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リューシャ編
27話
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「…なぜ…」
ミレアは少し攻撃を受けたものの、大したダメージではなかった。が、それより疑問だったのは水の属性魔法を放った者の存在。実際はリリエなのだが、リリエが水の属性魔法も操れるのを知らないミレアは思考を巡らせていた。
″あの男の子は氷、女の子は風、どちらも属性魔法。使うことは不可能…なら、水の属性魔法を操る第三者がいるということに…″
ミレアは上空から見回すものの、リリエとスカイ以外の人物は見当たらない。
″隠れているにしても、もう魔法はバレたから出てくるはず…どうして…こんなこと、生まれて初めてよ…″
困惑するミレアとは裏腹に、余裕に満ちた空気を出しているリリエとスカイ。
″…こちらも、早く魔力を使えばすぐに終わる…でも水を放った人物がわからない限り危険ね…″
そう考えたその時、ミレアの後ろに気配を感じた。
「!」
「…へぇ、このスピードで気配を感じたんだ。その能力はすごいと思うけど、気づくのが遅かったね」
そう言うとスカイは詠唱を唱えた。
「【レリアヒュー・フローズン】」
「っ!」
ほとんどゼロ距離で放った氷はミレアに全て命中し、ミレアはその時集中が途切れてしまったか、飛行魔法を維持できず下へ落ちていった。
″…?…今まで、攻撃を受けなかったにしても、なんで1回2回攻撃を受けたくらいで…?″
そうリリエが不思議そうに首をかしげたその時、リリエの耳に声が聞こえた。
「〔…危ないわね…もう少し遅かったらみすみすやられていたわ…でも、しばらくあれで誤魔化せるわね…それより、本当にどうして水が…〕」
″…!声…が…ということは…あれは、偽物ってこと…それに、私の魔法に気づいてない…ってこと?″
リリエはその聞こえた声でミレアの現在の状態を全て察し、右手を落ちてくる、偽物と思われるミレアにかざした。
″…あれが偽物だとすれば、あれを構成している物は、きっと…草!″
「【レスラグマ・フレアム】!」
右手から火が放たれ、落ちてきていたミレアを包み込んだ。それは瞬く間に火に包まれ、火の間からはリリエの予測通り現在も燃えるミレアは草で作った偽物だったらしく、草が見え隠れしていた。
「…やっぱり。」
「!」
スカイもその草が見えたか、少し悔しそうに拳を握った。リリエは呟くほどの小さい声で言った。
「あんなもので誤魔化せると思いましたか?バレバレなんですよっ!【アルブレスタ・ウィンディア】!」
リリエは左手を思い切り振り払い、辺りに突風を発生させた。
『…っ?!なに…っ…しかし、いくら本物か偽物かを分かったとしても、そんな風ごときで私が姿を現すなんて、思っているのっ!』
″うん、私の言葉絶対聞こえてないのに奇跡的に会話成立してるような気がするけど気にしないようにしておこう!うん!″
辺りに響くミレアと思われる声に、リリエが心のなかでそんな(よくわからない)ことを言っていると、スカイが言った。
「風なんかじゃ悪いけどどんなに頑張っても出てこないと思うよ。【エレスネアル・ウィンター】」
スカイには一瞬ながらでも偽物で騙された恨みができていたからか、一瞬で空気を凍らせていく。
「っ!」
リリエがスカイの放つ冷気の冷たさに少しだけ身震いしたその時、叫ぶように詠唱を唱える声が聞こえてきた。
「【レッシング・リーフェンド】!」
すると空気を凍らせているスカイの氷に対抗するかのように鋭くとがった草たちが凍った空気を砕いていく。スカイは草が氷を砕いてきたことに気付くと、飛行魔法で浮いていたが魔法を解きリリエの横へ着地した。
「スカイ?なんで対抗しなかったの?」
「なんでって、氷を砕いてくる草を凍らせようとしても結局また砕かれるだけだし、魔力の無駄な消費したくないから。」
そのスカイの言葉に納得すると、リリエはスカイに聞いた。
「…スカイ、あのミレアはどこに隠れてると思う?」
「さあね。でも、リリエの火で部屋一帯を炎地獄にすれば出てくるんじゃない?」
「待って、それ私たちも捨て身じゃん」
「氷で俺たちの近くを囲ってたら熱さで死ぬことはないでしょ」
「そういう問題じゃないです。スカイさん」
凍った空気を砕く草を見つめながら、リリエは涙ながらにそう言った。
「まあ、現実的に考えればそれしか手がないんだけど…」
リリエはそこで言葉を切るとしばらく考え、ふと呟いた。
「…私とミレアで戦って、私が水を部屋全体に放ったタイミングを見計らってスカイが凍らせる?」
「そういう戦い方、前にしなかったっけ」
「うん、したね」
そう自分で返事をしておきながらリリエは頭を抱えた。
「これ絶対勝てないよ!?」
「だからこの先に進めた奴がいないんでしょ。向こうが仕掛けてくる前に作戦を編み出さないとここで他のやつらと同じようにやられるよ」
「…どうしたら出てくるかな…でもここは外だし隠れるところなんて全然ないし…」
リリエのその言葉にスカイがふと呟いた。
「…補助魔法、[ハイド・アピュレンス]」
「[ハイド・アピュレンス]?」
「…姿を消す補助魔法。覚えるのが難しいから使える者はほとんどいないって聞いてたけど、こんなところにいたなんてね。ここから先に進めた奴がいないわけだよ。…でも、それなら対策は余るほどある」
「スカイ…?」
スカイはリリエの方を向くと言った。
「勝てる。」
ミレアは少し攻撃を受けたものの、大したダメージではなかった。が、それより疑問だったのは水の属性魔法を放った者の存在。実際はリリエなのだが、リリエが水の属性魔法も操れるのを知らないミレアは思考を巡らせていた。
″あの男の子は氷、女の子は風、どちらも属性魔法。使うことは不可能…なら、水の属性魔法を操る第三者がいるということに…″
ミレアは上空から見回すものの、リリエとスカイ以外の人物は見当たらない。
″隠れているにしても、もう魔法はバレたから出てくるはず…どうして…こんなこと、生まれて初めてよ…″
困惑するミレアとは裏腹に、余裕に満ちた空気を出しているリリエとスカイ。
″…こちらも、早く魔力を使えばすぐに終わる…でも水を放った人物がわからない限り危険ね…″
そう考えたその時、ミレアの後ろに気配を感じた。
「!」
「…へぇ、このスピードで気配を感じたんだ。その能力はすごいと思うけど、気づくのが遅かったね」
そう言うとスカイは詠唱を唱えた。
「【レリアヒュー・フローズン】」
「っ!」
ほとんどゼロ距離で放った氷はミレアに全て命中し、ミレアはその時集中が途切れてしまったか、飛行魔法を維持できず下へ落ちていった。
″…?…今まで、攻撃を受けなかったにしても、なんで1回2回攻撃を受けたくらいで…?″
そうリリエが不思議そうに首をかしげたその時、リリエの耳に声が聞こえた。
「〔…危ないわね…もう少し遅かったらみすみすやられていたわ…でも、しばらくあれで誤魔化せるわね…それより、本当にどうして水が…〕」
″…!声…が…ということは…あれは、偽物ってこと…それに、私の魔法に気づいてない…ってこと?″
リリエはその聞こえた声でミレアの現在の状態を全て察し、右手を落ちてくる、偽物と思われるミレアにかざした。
″…あれが偽物だとすれば、あれを構成している物は、きっと…草!″
「【レスラグマ・フレアム】!」
右手から火が放たれ、落ちてきていたミレアを包み込んだ。それは瞬く間に火に包まれ、火の間からはリリエの予測通り現在も燃えるミレアは草で作った偽物だったらしく、草が見え隠れしていた。
「…やっぱり。」
「!」
スカイもその草が見えたか、少し悔しそうに拳を握った。リリエは呟くほどの小さい声で言った。
「あんなもので誤魔化せると思いましたか?バレバレなんですよっ!【アルブレスタ・ウィンディア】!」
リリエは左手を思い切り振り払い、辺りに突風を発生させた。
『…っ?!なに…っ…しかし、いくら本物か偽物かを分かったとしても、そんな風ごときで私が姿を現すなんて、思っているのっ!』
″うん、私の言葉絶対聞こえてないのに奇跡的に会話成立してるような気がするけど気にしないようにしておこう!うん!″
辺りに響くミレアと思われる声に、リリエが心のなかでそんな(よくわからない)ことを言っていると、スカイが言った。
「風なんかじゃ悪いけどどんなに頑張っても出てこないと思うよ。【エレスネアル・ウィンター】」
スカイには一瞬ながらでも偽物で騙された恨みができていたからか、一瞬で空気を凍らせていく。
「っ!」
リリエがスカイの放つ冷気の冷たさに少しだけ身震いしたその時、叫ぶように詠唱を唱える声が聞こえてきた。
「【レッシング・リーフェンド】!」
すると空気を凍らせているスカイの氷に対抗するかのように鋭くとがった草たちが凍った空気を砕いていく。スカイは草が氷を砕いてきたことに気付くと、飛行魔法で浮いていたが魔法を解きリリエの横へ着地した。
「スカイ?なんで対抗しなかったの?」
「なんでって、氷を砕いてくる草を凍らせようとしても結局また砕かれるだけだし、魔力の無駄な消費したくないから。」
そのスカイの言葉に納得すると、リリエはスカイに聞いた。
「…スカイ、あのミレアはどこに隠れてると思う?」
「さあね。でも、リリエの火で部屋一帯を炎地獄にすれば出てくるんじゃない?」
「待って、それ私たちも捨て身じゃん」
「氷で俺たちの近くを囲ってたら熱さで死ぬことはないでしょ」
「そういう問題じゃないです。スカイさん」
凍った空気を砕く草を見つめながら、リリエは涙ながらにそう言った。
「まあ、現実的に考えればそれしか手がないんだけど…」
リリエはそこで言葉を切るとしばらく考え、ふと呟いた。
「…私とミレアで戦って、私が水を部屋全体に放ったタイミングを見計らってスカイが凍らせる?」
「そういう戦い方、前にしなかったっけ」
「うん、したね」
そう自分で返事をしておきながらリリエは頭を抱えた。
「これ絶対勝てないよ!?」
「だからこの先に進めた奴がいないんでしょ。向こうが仕掛けてくる前に作戦を編み出さないとここで他のやつらと同じようにやられるよ」
「…どうしたら出てくるかな…でもここは外だし隠れるところなんて全然ないし…」
リリエのその言葉にスカイがふと呟いた。
「…補助魔法、[ハイド・アピュレンス]」
「[ハイド・アピュレンス]?」
「…姿を消す補助魔法。覚えるのが難しいから使える者はほとんどいないって聞いてたけど、こんなところにいたなんてね。ここから先に進めた奴がいないわけだよ。…でも、それなら対策は余るほどある」
「スカイ…?」
スカイはリリエの方を向くと言った。
「勝てる。」
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