたいな呼び方しないでくれる?俺はスカイ・レーシェード。」
「そうかスカイか。ところでスカイ。お前はその少女に何か強い思いがあるのか?」
その言葉に一瞬ピクリとするスカイ。
「…別に。ただ助けたいから、1人で行かせられないからついてきてるだけ。俺たちはほとんど……、初対面だよ。」
「…にしては、とても互いに信頼し合っているな。初対面でこれほどの信頼が生まれるか?」
スカイはめんどくさそうにレスデオの方を見る。
「互いに信頼してて悪いことなんて無いでしょ。これ以上の無駄話は俺もする気はない。早くこの先に進ませてくれるかな。」
レスデオはスカイの言葉に頷いた。
「ああ。進ませてやろう。この先に。お前たちがどこまで進めるか、私たちは観戦することにしよう。…スカイよ、最後に言わせてもらおう。」
口元に微笑を浮かべるレスデオは、スカイに向けて言った。
「もし次に会うときは、戦わずに済むことを祈っている。」
「あんたがなにもしてこなければ戦うことなんて無いよ。」
「そうか。なら良かったよ。〔…果たして、本当にそうだろうかな〕」
レスデオの呟いた言葉は聞こえておらず、スカイは呟いた言葉に気づいていないようだった。
「…!」
″…本当にそうだろうか…って…?いつか、スカイの方から戦いを一方的に挑むってこと?…考えても分かんないや…でもその時は、どんな理由があっても私が全力で止めなきゃね″
レスデオの呟きが聞こえていたリリエは、そう心の中で人知れず誓った。するとレスデオが指を鳴らし、レスデオとシエルテの後ろから眩しい光が差し込んだ。
「…っ、まぶしっ」
「ここから先が白亜の城への一本道だ。思ったよりも短いが、城の扉の前には今まで誰1人として城の中に入れなかった者がいる。お前たちがその者にどこまで渡り合えるか…楽しませてもらうぞ」
「勝手に楽しんでれば。…リリエ、行こう。」
スカイはリリエの方を見てそう言うと、リリエは笑みを浮かべて頷き、スカイの後に続いて歩き出す。それから2人が扉の奥、道に出るまでレスデオがなにも言うことはなかった。そして2人が道に出てから、扉が閉まり、ようやくシエルテが口を開いた。
「…良いのですか。知っているのですよね。あのスカイという子を。」
シエルテの言葉に少し黙っていたが、レスデオは呟くように言った。
「…確証なんて無いに等しいが…もし、私の勘が当たっているのなら、いずれ彼とは否応なく戦うことになるだろうな。」
レスデオはそう言うと、何もないが皇の間の天井を見上げて呟いた。
「…サフェル…お前は今…何を…」
今まで感じたこともない威圧を受け、リリエは言葉が出なくなってしまう。そんなリリエとは違い、スカイは淡々といつも通りレスデオに言った。
「俺たちはこの先にある白亜の塔にいると思われる友達を連れ戻しに来た。あんたたちがかかってくるならそれでも良い。俺たちは必ずこの先に行く。」
その言葉にレスデオはニヤリと笑う。
「…ほう、この先に進むというんだな?それも私たちが戦うと言ったとしても。」
「当たり前でしょ。ここまで来て、皇女と皇子が強そうだったから逃げ帰りましたなんて、バカらしいにもほどがあるよ。」
そう言うスカイに、レスデオに続きシエルテが言った。
「しかし、この先には私たちより強い者などあまるほどいます。先に進めば進むほど相手は強くなり、反逆の刑は重くなる。これは忠告。あなたたちはこの忠告を聞いてでも先に進むと言いますか」
シエルテの言葉にスカイは目つきを鋭くさせる。
「当たり前。忠告なんてされても聞く気はない。」
シエルテはその言葉を聞き、険しそうな顔をする。
「なぜそこまでして先に進もうとしますか。この先に危険なリスクを背負ってまで進む価値のある物がこの先にはあるのですか。」
その言葉にスカイは言い返そうとしたが、それより先に1人の少女が先ほどからかかる威圧をはねのけるように言った。
「…価値なんて、関係ありますか?そんなことよりも聞くことがあるはずです。…その者が追うものがどれだけ大切なものか、それはこの先に進むことで増えていく罪への重みに耐えられるのか。…でも、聞くほどのことでもないと思います。だって、その気持ちの強さはこんなところまで来たことでしっかり証明されているから。それほど強い意思でここまで来ているのなら、今更忠告をしても聞く耳すら持たないのは分かっているはずです。」
「…そうですね。ここまで来たものは全員忠告を聞かず、先へと進もうとしていました。」
「…なら…」
リリエの言葉に被せるように話し出すレスデオ。
「だが、進んでいったものは全員捕まった。この先に待ち構える者たちに勝てずに。」
「だから、ここで忠告をしてまだ軽い刑で済ませてやろうって?」
レスデオはスカイの言葉に首を横に振った。
「いや、ここで退けば神の皇子と皇女の名義で見逃してやる。刑も受けずに済む上、ここまで来たことは絶対の秘密としてバレることはない。最高の条件だとは思うが…ここに来た者全員がこの条件を無視し、先へと進んでいったのだ。」
「そう。じゃあ、俺たちも先に進むことを選ばせてもらう。あんたたちがするのが忠告だけなら、この先に行かせてもらうよ」
スカイの堂々とした発言に試すように笑うレスデオ。
「今までこの先へ行った者たちは、みな白亜の城に入ることすら叶わなかった。その中に人は誰1人としていなかった。さあ、お前たちはどこまで行ける?」
「…私たちは、王妃様のところまで行ってみせますよ。必ず。絶対に負けるわけにはいかないですから。」
リリエは再び威圧に耐えながら力強く言った。
「そうか。…ところで、お前。」
レスデオはスカイを見る。スカイはお前とレスデオが呼んだのを聞いて無愛想に言った。
「俺に名前が無いみたいな呼び方しないでくれる?俺はスカイ・レーシェード。」
「そうかスカイか。ところでスカイ。お前はその少女に何か強い思いがあるのか?」
その言葉に一瞬ピクリとするスカイ。
「…別に。ただ助けたいから、1人で行かせられないからついてきてるだけ。俺たちはほとんど……、初対面だよ。」
「…にしては、とても互いに信頼し合っているな。初対面でこれほどの信頼が生まれるか?」
スカイはめんどくさそうにレスデオの方を見る。
「互いに信頼してて悪いことなんて無いでしょ。これ以上の無駄話は俺もする気はない。早くこの先に進ませてくれるかな。」
レスデオはスカイの言葉に頷いた。
「ああ。進ませてやろう。この先に。お前たちがどこまで進めるか、私たちは観戦することにしよう。…スカイよ、最後に言わせてもらおう。」
口元に微笑を浮かべるレスデオは、スカイに向けて言った。
「もし次に会うときは、戦わずに済むことを祈っている。」
「あんたがなにもしてこなければ戦うことなんて無いよ。」
「そうか。なら良かったよ。〔…果たして、本当にそうだろうかな〕」
レスデオの呟いた言葉は聞こえておらず、スカイは呟いた言葉に気づいていないようだった。
「…!」
″…本当にそうだろうか…って…?いつか、スカイの方から戦いを一方的に挑むってこと?…考えても分かんないや…でもその時は、どんな理由があっても私が全力で止めなきゃね″
レスデオの呟きが聞こえていたリリエは、そう心の中で人知れず誓った。するとレスデオが指を鳴らし、レスデオとシエルテの後ろから眩しい光が差し込んだ。
「…っ、まぶしっ」
「ここから先が白亜の城への一本道だ。思ったよりも短いが、城の扉の前には今まで誰1人として城の中に入れなかった者がいる。お前たちがその者にどこまで渡り合えるか…楽しませてもらうぞ」
「勝手に楽しんでれば。…リリエ、行こう。」
スカイはリリエの方を見てそう言うと、リリエは笑みを浮かべて頷き、スカイの後に続いて歩き出す。それから2人が扉の奥、道に出るまでレスデオがなにも言うことはなかった。そして2人が道に出てから、扉が閉まり、ようやくシエルテが口を開いた。
「…良いのですか。知っているのですよね。あのスカイという子を。」
シエルテの言葉に少し黙っていたが、レスデオは呟くように言った。
「…確証なんて無いに等しいが…もし、私の勘が当たっているのなら、いずれ彼とは否応なく戦うことになるだろうな。」
レスデオはそう言うと、何もないが皇の間の天井を見上げて呟いた。
「…サフェル…お前は今…何を…」
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