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リューシャ編
29話
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「…でも、なんか疲れた…」
リリエは力が抜けたようにしゃがみこむ。
「魔法を使い始めたばっかりって言ってもおかしくないのにあんなに強力な魔法をいくつも使ったら疲れるのも当然だよ。とりあえず、少し休もうか」
そう言ってスカイは近くを見回す。
「ここだとこいつもいるし休めないからあそこの岩陰にでも隠れて休もう。リリエ、立てる?」
「うん。全然大丈夫」
リリエは立ちあがり、スカイが探した岩陰へと行くとへたりと座り込んだ。
「というかなんでそれほど動いていないし、攻撃も全然受けていないのにこんなに疲れてるんだろう?」
「…そういえば。」
何かを思い出したようなスカイはリリエに言った。
「俺、体力と魔力のこと、リリエに教えてなかったね」
「体力と魔力?」
「まず、体力とか魔力は魔法を出すためや動くための力のこと。で、体力を使うときと魔力を使うときとは自分で切り替えることができる。まあそれは魔力を使える者じゃないと切り替えるもなにもないけどね。そして、体力は走ったり動いたりしている上で魔法を使うから体力で魔法を使う者、リリエみたいな者たちは疲れやすいんだよ。」
「…体力を使って魔法を使っているときは、普通に走ったり戦ったりしているときと同じですぐに疲れるってこと?」
スカイは頷く。
「それから、魔力はリリエが見たように発動したりしなかったりできる。そして魔力は魔法を使うことだけに特化しているから、走りながら使っても何ら問題はないしあまり疲れない。それに魔法の使用のみに特化しているせいか使える魔法も強力なものを使えるようになる。魔力の説明はちょっと前説明したからこれくらいで分かるよね」
「うん。でも、疲れたってことはちょっと危ないんじゃ…」
スカイは真剣な目でリリエに言った。
「ちょっとじゃなくてかなり危ないよ。今のリリエは体力で戦ってるんだから、下手をすれば魔法どころか疲労で動けなくなってしまう可能性は0じゃない。まあこれは最悪の結果だけど、魔法が使えなくなるのは時間の問題だよ。」
その言葉でリリエは目を見開き、スカイを見つめる。
「魔法が…?!スカイ、体力は回復できないの?!傷が回復できるんだったら体力だって…」
「…本当に悪いけど、俺でも回復の補助魔法に特化してる訳じゃないから体力の回復はできない。これからの戦いをリリエはセーブして行くしかないよ。」
リリエは俯いて呟いた。
「…まだ、白亜の城の中にすら入ってないのに…あのスヴールとや、もしかすれば王妃様とも戦うかも知れないのに…」
リリエの呟いた名にスカイは反応を示した。
「…?スヴール?」
「スカイ、知ってるの?」
「…いや、ただ名前を知ってるだけだよ」
″…でも、なんであいつの名前がリリエから?…まさか……もしそうだったら、あの人が動いたのも……そういうことになるのか…″
スカイが考え込んだのを感じて、リリエはスカイが何かを隠していることははっきりと分かった。が、なんとなくその隠し事を今は話してくれないような気がしてリリエは立ち上がった。
「スカイ、これからスカイに頼ることが増えちゃうと思うけど、いいかな?」
リリエの声にスカイは考えるのを止めると、リリエの方を見て頷いた。
「全然いいよ。むしろもっと頼ってほしいくらい。」
その言葉にリリエはふんわりと笑った。それだけでありがとうの気持ちはスカイに伝わったらしく、優しくスカイは言った。
「そんなにありがとうを言わなくても良いよ。俺はただ勝手にリリエの手助けをしてるに過ぎないんだからさ。…俺自身も、あんまりお礼を言われるの馴れないし…」
そう無表情ながらも視線を斜め下にやるスカイを見てクスリと笑うと、リリエはスカイの腕を握った。
「よし、休憩も十分にしたし、白亜の城に行こう!」
スカイが頷き、リリエは城に向かって歩き出した。すると、リリエの視界になぜか花の咲き乱れる、どこか懐かしいとも感じれるような花畑の景色がフラッシュバックした。
「…えっ…?」
リリエは突然のことに立ち止まる。
「リリエ?どうかしたの?」
「う、ううん。なんでもないよ。行こう」
「………」
ぎこちなく、明らかになんでもない訳がない笑みを浮かべてリリエは再び歩き出した。スカイはそんなリリエを少し不安そうな目で見つめた。
″…なんなんだろう、あの景色は……そうだ、私って思い起こせばルクトと王都の近くに住み始めたのは11歳位からのはずなのにそれ以前の思い出が1つも思い出せないんだよね……もしかして、これはその思いだせない11年間の記憶のひとつ…?でもルクトなら11歳以前の記憶が無かったらすぐに気づいて教えてくれるよね…なんなの…本当に…元素魔法のことといい…自分で自分のことが分かってなさすぎる……なんで、自分のことすらも分からないの…?″
リリエはそう悔しげに、スカイに知られないように歯を食い縛った。
″…リリエ…絶対大丈夫じゃない…なにがあった…?敵になにかされたわけではないと思うけど…勝手に手助けをしているなんて言ったけど、心配なものは心配だ…本当に俺をもっと頼ってほしい…″
スカイはただほんの一瞬だけ目を細めた。
リリエは力が抜けたようにしゃがみこむ。
「魔法を使い始めたばっかりって言ってもおかしくないのにあんなに強力な魔法をいくつも使ったら疲れるのも当然だよ。とりあえず、少し休もうか」
そう言ってスカイは近くを見回す。
「ここだとこいつもいるし休めないからあそこの岩陰にでも隠れて休もう。リリエ、立てる?」
「うん。全然大丈夫」
リリエは立ちあがり、スカイが探した岩陰へと行くとへたりと座り込んだ。
「というかなんでそれほど動いていないし、攻撃も全然受けていないのにこんなに疲れてるんだろう?」
「…そういえば。」
何かを思い出したようなスカイはリリエに言った。
「俺、体力と魔力のこと、リリエに教えてなかったね」
「体力と魔力?」
「まず、体力とか魔力は魔法を出すためや動くための力のこと。で、体力を使うときと魔力を使うときとは自分で切り替えることができる。まあそれは魔力を使える者じゃないと切り替えるもなにもないけどね。そして、体力は走ったり動いたりしている上で魔法を使うから体力で魔法を使う者、リリエみたいな者たちは疲れやすいんだよ。」
「…体力を使って魔法を使っているときは、普通に走ったり戦ったりしているときと同じですぐに疲れるってこと?」
スカイは頷く。
「それから、魔力はリリエが見たように発動したりしなかったりできる。そして魔力は魔法を使うことだけに特化しているから、走りながら使っても何ら問題はないしあまり疲れない。それに魔法の使用のみに特化しているせいか使える魔法も強力なものを使えるようになる。魔力の説明はちょっと前説明したからこれくらいで分かるよね」
「うん。でも、疲れたってことはちょっと危ないんじゃ…」
スカイは真剣な目でリリエに言った。
「ちょっとじゃなくてかなり危ないよ。今のリリエは体力で戦ってるんだから、下手をすれば魔法どころか疲労で動けなくなってしまう可能性は0じゃない。まあこれは最悪の結果だけど、魔法が使えなくなるのは時間の問題だよ。」
その言葉でリリエは目を見開き、スカイを見つめる。
「魔法が…?!スカイ、体力は回復できないの?!傷が回復できるんだったら体力だって…」
「…本当に悪いけど、俺でも回復の補助魔法に特化してる訳じゃないから体力の回復はできない。これからの戦いをリリエはセーブして行くしかないよ。」
リリエは俯いて呟いた。
「…まだ、白亜の城の中にすら入ってないのに…あのスヴールとや、もしかすれば王妃様とも戦うかも知れないのに…」
リリエの呟いた名にスカイは反応を示した。
「…?スヴール?」
「スカイ、知ってるの?」
「…いや、ただ名前を知ってるだけだよ」
″…でも、なんであいつの名前がリリエから?…まさか……もしそうだったら、あの人が動いたのも……そういうことになるのか…″
スカイが考え込んだのを感じて、リリエはスカイが何かを隠していることははっきりと分かった。が、なんとなくその隠し事を今は話してくれないような気がしてリリエは立ち上がった。
「スカイ、これからスカイに頼ることが増えちゃうと思うけど、いいかな?」
リリエの声にスカイは考えるのを止めると、リリエの方を見て頷いた。
「全然いいよ。むしろもっと頼ってほしいくらい。」
その言葉にリリエはふんわりと笑った。それだけでありがとうの気持ちはスカイに伝わったらしく、優しくスカイは言った。
「そんなにありがとうを言わなくても良いよ。俺はただ勝手にリリエの手助けをしてるに過ぎないんだからさ。…俺自身も、あんまりお礼を言われるの馴れないし…」
そう無表情ながらも視線を斜め下にやるスカイを見てクスリと笑うと、リリエはスカイの腕を握った。
「よし、休憩も十分にしたし、白亜の城に行こう!」
スカイが頷き、リリエは城に向かって歩き出した。すると、リリエの視界になぜか花の咲き乱れる、どこか懐かしいとも感じれるような花畑の景色がフラッシュバックした。
「…えっ…?」
リリエは突然のことに立ち止まる。
「リリエ?どうかしたの?」
「う、ううん。なんでもないよ。行こう」
「………」
ぎこちなく、明らかになんでもない訳がない笑みを浮かべてリリエは再び歩き出した。スカイはそんなリリエを少し不安そうな目で見つめた。
″…なんなんだろう、あの景色は……そうだ、私って思い起こせばルクトと王都の近くに住み始めたのは11歳位からのはずなのにそれ以前の思い出が1つも思い出せないんだよね……もしかして、これはその思いだせない11年間の記憶のひとつ…?でもルクトなら11歳以前の記憶が無かったらすぐに気づいて教えてくれるよね…なんなの…本当に…元素魔法のことといい…自分で自分のことが分かってなさすぎる……なんで、自分のことすらも分からないの…?″
リリエはそう悔しげに、スカイに知られないように歯を食い縛った。
″…リリエ…絶対大丈夫じゃない…なにがあった…?敵になにかされたわけではないと思うけど…勝手に手助けをしているなんて言ったけど、心配なものは心配だ…本当に俺をもっと頼ってほしい…″
スカイはただほんの一瞬だけ目を細めた。
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