ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

30話

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リリエは考えても答えがでないと思われる悩みを戦いの邪魔になると一旦捨て、城の目の前に立った。


「…これ、さっきの神の城の時みたいに、入ったら護衛がずらりと並んでる…なんてことはないよね…?」
「それは絶対に無いね。ここまで来れた者は侵入者で恐らく俺たちだけだから、誰も中々来れないところに護衛なんてムダな労力は置いてないはず」
「だったらちょっとは楽かな?さっきの戦いだって先に進めた者はいないっていう割に全然倒せたし…なんなら逆にあの召喚する者サモンサー?とか言う番人の方がまだ苦戦したと思うけどなぁ…苦戦とはいっても攻撃はほとんど受けてないし…」
「多分、さっきの相手はリリエの魔法が全然分かってなかったみたいだから、混乱したんじゃないの?普通、言われなかったら属性魔法ぞくせいまほうを今現在の時点で3つも扱えるなんて思わないだろうし」
「そんなに私の魔法ってすごいかな?」
「まあ、魔法がすごいって言うより、リリエの場合は扱える量がすごいんだよ」
「この調子だと、行けるかな?」


リリエがそう笑いながら軽く言ったその言葉にスカイは冷たい声で言った。


「リリエ。自惚れない方が良いよ。いくらそんな逸脱した魔法の扱い方ができたとしても、今のリリエは体力がなくなりかけで、魔法をセーブしなきゃいけないんだから。」


スカイの冷たく言い放たれた正論におとなしく反省するリリエ。


「それもそうだよね…今の私は下手したらただの足手まといになっちゃうかもしれないんだもんね…」
「…まあ、俺がなるべくリリエが魔法をセーブ出来るようにするから問題は大してないと思うけど。まだ白亜はくあの城って言う最大難関が残ってるんだから、あんまり軽すぎる気持ちでいかなければある程度は大丈夫だよ」
「そう?」


リリエにスカイは頷くと、そびえ立つ白亜はくあの城の扉へと手をかけた。そして戸惑いもなく勢いよく扉を開け放った。白亜はくあの城は今までの神の城などとは違い、扉を開けてすぐが通路になっていた。ただ、通路が外と同じ白亜はくあなことにリリエは驚く。


「…!真っ白…ここって、城のなかでさえも白なんだね…」
「リリエ。城の色に感動してないで、行くよ。」


スタスタと先を歩いていくスカイの後をリリエは慌てて追いかけた。そして、城の通路をしばらくほど歩いたぐらいで、リリエの少し前を歩くスカイが突然立ち止まった。


「!スカイ…?」


スカイが立ち止まったことにリリエは心配げにスカイの名前を呼んだ。スカイはリリエに言葉を返すことなく、ただ一言呟いた。


「【エレスネアル・ウィンター】」


詠唱と同時に魔力を発動させたのか辺りが冷気に包まれ、床に氷が張り始める。それから通路の壁が凍るかと思いきや、氷は通路の壁を超えて奥へと広がっていった。氷を透過させた壁はぐにゃりと歪むと消え去り、広めの部屋が現れた。


「部屋…?」
「…リリエ、気を付けて。気配を感じる…何かいるよ」


スカイのその言葉でリリエは身構える。


″敵?…それしか考えられないよね。今度はどんな…″


「そう、身構えないでくださいよ。僕は不意打ちなんて卑怯な真似しませんから。」
「っ!」
「?!」


背後から聞こえた声にスカイとリリエはほぼ同時に反応すると、突然背後に現れた青髪の青年から距離をとった。


「だから、僕は不意打ちをしないって言ったじゃないですか。」


悲しそうにそう言う青年にスカイは冷たく言いはなつ。


「誰が敵のあんたを信用すると思ってるの?」
「あはは。それもそうですね。僕は敵で、あなたたちを倒す者ですから。」


笑って言いながら、青年は右手を払った。それに気づいたスカイが何かを感じ取って氷の壁を張ったのと、リリエが右腕を押え、白亜はくあの床に膝をついたのは、ほぼ、同時だった。


「っ!」
「リリエ!…これは……。…」


恐らくあの青年に毒状態にされる魔法を使われたであろうリリエと同じ目線になり、休んでてと言おうとしたスカイだったが、リリエは慌てて取り繕うように言った。


「だ、大丈夫!大丈夫だよ!戦えるから…っ!」
「リリエ、無理しないで。リリエのことだから、俺にばっかり任せられなくて申し訳ないって思ってるんでしょ。」


毒の影響か、立ち上がろうとしたリリエが、力が抜けたようにまた膝をついた。そして悲しそうな目でスカイに言い返す。


「…だって、そうでしょ?なんだか、任せてばかりなんて、スカイに負担を押し付けているような気がして…」
「そう言ってくれるのはうれしいけど、リリエは今無理をしたら危険なんだ。もし魔法が使えなくなったらリリエが動けなくなる。それだけはいろんな意味で避けないといけないから。」


スカイに(あくまで前の方に立つ青年に聞こえないように)そういわれ、少し渋々ながらもリリエは頷いた。


「…分かった。スカイこそ、無理しないでよ。スカイがいないと私出来ることがかなり制限されるんだからね」
「もちろんそれくらいは理解できてるよ」


スカイは立ち上がると、青年の方を向いた。


「お二人がどういう関係かは知らないですけど、僕のことを忘れて話を進めないでください」
「別に忘れてた訳じゃない上に、話なんて進めてないし」


スカイは再び魔力を発動させると言葉を続けた。


「どんな魔法を使うかはまだ知らないけど、俺の氷に対抗できるの?俺はあんたのことは知らないけど、なんであんたがここにいるのかだけはしっかり分かる。…俺の氷に勝てるっていう相当の自信があるんだね」
「もちろんそうですよ。スカイ・レーシェードさん」
「!……っ?!」


青年が笑いながら知るはずのないスカイの名前を言ったせいなのか、リリエはなぜかそのたった一言で青年に対して悪寒を覚えた。
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