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リューシャ編
26話
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「【ランスムーン・グレイド】」
「【サーヴェリル・ストーム】!」
スカイの放った氷とリリエの放った風は真っ直ぐに空に浮かぶミレアの方へと向かっていった。が、ミレアは笑みを浮かべたまま右手をすっと上にあげた。その瞬間、氷と風が草に包まれ消え去った。
「っ?!魔法が…」
「あなたたち、まさかたったあれだけの攻撃が全力だなんて言わないわよね?」
そうバカにするような笑みを浮かべながらミレアはスカイとリリエを上から見下ろす。
「…当たり前でしょ。あんなので全力だったらここまでそもそも来れてない」
「たったあれだけの攻撃が全力だって思ったんですか?」
リリエとスカイはそう言い返し、左右に散る。
″…あの男の子の方は氷の属性魔法、女の子の方は風の属性魔法ってところね…属性魔法を使う者が2人も揃うなんて、なかなか珍しいことじゃない?″
ミレアから見て右を走るリリエと、左を走るスカイを余裕そうに見つめながらミレアはそう考察した。
″さぁ…今までの者たちのように情けなく私が技を出す前に散るか、自滅するか…今回はどちらか見させてもらうわね″
ミレアがそう心の中で呟き、左右から迫る氷と風を再び草で包んだ。そしてミレアが浮いているところよりもっと上空、1匹の鳥が紅い目を怪しく光らせながら戦いをじっと見つめていた。
真っ暗な部屋にただ佇む1人の男性。男性は立ったままでとある一点を見つめている。否、見つめていると言うのは間違いだろう。男性が見つめているのは1台のモニターだから、見ているという方が正しい。そのモニターには、ミレアと戦うスカイとリリエが映し出されていた。あの戦いをじっと見つめていた鳥は、映像として見たものを男性の目の前のモニターに流しているようだった。
「…まさか、こんなところまで無謀にもやってくるとは………?あれは…」
男性はモニターに映る1人の人物を見て小さく目を見開く。
「…!スカイ様…?!なぜ反逆者の手助けを…そうか、ここまで来れたのはあなたのお陰か……余計なことをしてくれる…だが、良いだろう。いくらスカイ様の手助けがあろうとも、ここまで来れはしまい…残念だな、人よ…貴様に姫を連れ戻すことなど絶対に出来ぬ。どれ程の力があってもな…」
モニターの光であらわになる顔。モニターを見つめる男性は、リューシャをさらった張本人であるスヴールだった。
「…【ヴィジョン・リンク】」
スヴールがそう言うとモニターに映っていた画面が消え、それと同時に元から赤かったスヴールの目が余計に紅く輝いた。するとスヴールは画面の消えたモニターから背を向け、部屋から出ていく。が、突然スヴールは立ち止まった。
「…何の用だ。」
そう言い、スヴールは振り向く。先程まで誰もいなかった場所には藤色の髪を持つ人物がいた。顔は暗い部屋のせいでよく見えない。
「大丈夫か?本当に。あの2人はかなり厄介。下手をすればここまで来てしまうぞ?」
「…お前に心配されずとも、城内にはとても強い者を2人も配置してある。いくら城内に入れようともこちらに来るなど夢のまた夢だ。…それに、こちらには最強の味方がいる。不足などない」
「…なら、良いがな。」
スヴールの言葉を聞いて納得したのか、藤色の髪の人物は暗闇に溶けるように消えていった。
「【エクレセンデッド・ストーム】!」
リリエが風をミレアに放つがミレアはそれをすぐに草で相殺してしまう。
「ほらほら!そんなものじゃないでしょ?全力をぶつけてきて!」
笑みを浮かべるミレアに余裕を感じて悔しくなる。先程からずっと攻撃をし続けているのに笑みは片時も崩れず、その上草で攻撃を相殺はするものの、こちらに攻撃など全くしてこないのだ。
″…ずっと攻撃し続けているのに…っ″
悔しさでリリエが奥歯をぐっと噛み締めたその時、辺りの空気が一気に冷えた。
「?!」
「?」
リリエが空気が冷えた原因と思われる人物を見た。
「…スカイ、まさか魔力を…?」
「こんなのキリがない。早めに終わらせた方が楽。」
そう言うとスカイは地面を蹴った。
「【レグティヌス・ルニテクタ】」
ミレアの横から素早く氷を放つスカイ。
「!」
ミレアは先程より格段に上がったスカイの攻撃スピードに少し驚きながらも先程と変わらず草で攻撃を相殺し、氷を辺りに散らせる。
「私に攻撃が当てられる?」
挑戦的に笑うミレアに少しイラッときたのか、スカイは右手を勢いよく横に払った。すると、相殺されて砕けた氷の欠片がキラリと太陽の光を浴びながら浮き上がり、ミレアの回りを囲った。
「!まさか砕けた氷の欠片を使ってくるなんてね…でも、私の草の前では…」
「それはどうかな。」
「…!どういうこと?」
そうミレアがスカイに聞いたその時、リリエの声が聞こえた。
「【ビリスティナ・ミスト】!」
「?!」
リリエの放った水をスカイがすかさず凍らせ、ミレアに一気に放った。
「っ!」
ミレアは腕を体の前でクロスさせて攻撃を防ぐ。魔法はどうしても間に合わず無理に出そうとして無駄なダメージを受けるより良いと判断したからだった。ただ、ミレアには1つの疑問が浮かんでいた。
″…あの水は、誰が放ったの…?″
「【サーヴェリル・ストーム】!」
スカイの放った氷とリリエの放った風は真っ直ぐに空に浮かぶミレアの方へと向かっていった。が、ミレアは笑みを浮かべたまま右手をすっと上にあげた。その瞬間、氷と風が草に包まれ消え去った。
「っ?!魔法が…」
「あなたたち、まさかたったあれだけの攻撃が全力だなんて言わないわよね?」
そうバカにするような笑みを浮かべながらミレアはスカイとリリエを上から見下ろす。
「…当たり前でしょ。あんなので全力だったらここまでそもそも来れてない」
「たったあれだけの攻撃が全力だって思ったんですか?」
リリエとスカイはそう言い返し、左右に散る。
″…あの男の子の方は氷の属性魔法、女の子の方は風の属性魔法ってところね…属性魔法を使う者が2人も揃うなんて、なかなか珍しいことじゃない?″
ミレアから見て右を走るリリエと、左を走るスカイを余裕そうに見つめながらミレアはそう考察した。
″さぁ…今までの者たちのように情けなく私が技を出す前に散るか、自滅するか…今回はどちらか見させてもらうわね″
ミレアがそう心の中で呟き、左右から迫る氷と風を再び草で包んだ。そしてミレアが浮いているところよりもっと上空、1匹の鳥が紅い目を怪しく光らせながら戦いをじっと見つめていた。
真っ暗な部屋にただ佇む1人の男性。男性は立ったままでとある一点を見つめている。否、見つめていると言うのは間違いだろう。男性が見つめているのは1台のモニターだから、見ているという方が正しい。そのモニターには、ミレアと戦うスカイとリリエが映し出されていた。あの戦いをじっと見つめていた鳥は、映像として見たものを男性の目の前のモニターに流しているようだった。
「…まさか、こんなところまで無謀にもやってくるとは………?あれは…」
男性はモニターに映る1人の人物を見て小さく目を見開く。
「…!スカイ様…?!なぜ反逆者の手助けを…そうか、ここまで来れたのはあなたのお陰か……余計なことをしてくれる…だが、良いだろう。いくらスカイ様の手助けがあろうとも、ここまで来れはしまい…残念だな、人よ…貴様に姫を連れ戻すことなど絶対に出来ぬ。どれ程の力があってもな…」
モニターの光であらわになる顔。モニターを見つめる男性は、リューシャをさらった張本人であるスヴールだった。
「…【ヴィジョン・リンク】」
スヴールがそう言うとモニターに映っていた画面が消え、それと同時に元から赤かったスヴールの目が余計に紅く輝いた。するとスヴールは画面の消えたモニターから背を向け、部屋から出ていく。が、突然スヴールは立ち止まった。
「…何の用だ。」
そう言い、スヴールは振り向く。先程まで誰もいなかった場所には藤色の髪を持つ人物がいた。顔は暗い部屋のせいでよく見えない。
「大丈夫か?本当に。あの2人はかなり厄介。下手をすればここまで来てしまうぞ?」
「…お前に心配されずとも、城内にはとても強い者を2人も配置してある。いくら城内に入れようともこちらに来るなど夢のまた夢だ。…それに、こちらには最強の味方がいる。不足などない」
「…なら、良いがな。」
スヴールの言葉を聞いて納得したのか、藤色の髪の人物は暗闇に溶けるように消えていった。
「【エクレセンデッド・ストーム】!」
リリエが風をミレアに放つがミレアはそれをすぐに草で相殺してしまう。
「ほらほら!そんなものじゃないでしょ?全力をぶつけてきて!」
笑みを浮かべるミレアに余裕を感じて悔しくなる。先程からずっと攻撃をし続けているのに笑みは片時も崩れず、その上草で攻撃を相殺はするものの、こちらに攻撃など全くしてこないのだ。
″…ずっと攻撃し続けているのに…っ″
悔しさでリリエが奥歯をぐっと噛み締めたその時、辺りの空気が一気に冷えた。
「?!」
「?」
リリエが空気が冷えた原因と思われる人物を見た。
「…スカイ、まさか魔力を…?」
「こんなのキリがない。早めに終わらせた方が楽。」
そう言うとスカイは地面を蹴った。
「【レグティヌス・ルニテクタ】」
ミレアの横から素早く氷を放つスカイ。
「!」
ミレアは先程より格段に上がったスカイの攻撃スピードに少し驚きながらも先程と変わらず草で攻撃を相殺し、氷を辺りに散らせる。
「私に攻撃が当てられる?」
挑戦的に笑うミレアに少しイラッときたのか、スカイは右手を勢いよく横に払った。すると、相殺されて砕けた氷の欠片がキラリと太陽の光を浴びながら浮き上がり、ミレアの回りを囲った。
「!まさか砕けた氷の欠片を使ってくるなんてね…でも、私の草の前では…」
「それはどうかな。」
「…!どういうこと?」
そうミレアがスカイに聞いたその時、リリエの声が聞こえた。
「【ビリスティナ・ミスト】!」
「?!」
リリエの放った水をスカイがすかさず凍らせ、ミレアに一気に放った。
「っ!」
ミレアは腕を体の前でクロスさせて攻撃を防ぐ。魔法はどうしても間に合わず無理に出そうとして無駄なダメージを受けるより良いと判断したからだった。ただ、ミレアには1つの疑問が浮かんでいた。
″…あの水は、誰が放ったの…?″
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