26 / 74
リューシャ編
25話
しおりを挟む
皇の間を出たリリエとスカイは、ずっと真っ直ぐ続く雲の道を歩いていた。
「…白亜の城の中まで、誰も辿り着いた者はいないんだよね…私、ああやって見得を切ったはいいけど、本当に自信が無いんだけど…」
暗い顔をするリリエに優しく言うスカイ。
「大丈夫。俺がいるよ。1人で行くよりかは全然頑張れるでしょ?」
「まぁ、そうだけど…スカイは強いし、居てくれるだけでもすごい心強んだけど……私がスカイの足引っ張ってないかなーって…」
ネガティブ発言をするリリエに軽くため息をつくスカイ。
「はぁ…リリエってネガティブ発言と自分のことをあり得ないくらい過小評価するの好きだよね。」
「過小評価って、実際そうだよ?番人と戦ったとき、スカイが私を守ってくれて倒してくれたし、さっきの皇女様と皇子様のときだって私は威圧に怯んでたのにスカイは堂々といつも通りにしてた。…でも…」
リリエの言葉の続きを遮って、スカイは言った。
「リリエは今のままでも充分役に立ってるよ。足を引っ張ってるなんてことはない。それに、ここまで来れたのも俺とリリエの2人だったから。俺でも、1人だったらここまでは来れてなかったと思う。…これも、リリエのお陰だよ。」
スカイはそういうとふわりと優しく、リリエの前で微笑んだ。
「…っ!?う、うん、ありがとう…」
初めてスカイが表情を見せたことに心から驚いたのか、頬が熱くなるのを感じてとっさにリリエは下を向いた。ただその時感じた、心がぎゅっと締め付けられるような大切でどこか懐かしく、少しもどかしい感覚の理由がその時のリリエにはどうしても分からなかった。
″…なんで、スカイがちょっと笑ったくらいで…″
「リリエ?大丈夫?」
「へっ?!う、うん!大丈夫だよっ!」
リリエはスカイに慌てるように返事をする。が、リリエは会話がなくなると気まずくなってしまうと謎の結論に至り、スカイに質問を投げかけた。
「お、皇子様は短い一本道だって言ってたけどどれくらいでつくのかな?」
「?さぁ?ていうか、リリエほんとに大丈夫?なにかあった?」
もう既に無感情で無表情のスカイに戻ったのを声で感じて、リリエはちらりとスカイの顔を見た。
「リリエ?」
スカイと目が合った。でも先ほどとは打って変わり何も感じなかった。否、少しだけまた心が締め付けられるような感覚に陥りかけたが、リリエはそれを無理矢理心の奥へ押し込んだ。
「うん、大丈夫だよスカイ。心配かけちゃったかな?」
「いや、まあ心配だけどリリエが大丈夫って言うなら…」
「ごめんね?ここからは気をもっと引き締めていかなくちゃ。今更足引っ張ってないかなんて気にしてられないね」
そう笑うリリエにスカイは心の中で呟いた。
″…リリエは、俺に頼ってくれて良いのに…それに、さっきなんでかあたふたしてたのだって…なんでもいいから相談してほしいって思うんだけどな…″
前を真っ直ぐ見据えるリリエを横目で見る。
″…でも、やっぱり今は難しいかな…″
「…!スカイ、もしかしてあれが白亜の城かな?」
「?」
リリエがそう言い、見つめる先には皇子と皇女のいる城より少し大きく太陽の光を浴びてより一層輝く真っ白な城、白亜の城がそびえ立っていた。
「そうだね。あれが白亜の城だよ」
「…あそこに…リューシャが…」
リリエの目にいろいろな感情が渦巻き始めたのにスカイは気付き、言った。
「でも、その前に皇子が言ってたでしょ。ここから先に進めた者はいないって。俺たちはその、誰も行ったことのない先に行かなきゃならない。かなり強い相手が来るんだ。あまりそっちに気をとられてると危険だよ。」
その言葉にリリエはハッとし、スカイの方を見て頷いた。
「うん、そうだね。いまは目の前のことに集中しなきゃ…っ?!」
リリエは強いなにかを感じ取り、上空を見上げた。スカイもそのなにかを感じたか上を見上げる。そこにはポニーテールのオレンジの髪を風になびかせる女性が浮いていた。
「…っ!まさか…」
「また、身の程知らずがやって来たの?ついさっき皇子が止めたというのに…」
女性はそう言いながらも笑みを浮かべており、ここまで来た者の末路を知っているからか楽しんでいるように見える。
「でも、最近は誰も来なくなっててね…私も退屈してたのよ。今回はどんな戦い方を見せて私の目を楽しませてくれるの?」
「あいにくだけど、俺たちはあんたと遊ぶためなんかにここまで来たわけじゃないから。」
女性はスカイの冷たい返しにも笑みを崩すことはない。
「あら。可愛らしい顔立ちをして冷たいことを言うのね。…一応名乗っておくと、私はミレア・リフスディ。草を操る物質魔法を使うのよ。」
そういうミレアをスカイは睨み付ける。
「…わざわざ魔法を教えるなんて余裕があるんだね」
ミレアは睨みに怯むこともなく言う。
「それはそうでしょ?だって今まで来た者たちだって教えても私に互角にすら戦えなかったんだもの。」
「…俺たちが今までの者たちと同じようになると思ったら大間違いだから。そこ、よく覚えといて。」
スカイは横に立つリリエと視線を合わせるとリリエは頷き、2人は身構えた。
「…白亜の城の中まで、誰も辿り着いた者はいないんだよね…私、ああやって見得を切ったはいいけど、本当に自信が無いんだけど…」
暗い顔をするリリエに優しく言うスカイ。
「大丈夫。俺がいるよ。1人で行くよりかは全然頑張れるでしょ?」
「まぁ、そうだけど…スカイは強いし、居てくれるだけでもすごい心強んだけど……私がスカイの足引っ張ってないかなーって…」
ネガティブ発言をするリリエに軽くため息をつくスカイ。
「はぁ…リリエってネガティブ発言と自分のことをあり得ないくらい過小評価するの好きだよね。」
「過小評価って、実際そうだよ?番人と戦ったとき、スカイが私を守ってくれて倒してくれたし、さっきの皇女様と皇子様のときだって私は威圧に怯んでたのにスカイは堂々といつも通りにしてた。…でも…」
リリエの言葉の続きを遮って、スカイは言った。
「リリエは今のままでも充分役に立ってるよ。足を引っ張ってるなんてことはない。それに、ここまで来れたのも俺とリリエの2人だったから。俺でも、1人だったらここまでは来れてなかったと思う。…これも、リリエのお陰だよ。」
スカイはそういうとふわりと優しく、リリエの前で微笑んだ。
「…っ!?う、うん、ありがとう…」
初めてスカイが表情を見せたことに心から驚いたのか、頬が熱くなるのを感じてとっさにリリエは下を向いた。ただその時感じた、心がぎゅっと締め付けられるような大切でどこか懐かしく、少しもどかしい感覚の理由がその時のリリエにはどうしても分からなかった。
″…なんで、スカイがちょっと笑ったくらいで…″
「リリエ?大丈夫?」
「へっ?!う、うん!大丈夫だよっ!」
リリエはスカイに慌てるように返事をする。が、リリエは会話がなくなると気まずくなってしまうと謎の結論に至り、スカイに質問を投げかけた。
「お、皇子様は短い一本道だって言ってたけどどれくらいでつくのかな?」
「?さぁ?ていうか、リリエほんとに大丈夫?なにかあった?」
もう既に無感情で無表情のスカイに戻ったのを声で感じて、リリエはちらりとスカイの顔を見た。
「リリエ?」
スカイと目が合った。でも先ほどとは打って変わり何も感じなかった。否、少しだけまた心が締め付けられるような感覚に陥りかけたが、リリエはそれを無理矢理心の奥へ押し込んだ。
「うん、大丈夫だよスカイ。心配かけちゃったかな?」
「いや、まあ心配だけどリリエが大丈夫って言うなら…」
「ごめんね?ここからは気をもっと引き締めていかなくちゃ。今更足引っ張ってないかなんて気にしてられないね」
そう笑うリリエにスカイは心の中で呟いた。
″…リリエは、俺に頼ってくれて良いのに…それに、さっきなんでかあたふたしてたのだって…なんでもいいから相談してほしいって思うんだけどな…″
前を真っ直ぐ見据えるリリエを横目で見る。
″…でも、やっぱり今は難しいかな…″
「…!スカイ、もしかしてあれが白亜の城かな?」
「?」
リリエがそう言い、見つめる先には皇子と皇女のいる城より少し大きく太陽の光を浴びてより一層輝く真っ白な城、白亜の城がそびえ立っていた。
「そうだね。あれが白亜の城だよ」
「…あそこに…リューシャが…」
リリエの目にいろいろな感情が渦巻き始めたのにスカイは気付き、言った。
「でも、その前に皇子が言ってたでしょ。ここから先に進めた者はいないって。俺たちはその、誰も行ったことのない先に行かなきゃならない。かなり強い相手が来るんだ。あまりそっちに気をとられてると危険だよ。」
その言葉にリリエはハッとし、スカイの方を見て頷いた。
「うん、そうだね。いまは目の前のことに集中しなきゃ…っ?!」
リリエは強いなにかを感じ取り、上空を見上げた。スカイもそのなにかを感じたか上を見上げる。そこにはポニーテールのオレンジの髪を風になびかせる女性が浮いていた。
「…っ!まさか…」
「また、身の程知らずがやって来たの?ついさっき皇子が止めたというのに…」
女性はそう言いながらも笑みを浮かべており、ここまで来た者の末路を知っているからか楽しんでいるように見える。
「でも、最近は誰も来なくなっててね…私も退屈してたのよ。今回はどんな戦い方を見せて私の目を楽しませてくれるの?」
「あいにくだけど、俺たちはあんたと遊ぶためなんかにここまで来たわけじゃないから。」
女性はスカイの冷たい返しにも笑みを崩すことはない。
「あら。可愛らしい顔立ちをして冷たいことを言うのね。…一応名乗っておくと、私はミレア・リフスディ。草を操る物質魔法を使うのよ。」
そういうミレアをスカイは睨み付ける。
「…わざわざ魔法を教えるなんて余裕があるんだね」
ミレアは睨みに怯むこともなく言う。
「それはそうでしょ?だって今まで来た者たちだって教えても私に互角にすら戦えなかったんだもの。」
「…俺たちが今までの者たちと同じようになると思ったら大間違いだから。そこ、よく覚えといて。」
スカイは横に立つリリエと視線を合わせるとリリエは頷き、2人は身構えた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる