ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

32話

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「っ!」


素早く動く青年の動きを見極め、ギリギリで攻撃を避けていくスカイ。


「やっ!」
「…【レグティヌス・ルニテクタ】」


スカイが青年の攻撃を避けたとほぼ同時に魔法で氷を青年に放つものの、青年は氷を易々と避けてしまう。そしてスカイは先程から、言っていた距離的な問題のせいか広範囲技をひとつも使っていなかった。


″スカイ…苦戦してるのかな…ちょっと前までだったら多分広範囲魔法でほぼ全部凍らせてたのに…やっぱり、さっき言ってた距離的な問題のせいなのかな…″


リリエの心配を知りもせず、スカイは青年のパンチを避けた。


「僕の攻撃を避けられる者なんてそうそういないんですけどね?よくこれだけ避けられますね。」
「本気を未だに出してないくせによく言うよ」


幾つもの青年の攻撃を避けながらスカイは冷たくそう言うといつの間にか青年の後ろへと移動し回し蹴りを放つ。が、青年はそれをかわすと元から狙っていたかのように蹴りを放った。


「くっ!」


スカイは腕で蹴りを防いだ。


「なかなかこれまで防げたのはすごいですけど、そろそろ疲れてきてますよね?心なしか動きが鈍ってきてますよ。」
「っ…」


″…やっぱりスカイ、ずっと戦ってたから疲れてきてるんじゃ…″


リリエは心配そうな目をスカイに向ける。その目をスカイは一瞬ながらも見て言った。


「…まあ疲れてるって言えば疲れてるけど、あんたの攻撃で疲れてる訳じゃないから。」


そういい腕を払って、蹴った体制のままになっていた青年の足を振り払った。


「どういうことですか?…もしかして、なにか仕掛けた…とかですか?」
「もしかしなくてもそうでしょ。」


スカイに足を振り払われたが、問題なく後ろに下がる青年は、興味津々と言うような顔でスカイに言う。


「…遠慮なんてしなくていいですよ。仕掛けしてることに気づかれた今、それを迷わず僕に放てばいい。」
「普通は攻撃を発動されないようにするはずだと思うんだけど、そんなに俺の技止められる自信があるんだね」
「それはそうですよ。僕はそれくらい強くありたい。僕は自分が強いなんて思ってないんです。でも弱い僕なりの強さの証があるから、そこまでの自信があるんです。」
「弱い者の強さの証?」
「はい。それのお陰で僕は今強くいれるんです。」


スカイはその言葉で青年を見つめる。


「…ひとつ言うことがあるとしたら、そんな証に頼ってたらいつかその証に絶望するときが来るってこと。」
「……スカイさんに、何がわかるって言うんですか?」


青年は拳をぎゅっと強く握りしめ、スカイを睨み付ける。


「それは、僕があの人に…スヴール様に絶望するときが来るって言いたいんですか?」
「!」


その名前を出したことで、スカイはほぼ反射的にリリエの方を見た。リリエは、驚きに目を見開きこちらをみていた。


「スヴール…?もしかして、この城の中に、スヴールがいるの…?」
「?当たり前じゃないですか。僕を含め、ここから先であなた方反逆者を待ち受ける者計3名は、スヴール様に助けられ、忠誠を誓う者です。…ただ、とある1名は僕ら部下とは違う、今回だけの助っ人らしいですけど。」
「……スヴール…やっぱり、あいつが…」


リリエは強く自分の拳を握りしめる。そんなリリエの様子も知らずに青年は呟くように話始めた。


「スヴール様は、僕のように魔法の威力だけを見られ、切り捨てられた、他の者から見たらただの用無しを救ってくれたんです。…魔法の代わりに体術があるのを見出だしてくれて…僕は、スヴール様の為にこの力を使うと決めたんです。」


嬉しそうな、でもどこか複雑そうな表情をして青年は言葉を続ける。


「…僕は、他の者からすれば、力のない弱いものかもしれない。でも、僕は弱いなりの強さの証を見つけたんです。だから僕はその証のために、戦う。…それが、体力のほぼない少女に、体力を削る効果のある毒の補助魔法ほじょまほうを放ち、魔法を出させないようにするなんて言うズルいようなことでも…ね」
「?!」


最後のその言葉に、スカイはなにかに気づいたようにリリエを見やり、青年を睨み付けるように見た。


「…リリエに毒魔法を放ったのはそういうことね。スヴールからの情報でリリエの今の状況のほとんどを理解してたから、元素を操るリリエの魔法を封じて、まだマシな俺だけに集中攻撃で倒そうとしたのか。」
「さすが、スカイさんです。でも、僕だってやりたくてやったんじゃないんですよ?」
「やったことに、変わりはないでしょ。不本意だろうとわざとだろうと、事実はやった。」


スカイの目に鋭い光が灯る。


「消えた体力は戻らない。だからリリエの体力を戻せなんて言えないけど、リリエの分も全力でいかせてもらうことにするよ」


スカイがそう言ってなにかを下から呼び出すように右腕を上に上げながら呟いた。


「【グリーミング・ジャスタ】」
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