優游執事は主君の為に穿つ

夕桂志

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第二章:狂愛執事は優雅に主君を誘う

お嬢様、本当に僕が執事で宜しいですか?

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 どんな世界にでも必ず、表と裏、光と闇、陰と陽と言う対称の物がある様に、世界にも対称になる世界がある。この世界の中心はメテオ、貴族達が暮らす大都市。メテオには物や人や金が溢れ返っている、その為メテオに上京して来る人間が後を絶たない。

今回からは、そんなメテオとは全く逆の街。言わば世界の裏側、その名はハティ。
小さい街でメテオから遠く離れているので、街は崩壊し危険区域に指定されていた。街にある殆どの建物が廃墟と化し、草木も枯れ果て、人の暮らせるような環境ではなかった。だが、街の中心に位置する役所は周囲の建物と比べれば遥かに大きかったが、その外壁には枯れかけの蔓が不気味さを引き立てる様に張り付いていた。

 その役所は沢山の赤い執事服を着ている男性達で溢れかえっていた。その二階のある一室で、この街に不釣り合いの女の子が優雅にお茶を飲んでいた。黒い長い髪に黒い瞳、振る舞いも周囲に似合わず気品にあふれているノークス。


「やっぱり、紅茶を飲むと落ち着くわ」


とノークスが、ゆっくり紅茶が入っているカップに口を付け、一口飲むとカップを離しフッと横を見ると、そこにはキビキビと無駄がない動きでスコーンをテーブルに置く、赤い執事服を完璧に着こなす一人の綺麗な男性が背筋をピンっと伸ばし、にこやかに微笑みながら立っていた。彼の名前はイサミル、ノークスの執事である。


「左様で御座いますか。それは良かったです。では、本日の紅茶はノークスお嬢様が以前、大好きと言って下さった僕オリジナルのミルクティーです」


とイサミルは至福の時を過ごすかの様な口調だった。そんなイサミルを見上げながら、ノークス少し溜息を付きながら、窓から見える廃墟のジャングルを見てこう言った。


「だが、こんな街があるとはね。地図にも載っていない街なんて、新しい事業を興すには少し骨が折れそうだけど、まぁ、イサミルとだったら大丈夫よ」


ノークスはイサミルを信頼しきっている顔をしていた。その顔を見ると胸が締め付けられる様に痛むイサミル。それには少し訳がある、半日前にイサミルが犯してしまった過ち。それを語るには少々時間を遡らなければならない。



   ***



 半日前の事、この街に連れて来たノークスは二日間、寝ずに自分の体の一部を壁に叩き付け続けていた。その行動はメテオの名家の三女としては有るまじき行動だった。

だが、二日前に己の存在の所為で、数年前、慕っていた執事が己を守る為に自ら姿を消した事実を、その犯人にして実の姉に聞かされ、その後任として雇った執事の生死をも握られ、助けて欲しかったらホーシック家を出てけと言われた。そしてノークスは自身で出て行く事を選び、ココに来た。そんな精神状態だ、何をやったとしても可笑しくはない、いくら完璧なお嬢様と言われていようがおかしくなるのは当然だ。自分の為に大切な人の人生が壊され、また壊されようとしていたのだから。それを半日前までずっと悔いていたノークス、その姿は痛々しかった。

そして、ノークスを連れて来たファントムことイサミルは自分を責め続けるノークスを見ていられなくなり、ある薬を嗅がせ眠らせた。その薬とは辛い記憶を消去してくれる薬、辛い記憶に深くかかわった存在を消してくれる効果があった。その事でノークスがイサミルの事を忘れてしまう危険性もあったが、イサミルにとってノークスから自分に関する記憶、もしくは存在が消えてしまう事は何の問題ではなかった。ただ、辛すぎる真実を知って壊れかけて行くノークスをあれ以上見て居られなかった。ノークスの事で辛い思いをするならば、その辛い記憶ごと忘れてもらった方が良く、ノークスの糧となると考えた。

 そして起きたノークスは、自分がホーシック家の三女でイサミルの主君だと言う事も、イサミルとの思いでも覚えていたが、カンノによってイサミルが執事を辞め失踪したと言う事は覚えていなかった。もちろん、ニコルや八椥の事は存在をも忘れていた。そして、何故こんな所に居るのかと言うノークスの疑問に、イサミルはついこう言ってしまった。


「お忘れですか?ノークスお嬢様。私達は新たな事業の基盤となる土地を探して、ココ、ハティに来たのです。
 道中も寝る間も惜しんで働いていましたから、お疲れが出たのでしょう?」


と言う嘘をノークスは簡単に信じてしまった。そして、”貴族狩“のメンバーにはノークスの事を説明し、ノークスの契約執事として旅に着いて来ているという設定になっている。中には不満を抱くメンバーもいたが、”貴族狩“という組織はノークスの為に作った、ノークスのもう一つの居場所だ。そこに勝手に入ってきた奴らの意見など、イサミルは聞く事もしなかった。



   ***



「イサミル?聞いてる?」


と声を掛けられた。すると、イサミルはハッとし回想を止め、目の前に居るノークスを見て、慌てる様子も見せずニコリッと笑ってこう言う。


「失礼しました。少し考え事をしておりました」


深々とゆっくり頭を下げる。それを見たノークスは、慌てながらイサミルにこう言う。


「そんな事で頭を下げないでよ。てか、イサミルが考え事をしている所、私、初めてみたわ。
 何の事を考えていたの?」


と不思議そうな口調で尋ねたノークス。すると、イサミルは頭を上げながらノークスの手をスッと取り、跪いて手の甲に口付けをした。それを見たノークスは顔を真っ赤にし、慌ててこう言う。


「なっ、何をいきなり!どうしたの?」


「私が考えているのは、何時なんどきでも貴女の事だけですよ、ノークスお嬢様」


「それは分かったけど、何で手にキスしたの?」


「御嫌でしたか?」


とイサミルが上目使いで、綺麗な瞳でノークスを映す。そんなイサミルを見ると、ノークスはますます顔を赤くし、恥ずかしそうに早口でこう言った。


「嫌な訳じゃないけど、ちょっと驚いただけ!」


「すいません、驚かせてしまい。ですが、ノークスお嬢様があまりにもお美しくて、つい、私の事でノークスお嬢様を満たしたいと思ってしまいました。ダメですね、仮にも執事なのに」


と落ち込むイサミル。それを見ると、顔の赤みを少し引かせ、イサミルにこう言う。


「別に良いんじゃないの?執事と主君の交際は…、認められているんだから」


と最後の方を恥ずかしそうに小声で言うと、イサミルは目をノークスから反らせなくなってしまった。


「ノークスお嬢様、貴女はズルいです」


「何処がよ!」


と頬を膨らませて言うと、立ち上がったイサミルの人差し指で口を押さえられた。その行動に目を丸めて驚くノークス。すると、イサミルは真面目な顔付きをし、いつもの声より一トーンも二トーンも低い、心地良い声音でノークスに囁く。


「ノークスお嬢様の存在全部です。
 私を見るその瞳も、私の話をお聞きになるその耳も、
 透き通る声も、長い黒髪も、細い手足も、それらが私の心を掻き乱し、私を魅了してしまうんです。
 ですから、ノークスお嬢様はズルいのです」


と聞くとノークスは、少し緊張したのか体が固まって、再び顔を真っ赤にした。そして、そっぽを向きながら剥れてこう言う。


「イサミルの方がズルいわよ。そんな事言われたら、落ちない女性は居ないわ」


とムキになって言うノークスに、思わず微笑んでしまうイサミル。そして、いつもの口調でこう言う。


「では、ノークスお嬢様も落ちて頂けるんでしょうか?」


「ッ!それはッ!」


ノークスが恥ずかしそうに何かを言おうとした時、脳裏に顔の見えない男性が遮る。すると、ノークスは顎に拳を当て何かを考えるポーズをとった。それを見ていたイサミルは少し、目を細めた。そして、普段の表情をしノークスにこう尋ねる。


「どうかなさいましたか?ノークスお嬢様?」


「あっ、いや、何でも。ただ、今、一瞬、誰かが頭に浮かんできた」


「疲れがまだ残っているのではありませんか?如何でしょうか、もう一度お休みになられたら」


とベッドに手を向けて言うイサミル。すると、ノークスはゆっくりと首を横に振った。


「寝るなんて夜だけで充分だわ。それより、外を散歩したいのだけど…」


「お散歩ですか、宜しいですが、私は少し用があるのでご一緒出来ないので、他の者を護衛に着かせます」


と言うイサミルは何喰わない顔をしていたが、ノークスに分からない様に目を細めて部屋を出ようとすると、廊下からドアをノックする音が聞こえ、立ち止まる。そして、入って来たのはコルネリッドだった。コルネリッドは落ち着きがあり、指の先まで優雅な身のこなしをしていた。そのコルネリッドからは”貴族狩“のやんちゃで荒々しいコルネリッドを想像するのには無理があった。


「ノークス様、お目覚めになられて何よりです。契約執事のコルネリッドですよ」


「コルネリッド、まだここには…っ」


とイサミルが小声で戒めようとした時、ノークスは頬に人差し指を当て考えながらこう言った。


「契約執事だったけ?まぁ良いわ、コルネリッドは今お暇かしら?」


「はい」


と嬉しそうに微笑んで言うコルネリッド。すると、ノークスはコルネリッドに笑顔でこう問いかけた。


「私とお散歩してくれない?」


自分に向けてのノークスの笑顔に一瞬、目を丸め驚くコルネリッド。そして、以前見たノークスの強がっている顔が横に並んで見えた。


       ―何だよ、その顔。お前はもっと―


そう一瞬思ったが、すぐにノークスの手を取り跪き、頭を下げこう言った。


「私の様な者で宜しければ、御一緒させて頂きます」


「本当?じゃあ行こう!」


と言って部屋を飛び出すノークス。その後を追って歩き出すコルネリッドとイサミル。イサミルは小声でコルネリッドにこう言う。


「分かっていると思うが、ノークスお嬢様の記憶を呼び起こすような言動はとるな」


「分かってますよー。ちょっとその辺を散歩して来れば良いんでしょう?」


「あぁ、だが用心しろ、敵がノークスお嬢様を奪還しに来ているかもしれない」


「それはないでしょ。まだ三日経っただけなんだし。ファントムってノークスの事になると慎重だよね」


そして、玄関に先に着いたノークスは後から来るイサミル達を待っていた。そして、二人が数秒後に追いつくと、コルネリッドは玄関のドアを開けた。ノークスが出ようとすると、後からコートが肩に掛けられた。もちろん、掛けたのはイサミルだった。少し驚いたノークスがイサミルの方を振り向くと、優しく微笑んでいたイサミルが両手を両肩に置いて、口を耳元に寄せ柔らかい口調でこう言った。


「外は寒いですから、コートを着てください」


「あ、ありがとう」


「いえ、ノークスお嬢様の身の回りのお世話をするのが、私の…」


「仕事だから?」


と眉を顰め、唇を尖らせ剥れながら言うと、イサミルは少し目を丸めて驚く。そして、愛らしい者を見る様な目をしてノークスの前に周り、コートのボタンを止めながら顔を見てこう言う。


「いいえ、それも少しはありますが、仕事だからという訳ではありません。
ノークスお嬢様の身の回りのお世話をするのが、私だけの役目であり、私の生きた証であり、私の趣味なのです」


なんの躊躇いもせずに、ノークスの目を見つめながら微笑み、そう言った。すると、ノークスは人目を気にし周りを気にする素振りを見せるが、そんな事を気に留めるイサミルではなかった。ボタンを止め終わるとノークスの前から退き、片手を胸に当てながら頭を下げてこう言った。


「行ってらっしゃいませ、ノークスお嬢様。日が沈む前にお戻りください」


「もう、心配性ねイサミルは。コルネリッドも居るんだし、大丈夫だって」


と言いながらノークは、笑顔で玄関を出て行った。

 ノークスが役所から出て行くのを見送ったイサミルは、ゆっくり頭を上げた。その横にはいつの間にか六椥が立っていた。


「ベタ惚れだよね、相変わらずノークス嬢に」


意味あり気にそう言う六椥はいつもの様に、食えない笑みをしていた。それを横目で見るイサミルの視線は、ノークスに送る愛しさに満ちた視線とは違い、氷の様に冷たく鋭い視線だった。その目はイサミルの目ではなく、”貴族狩“のリーダー・ファントムの目、そしてイサミルは玄関に背を向け六椥にこう言った。


「幹部を集めろ」


その声もノークスに向けられるモノとは、別人の様に違った。低い声色に鋭い口調、それを聞いた誰もがその命令を聞かずには居れない様な存在感を醸し出していた。今の今までのほほんとしていたフロアに一瞬にして緊張感が走る、それだけで、下っ端達は背中をビシッと正し、イサミルの方を向いて跪いた。


「集めるのは良いけどさ、コルネリッドはどうするのさ?」


六椥が掌を翻し言うと、イサミルはこう言った。


「コルネリッドには後で話しておけ」


と言いながら二階に上がって行くイサミル。その背中を見ていた六椥は、『へー』と言いたそうな表情をして、スプリットとセレムを呼びに行った。



   ***



 幹部達が二階のイサミルの部屋に集まったのは、五分後の事だった。イサミルは一人用のソファーに座っていた。その両脇に長ソファーがあり、スプリットとセレムと六椥は各自、好きなように座っていた。部屋の中にはただならぬ緊張感が充満していた、それに耐えられなくなったのはセレムだった。


「ファントム、聞かせてくれよ。何で俺達はカンノの奴に裏切られたんだ」


と問い質すと、ファントム基いイサミルは重い口を開いた。


「恐らく、カンノにとっては計画の内だったのかもしれない。
 ノークス様を襲ったのはあくまで”貴族狩“と言う事を裏付ける為に、手を結んだ私達も攻撃した。
 そして、それに乗じて、ノークス様の執事の手負いのニコルを人質にとり、
 我々がノークス様を攫ったかのように追い出した。
 困った人だ、でも当初の予定とは少し違うが、ノークス様をココに連れて来る事には成功した。
 あちらの事は、たぶん御機嫌斜めな執事がカンノをやっている筈」


「そのノークス嬢の記憶を失くしたのは、何故なんだい?ファントム。まぁ、ボク達の目的は貴族に復讐なんて事じゃなく、ただ君の望みを叶える事。ファントム、君の望みはこの世界の境界をなくす事、その為にノークス嬢が必要じゃなかったの?」


と六椥がイサミルに投げかけると、イサミルは窓の外を眺めながら何か悲しい物語を語り始める様な重い口調で話しを始める。


「世界の境界線、それは貴族か、貴族じゃないかで決まる。
 そんな事は自分自身ではどうにもならない、こればかりは、何処に生まれるかの運次第。
 貴族になりたいなら努力をすればいい事、ただ貴族が一般の人になる事は、そう容易くはない。
 周囲の目、親からの期待、自分が関わって来た人への配慮。
 それは貴族の中の貴族になるとそれが何十倍にもなる、ノークス様は貴族として飾られ、
 見知らぬ誰かと政略結婚させられるより、一般人として普通に暮らし、
 好きな人と一緒になる道の方がお似合いだ。それには、あまりにもノークス様が抱えているモノは重過ぎる。
 私はいっそ、周りも同じ立場にすれば誰もノークス様を責める者は居なくなる。
 それが、私の望みであり、君達が賛同してくれた理由。そして、この計画にはノークス様の頭脳が必要不可欠」


イサミルが話し終ると、他の三人は各々、自分の想いを思い出したように静かになる。そして、六椥は腰を上げイサミルが座っているソファーの後ろに立ち、背もたれに両手を置いて、上からイサミルを見ながらこう言った。


「全てはノークス嬢の為か、執事の鏡だね。本当ならの話だけどね」


「何が言いたい、六椥」


「うーん、何が言いたいんだろうね、僕」


といつもの笑みではぐらかす六椥。そして、イサミルは少し六椥が気になったが、スプリットとセレムの前で下手な事は言えなかった。


「とにかく、今はノークス様の精神の安定維持が最優先、”貴族狩“の事は追々話して行く」


と言うと、その場に居た三人は納得した表情をした。この場に居ないコルネリッドの事を思い浮かべたのはスプリット、ただ一人だけだった。何故なら、コルネリッドは以前のノークスを気に入っていた。そのノークスが今までの記憶を忘れてしまい、自分の事を執事だと信じている。コルネリッドの性格上、以前の威勢があるノークスが気に入っていたとすれば、今の優しいノークスの事をどう思っているのか?という疑念を持ちながら、セレムと一緒に部屋を後にした。

 そして、イサミルと一緒に部屋に残った六椥は、ソファーの肘かけに腰を下ろし、イサミルにこう言った。


「君、本当はもう満足しているんじゃないの?」


「!」


「だって、そうでしょう?何もかも辛い事を忘れてるノークス嬢に、時が経ったら全部話し、”貴族狩“のリーダーとして、世界の境界線をなくすために働いてもらうなんて。君の行動には矛盾点が多過ぎる」


六椥が真面目な顔をして、いつもより低い声で確信を吐く様にそう言った。すると、イサミルは黙って神妙な顔で六椥を見つめていた。そして六椥はこう続ける。


「いくら、ノークス嬢を連れ出すためとはいえ、カンノと手を組むなんて奇妙だ。
 そりゃ、利害は一致しているが、ノークス嬢を引き入れようとしている僕達が、
 カンノと手を組んでいたって後あとノークス嬢に分かったらいい気はしないよ。
 それをやったって事は、本当は最初からノークス嬢の記憶を消す事になっていた…、なんて」


と不敵な笑みを浮かべながら言う六椥。その笑みを前髪の隙間から見たイサミルは、両手を顔の前で組み、鋭い視線で六椥を見つめながらこう話し始める。


「六椥、お前が考えて居た筋書きは私の中にはなかった。
 ただノークス様をメテオから、ホーシック家から連れ出し、私の考えに賛同してもらおうと思っていた。
 カンノと手を組んだのは彼女から話を持ちかられ、それが最短ルートだと思っていたからだ。
 私には何があっても誰と組もうともノークス様を説得させる自信があった。
 だが、数日前にノークス様宅に潜入した時に、ノークス様は私の変装を見破り、敵意を示した。
 その時に思ってしまった、彼じゃない事には気付いたが、それが私だとは気付かなかった。
 それは、私はもう戻って来ない者だと思っていたからかもしれない。だけど…」


と言うイサミルの瞳には、目の前に居た六椥など写っては居なかった。写っていたのはノークスの家に行った時に背後を取られ、ノークスを守っていた執事。その執事を信頼しきっているノークスの二人だった。イサミルがその瞳に写していたのは、一般的に言う所の『嫉妬』と言う感情…。否、『嫉妬』と一括りにするには少し違う。『憧れ』も見受けられた。そしてイサミルは、途切れた言葉を繋げた。


「彼がノークス様の執事になった事で、ノークス様の中から私が消えて行っていると感じてしまった。あのノークス様は私に賛同はしてくれない、あのノークス様を納得させられないと思った。だって、ノークス様は自分の体を傷つけながらも、彼の事を思っていた。ノークス様の辛い記憶と供に、私は私の信じたくはない事実も無かった事にしたかったのかもしれない」


と話し終ったイサミルを、六椥は少し目を見開いて驚きながら見ていた。六椥はイサミルとは長い付き合いだったが、ここまで何かに執着していた彼を見た事がなかった。そして、嫉妬深くなっている彼も見た事がなかったからだ。


「醜い話をしたな」


とイサミルは溜息交じりに言うと、ソファーから立ち上がり窓辺に行き外を見つめ始めた。その背中からは寂しさと、悔しさ、そして何処か嬉しそうな雰囲気が漂って来る。六椥はただ黙って、その背中を見つめる事しか出来なかった。



  ***




 その頃、散歩に出かけたノークスとコルネリッドは一定の距離を保ちながらハティの中を歩いていた。そして、何度もコルネリッドとの距離を詰めようとノークスが前触れもなしに止まると、コルネリッドはそれに合わせる様に止まるので、間隔は詰められずにいた。


「ねー、コルネリッド、もっと近く歩いてよ」


と痺れを切らせて振り返りながら言うノークス。すると、コルネリッドは冷静にこう言う。


「何故ですか?何かあっても、ここからなら直ぐに助けに行けます」


「そう言う事じゃなくて!横を歩いて欲しいの!」


地団駄を踏みながら言うノークス。そう聞いても、コルネリッドは微動だにしなかった。ノークスは詰まらなそうな顔をし、前を向き再び歩き出した。すると、その背中を見ていたコルネリッドは、メテオ聖学院を襲撃した時の事を思い出していた。ノークスと初めて会ったのもそこだった。その時のノークスは、虚勢を張り自分を強く見せようとしていた。その時の会話を今でも鮮明に覚えている。



             ―何よ、その手を離しなさい!―



と必死に自分の手を、強がりながら離そうとするノークス。その時の必死に虚勢を張り続けていたノークスを見たコルネリッドは子供が良いおもちゃを見つけた時の様に笑いこう言った。



     ―良いね、その強気な態度。お嬢様には珍しい目をしてる、そういう目の奴、俺好きだ―



その言葉に偽りはなかった。何故なら、ノークスは普通のお嬢様とは虚勢の張り方が違っていたからだ。そして、状況はこちらが有利なのに、口調を変えずこう言った。



             ―私、上から見られるの嫌いよ―



それが、更にコルネリッドの興味を引いた。虐めたくなるコルネリッドは意地が悪そうに、



            ―粋がっちゃって、弱いのが丸分かりだ―



と言うと、ノークスは直ぐに声を張り上げこう返して来た。



               ―私は弱くなどない!―



その言葉が、コルネリッドの目にはノークスが弱いと映し出す。もっと虐めたくなったコルネリッドはこう言った。



     ―ほーら、震えてる。俺達が怖いの?それとも、弱いって見透かされた事が怖いの?―



                   ―五月蠅いわよ!―




と怒鳴ったノークスの瞳は、恐怖を隠しながらコルネリッドを睨んで来た。

 それがノークスを気に入った瞬間だった。だが、今のノークスはあの時の虚勢も、恐怖なども全くない。コルネリッドにとっては気に入っていた玩具が、壊されていたような感じだ。今のノークスはただのお嬢様に過ぎない。

そう考えていると、前を歩いていた筈のノークスが居なくなっていた。それに気付いたコルネリッドは、小走りでノークスが歩いていた所に行き、慌てながら周りを見てノークスの姿を探した。後の茂みから物音がした瞬間、誰かに押し倒された。コルネリッドは地面に倒されたまま上に乗っていた人物を見上げると、上に乗っていたのはノークスだった。それを確認すると、溜息を吐きながらこう言った。


「何をしているんですか…?」


「乗っている」


と幼稚な答えが返って来た。コルネリッドは手を額に当てながら呆れた口調でこう聞いた。


「何で、乗っているんですか?」


「近付いてくれないなら、私から近づこうって思って、でも、ただ近付いたら、逃げるでしょう?だからよ」


それを聞いたコルネリッドは、仕方がなさそうにこう言う。


「分かりました、言う通り横を歩かせて頂きます。ですから、退いてください」


「嫌よ」


その答えを聞いたコルネリッドは、片方の眉を微かに動かしながら怒りを堪える様な口調でこう言った。


「なぜですか?」


「だって私、指図されるの嫌いだから。なんか、コルネリッドって私の事、下に見てるでしょ?」


そう聞いた瞬間コルネリッドは、出会った時のノークスに言われた一言が脳裏を駆け巡った。強く見せようとしていたノークスがコルネリッドに怯えた素振りも見せず、言った一言。



                  ―私、上から見られるの嫌いよ―



シュチエーションや態度、言葉さえも違うが言っている事は変わりなかった。そう思うとコルネリッドは普通に笑ってしまう。それを聞いたノークスは、小首を傾げながらコルネリッドから降り、前に回って足を抱えながら顔を覗き込むと、ニヒッと笑い立ち上がった。


「笑えるんじゃん」


「笑った顔が好きなんですか?ノークス嬢は」


「可笑しな事聞くわね、人が怒ったり悲しんでる顔を見るのが好きな人いないわ。それに…」


と何かを言いかけたノークスは、少し悲しそうな表情をして口を閉じた。それを見たコルネリッドは、不審な表情をしながら立ち上がり、ノークスにこう言った。


「ノークス嬢、どうかなさいましたか?ハッキリ言わなければ私だって分かりません」


「でも、コレ言うとお母様がイサミルを怒るから言いたくない」


と言うノークスは口を尖らせながら言った。それを聞いたコルネリッドは、ノークスの背後にイサミルが居る様に感じた。それは同時に、ノークスの中でイサミルがどういう存在かを示された気がした。コルネリッドは、暗くなっていたノークスにこう言う。


「私は誰にも言いません。これは絶対です」


「本当?」


「はい」


「私はね、作り笑顔が嫌いなんだ」


そうノークスの口から聞いた時、コルネリッドは思い出していた。記憶を失くす前のノークスは、いつも作り笑顔や作った表情をしていた事を。少し驚いていたコルネリッドにノークスはこう言った。


「でも、お嬢様たるもの作り笑顔が出来ないと、執事の評価に繋がるから覚えたの。
                                そしたら、イサミルがッ!?」


と言いかけた時、ノークスの後にイサミルが立っていた。それに気が付いたノークスが振り返ると、驚いた表情をし、イサミルだと認識すると、先程までの曇っていた表情がウソの様に、一気に晴れ柔らかな笑顔になった。するとイサミルは、愛しい者を見る目をしてノークスを見つめ、優しい口調でこう言った。


「私の前だけ笑って下さい。私の前だけ本物のノークスお嬢様を見せてくださいと以前言いました。
 それを覚えていて下さったなんて、光栄です」


「イサミル、用事は良いの?」


「はい、もう済ませて来ました。私はノークスお嬢様と一緒に居ませんと、可笑しくなってしまうのです」


と言うイサミルに対し、ノークスはクスクスッと笑いながらこう言う。


「大袈裟よ、イサミルは。私が死んじゃったらどうする訳?」


ふざけて言ったノークスに対し、イサミルはノークスの右手を取り甲に口付けをした。それを見たノークスは一気に顔を赤く染め、恥ずかしいのとくすぐったいのを我慢しながらこう言った。


「っ…。イサ…、ミル…?」


と言うノークスの口調は色っぽかった。すると、イサミルはキスしてからペロッと舌で舐めた。すると、ノークスはビックと体を震わせた。そして、イサミルは手の甲から口を離し、こう言った。


「そんな当たり前の事を聞かないで下さい。
 勿論、冥府までご一緒させて戴く所存です。生まれ変わっても私は、ノークスお嬢様の傍に居たいです」


「イサミル…。何でそこまで…」


と戸惑いながら言うノークス。すると、イサミルがニコッと笑いながらノークスにこう言う。


「好きだからですよ、主君としても一人の女性としても、ティータイムに申し上げましたが、ノークスお嬢様の全てが私の心を掻き乱し、私を魅了してしまうんです。これは、異性に抱く愛情から来ているモノだと、私は思っています」


そう言うイサミルは少し顔を赤く染めていた。どうやら自身の気持ちをストレートに言葉にするのは苦手らしい。そんな恥ずかしがるイサミルを初めてみたノークス、今までは執事として完璧に仕え、時には心を許せる兄の様な存在だった。そのイサミルが自分に好意を抱いていたなど、今まで感じた事も考えた事もなかった。そんな事を思っていると不思議と笑顔になるノークス。


「イサミルは、私を驚かせる天才ね」


「ノークスお嬢様にはストレートで言う方が良いと思いまして」


と聞いたノークスは、頬を膨らませ口を尖らせながらこう言う。


「それって、私が鈍感って言う事?」


そう聞いたイサミルは、クスッと笑った後に真剣な表情で一トーン落とした声色、大人の色気を少し醸し出しこう言った。


「違いますよ。ストレートに言わなければ、のらりくらりと避けるでしょう?ノークスお嬢様は。
 避けて欲しくない程に私は真剣と言う事なのですよ」


と訴えて来るイサミルの、綺麗で潤いのある瞳でノークスだけを映していた。その瞳を見ていると吸い込まれそうな気持になる。イサミルの気持ちに吞まれてしまう。そして、ノークスは目を細くし、イサミルの体へと手を伸ばす、その顔は幸せいっぱいの顔をしていた。抱きしめるとイサミルも抱きしめて来た。ノークスの腰は片腕に収まってしまう程に細い、もう片手はノークスの頭を自分の方に抱き寄せていた。


「ノークスお嬢様、私は貴方を離す事はありません。それでも、宜しいですか?」


それを見ていたコルネリッドは、先程のノークスが言った言葉を思い出していた。”作り笑顔は嫌い“と言う事は、作られたモノは嫌いという解釈で良いのか否か、確かにイサミルがノークスに向けている感情は紛れもなく本物だ。

しかし、それを取り囲む環境や状況は作られたモノ、ノークスはそれに気付いているのか?気付いていると言うのは記憶があって成り立つものだ。もしかしたら、今のノークスには此方が本物だと思っているのかもしれない。そう思いながら、コルネリッドは静かにその場を離れ、役所に一人向かって、歩き出した。

 そして、その場に残されたノークスとイサミルは近くにあった古びたベンチに座っていた。すると、雲の隙間から太陽の光が零れて来た。それを見たイサミルは、少し眩しそうに手を日除け代わりにして天を仰いだ。


「珍しいですね、太陽が出るなんて…。
 ここハティの街は錆びついてしまい、太陽が出る事も少なくなった街。
                        やはり、ノークスお嬢様が居るからでしょうか?」


と言うとイサミルは、視線をノークスの方へ落した。すると、イサミルの動きは止まってしまう。何故なら、ノークスの長い黒髪は太陽の光を浴び、より艶やかに、まるで生きているかの様に暖かく光っていた。そんなイサミルの視線に気付いたノークスは、小首を曲げこう聞いた。


「どうしたのイサミル?」


「ライトの光よりも、ノークスお嬢様の髪は太陽光に当る方が、より美しいです」


「いっ、いきなり、何言うのっ!」


と恥ずかしそうに言うノークス。すると、イサミルはノークスの輝いている黒髪をスッと一束、人差し指と親指で掬い顔の前まで近付けた。少し緊張するノークス。


「感じたままを言っているんです。それだけ、ノークスお嬢様は美しいのですよ。惚れ込んだ私が保証します。
 こんなに一人の女性に夢中にさせられるなんて、考えてもみませんでした。
 そのノークスお嬢様をお育てしたのが私だなんて、驚きです」


顔を赤く染めたノークスを見て、イサミルは更に顔を近づけ、大人っぽい口調でこう囁く。


「私が育てたお嬢様は、まだこう言う事は苦手と拝見できます。そこも、可愛いです」


と二人の時間は続いた。暖かく、甘い時間、時が過ぎるのも忘れてしまうほどに。



   ***



 時は、二週間後。ここはメテオの中心にあるホーシック家の玄関先、そこに集まっていたのは、カンノとホーツ以外の家族と執事だった。その執事の中の四人は私服を着ていた。その四人にバンクスがこう言う。


「今回は極秘だ、執事服など着て行ったら直ぐバレてしまうからな。指揮はランドネルトに任せる」


と言われたランドネルトは、ブラウンのトレンチコートを着、黒のズボンを履き普段から履いている靴を履いて小綺麗にまとめていた。


「はい、コイツらの事はお任せ下さい」


と言っている横で、騒ぐ三人。深緑のロングコートを着て下には小豆色のYシャツを着、黒いストレッチタイプのズボンを履いてストイックにまとめた八椥。


「待っていた方が良いんじゃないかニコル、まだ完治したばかりなんだから」


「八椥君、それ僕も言ったけど聞かないんだよ」


と言いながら溜息を吐くのは、ピンクのYシャツにクリーム色のセーターを着て、ジーンズを履き、可愛くまとめたニキだった。


「二週間も掛かってしまいましたから、早くお嬢様の所に行かなければ」


と気合充分に言うのは、黒いネックに黒い革のトレンチコート、ピッチリとした黒いズボンを履き、黒い革の手袋をはめるニコルだった。すると、ランドネルトがこう言った。


「死んでも知らんぞ、狐」


「死にませんから、お嬢様をこの手に取り戻すまでは抱きしめるまでは…」


そう言うニコルは普段通りの笑顔を装っていたが、胸の内に抑えている感情が、今にでも爆発して出て来る寸前、例えるなら、獣が獲物を狙い動き出す様な目だった。




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