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混沌の泉編
62話
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「…向こうの言動から、実の息子かどうかは怪しんでたけど、他の世界って、どういうこと?」
スカイの質問にあ、と何かに気づいたように声をルクトはあげる。
「そう言えば、皆は他の世界のこと知らなかったな」
そう笑ってルクトは世界についての説明を始めた。
今、自分たちがいて、神、竜、人が共存しているここはレフィネリアと呼ばれる世界で、他にもたくさん世界は存在している。元から1種族しか存在しない世界や、種族間での争いのせいで種族が滅んでしまった世界もある。本当に色々な世界が存在するのだ。
そんな世界と世界の間には、終刻の間と呼ばれる空間が存在するのだが、その間を越えるのは比較的楽であり、稀に他の世界の者がやって来ることがある。
そして、大概、やって来た者の目的は2つに分類される。1つは普通に迷って来てしまった者。その場合は己の世界に戻りたいと帰り道を探すから、大抵数日後には元の世界へ戻る為に全く問題はない。
だが、問題なのはもう1つ、サフェルのように何らかの事件を起こすつもりでやって来る者。これの場合は帰る気がさらさら無いため、そのほとんどを武力行使で、相手に勝てない相手がいると思わせなければならない。そうでなければ無理矢理元の世界に戻したとしてもまたやって来てしまうから。
だからこそ、サフェルは武力行使で悪く言えばボコボコに、オブラートに包んで言えば倒すしか無い、とそうルクトは言った。
「でも、ルクト。その皇子様の息子さんがどうしてその言う他の世界の者だって分かるの?血の繋がりは無かったとしてもそれが他の世界の者って断定は出来ないのに」
リリエの質問にルクトはまた何かに気づいたような素振りをして、微笑んで答えた。
「それは魔法だ。銃の形にしただけの指先から銃弾を放てるなんて魔法はここ、レフィネリアには無い魔法だからな。」
ルクトの言うように、レフィネリアにはしっかりとした区別のつく魔法しか存在しない。だからこそ、サフェルの魔法を見たルクトは瞬時に他の世界の者だと判断したのだ。
ルクトは唖然とするレスデオに目を向ける。ルクトと目が合って、レスデオの背筋が心なしか伸びる。
「皇子は城に戻った方がいいと思うぞ。ついでに、あんまり城から出ないようにもしろよ。お前は狙われてるんだからな。神の皇子がやられたなんて話になったら、神たちがどんな風になるか想像くらいはつくだろ。」
ルクトの言葉に何も言わずにレスデオは大きく頷く。
そしてルクトはそんなレスデオから視線を外すと、近くの木陰へ視線を移した。
「…誰かいるか?そこの木陰。」
その言葉に全員が木陰を見る。その木陰から現れたのは、金髪の、どこか幼さを感じる少年。
「気づいてたんですね、オレの存在に。」
「まだ、もう一人いるよね。」
恐らく薄々気配を感じていたのだろう。スカイもそう少年に言った。少年は木陰の方をちらりと見やり、どうしようかと少しだけ迷うと1人の少女を木陰から引っ張り出した。
「ちょっと~?ライト、ここから出なくていいって言ってたのになんで~?」
「バレたから仕方ないんだよ!ほら出てくるんだサラ!」
ライトと呼ばれた少年が引っ張り出してきたのは、オレンジの髪を三編みのおさげにして、それを耳より下で輪を描くようなヘアスタイルをした少女だった。少女はサラと呼ばれていた。
「盗み聞きしていたことは謝ります。すいません。オレたちは偶然ここを通ったんです。気にせず立ち去ろうとしたのですが、他の世界の者の話がつい気になってしまって。」
ライトはそう詫びる。しかしサラはライトがなぜ頭を下げているのかが分かっていないのか、ライトをじっと見つめていた。
「あ、僕たちは盗み聞きしてたことを咎めるつもりはないんだけど、…偶然ここを通ったということが事実かどうかは確かめさせてほしいな」
ルクトの目が、鋭く光る。何故、ルクトがそう訊ねたのか、それは、木陰に人の気配があることをサフェルが立ち去る以前から気づいていたからだった。
「…事実です。」
静かにライトの口から放たれた答え。その答えに、鋭く光る目を静かに伏せて再び目を開く。その目にもう鋭さは無かったが、どこか若干諦めているようにも見えた。
「…そうか。なら良いんだけど」
「………失礼します。行こう、サラ」
「え?え?ライト、もう行くの?」
混乱している様子のサラを、余計なことは言うなと言わんばかりに腕を引っ張っていく。
そんな2人を静かに見送って、微かな静寂の中。すぐに口を開いたのはスカイ。
「良かったの?ルクト兄さん」
「まぁ、本人が違うって言ってるから仕方ない」
ルクトの返答に納得したのか否か、なにも言わなくなったスカイの内心を密かに察したのだろう。リリエがルクトに問いかける。
「でも…怪しかったよ?あの2人…」
2人が立ち去った方向を見やったままのルクトを見つめるが、ルクトは静かに目を伏せて、ゆっくりと目を開けると、リリエの方へ顔を向けた。
「あれ以上聞いたところで答えやしない。だろ?それより、リリエには気になることがあるんじゃないか?」
そのルクトの言葉に、あっ!!とリリエはなにかを思い出したように声を上げた。
スカイの質問にあ、と何かに気づいたように声をルクトはあげる。
「そう言えば、皆は他の世界のこと知らなかったな」
そう笑ってルクトは世界についての説明を始めた。
今、自分たちがいて、神、竜、人が共存しているここはレフィネリアと呼ばれる世界で、他にもたくさん世界は存在している。元から1種族しか存在しない世界や、種族間での争いのせいで種族が滅んでしまった世界もある。本当に色々な世界が存在するのだ。
そんな世界と世界の間には、終刻の間と呼ばれる空間が存在するのだが、その間を越えるのは比較的楽であり、稀に他の世界の者がやって来ることがある。
そして、大概、やって来た者の目的は2つに分類される。1つは普通に迷って来てしまった者。その場合は己の世界に戻りたいと帰り道を探すから、大抵数日後には元の世界へ戻る為に全く問題はない。
だが、問題なのはもう1つ、サフェルのように何らかの事件を起こすつもりでやって来る者。これの場合は帰る気がさらさら無いため、そのほとんどを武力行使で、相手に勝てない相手がいると思わせなければならない。そうでなければ無理矢理元の世界に戻したとしてもまたやって来てしまうから。
だからこそ、サフェルは武力行使で悪く言えばボコボコに、オブラートに包んで言えば倒すしか無い、とそうルクトは言った。
「でも、ルクト。その皇子様の息子さんがどうしてその言う他の世界の者だって分かるの?血の繋がりは無かったとしてもそれが他の世界の者って断定は出来ないのに」
リリエの質問にルクトはまた何かに気づいたような素振りをして、微笑んで答えた。
「それは魔法だ。銃の形にしただけの指先から銃弾を放てるなんて魔法はここ、レフィネリアには無い魔法だからな。」
ルクトの言うように、レフィネリアにはしっかりとした区別のつく魔法しか存在しない。だからこそ、サフェルの魔法を見たルクトは瞬時に他の世界の者だと判断したのだ。
ルクトは唖然とするレスデオに目を向ける。ルクトと目が合って、レスデオの背筋が心なしか伸びる。
「皇子は城に戻った方がいいと思うぞ。ついでに、あんまり城から出ないようにもしろよ。お前は狙われてるんだからな。神の皇子がやられたなんて話になったら、神たちがどんな風になるか想像くらいはつくだろ。」
ルクトの言葉に何も言わずにレスデオは大きく頷く。
そしてルクトはそんなレスデオから視線を外すと、近くの木陰へ視線を移した。
「…誰かいるか?そこの木陰。」
その言葉に全員が木陰を見る。その木陰から現れたのは、金髪の、どこか幼さを感じる少年。
「気づいてたんですね、オレの存在に。」
「まだ、もう一人いるよね。」
恐らく薄々気配を感じていたのだろう。スカイもそう少年に言った。少年は木陰の方をちらりと見やり、どうしようかと少しだけ迷うと1人の少女を木陰から引っ張り出した。
「ちょっと~?ライト、ここから出なくていいって言ってたのになんで~?」
「バレたから仕方ないんだよ!ほら出てくるんだサラ!」
ライトと呼ばれた少年が引っ張り出してきたのは、オレンジの髪を三編みのおさげにして、それを耳より下で輪を描くようなヘアスタイルをした少女だった。少女はサラと呼ばれていた。
「盗み聞きしていたことは謝ります。すいません。オレたちは偶然ここを通ったんです。気にせず立ち去ろうとしたのですが、他の世界の者の話がつい気になってしまって。」
ライトはそう詫びる。しかしサラはライトがなぜ頭を下げているのかが分かっていないのか、ライトをじっと見つめていた。
「あ、僕たちは盗み聞きしてたことを咎めるつもりはないんだけど、…偶然ここを通ったということが事実かどうかは確かめさせてほしいな」
ルクトの目が、鋭く光る。何故、ルクトがそう訊ねたのか、それは、木陰に人の気配があることをサフェルが立ち去る以前から気づいていたからだった。
「…事実です。」
静かにライトの口から放たれた答え。その答えに、鋭く光る目を静かに伏せて再び目を開く。その目にもう鋭さは無かったが、どこか若干諦めているようにも見えた。
「…そうか。なら良いんだけど」
「………失礼します。行こう、サラ」
「え?え?ライト、もう行くの?」
混乱している様子のサラを、余計なことは言うなと言わんばかりに腕を引っ張っていく。
そんな2人を静かに見送って、微かな静寂の中。すぐに口を開いたのはスカイ。
「良かったの?ルクト兄さん」
「まぁ、本人が違うって言ってるから仕方ない」
ルクトの返答に納得したのか否か、なにも言わなくなったスカイの内心を密かに察したのだろう。リリエがルクトに問いかける。
「でも…怪しかったよ?あの2人…」
2人が立ち去った方向を見やったままのルクトを見つめるが、ルクトは静かに目を伏せて、ゆっくりと目を開けると、リリエの方へ顔を向けた。
「あれ以上聞いたところで答えやしない。だろ?それより、リリエには気になることがあるんじゃないか?」
そのルクトの言葉に、あっ!!とリリエはなにかを思い出したように声を上げた。
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