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17話
しおりを挟む「いや、俺のいた世界じゃ動物が喋ることはなかったから、そうやって普通に喋ってるのが不思議で一杯でさ」
「お前の世界はそうでも、ここでは喋るのが普通だ。逆にお前のいた世界っていうのはどんな世界なんだ?」
「俺のいた世界? ・・・あぁ、地球は・・・」
俺は超簡単に俺のいた世界。つまり地球と日本のことを説明をした・・・つもり。
つもりっていうのは別に説明するのがめんどくさかったわけじゃなくて、こんなことを誰かに説明したことなんてなかったから、どう説明すれば良いのかわからなかったせいだ。
それに喋る動物を見たことすら初めてなのに、その動物と会話をしてることに、若干頭がクラクラしてたせいもあった。
「・・・なるほど。異世界、か・・・」
上手く説明出来たかはわからないけど、ポン太は特に驚いた様子もなく、かと言ってウソくせえと思ってる様子もなく、ただ淡々と話を聞いていた。
「とまあこんな感じなんだけど、別の世界から誰か来るっていうのは、こっちの世界じゃ普通のことなのか?」
「少なくともオレが知ってる限りでは聞いたことはない。ただオレはこの世界の全てを知ってるわけじゃないからな。もしかしたらオレが知らないだけという可能性もある」
「な、なるほど・・・」
・・・なんか、妙にインテリっぽいな・・・ポン太のくせに・・・。
「とにかく明日はそのことで王都に行くんだろ。今日はもう遅いし、ゆっくり眠ると良い」
「ああ、ありがとな」
ポン太が部屋から出て行くと、部屋には俺1人になった。
「なんだかんだ言って、ポン太って結構良い奴っぽいな」
ちゃんと話しを聞いてくれるし、聞いたことにもちゃんと答えてくれるし、気を遣ってくれてるのもわかるし。
「まあポン太のことは良いとしても・・・冷静に考えてみると、とんでもないことになってるんだよな・・・」
窓から見える景色は、もうすっかり暗くなった森の姿。
もう一度スマホを見るけど、さっき見た時と変わらず圏外。
それでも一応電話。メール。ライン。ネットと色々試してみたけど、どれも繋がらない。
「・・・伝説のお助けキャラとか、魔王とか、モンスターとか・・・俺、これからどうなるんだろ・・・」
静かな部屋に1人でいると、今更になってこれからどうなるのか不安になってきた。
昨日までは異世界に行きたいと、ものすごく憧れて夢にまで見たけど、まさか実際こんな事態になると、不安の方が強くなるなんて初めて知った。
こんなこと初めてなんだから当然っちゃ当然だけど。
・・・っていうか、もう2度と家に帰れないなんてことはないよな?。
「・・・ま、まあ明日、俺をこっちの世界に連れてきた姫さんにもう一度会えるって言うし、何とかなるだろ。・・・なるよな? なってくれないと困るぞ? もしならないと・・・いや、これ以上考えてると怖くなりそうだし、今日はさっさと寝てしまおう」
現実逃避などではなく、心の平穏を保つ為の勇気ある撤退でベットに潜り込む。
そしてなにか良いニオイのする、手触りの良い布っぽい掛け布団を頭まで被る。
「って、こんな不安な状況で寝れるのか? 俺の心って意外と繊細だし、結局今日は眠れずに明日になりそうなぐ~・・・すぴ~・・・ぐ~・・・」
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