22 / 28
ROUTE2(風紀委員会潜入編)
2-03 委員長の名は染谷
しおりを挟む
「俺を知りたい――――?」
「はい」
カチャリと持っていたカップをテーブルに置き、
数秒の沈黙をものともせず桐花は続ける。
「魔術師科二年の学年委員、初風愛唯さんの持論はご存じですか?」
「確か、魔術はその人の内面を表す鏡みたいなもの――――だったか?」
「そうです。私、あの持論がとても好きなんですよ」
「まさか天下の生徒会長もそういう非科学的な話が好きだったとはな」
「けれど言いえて妙だとは思いませんか」
「どうだかな。実際俺にはピンとこない」
「そうですか」
するとその時、コンコンッと生徒会室の扉がノックされる。
「おや来たようですね」
そういうと桐花は扉の方を見やる。
俺もまた彼女の瞳を追うようにして視線を流すと一人の女性が
生徒会室に入ってくる。
「会長、お待たせしました」
「紹介します先輩。こちら我が生徒会の一員であり、現風紀委員長の――――」
「染谷ゆづはです」
その女性を見てまず最初に思い浮かんだのは品行方正、清廉潔白を体現した様な
美しい所作を持ち合わせた人という印象だった。
「(これが風紀委員長――――)」
「君が最上司君ね」
「はい」
「そう硬くならないでいいのよ。知らないかもだけど私たち同級生だから」
「じゃあ染谷さんも二年生なんだね。
ごめん、授業で見かけたことなかったから知らなくて」
「気にしないで。委員長の仕事であまり授業には参加できてないだけだから。
それよりも――――」
と染谷は桐花の方に体を向ける。
「会長、もう一度確認しますがいいんですね。彼を私の補佐にして」
「構いませんよ、むしろあなた以外に適任はいないと考えています」
「――――そうですか」
「では最上君、早速だけど私に付いてきてくれる」
「分かった。それじゃあ桐花、またな」
「はいまた」
◇
そうして生徒会室を後にしてしばらく。
俺は風紀委員長である染谷ゆづはに連れられ風紀委員会室へとやってきていた。
「風紀委員会の所有箇所はここと隣の会議室、それと校舎裏の倉庫の合計三つ。
そして君と私の仕事場はこっち」
「了解した」
そして部屋に入り最奥にある『風紀委員長』と書かれた卓上ネームプレートの
あるデスクの横。そこが僕の席だと説明される。
「ところでさっき俺が君の補佐って話をしてたけどそれって本当なの?」
「ええ。仮入隊ではとても異例のことだけどね。ともあれ風紀委員は年中人手不足
だから優秀な人材を雑用には裂けないから仕方ないかもだけど」
「そんな風には見えないけどな」
「それだけみんながよくやってくれているってことね。だから正直君が来てくれて
助かるわ」
「さっき桐花が仕事をしているのも見たが、生徒会っていうのは随分忙しいんだな」
「そうね。まぁ会長と比べるとあれだけど風紀委員もやることは多いかもね」
「…………でも最近じゃ斬裂魔も現れてはいないんだろ?」
「斬裂魔ね。確かに事件が沈静化して落ち着いたけど、犯罪者は斬裂魔だけ
じゃないからね」
「――――それもそうだな」
魔術特区内では格差だけでなく様々な企業間の思惑も動いている。
悪人というのはそういった綻びを決して見逃さない。
そう考えると少しでも隙を見せれば将来的にはこの特区を
維持できなくなる可能性も出てくる。
それは多くの学生を抱える生徒会や治安維持を生業とする風紀委員会としては
望むとろこではないだろう。
だからこそ風紀委員会は常にこの動向に目を光らせなければならず、
人員はいくらいても事足りないということか。
「(通りで校内で風紀委員のメンバーを見かけるのが少ないと思ったよ)」
しかしこれは逆に風紀委員の内情を知るチャンスだともいえる。
加えて風紀委員長の補佐というポジションも得られたのは吉兆だった。
ここで染谷ゆづはからの信頼が得られれば目的に一歩近づくはずだ。
「そういうことなら遠慮なく俺を使ってくれ。
書類作業や雑用なら一家言あるからな」
「そうさせてもらうわ」
こうして俺は風紀委員会に仮入隊として潜入することに成功したのだった。
「はい」
カチャリと持っていたカップをテーブルに置き、
数秒の沈黙をものともせず桐花は続ける。
「魔術師科二年の学年委員、初風愛唯さんの持論はご存じですか?」
「確か、魔術はその人の内面を表す鏡みたいなもの――――だったか?」
「そうです。私、あの持論がとても好きなんですよ」
「まさか天下の生徒会長もそういう非科学的な話が好きだったとはな」
「けれど言いえて妙だとは思いませんか」
「どうだかな。実際俺にはピンとこない」
「そうですか」
するとその時、コンコンッと生徒会室の扉がノックされる。
「おや来たようですね」
そういうと桐花は扉の方を見やる。
俺もまた彼女の瞳を追うようにして視線を流すと一人の女性が
生徒会室に入ってくる。
「会長、お待たせしました」
「紹介します先輩。こちら我が生徒会の一員であり、現風紀委員長の――――」
「染谷ゆづはです」
その女性を見てまず最初に思い浮かんだのは品行方正、清廉潔白を体現した様な
美しい所作を持ち合わせた人という印象だった。
「(これが風紀委員長――――)」
「君が最上司君ね」
「はい」
「そう硬くならないでいいのよ。知らないかもだけど私たち同級生だから」
「じゃあ染谷さんも二年生なんだね。
ごめん、授業で見かけたことなかったから知らなくて」
「気にしないで。委員長の仕事であまり授業には参加できてないだけだから。
それよりも――――」
と染谷は桐花の方に体を向ける。
「会長、もう一度確認しますがいいんですね。彼を私の補佐にして」
「構いませんよ、むしろあなた以外に適任はいないと考えています」
「――――そうですか」
「では最上君、早速だけど私に付いてきてくれる」
「分かった。それじゃあ桐花、またな」
「はいまた」
◇
そうして生徒会室を後にしてしばらく。
俺は風紀委員長である染谷ゆづはに連れられ風紀委員会室へとやってきていた。
「風紀委員会の所有箇所はここと隣の会議室、それと校舎裏の倉庫の合計三つ。
そして君と私の仕事場はこっち」
「了解した」
そして部屋に入り最奥にある『風紀委員長』と書かれた卓上ネームプレートの
あるデスクの横。そこが僕の席だと説明される。
「ところでさっき俺が君の補佐って話をしてたけどそれって本当なの?」
「ええ。仮入隊ではとても異例のことだけどね。ともあれ風紀委員は年中人手不足
だから優秀な人材を雑用には裂けないから仕方ないかもだけど」
「そんな風には見えないけどな」
「それだけみんながよくやってくれているってことね。だから正直君が来てくれて
助かるわ」
「さっき桐花が仕事をしているのも見たが、生徒会っていうのは随分忙しいんだな」
「そうね。まぁ会長と比べるとあれだけど風紀委員もやることは多いかもね」
「…………でも最近じゃ斬裂魔も現れてはいないんだろ?」
「斬裂魔ね。確かに事件が沈静化して落ち着いたけど、犯罪者は斬裂魔だけ
じゃないからね」
「――――それもそうだな」
魔術特区内では格差だけでなく様々な企業間の思惑も動いている。
悪人というのはそういった綻びを決して見逃さない。
そう考えると少しでも隙を見せれば将来的にはこの特区を
維持できなくなる可能性も出てくる。
それは多くの学生を抱える生徒会や治安維持を生業とする風紀委員会としては
望むとろこではないだろう。
だからこそ風紀委員会は常にこの動向に目を光らせなければならず、
人員はいくらいても事足りないということか。
「(通りで校内で風紀委員のメンバーを見かけるのが少ないと思ったよ)」
しかしこれは逆に風紀委員の内情を知るチャンスだともいえる。
加えて風紀委員長の補佐というポジションも得られたのは吉兆だった。
ここで染谷ゆづはからの信頼が得られれば目的に一歩近づくはずだ。
「そういうことなら遠慮なく俺を使ってくれ。
書類作業や雑用なら一家言あるからな」
「そうさせてもらうわ」
こうして俺は風紀委員会に仮入隊として潜入することに成功したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる