33 / 74
リューシャ編
32話
しおりを挟む
「っ!」
素早く動く青年の動きを見極め、ギリギリで攻撃を避けていくスカイ。
「やっ!」
「…【レグティヌス・ルニテクタ】」
スカイが青年の攻撃を避けたとほぼ同時に魔法で氷を青年に放つものの、青年は氷を易々と避けてしまう。そしてスカイは先程から、言っていた距離的な問題のせいか広範囲技をひとつも使っていなかった。
″スカイ…苦戦してるのかな…ちょっと前までだったら多分広範囲魔法でほぼ全部凍らせてたのに…やっぱり、さっき言ってた距離的な問題のせいなのかな…″
リリエの心配を知りもせず、スカイは青年のパンチを避けた。
「僕の攻撃を避けられる者なんてそうそういないんですけどね?よくこれだけ避けられますね。」
「本気を未だに出してないくせによく言うよ」
幾つもの青年の攻撃を避けながらスカイは冷たくそう言うといつの間にか青年の後ろへと移動し回し蹴りを放つ。が、青年はそれをかわすと元から狙っていたかのように蹴りを放った。
「くっ!」
スカイは腕で蹴りを防いだ。
「なかなかこれまで防げたのはすごいですけど、そろそろ疲れてきてますよね?心なしか動きが鈍ってきてますよ。」
「っ…」
″…やっぱりスカイ、ずっと戦ってたから疲れてきてるんじゃ…″
リリエは心配そうな目をスカイに向ける。その目をスカイは一瞬ながらも見て言った。
「…まあ疲れてるって言えば疲れてるけど、あんたの攻撃で疲れてる訳じゃないから。」
そういい腕を払って、蹴った体制のままになっていた青年の足を振り払った。
「どういうことですか?…もしかして、なにか仕掛けた…とかですか?」
「もしかしなくてもそうでしょ。」
スカイに足を振り払われたが、問題なく後ろに下がる青年は、興味津々と言うような顔でスカイに言う。
「…遠慮なんてしなくていいですよ。仕掛けしてることに気づかれた今、それを迷わず僕に放てばいい。」
「普通は攻撃を発動されないようにするはずだと思うんだけど、そんなに俺の技止められる自信があるんだね」
「それはそうですよ。僕はそれくらい強くありたい。僕は自分が強いなんて思ってないんです。でも弱い僕なりの強さの証があるから、そこまでの自信があるんです。」
「弱い者の強さの証?」
「はい。それのお陰で僕は今強くいれるんです。」
スカイはその言葉で青年を見つめる。
「…ひとつ言うことがあるとしたら、そんな証に頼ってたらいつかその証に絶望するときが来るってこと。」
「……スカイさんに、何がわかるって言うんですか?」
青年は拳をぎゅっと強く握りしめ、スカイを睨み付ける。
「それは、僕があの人に…スヴール様に絶望するときが来るって言いたいんですか?」
「!」
その名前を出したことで、スカイはほぼ反射的にリリエの方を見た。リリエは、驚きに目を見開きこちらをみていた。
「スヴール…?もしかして、この城の中に、スヴールがいるの…?」
「?当たり前じゃないですか。僕を含め、ここから先であなた方反逆者を待ち受ける者計3名は、スヴール様に助けられ、忠誠を誓う者です。…ただ、とある1名は僕ら部下とは違う、今回だけの助っ人らしいですけど。」
「……スヴール…やっぱり、あいつが…」
リリエは強く自分の拳を握りしめる。そんなリリエの様子も知らずに青年は呟くように話始めた。
「スヴール様は、僕のように魔法の威力だけを見られ、切り捨てられた、他の者から見たらただの用無しを救ってくれたんです。…魔法の代わりに体術があるのを見出だしてくれて…僕は、スヴール様の為にこの力を使うと決めたんです。」
嬉しそうな、でもどこか複雑そうな表情をして青年は言葉を続ける。
「…僕は、他の者からすれば、力のない弱いものかもしれない。でも、僕は弱いなりの強さの証を見つけたんです。だから僕はその証のために、戦う。…それが、体力のほぼない少女に、体力を削る効果のある毒の補助魔法を放ち、魔法を出させないようにするなんて言うズルいようなことでも…ね」
「?!」
最後のその言葉に、スカイはなにかに気づいたようにリリエを見やり、青年を睨み付けるように見た。
「…リリエに毒魔法を放ったのはそういうことね。スヴールからの情報でリリエの今の状況のほとんどを理解してたから、元素を操るリリエの魔法を封じて、まだマシな俺だけに集中攻撃で倒そうとしたのか。」
「さすが、スカイさんです。でも、僕だってやりたくてやったんじゃないんですよ?」
「やったことに、変わりはないでしょ。不本意だろうとわざとだろうと、事実はやった。」
スカイの目に鋭い光が灯る。
「消えた体力は戻らない。だからリリエの体力を戻せなんて言えないけど、リリエの分も全力でいかせてもらうことにするよ」
スカイがそう言ってなにかを下から呼び出すように右腕を上に上げながら呟いた。
「【グリーミング・ジャスタ】」
素早く動く青年の動きを見極め、ギリギリで攻撃を避けていくスカイ。
「やっ!」
「…【レグティヌス・ルニテクタ】」
スカイが青年の攻撃を避けたとほぼ同時に魔法で氷を青年に放つものの、青年は氷を易々と避けてしまう。そしてスカイは先程から、言っていた距離的な問題のせいか広範囲技をひとつも使っていなかった。
″スカイ…苦戦してるのかな…ちょっと前までだったら多分広範囲魔法でほぼ全部凍らせてたのに…やっぱり、さっき言ってた距離的な問題のせいなのかな…″
リリエの心配を知りもせず、スカイは青年のパンチを避けた。
「僕の攻撃を避けられる者なんてそうそういないんですけどね?よくこれだけ避けられますね。」
「本気を未だに出してないくせによく言うよ」
幾つもの青年の攻撃を避けながらスカイは冷たくそう言うといつの間にか青年の後ろへと移動し回し蹴りを放つ。が、青年はそれをかわすと元から狙っていたかのように蹴りを放った。
「くっ!」
スカイは腕で蹴りを防いだ。
「なかなかこれまで防げたのはすごいですけど、そろそろ疲れてきてますよね?心なしか動きが鈍ってきてますよ。」
「っ…」
″…やっぱりスカイ、ずっと戦ってたから疲れてきてるんじゃ…″
リリエは心配そうな目をスカイに向ける。その目をスカイは一瞬ながらも見て言った。
「…まあ疲れてるって言えば疲れてるけど、あんたの攻撃で疲れてる訳じゃないから。」
そういい腕を払って、蹴った体制のままになっていた青年の足を振り払った。
「どういうことですか?…もしかして、なにか仕掛けた…とかですか?」
「もしかしなくてもそうでしょ。」
スカイに足を振り払われたが、問題なく後ろに下がる青年は、興味津々と言うような顔でスカイに言う。
「…遠慮なんてしなくていいですよ。仕掛けしてることに気づかれた今、それを迷わず僕に放てばいい。」
「普通は攻撃を発動されないようにするはずだと思うんだけど、そんなに俺の技止められる自信があるんだね」
「それはそうですよ。僕はそれくらい強くありたい。僕は自分が強いなんて思ってないんです。でも弱い僕なりの強さの証があるから、そこまでの自信があるんです。」
「弱い者の強さの証?」
「はい。それのお陰で僕は今強くいれるんです。」
スカイはその言葉で青年を見つめる。
「…ひとつ言うことがあるとしたら、そんな証に頼ってたらいつかその証に絶望するときが来るってこと。」
「……スカイさんに、何がわかるって言うんですか?」
青年は拳をぎゅっと強く握りしめ、スカイを睨み付ける。
「それは、僕があの人に…スヴール様に絶望するときが来るって言いたいんですか?」
「!」
その名前を出したことで、スカイはほぼ反射的にリリエの方を見た。リリエは、驚きに目を見開きこちらをみていた。
「スヴール…?もしかして、この城の中に、スヴールがいるの…?」
「?当たり前じゃないですか。僕を含め、ここから先であなた方反逆者を待ち受ける者計3名は、スヴール様に助けられ、忠誠を誓う者です。…ただ、とある1名は僕ら部下とは違う、今回だけの助っ人らしいですけど。」
「……スヴール…やっぱり、あいつが…」
リリエは強く自分の拳を握りしめる。そんなリリエの様子も知らずに青年は呟くように話始めた。
「スヴール様は、僕のように魔法の威力だけを見られ、切り捨てられた、他の者から見たらただの用無しを救ってくれたんです。…魔法の代わりに体術があるのを見出だしてくれて…僕は、スヴール様の為にこの力を使うと決めたんです。」
嬉しそうな、でもどこか複雑そうな表情をして青年は言葉を続ける。
「…僕は、他の者からすれば、力のない弱いものかもしれない。でも、僕は弱いなりの強さの証を見つけたんです。だから僕はその証のために、戦う。…それが、体力のほぼない少女に、体力を削る効果のある毒の補助魔法を放ち、魔法を出させないようにするなんて言うズルいようなことでも…ね」
「?!」
最後のその言葉に、スカイはなにかに気づいたようにリリエを見やり、青年を睨み付けるように見た。
「…リリエに毒魔法を放ったのはそういうことね。スヴールからの情報でリリエの今の状況のほとんどを理解してたから、元素を操るリリエの魔法を封じて、まだマシな俺だけに集中攻撃で倒そうとしたのか。」
「さすが、スカイさんです。でも、僕だってやりたくてやったんじゃないんですよ?」
「やったことに、変わりはないでしょ。不本意だろうとわざとだろうと、事実はやった。」
スカイの目に鋭い光が灯る。
「消えた体力は戻らない。だからリリエの体力を戻せなんて言えないけど、リリエの分も全力でいかせてもらうことにするよ」
スカイがそう言ってなにかを下から呼び出すように右腕を上に上げながら呟いた。
「【グリーミング・ジャスタ】」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる